澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

投票用紙に特定の候補者名を記載した場面を撮影して報告を求める」行為には、公職選挙法第228条1項(投票干渉罪)に該当する疑いがある

9月20日付のリテラに、横田一記者が、インパクトのある記事を掲載している。「沖縄県知事選で佐喜真陣営が公共事業予算アップをエサに建設業者を選挙運動に動員! 投票した人リストまで提出させ…」と題するもの。今、沖縄で何が起こっているのか、具体的で迫力に満ちた記事。民主主義とは、選挙とは、そしてアベ政権の本性とは…。考え込まざるを得ない。個々の選挙運動員における選挙違反の問題以前に、知事選の基本構造それ自体が、政権による利益誘導となっているという指摘なのだ。
https://lite-ra.com/2018/09/post-4267_2.html

その冒頭の一部を引用させていただく。
「沖縄県知事選で佐喜真淳・前宜野湾市長を推薦する自公維が、札びらで県民の頬を叩くような卑劣な選挙を始めた。告示翌日(9月14日)の建設業界の総決起大会で、建設業界職域代表の佐藤信秋参院議員(自民党)や公明党の太田昭宏・前国交大臣や維新の下地幹郎政調会長ら国会議員が次々と挨拶。辺野古反対の翁長雄志知事時代に一括交付金や公共事業予算が約500億円も減ったことを問題視する一方、“「対立から対話」を掲げる佐喜真知事誕生なら、公共事業予算は増加に転じて建設業者の労務単価(人件費)もアップする”という“にんじん”をぶら下げて、辺野古反対を言わない新基地容認派の佐喜真候補への支援を業者に呼びかけたからだ。

「ーさきま淳氏とともに建設産業の発展をー」と題された建設産業政策推進総決起大会は、14日の平日、金曜日の14時から開始。勤務時間中のはずなのに、那覇市内のホテルの会場に駆けつけた建設業者は「約1200人」(主催者)だったという。

会場入口では「内部資料」と記載された文書が配布されていた。「期日前投票の協力願い!!」と「『さきま淳』入会申込について(お願い)」を銘打った要請文2枚と、氏名や居住地を表に書き込む形式の「期日前実績調査票(個人報告用)」「入会申込書」がセットになっていた。いずれも県建設業協会の政治団体である「沖縄県建設産業政策推進連盟」が送付先でFAX番号が明記され、「期日前実績調査表」には次のようなただし書きがあった。

「※予定調査ではありません。実際に行った後にご報告下さい」
「※従業員・ご家族・親戚・友人・知人の方々の期日前の状況について、確認をお願い致します」
「※個人情報についての取り扱いには十分にご注意下さい。当方も十分に注意を致します」
「※氏名、地域、実行日については、必ず記入頂けますようよろしくお願いします」

●佐喜真陣営のなりふり構わぬ選挙戦略!期日前選挙に行った人の名簿まで提出
人手不足が深刻な建設業界としては、勤務時間帯に総決起大会に駆けつけるだけでもかなり負担に違いないが、さらなる“宿題”として従業員・ご家族・親戚・友人・知人に期日前投票を依頼、実際に行った人の名簿提出も要請されていたのだ。

民間企業経営者なら、気が重くなる“政治的活動要請”に見えるが、壇上で挨拶した国会議員の面々は違った。「大米建設」創業者の下地米一・元平良市長が父で、同社代表取締役会長の下地米蔵・建設業協会会長が兄の下地幹郎衆院議員(沖縄1区で落選・比例九州ブロックで復活)は、平然とこう言ってのけた。

「この選挙は日本にとっても沖縄にとっても大切な選挙ですので、仕事をやめて選挙運動しましょう」

つまり、勤務時間中の選挙運動(無償労働提供)を要請していたということになる。民間企業の経営者が利益創出に関係ない無償労働(政治的活動)を社員に指示すれば、株主から背任で訴えられる恐れがある。そのため、「佐喜真知事誕生のための選挙運動が建設会社の利益になる」という前提で、総決起大会出席や期日前投票調査票提出や後援会入会要請など“タダ働き”をさせているということではないのか。「無償労働提供による佐喜真氏支援活動」の見返りに「建設業者の利益拡大」を約束する“買収選挙”ともいえる。…」

この下地幹郎の発言は聞き捨てならない。建設業協会傘下の企業とその従業員に、「仕事をやめて選挙運動しましょう」と呼びかけたのだ。

横田記者は、下地の「仕事をやめて選挙運動しましょう」の呼びかけの意味を、「従業員に“タダ働き”をさせるということではないのか」と理解した。もちろん、仮にそうであったとしたら、それ自体が労働契約・労働基準法上の大きな問題ではあるが、常識的にそれはあり得ない。建設会社の社員が、協会や会社からの呼びかけに応じて「ただ働きの選挙運動」をするはずはない。明言はされていないが、各企業に対して、「社員の給料は減額することなく、会社の仕事をやめて選挙運動をさせなさい」、あるいは「選挙運動期間中は、通常の業務に替えて佐喜真支持の選挙運動への従事を業務命令として、本来の仕事ではなく選挙運動をさせるように」という呼びかけ以外に考えがたい。

この呼びかけの内容は、明らかな公職選挙法違反である。具体的には、運動員買収罪(公職選挙法221条1項・3年以下の懲役)に当たる。もちろん、「大切な選挙ですので、私は一定期間仕事をやめて選挙運動をします」と有権者個人が自発的に行動することは自由だ。しかし、それは飽くまで会社の指示によるものではなく、自主的な判断で、しかも自分の経済的な負担でしなければならない。本来選挙運動は無償でなければならないからだ。有権者が議会制民主主義の政治プロセスに参加する行為なのだから当然のことである。有償での選挙運動は、運動員買収罪として、金銭授受の当事者双方に犯罪が成立する。

経営者が社員に「仕事をやめて選挙運動を」と要請する場合に、「君たち、無償で選挙運動してくれ」と言えるはずはない。「給与は保証するから、佐喜真候補の当選のために働いてくれ」と言うしかない。その場合、選挙運動時間に相当する賃金分が運動員買収の対価となる。こうして、主権者個人ではなく、企業が選挙の主体となる。民主主義は大きくねじ曲げられることになる。しかも、留意すべきは、選挙運動を命じた企業だけではなく、これに応じた従業員の側にも犯罪が成立するのだ。

これまで、企業ぐるみ選挙の弊害が論じられてきた。私の過去のブログ「『ぐるみ・金権』選挙の徹底取り締まりを」(2013年9月17日)も参照いただきたい。
http://article9.jp/wordpress/?p=1190

「公選法は、選挙運動に対する報酬の支払いを禁じている。支払った方も、支払いを受けた方も選挙違反として犯罪にあたる。だから、徳州会から派遣された各職員は、所属する病院に1週間~1か月程度の欠勤や有給休暇を届け出た上で選挙運動を行っていた。もちろん、純粋に無給のボランティア活動であれば犯罪とはならない。「有給休暇中のボランティア」とするのが、カムフラージュの常套手段だ。実際のところは、欠勤・休暇は形だけで、欠勤で減額された給与分は、同月の賞与に上乗せして補填され、実質的な選挙運動の報酬が支払われていたという。鹿児島までの交通費やホテルの宿泊費なども、同会側が負担したとのこと。
選挙運動の自由は最大限保障されなければならない。一方、選挙の公正が金の力でゆがめられてはならない。金がものを言うこの世の中で、買収・供応等の金権選挙・企業ぐるみ選挙を許してはならない。経済的な格差を投票結果に反映させてはならず、取り締るべきは当然である。」

建設業協会の企業ぐるみ選挙推進との関係は必ずしも明確ではないが、9月21日の沖縄タイムスには、「誰に投票したか撮影して報告、とネットで話題に 沖縄知事選 弁護士有志が禁止要請」の記事が出ている。

沖縄弁護士会所属の弁護士有志の「投票の自由と秘密を守り公正な選挙を求める弁護士の会」(池宮城紀夫代表)は19日、県選挙管理委員会に対し、県知事選の投票所での写真撮影や録音、録画などの禁止の告知を徹底するよう要請した。

要請書では「特定の候補に投票したことを明らかにするため、投票用紙に候補者名を記載した場面を撮影して報告を求める企業があるとの情報がネット上で流れている」と指摘。これが事実であれば「有権者の投票の自由や投票の秘密を侵害する由々しき事態だ」とし、その企業が特定されなくても、同情報が流れていること自体が有権者の投票行動に悪影響を及ぼしかねないとして、禁止の周知徹底を求めている。

私は、「選挙人に対して、投票用紙に特定の候補者名を記載した場面を撮影して報告を求める」行為は、公職選挙法第228条1項の(投票干渉罪)に該当するものと思う。

同条1項は「投票所において正当な理由がなくて選挙人の投票に干渉し又は被選挙人の氏名を認知する方法を行つた者は、1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する」と規定する。この条文は、他人に干渉されることなく、自由に候補者を選定することのできる選挙人の権利を保障するために、他からの干渉を処罰する規定である。選挙人に対して拒否しがたい影響力を持つ会社が、選挙人の意思如何にかかわらず、会社が指示する特定の候補者に投票するよう働きかけ、その干渉を確実に成功させる手段として、当該選挙人に対して、投票所において投票用紙に特定の候補者名を記載した場面を撮影して報告を求めているのだから、公職選挙法第228条1項(投票干渉罪)に該当する犯罪行為というべきである。

まだ判例はないだろう。捜査の対象としたという例も聞かない。しかし、明らかに投票の自由を侵害する可罰性の強い行為だ。このような指示をした者に対する告発があってしかるべきだと思うし、投票の自由と選挙の公正を確保するため、選挙管理委員会は厳正な対応をしなければならない。
(2018年9月23日・連続更新2002日)

沖縄知事選序盤情勢 「デニー優勢なれども予断を許さず」

注目の沖縄知事選。その帰趨が、辺野古新基地建設の成否を大きく左右する。のみならず、政局や改憲問題にも大きな影響を及ぼさざるを得ない。

沖縄とは、安保体制と日本国憲法体制との矛盾の結節点である。安保体制派(政権与党)と、日本国憲法派(市民と野党の共闘)が、総力でせめぎ合う最前線。その地の民意の動向は常に注目の的となる。しかも、今回知事選の最大の争点は、アベ政権による辺野古新基地建設強行の是非である。

県民の意思が、辺野古新基地建設強行反対であることは論を待たない。沖縄経済が基地依存を脱して久しい。沖縄の基地は、県民の生活の安全にも経済にも、摘出すべき病巣以外のなにものでもない。

昨日(9月19日)の琉球新報が、世論調査の結果を「承認撤回『支持』7割 辺野古埋め立て」の記事を載せている。「70、60歳代で多く 自民支持層も一定数」の小見出しもある。

国が辺野古新基地を建設するためには、大浦湾の海面を埋立てなければならない。公有水面埋立法は、県知事の許可または承認がなければ海面の埋立はできないこととしている。仲井真元知事は民意を裏切って国にその承認を与えた。翁長知事は、「オール沖縄」勢力の与望を担って、前回2014知事選で仲井真陣営に圧勝して、まずは「承認を取り消した」。

紆余曲折はあつたが、法廷闘争で知事の「承認取消し」は認められないとして確定した。しかし、万策尽きたわけではない。翁長知事は、膵癌末期の症状を押して「承認撤回」の手続に着手し、同知事の死後の8月31日知事職代行者の副知事によって、正式に「承認撤回」の処分がなされた。

今回選挙において選出された新知事の最初の仕事は、「翁長前知事の意向に沿って、仲井真元知事がした辺野古新基地建設のための国の大浦湾海面埋立工事に対する承認の撤回を維持する」のか、あるいは「(翁長知事の)承認撤回を(新知事において)撤回する」のか、判断が迫られることになる。

今回知事選の争点が、「辺野古新基地建設強行の可否」を問うものとは、具体的には、(翁長前知事の)承認撤回を支持するか否かである。世論調査の結果は、県民の7割が「支持」派なのだ。「支持しない」派は2割にとどまる。民意の所在は明らかという所以である。

 琉球新報社が沖縄テレビ放送、JX通信社と合同で14日から3日間に実施した電話世論調査の結果、辺野古新基地建設に伴う埋め立て承認を沖縄県が撤回したことについて、「強く」と「どちらかといえば」を合わせて約7割が支持していることが分かった。支持しないと答えたのは約2割だった。県民の間に、米軍普天間飛行場の辺野古移設を阻止したい意思が強いことが改めて浮き彫りになった。8月31日に県が埋め立て承認を撤回してから、その判断についての県民の評価が示されるのは初めて。

 承認撤回に「強く支持する」が56・8%、「どちらかといえば支持する」が12・5%だった。一方で「全く支持しない」は12・1%、「どちらかといえば支持しない」は9・2%だった。「分からない」は9・4%あった。

同じ、琉球新報社世論調査については、9月17日に次のような結果が報道されている。
「調査で投票先を決める際に重視する政策」では、
 「基地問題」が     41・6% 
 と最も高い。ついで
 「経済、景気、雇用」が 26・7%、
  「医療、福祉」が13・0%、
  「教育、子育て」が7・5% と続いた。

知事選の最大の争点となる普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題については
「県外に移設させるべきだ」の割合が最も高く28・1%、
「国外に移設させるべきだ」が21・2%、
「無条件に閉鎖し撤去するべきだ」が19・7%と続いた。
これに対し「辺野古に移設させるべきだ」は17・1%、
「辺野古以外の県内に移設すべき」は4・3%だった。
分からないは9・7%。
約7割が辺野古移設に反対の意見だった。

以上の調査結果は、おそらく沖縄県民の率直な心情なのだろう。この意見分布なら、選挙結果は、翁長承継を標榜し、承認撤回を前面に掲げているデニーの勝利、それもダブルスコアでの圧勝以外にはない。しかし、有権者の現実の投票行動が必ずしもこのような調査のとおりにならないことは、名護市長選で「オール沖縄」の稲嶺候補が敗れたことに表れている。

この知事選は、本来はまぎれもなく「辺野古新基地建設の賛否を問う県民投票」である。県民の多くは辺野古に新基地を作らせたくないと思っている。辺野古移設容認派は2割に満たない。にもかかわらず、「辺野古新基地建設反対」を明言し、翁長知事の埋立承認撤回の立場を承継することを公約に掲げるデニー圧勝の予測とはならない。強大な政権与党が対立陣営に肩入れしているからだ。与党側候補を勝たせるために、辺野古問題での投票行動をひっくり返すだけの経済的利益供与をチラつかせることができるのだ。

だから、自公は、徹底したステルス(争点隠し)戦術をとっている。名護でも成功した「対立よりは協調」「経済振興策をこそ」と訴えている。しかも、県民の一部には、「どうせ国には勝てない。司法も国の味方じゃないか。公正な判決など期待できない」「ならば少しでも、よい条件の獲得を」との気持がある。自公が県民世論を覆して、佐喜真を当選させる目はあるのだ。

だから、序盤情勢についての電話世論調査報道では、慎重な琉球新報としてはデニー優勢とは打てない。

琉球新報社は沖縄テレビ放送、JX通信社と3社合同で14~16日の3日間、県内全域の有権者を対象に実施し、選挙戦序盤の情勢を探った。調査結果に本紙の取材を加味すると、県政与党が支援する無所属新人で前衆院議員の玉城デニー氏(58)と、無所属新人で前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=が接戦を繰り広げている。一方、投票先を決めていない有権者も一定数おり、その投票動向によって情勢は流動的な要素がある。

どちらが優勢とは書かずに、「接戦」となっている。デニーを先に、佐喜真をあとに書くのは、調査の限りではわずかながらもデニー有利の読みなのだろう。それでも「接戦」である。

もう一つの世論調査が公表されている。リサーチコム社のもの。
「沖縄県知事選 投票意向は国政の与野支持層で二分も、序盤は玉城氏が先行」「内閣支持率は全国平均を大きく下回り、支持しないが6割強」とこちらの方が歯切れがよい。

つまりは、国政の与党支持層が佐喜真を応援し、国政野党支持層がデニーを支持している構図だという。告示直後は玉城デニー氏先行、佐喜真氏追い上げるか」とまとめられている。これは、9月15~17日の調査限りのもの。

電話調査の結果に選挙ドットコムが取材で得た情報を加味したところ、佐喜真氏は8月の調査時点から手堅く支持を広げているものの、玉城氏が幅広く浸透し、先行しています。ただ、調査時点から投票日の30日までは2週間ほどあることから、情勢が変わる可能性もあります。

また、沖縄タイムスの伝えるところによれば、期日前投票が前回と比較して倍増しているという。
「30日投開票の沖縄県知事選で、14日から始まった期日前投票者数が前回2014年知事選と比べ倍増している。16日までの3日間で、11市の総数は1万4628人で、前回同期比で約1・96倍に上っている。市の中で最多は那覇市の3327人で、前回の3・39倍に上っている。最も増加率が高いのは沖縄市の3・95倍で、既に2107人が投票を済ませた。」という。

名護市長選の期日前投票者が異様に多かった。期日前投票者数は異例の当日有権者の44.4%。これが、「オール沖縄」稲嶺候補の思わぬ敗北の一因と言われたことが気にかかる。民意を撹乱することなく、適切に反映する選挙であって欲しいと切に思う。
(2018年9月20 日・連続更新1999日)

正念場の沖縄知事選、「魂」派と「腹」派の一騎打ちだ。

本日(9月13日)、沖縄知事選か告示された。9月30日が投票日で、即日開票となる。主要な争点は、辺野古新基地建設反対の姿勢を貫くか、それともこれを容認するのか。これは、政権の外交・内政の根幹に関わる問題。したがって、選挙の帰趨は、政権の存続にも憲法改正の可否にも大きく影響する。

翁長県政承継を標榜する新基地建設反対派からは玉城デニーが立候補し、政権の意向を酌んだ容認派からは佐喜真淳が立候補した。事実上、この二人の一騎打ち。デニーは県民を代表し、佐喜真は政権を代理している。沖縄と政権の角逐である。それはだれにも自明なことだが、佐喜真側は意識的にこの構図の明確化を避けている。

県民派は沖縄の「魂」を掲げ、政権派は「魂では喰えない。背に腹は代えられない」と、魂よりは「腹」を第一義として掲げる。

デニー側の支持勢力は、「市民と野党の共闘」。幅は広いがまとまりをどう作るかがに課題があるという。佐喜真側は政権と与党の丸抱え。これに、維新がくっついての「保守連合」。この両者の対立関係は、今後の国政における政治地図の基本構図だ。統一地方選、参院選、さらには次の総選挙の基本構図でもあり、そのまま改憲勢力と改憲阻止勢力の対決の構図でもある。

そのような状況下に始まったデニーと佐喜真の「論戦」は、今年2月4日の名護市長選を彷彿とさせる。
翌2月5日、私は当ブログに「名護高校の生徒諸君 ― 小泉進次郎のトークに欺されてはいけない」と題する記事を掲載した。まさかの稲嶺候補敗北という衝撃のなかでのつぶやきであり、ぼやきでもあった。
http://article9.jp/wordpress/?p=9879

私はその記事で、小泉進次郎の選挙演説を、〈詐欺まがい悪徳商法のトーク〉になぞらえて、若い高校生諸君に「欺されてはいけない」と警告を発したのだが、時既に遅しで愚痴にしかなっていない。

本日、沖縄知事選の告示日に当たって、同じことを繰り返さざるを得ない。今度は、名護だけではなく沖縄全県の若い有権者を念頭において語りかけねばならない。

稲嶺落選は、「名護ショック」であった。ショックは連鎖することが少なくない。一つの選挙結果で作られた空気が、次の選挙結果に伝染するのだ。勝者の側の勢いが次の選挙でも有利に働き、敗者の側の萎縮が次の選挙のデメリットになる。

沖縄での名護ショック、全国的には新潟ショックの影響が、最近の選挙に蔓延している。ウソとごまかしで塗り固められた安倍政権を支える与党勢力が、最近の選挙では優勢な現実を見据えなければならない。

名護市長選の敗因として、巷間言われていることはいくつかある。
オール沖縄の稲嶺陣営は基地反対を焦点に明確化し、渡具知陣営は争点をそらして経済活性化を訴えた。その作戦の巧拙が勝敗を分けた、というのだ。なるほど、政権が経済支援をエサに渡具知陣営への露骨な利益誘導を行ったということなのだ。基地反対の稲嶺陣営にはムチだけを、一方渡具知陣営にはアメを差し出したというわけだ。

また、辺野古基地建設反対運動の先が見えず、住民が疲れ果ててこれまでとは別の選択を強いられた結果だともいう。反対しても、国は強大で抗いがたい。裁判所だって、所詮は国家機関だ。政府の肩を持つに決まっている。それは既に明らかになっているではないか。いずれ基地はできてしまう。それなら、無用な抗争をするよりは、条件闘争に転じた方が得ではないか。望まぬ基地を押しつけられるのだ、その見返りをできるだけとるという方針のどこが悪い、というわけだ。

公明党がその存在感を示さんがために選挙運動に全力をあげた結果であったともいう。公明党が力をいれた選挙では、期日前投票の割合が高くなるといわれるが、その現象が如実に出た結果と受けとめられている。

さらに重要なことは、この選挙では初めての18歳・19歳の選挙権行使が、保守の側に有利に振れて「オール沖縄」派敗北の原因となった…のだとも。

この名護ショックの原因の構図は、沖縄知事選告示に当たって、既視感に充ち満ちている。

政権は沖縄に基地の負担を強いたうえに、こう言っているのだ。
「おとなしく基地の建設を認めろ。そうすれば悪いようにはしない。その見返りは真剣に考えてやろう」「しかし、言うことを聞かないのなら、徹底して経済的に締め上げるから覚悟しろ」
こう言われて、「我々にも五分の魂がある」という意気地派と、「魂では喰えない。背に腹は代えられない」という現実派が真っ二つになっている。前回知事選では「五分の魂」派の翁長陣営が圧勝したが、今回は「背に腹」派の勢いは侮りがたく、予断を許さない。

公明党・創価学会は、前回知事選では自主投票だった。しかし、今回選挙では佐喜真陣営に本腰を入れた応援態勢。全国から5000人規模の活動家をこの選挙戦に送り込んでいるとされる。

若者の動向、はどうだろうか。
名護市長選における地元OTV(沖縄テレビ)の出口調査では、年代別の投票先は次のようだったという。若者世代の保守化は著しいというほかない。
10代 稲嶺37% 渡具知63%
20代 稲嶺38% 渡具知62%
30代 稲嶺39% 渡具知61%
40代 稲嶺41% 渡具知59%
50代 稲嶺38% 渡具知62%
60代 稲嶺65% 渡具知35%
70代 稲嶺68% 渡具知32%
80代 稲嶺67% 渡具知33%
90代 稲嶺86% 渡具知14%

RBC(琉球放送)の出口調査では、
10代 稲嶺33.3% 渡具知66.6%
20代 稲嶺44.0% 渡具知56.0%

人は若くしては理想に燃えて革新派であり、社会で長く生きるにしたがって世のしがらみと妥協して保守派に転じる。そう信じていた私は戸惑うばかりだ。10代で既に保守派が多数とは、人類にいったいどんな異変があってのことなのだろうか。

名護市長選挙で、ネットの動画に見た高校生は、おとなしくにこやかに、小泉進次郎のつまらぬ話しを聞いていた。これには、少なからぬ衝撃を受けた。「この美ら海を埋め立ててよいのか」「オスプレイで学校の騒音はどうなるのか」「ヘリが校庭に落ちてきたらどうする」などとヤジは飛ばない。本来は、こう問い質すべきなのだ。「どうして、選挙演説で基地のことをお話ししないの」「辺野古基地の建設は我慢しなければならないの」「基地ができたら、今普天間の学校や保育園で起こっていることが今度は名護で起こることにならないの」「オスプレイはどのくらいうるさいの」「どうして、渡具知さんが勝った場合だけ経済振興になるのですか。稲嶺さんでは応援しないと言うことですか」「あなたは私たちに、具体的に何をお約束されるのですか」「そのお約束は、稲嶺さんが市長ではできないのでしょうか」「稲嶺さんの政策のどこに間違いがあるということでしょうか」「結局あなたは、名護のためにはではなく、基地建設推進のために渡具知さんを応援しているのでではありませんか」

さて、今回知事選は、政権と向き合う沖縄にとっての正念場である。ということは、全国の「市民と野党の共闘」にとっての正念場でもある。来年の参院選や改憲問題にも影響する重大事態。不利なことも多々あるが、ウソとごまかしで行政を私物化している政権の評判はまことに芳しくない。我がこととして、この選挙を闘い抜きたい。

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いまこそウソとごまかしの「安倍政治」に終止符を! 賛同署名のお願い。
http://article9.jp/wordpress/?p=11058

安倍政治に即刻の終止符を求める人々の熱い言葉の数々。
http://article9.jp/wordpress/?p=11073

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署名は、下記URLからお願いいたします。

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(2018年9月13日・連続更新1992日)

佐喜真淳候補は、辺野古新基地建設を容認するのかしないのか。

沖縄知事選から目が離せない。
昨日(9月3日)の当ブログで、佐喜真候補の討論会出席拒否を、候補者としての資格がないと厳しく批判した。一夜明けたら、「佐喜真氏、一転討論会参加へ 批判受け方針転換 『事務方の不手際で誤解』」という。やはり、批判はすべきものだ。

ここで堂々と、佐喜真は「できれば論争を避けようとした自らの姿勢を反省し、県民にお詫びするとともに、以後は歴史的な2018年沖縄県知事戦の候補者として恥ずかしくない論戦に挑みます」というべきだった。そうすれば、汚名挽回できたのだ。いま「正直」が政治家倫理の最重要徳目ではないか。ところが、「事務方の不手際で誤解」は、「正直」とはほど遠い不誠実な取り繕い。「秘書が」「妻が」「事務方が」との責任転嫁はみっともない。

そもそも、「事務方の不手際で誤解」は意味不明だ。佐喜真の言う「さまざまな行き違いで、討論会について事務方の不手際でマスコミに誤解を与えた」とはいったい何のことだ。マスコミが何をどう「誤解」したというのか。

確認しておこう。マスコミの理解は、以下のとおりである。これが誤解か。
「自民党沖縄県連は2日、沖縄県政記者クラブが出席を求めた県知事選立候補予定者討論会に対し、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)が参加しないことを文書で回答した。「日本青年会議所(JC)が予定する討論会に一本化する」とし、マスコミ各社の討論会や座談会には一律で応じない。これに対し県政与党が擁立する衆院議員の玉城デニー氏(58)の陣営は「マスコミからの出席の要請には積極的に臨む」として候補者が露出する機会に前向きで、姿勢が分かれている。(琉球新報)」

重要なことは、拒否回答が文書で行われたことだ。文書の内容は、「投票まで残り1カ月もない超短期決戦の中で、1人でも多くの県民と直接、対話を重ねたいところから、日本青年会議所の討論会に一本化して対応したい」(琉球新報)という、愚にもつかない文面。この文書の読み方に、誤解の生じようがないではないか。

しかも、この文書の作成は、佐喜真擁立の最大母体である自民党沖縄県連。「事務方」とは、自民党のことなのだ。常識的に、「知事選立候補予定者討論会不出席。但し、極右団体の討論会を例外とする」。こんな非常識で、重要な方針決定が候補者抜きで決められていることは考えられない。それとも、佐喜真は自民党の操り人形に過ぎないということなのだろうか。

自民党県連も佐喜真も、信用ならぬというほかはない。佐喜真という人物、今後都合が悪くなると、「事務方の不手際で誤解」を繰り返すことに、きっとなる。そのような私の判断を誤解とは言わせない。

「自民県連が不参加と回答した報道を受けて県連に批判が相次いだため、方針を変更した」という、各紙の報道内容が正確なところだろう。ここからは私の推測だが、この批判は身内からのものが多かったに違いない。「こんな候補者の姿勢では、まったく意気が上がらない」「これでは選挙にならない。初めから負けいくさだ」という批判ないし抗議。真面目な運動員としては、せざるを得ないではないか。玉城陣営としては、幸先のよい願ってもない事態。涼しい顔で見守っていたというところだろう。

さて、知事候補佐喜真淳(自・公・維の推薦)が政策を発表した。メディアの報ずる内容は以下のとおりである。

「普天間飛行場の一日も早い返還を政府に求め、日米地位協定の改定を具体的に提言する」と強調した。一方で、最大の争点である名護市辺野古新基地建設の是非には触れなかった。「県民の暮らし最優先」を掲げ、全国平均並みの県民所得300万円の実現や子どもの保育費、給食費、医療費の無償化、跡地利用の推進などを打ち出した。

 普天間飛行場の辺野古移設について「最も重要なのは固定化を避けることだ。返還までの基地負担の軽減と危険性の除去を県民に訴えたい」と語った。辺野古移設の是非に触れないことについて、県が埋め立て承認を撤回したことで今後、政府が法的措置を検討していることを挙げ「法律的にどうなるか注視しなければいけない」と説明した。(琉球新報)

米軍普天間飛行場について「返還作業への即時着手と速やかな運用停止を求める」と明記したが、辺野古新基地建設の是非について触れなかった。国と連携し新たな沖縄振興計画の策定や経済特区、税制を実現する考えを示した。

辺野古新基地建設の是非に言及しない理由について、県が辺野古の埋め立て承認撤回をし、国が法的措置を取る構えを示していることを挙げ「法律的にどうなるのか注視しなければならない。一日も早い返還、それまでの負担軽減と危険性の除去を県民に訴えたい」と説明した。(沖縄タイムス)

妙な錯覚に襲われる。この佐喜真という候補者、沖縄県知事選を闘っているという自覚があるのだろうか。相変わらず宜野湾市長選を闘っている感覚のままなのではないだろうか。「世界で一番危険な・普天間飛行場」の返還・撤去について、沖縄県民に異論があろうはずはない。問題は、そのための条件とされた辺野古新基地の建設強行を認めるか否か。それこそが最大の争点ではないか。玉城は、断固阻止といっている。佐喜真はどうなのか。阻止にせよ、容認にせよ、あるいはその他の選択肢にせよ、意見をはっきりと言わねばならない。それが今、沖縄県知事選の候補者に求められている最低限の誠実さと言わねばならない。それなくして、沖縄県民の選択ができないではないか。

佐喜真や自民党は、このまま県民をごまかし、自民・公明の支持者もごまかしたまま票を掠めとろうというのか。佐喜真支持者諸君、自民党県連と佐喜真候補に、再びの抗議を集中されたい。辺野古新基地建設の是非について明確な政策を打ち出すように、と。
(2018年9月4日)

佐喜真淳の討論会出席拒否 ― 候補者としての資格がないぞ

注目の沖縄知事選。「オール沖縄」陣営からの玉城デニーと、「チーム沖縄」からの佐喜真淳との事実上の一騎打ち。最大の争点は、アベ政権が強行する辺野古新基地建設を許さないとする県民意思を確認するのか容認するのか。

さて、前宜野湾市長佐喜真淳とは何者であるか。宜野湾市で知られてはいても、沖縄全県で知られた存在ではない。ましてや、全国では無名の人。佐喜真は、自分が何者であるか、どのような政治思想を持ち、どのような県知事としての政策を持っているのか、有権者に対して明らかにする責任がある。沖縄に国民の注目が集まっている以上、ひろく国民にも明らかにしていただきたい。

とりわけ、宜野湾市の利益と沖縄全県の利益との関係微妙な「基地移転」の問題について、宜野湾市長選での「県外移転」公約を維持するのか変更するのか、明確にしなければならない。そのためには、立候補予定者討論会を重ねることが最も適切であろう。

ところが、彼は立候補予定者討論会には参加しないという。「沖縄県政記者クラブが主催する立候補予定者討論会への参加を断る方針を決めた。佐喜真氏側は『異例の超短期のため日程がつかない』との理由で、マスコミ各社が個別に主催する討論会や対論番組にも一切出席・出演しない対応を取っている。(琉球新報)」

要するに、議論を避けて逃げているのだ。これはみっともない。まるで、総裁選での討論を避けているアベとおんなじではないか。討論しても恥をかくだけ。票が増える見込みはない。票を減らすことが明らかなのだから、討論会や対論番組に出席・出演することのメリットはない。そんな時間があれば、県内右翼団体の挨拶回りをして票を固めた方がよい、との割り切った判断なのだ。

しかし、沖縄県民は、この佐喜真陣営の姿勢を民主主義政治における公職の候補者としてあるまじきものとして批判しなければならない。選挙の主体は、飽くまでも有権者である。有権者が正しい選択ができるように、候補者は自らが何者であるかを有権者に積極的に語って知ってもらわねばならない。それは、候補者の責務である。

消費者が市場で商品を購入するに際しては、ためつすがめつ商品の説明をよく聞き、よく調べなくてはならない。複数の商品あれば比較検討しなければならない。これは消費者にとっての、商品説明を受け、正しい選択を受ける権利である。商品の説明を拒否するような売り手は、市場から駆逐されなければならない。まさしく、佐喜真という知事選市場に並んだ商品は、その商品吟味を拒否するのだから、市場から退場してもらわねばならない。

さらに、興味を掻きたてるのは、佐喜真が、「日本青年会議所(JC)沖縄ブロック協議会が主催する公開討論会だけには出席する」としていること。要するに、佐喜真にとっては、「日本青年会議所(JC)」だけがホームで、他のすべてがアウェイなのだ。佐喜真は、「討論会はアウェイでは困る。イヤだ」「日本青年会議所(JC)の討論会なら、主催者との事前の打ち合わせが十分にできて、恥をかかずに済ませることができるから、これだけはやる」という算段なのだ。卑怯千万。佐喜真の何たるかをよく物語っている。

伊波洋一と争った2012年宜野湾市長選の際に話題となったことだが、佐喜真淳とは日本会議に所属する真正右翼である。いや極右であって、保守本流や創価学会・公明党が推せるような代物ではない。一方、「日本青年会議所(JC)」も同様の極右。佐喜真とJC。琴瑟相和する仲。あるいは、腹心の友の間柄。

JCとは何であるか。「日本青年会議所」をウイキペディアで検索するとよい。『「日本商工会議所」、「日本青年団協議会」、「日本青年協議会」、「日本都市青年会議」、あるいは「日本青年社」とは異なります。」との注意があり、編集部からの註が付いていて、「大言壮語的な記述になっています。宣伝広告的であり、中立的な観点で書き直す必要があります」とされているが、それでも「問題となった事件・不祥事」欄に次の件が記載されている。
1998年 旭川女体盛事件
同 年 横浜セクハラ問題
2003年 東京JC日本振興銀行事件
強制わいせつ事件
2006年 八尾JC傷害致死事件
2007年 靖国神社アニメ制作問題
2008年 憲法タウンミーティング運営トラブル
2018年 「宇予くん」問題
批判ブログ著者への圧力
受動喫煙解雇撤回問題

一見して相当にいかがわしい。興味ある方はぜひウイキペディアの本文をお読みいただきたい。とんでもない団体であることがよく分かる。

今年にはいってから問題となった。「宇予くん」問題についてだけウイキペディアの記載を引用しておきたい。
「宇予くん」とは、本年2月、日本青年会議所国家戦略グループの内部組織である「憲法改正推進委員会」が、年初から「宇予くん」と称するキャラクターを用いたTwitterアカウントを運用し、「対左翼を意識し、炎上による拡散も狙う」というコンセプトの元で、関係ない機関・団体への誹謗中傷や品性を欠いた内容ばかり投稿していたとして、外部から批判を受けた。日本青年会議所はTwitterアカウントを削除し、2月28日「不適切だった」として謝罪した。

「宇予くん」とは、「右翼君」の転訛なのだろう。日の丸2本を背負った、いかにも品性と知性を欠いた、右翼っぽい男の子のキャラクター。このことも、リテラが要領よく書いている。以下を参照されたい。

公益社団法人日本青年会議所(通称JC)が、Twitter上で「宇予くん」なるキャラクターを通じ、ネトウヨ丸出しの暴言を連発していたことが発覚した問題。あらためてはっきりしたのは、JCという組織のトンデモぶりだ。
http://lite-ra.com/2018/03/post-3836.html

佐喜真とは、このトンデモJCと蜜月なのだ。お互い、紛れもない改憲右翼。
もちろん、思想は自由である。右翼にも、破廉恥団体との親密者にも、立候補の自由がある。しかし、それを有権者に隠してはならない。正々堂々と、「ワタシは日本会議に属する右翼です」「日本の右翼は、左翼・リベラルの主張の反対を信条としていますから、彼らが辺野古新基地建設反対を言う以上、ワタシは賛成です」「ワタシは、アベ内閣同様アメリカの走狗として甘んじる覚悟ですから、海兵隊もオスプレイも沖縄にいていただいてけっこうです」と正直に言うべきなのだ。

ところが、討論会に出ないとは、自らを有権者の前に曝して、適切な選択をしてもらおうという姿勢ではない。身内には、右翼的姿勢を強調して見せ、一般有権者にはその思想や体質を隠し通そうという邪悪な魂胆。

こういう人物は、民主主義社会における政治家として、そもそもの資質を欠いている。正直・公正に欠けた人物には、用心深く接しなければならない。商品説明の不足を追求せず商品の吟味不十分であったがために、あとになって欠陥住宅をつかまされたり、詐欺商法に泣くことにならぬように。
(2018年9月3日)

「国策事業に反対するとどうなるのか見ておけと“恫喝”する」アベ政権のスラップ訴訟。

本日(8月20日)の毎日新聞朝刊1面に、政府が賠償請求検討」「県の辺野古承認撤回で」「1日2000万円」の記事。つまり、「沖縄県が辺野古『承認撤回』をしたら、政府は1日2000万円の割合の損害賠償請求をするぞ」というのだ。いよいよ出た、夏のお化け。いや、政府の自治体に対する恫喝・嫌がらせだ。国による県民に対する居丈高な挑発でもある。これまでも噂はあったが、産経の観測記事の程度。事態切迫の中でのひどい話。これも、スラップ訴訟。

「政府は、…県が名護市辺野古の埋め立て承認を撤回した場合、工事の遅延損害金が1日約2000万円発生するとの見積もりをまとめた。撤回処分の是非を巡る行政訴訟で政府が勝訴した場合に、県に損害賠償請求することを検討している。

 県が承認を撤回すれば工事は中断され、工期が延びるため、施工業者の人件費や機材費などが膨らむ。県が実際に撤回し、政府が裁判所に撤回の執行停止を申し立てると、司法判断が出るまでに少なくとも数週間はかかる。撤回が違法と認定された場合、賠償請求額は数億円に上る可能性がある。県は土砂投入前に撤回する姿勢を崩していないが、防衛省幹部は「県が慎重なのは損害賠償のリスクがあるからだ」とみている。

 ただ、知事だった翁長雄志氏の死去に伴い県知事選が9月30日投開票に前倒しされたため、政府は土砂投入を10月まで自重することも視野に入れている。県が承認を撤回しない限り、工期が延びても県の責任は生じない。政府と県は互いの出方をうかがっている状況だ。最高裁は2016年12月、県による埋め立て承認取り消し処分を違法と判断した。このとき政府は県に対する損害賠償請求をしなかった。」

続報が、本日(8月20日)の夕刊に出ている。
「辺野古埋め立て 承認撤回 沖縄副知事『覚悟決めている』」という記事。つまり、沖縄県(知事不在で職務代行者の副知事)は、政府による損害賠償請求の脅しに屈することなく、「承認撤回」の方針を貫くということなのだ。が、それは担当者にとっては「覚悟」を要することになっている。

「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画で、沖縄県による辺野古沿岸部の埋め立て承認撤回に備え、政府が県への損害賠償請求を検討していることについて、県の謝花喜一郎副知事は20日朝、県庁で記者団に「覚悟を決めている」と述べた。政府が沿岸部に土砂を投入する前に承認を撤回し、工事を止める考えを重ねて示した。
 辺野古への移設工事を巡っては、政府が(8月)17日にも一部海域に土砂を投入し、本格的な埋め立てを始めると県に通知していたが、台風の影響で海上作業が難しいことなどから投入を当面見送っている。一方、8日に亡くなった翁長雄志知事は7月27日に、仲井真弘多前知事による埋め立て承認を撤回する手続きに入ることを表明。県は撤回の時期を検討している。

 政府は、県が承認を撤回した場合、工事の遅延損害金が1日約2000万円発生すると見積もり、撤回処分の是非を巡る行政訴訟で勝訴した際には、県に損害賠償請求することを検討している。これに対し、謝花副知事は「しっかり覚悟を決めている」と述べた。

「政府は、…撤回処分の是非を巡る行政訴訟で政府が勝訴した場合に、県に損害賠償請求することを検討している。」というが…。
国が敗訴した場合に県に対する損害賠償の請求ができないことは当然として、国が行政訴訟に勝訴して県の行政処分(「撤回」も行政処分)が違法として取り消された場合においても、直ちに県が国に対して損害賠償義務を負うことにはならない。行政処分取消の要件としての違法と、国家賠償(この場合は沖縄県の公権力行使に起因する損害賠償責任)の要件としての違法とは、レベルがちがうとされているのだ。

通常、行政裁量の幅はすこぶる大きい。県は、撤回を理由づける要件をあれほどにも慎重に調えている。これが軽々に違法な処分として取り消されるとは考えにくいし、ましてや損害賠償認容のハードルは極めて高いのだ。

沖縄は、基地の重圧にあえいでいる。そのイヤなものを押しつける手段はアメとムチである。経済振興というアメで前知事は尻尾を巻いた。ところがその知事を排斥して県民が選んだ次の知事は、アメをばらまいても抵抗を止めない。「じゃあ、ムチを取り出すしかない」という安倍政権の発想から出てきた辺野古基地建設強行。その一端に、「1日について2000万円の損害賠償請求」というスラップ訴訟がある。その威嚇と恫喝で、県民の基地建設反対運動を切り崩そうというのだ。

韓国によく似た話がある。今年の3月、チェジュ島で、「それはひどい」「朴槿恵政権はそこまでやったんだ」「さすがに日本では、そこまではやらないよね」と、同行者で話し合った。アベ政権は、「そこまで」やろうとしている。

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下記は、当ブログ(2018年4月5日)の一節。標題は、「韓国にもあったスラップ訴訟」。朴槿恵政権下での海軍基地建設反対運動弾圧目的のスラップ訴訟の紹介だが、辺野古でも、まったく同様の発想の運動弾圧が行われようとしている。

済州島(チェチュド)の南部カンジョン(江汀)村に、韓国海軍が大きな軍港を建設した。この基地建設に地元の反対運動が息長く続いている。しかも激しく。

2007年4月に、突然この地が基地の候補地とされたのは、ここなら抵抗運動もあるまいと侮られたからのようだ。同年8月村民は、当時の村長を解任し、基地建設反対派の新村長を選任した。その直後の海軍基地建設の是非を問う住民投票では、賛成36、反対680だったという。以来、村民の反対運動は粘り強く継続されている。にもかかわらず、政府と軍は、基地建設を強行した。この点、辺野古とよく似ている。

地元住民や全国の平和団体が熾烈な反対運動を繰り広げたが、2016年2月、基地は完成した。政府は住民や団体員9人を「北朝鮮を利する行為」として国家保安法で起訴した。

それだけではない。政府は運動体にスラップ訴訟を提起した。工事遅延による損害賠償として34億ウォンを要求しての民事訴訟の提起。「海軍はサムスン物産が工事遅延による損失賠償金を要求すると、273億ウォン(約27億円)を弁償し竣工式から1カ月後に住民と村会など個人116人と5団体を相手に34億5千万ウォン(約3億4千万円)の求償権を請求し、住民たちに不意打ちを食わせた」のだ。

2017年1月31日付ハンギョレ新聞は、「国策事業に反対するとどうなるのか見ておけと、国民に“警告”するかのような訴訟」と評している。まさしくこれこそがスラップ訴訟なのだ。これが朴槿恵政権下の事態であった。

与野党国会議員165人が、2017年10月、「政府が国民との訴訟を通じて主権者である国民を苦痛の崖っぷちに追いやることがあってはならない」とし、求償権の撤回を要求する決議案を提出した。

文在寅(ムン・ジェイン)政権となってから、空気は大きく変わっている。2017年12月、国はこのスラップ訴訟を取り下げたという。

いま、アベ政権も、「国策事業に反対するとどうなるのか見ておけと、国民に“警告”するかのような訴訟」をチラつかせている。アベ政権を倒すことが、諸悪の根源を断つことではないか。
(2018年8月20日)

政府は真摯に沖縄県民の声を聞け

本日は、8月17日。防衛省沖縄防衛局が沖縄県に通知した、大浦湾埋立の土砂投入開始予定日とされていた日。

午前中、カヌー50艇や小型船数隻が周辺海域に繰り出し、「美ら海を守れ」「違法工事はやめろ」「サンゴを殺すな」と訴えた。埋め立て土砂の投入や護岸工事、工事用ゲートからの資材搬入はなかったという。

土砂投入の通知がなされたのは6月12日。通知は、沖縄県赤土等流出防止条例上の義務なのだそうだ。県は通知後、45日の調査期間に、県が設定した基準に適合しているか否かを審査して、不適合の場合には計画変更命令を出すことができる。

その6月12日の記者会見で、翁長知事は「辺野古に新基地は造らせないとの決意はみじんも揺るがない。看過できない事態となれば、躊躇することなく(埋立承認)撤回を必ず行う」と明言している。

以来、8月17日が、辺野古新基地建設を推進する政府と、これに反対する県民・国民との抜き差しならぬ対決の日と想定され、沖縄県はこの日までに仲井真前知事の埋立承認を撤回すべく準備をしてきた。

翁長知事が、埋立承認撤回の具体的手続に着手し、その旨を公表したのが、7月27日。条例上の45日の調査期間満了の日に当たる。この日の記者会見で、知事は、承認撤回の理由について、国が「全体の実施設計や環境対策を示さずに工事に着工した」こと、サンゴ類を移植せずに着工したこと、埋め立て予定海域の地盤が軟弱であること、新たな活断層が発見されたことなど「承認時には明らかにされていなかった事実が判明した」ことを説明した。このときも、知事は「今後もあらゆる手法を駆使して辺野古に新基地を造らせないという公約の実現に向け全力で取り組む」と述べている。

同日県は、埋立の事業者である国から事前の反論を聴く「聴聞」の手続きを8月9日と指定して通告した。8月17日以前に承認撤回実行を意識しての日程である。

こうして、承認撤回を経て8月17日を迎えることが予想されていたが、聴聞手続きの前日8月8日に翁長知事急逝という予期せぬ事態の出来で事情が変わった。

沖縄県(知事職務代行者)は、本日(8月17日)までに「承認撤回」の通告をしていない。また、沖縄防衛局も土砂投入の工事の強行を差し控えている。現地での衝突もなく、法的手続の応酬もないままに、8月17日を迎えた。

政府は一昨日(8月15日)土砂投入を先送りする方針を固めたと伝えられている。17日の工事予定は台風の影響で準備が間に合わないというのが表向きの理由だが、翁長知事急逝を受けた知事選前倒しを踏まえ、「選挙戦への影響を見定める狙い」があると報道されている。

台風の影響で準備が間に合わないというのなら、数日の順延ということにしかならないが、本日の琉球新報は、「県関係者によると、翁長氏急逝を受け、政府が県に対し埋め立て承認撤回や土砂投入の延期を申し入れており、投入時期が9月30日投開票の知事選後にずれ込む見立てもある」との記事を掲載している。

当初は知事選が11月に予定されていたため、8月からの土砂投入で既成事実を積み上げておくほうが得策という政府の判断だった。しかし、9月に前倒しの選挙となると、もろに辺野古基地建設強行の可否が選挙戦の争点として問われることになる。その事態を避けたい、という本音なのだろう。

朝三暮四という故事成語が思い出される。餌の量は、朝三暮四でも朝四暮三でも変わらない。それでも、餌付けをされる猿は、朝三暮四では怒り、朝四暮三なら喜んだという。被治者を猿に喩えた、不愉快な寓話。

安倍や菅は、国民を猿並みに見下している。いずれ本格的な基地建設工事の強行は避けがたいが、選挙前は手荒なことをせずにやり過ごし、選挙後にやれば抵抗は少なかろうという、選挙民を愚弄する手口。県民の意思を真摯に聞こうという姿勢が欠落しているのだ。

政府は、沖縄知事選を県民操作の手段と見てはならない。新基地建設反対の県民の声に謙虚耳を傾けよ。そして、嵐の前の静けさのあとに、状況は激しく動くことになる。それを乗り越えた、オール沖縄の新知事誕生を期待したい。
(2018年8月17日)

「ウチナンチュが心を一つにして闘うとき、大きな力になる。」

翁長雄志・沖縄県知事の急逝が8月8日夕刻。その後の事態は急展開している。
翌9日が、大浦湾埋立承認撤回のための聴聞手続。非公開ではあるが、沖縄防衛局の期日延期要請は斥けられ2時間余で終了した。そして、2回目の聴聞はないとも報道されている。これで、8月17日土砂投入開始前の撤回が可能となった。

10日には、ゴルバチョフが遺族(妻・樹子さん)宛に追悼文を寄せたことが話題となった。「彼の活動の基本方針は、平和のための戦いであり、軍事基地拡大への反対と生活環境向上が両輪だった」とした上で「翁長雄志は私たちの中で永久に生き続けます」と結んでいる(琉球新報)。

そして、11日が辺野古新基地建設断念を求める県民集会である。那覇市奥武山陸上競技場での集会は、翁長雄志の追悼大集会ともなり、台風接近で雨が降るなか、主催者発表で7万人の参加者を得て大きな盛り上がりを見せた。

この集会参加者が手にしたプラカードにある「県民はあきらめない!」というスローガンが印象的である。今年1月28日投票の名護市長選の結果の分析で語られたのが、「沖縄のあきらめ」「地元のあきらめ」であったからだ。

辺野古に基地を作られるのは、地元民ならだれだっていやだ。できれば作らせたくはないに決まっている。しかし、地元が反対しても、県が反対しても、本土の政権は強大だし強行だ。裁判所も結局は政権の味方でしかないことが明確になった。どのように抵抗したところで、いずれは耐用年数200年という水・陸にまたがる巨大な辺野古基地が作られてしまうだろう。大浦湾の美ら海は死んでしまうことになる。望むところではないが、どうしようもない。あきらめざるを得ない。

名護市長選後に語られた「沖縄のあきらめ」はこれで終わらない。
辺野古での基地建設がやむを得ないなら、せめてその代償を手にしておかなければ踏んだり蹴ったりの結果となる。本土の政府に抵抗して押し切られた形で、基地建設が実現すれば、取れるものもとれない最悪の結果となる。今のうちに、政権に恩を売る形で、取引をしておけば何とか基地建設の代償を手にすることができる。地元振興策という代償が獲得目標とならざるを得ないではないか。

これが、沖縄の「自・公」が先導した、「沖縄のあきらめ」と「あきらめの先の政治選択」だった。11日の雨中7万人大集会は、この「あきらめ」のムードを転換させたのではないだろうか。「やはり、沖縄県民の矜持を大切に、基地建設反対を貫くべきではないか」との思いが新たになったように見受けられる。

12日、沖縄県は翁長雄志知事が死去したことを受け、県選挙管理委員会に知事の死亡を通知した。公選法の規定では、通知後50日以内に知事選が実施されることになる。この日、県選管によると、「10月1日までのいずれかの日となるが、9月23日か同30日の投開票が有力」とした。

そして、本日(13日)、故翁長雄志知事の告別式が那覇市松山の大典寺で行われた。氏の位牌を乗せた車が自宅から出発して、那覇市役所や県庁を回り、多くの県民が別れを告げるなかで、告別式会場に向かった。告別式終了後に、迫る県知事選の候補者選定の協議が行われるという。そして、選挙日程は9月30日に決まった。

ところで、11日の県民集会では、故知事の次男であるの翁長雄治(那覇市議)が登壇して、生前の知事の言葉を次のように紹介している。沖縄は試練の連続だが、ウチナーンチュが心を一つにして闘うとき想像よりはるかに大きな力になる、と何度も何度も言われてきた」。

さて、この抜き差しならない事態である。ぜひとも、ウチナーンチュが心を一つにして、「沖縄のあきらめ」を払拭し大きな力を発揮することを期待したい。もちろん、心ある本土の人々の応援にもも期待を寄せたい。
(2018年8月13日)

哀悼。翁長雄志沖縄県知事逝去。

驚愕し、そして落胆せざるを得ない。翁長雄志沖縄県知事が、劇的にその生涯を閉じた。2018年8月8日午後6時43分、浦添市浦添総合病院でのことだという。死因は膵癌。享年67。謹んで哀悼の意を表したい。

本日(8月9日)アベ晋三が、「翁長知事のこれまでの沖縄の発展のために尽くされたご貢献に対して、敬意を表したい」「常に沖縄の発展のために文字通り、命がけで取り組んでこられた政治家だ」との談話を発表したそうだ。

翁長に対する「常に沖縄の発展のために文字通り、命がけで取り組んでこられた政治家だ」という評価にはだれも異存はなかろうが、アベの「ご貢献に対して、敬意を表したい」は白々しい限りだ。「沖縄の発展」の内容は、翁長の目指したものと、アベがいうものとは、まったく異なっているからだ。

翁長の目指したものは、基地負担のない平和で豊かな沖縄。アベが押しつけようとしている沖縄とは、米軍基地負担を甘受し、さらには自衛隊基地の拡充をもやむなしとした、危険で不穏な沖縄である。県民の誇りを蹂躙した屈従の沖縄でもある。

その象徴が、名護市辺野古への新基地建設の翁長の反対と、オール沖縄を背にした翁長の反対を押し切ってのアベ政権の押しつけとの角逐である。

アベは、今年6月23日沖縄慰霊の日平和祈念式典に同席した際の翁長の刺すような眼差しを忘れることはなかろう。今にして思えば、翁長は「命を懸けて」あるいは、「命を削って」辺野古新基地建設反対を貫いていたのだ。翁長の命の何分かは、アベによって削られたと言って過言でない。

翁長が知事として、辺野古埋立の承認撤回の手続開始を表明したのが7月27日。その12日後の逝去である。かつて、辺野古の座り込みに参加した妻・樹子が、こう述べたと報じられている。
 「(夫は)何が何でも辺野古に基地は造らせない。万策尽きたら夫婦で一緒に座り込むことを約束しています」
これが、翁長の遺言といってよい。沖縄防衛局からの8月9日聴聞を経ての埋立承認撤回は、知事代行者の遺言執行である。8月17日の土砂搬入開始以前の「撤回」と、その後の法的対応は、翁長の遺志の実現としてやり遂げられねばならない。

それにしても、翁長雄志は沖縄では、保守のエースといわれた人物である。安保条約廃棄論者ではなく、もとより自衛隊違憲論者でもない。その自民党沖縄県連の幹事長・翁長をして、辺野古新基地建設反対の先頭に立たしめたのは、沖縄県民の総意であった。自公の政権の乱暴なやり方が、オール沖縄勢力を育て、沖縄県民の反政権意識や運動を作りあげたのだ。

辺野古の基地建設の是非をめぐっては、なお、激しく「政権対沖縄」の図式で争い続けられるだろう。50日以内に、新知事を選出する選挙が行われる。翁長の遺志を受け継ぐ新知事の選出を希望する。それこそが、「これ以上の基地負担はゴメンだ」という、県民の悲鳴ともいうべき総意実現への道なのだから。
(2018年8月9日)

文京区議会「『辺野古新基地』建設中止請願」を採択

下記が7月11日(10時43分)にアップされた、琉球新報(デジタル版)の記事新基地中止へ要望書 東京・文京区議会『地方自治反する』」という見出し。この請願者が「文京9条の会連絡会」なのだ。

 東京都の文京区議会(名取顕一議長)は6月25日に名護市辺野古の新基地建設の中止を求める要望書を政府に提出することを賛成多数で採択し、今月4日に首相、防衛相、外相宛てに送付した。
 要望書の送付について6月21日に開かれた委員会で審議し、自民党と公明党の3人が反対したが共産党ほか3会派5人が賛成し、25日の本会議で採択した。東京都の区議会や市町村議会で辺野古新基地建設の中止を求めた要望の採択は、2015年に武蔵野市議会が採択した事例がある。今回はそれに次ぐものとみられる。
 要望書は日本の防衛のためにある米軍基地の負担は全国で平等に負うべきであることや、弾薬庫などを備えた新基地は普天間基地の代替施設ではないことなどを指摘している。その上で「沖縄県民の反対を押し切っての新基地建設は、地方自治・民主主義の精神に反するもの」だとして、辺野古新基地建設中止を求めた。
 区議会に要望書を提出するよう請願したのは文京区の市民らでつくる文京区9条の会(平本喜祿代表)で、5月25日に請願書を提出した。請願書の作成に関わった文京区9条の会の山田貞夫氏は「新基地建設に関し、東京からも反対の声を上げることは意義があると思った。今後も積極的に活動する」と話した。

経過を追うと、以下のとおり。
5月25日 文京9条の会連絡会(代表 平本喜祿)請願書提出   
      紹介議員4名
5月31日 受理  総務委員会に付託
6月21日 総務委員会審議 賛成5 反対3(自・公)で可決
6月25日 本会議で採択
7月 4日 地方自治法99条に基づき、首相、防衛相、外相宛てに意見書提出

この請願の詳細は下記のとおりである。
受理年月日及び番号 平成30年5月31日 第3号
件 名  沖縄「辺野古新基地」建設の中止を求める請願
請願者  文京9条の会連絡会(代表 平本喜祿)
紹介議員 藤原美佐子 浅田保雄 関川けさ子 宮崎文雄
付託委員会 総務区民委員会

請願事項 沖縄の「辺野古新基地」建設の中止を国に求めること。

請 願 理 由

 沖縄にある米軍基地の大部分は、米軍占領下で造られたものです。米軍基地の集中に伴い、婦女暴行などの刑事犯罪が頻発し、加えて、ヘリコプターの墜落事故なども続発しており、沖縄県民の生活・安全が脅かされています。
 このような状況下で、沖縄県民は辺野古の新基地建設に反対しています。
 理由は、
①沖縄にとって命の源ともいえる海を埋め立てることは認められない。
②米軍基地は日本の防衛のためのものであり、その負担は全国で平等に負うべきである。沖縄だけへの押し付けは差別である。
③辺野古新基地は普天間基地の代替だと政府は言っているが、強襲揚陸船の係船護岸や弾薬庫などを備えた新基地であって代替基地ではない。
などです。
 わたしたちは、この沖縄県民の辺野古新基地建設反対の理由に賛同いたします。また、沖縄県民の反対を押し切っての新基地建設は、地方自治・民主主義の精神にも反すると考えます。これらの理由から、辺野古新基地建設は中止されるべきだと考えます。
 わたしたちのこのような請願の理由にご賛同いただき、下記請願を採択され、政府並びに関係省庁に対して要望書を提出していただけるよう要請いたします。

なお、この請願に賛成した会派は共産・未来・永久・市民・まちづくりの5会派。反対したのは自民と公明の2会派。

また、地方自治法99条は、「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。」としている。国民の声を国政に反映させるチャンネルの一つである。

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私は、「本郷・湯島9条の会」に所属する。「会」には会長がおり、会合は定期に行っているが、会費があるわけではなく、会員名簿も見たことはない。それでも、月一回の街宣行動はにぎやかに途切れることなく4年余も継続している。そして、ときおり、他の9条の会との共催で集会を企画する。

「本郷・湯島9条の会」以外に、文京区内には、各地域にも学園や職場にも少なからぬ「9条の会」があるようだが、正確な数は知らない。「文京9条の会連絡会」が行ったというこの請願のことも事前には知らなかった。また、請願採択に賛成した、文京区議会内の「共産・未来・永久・市民・まちづくり5会派」の連携についても、よくは知らない。

よくは知らなかったが、我が地元文京区には、市民運動においても、議会内の力関係においても、自・公の反対を押さえて、「沖縄「辺野古新基地」建設の中止を求める請願」を採択させるだけの力量と良識があるのだ。この請願採択を実現した関係者の努力に敬意と感謝の意を表したい。

二つ印象を書き留めておきたい。
一つは、冒頭に紹介した琉球新報の記事である。小なりとはいえ、1自治体の区議会がこのような請願を採択していることが、沖縄の運動体を励ます一助となっていることだ。
辺野古新基地建設問題については、沖縄と「本土」の運動の連携の必要が語られる。本土は具体的に何をすればよいのか。さまざまな試みがあるが、地元の地方議会での請願採択という方法もあるとを示した。

もう一つ。今回の請願採択は、市民と野党の共闘の成果にほかならない。文京区議会内の「共産・未来・永久・市民・まちづくりの5会派」が共闘に成功すれば、自・公という反平和勢力を凌駕するのだ。自・公は、少数派として孤立した途端に反憲法・反平和・反福祉の本性を露わにせざるを得ない。

毎月一度の街頭で喉を枯らしての訴えに、毎回確かな手応えを感じられるわけではない。しかし、今回の区議会での請願採択は、多くの人々の地道な努力の積み重ねの結果だろうと思わせる。

さて、もうすぐ8月。戦争と平和を熱く語るべき8月の「本郷・湯島9条の会」街頭宣伝行動は14日(火)の昼休み。おそらくは、炎天下真昼の本郷三丁目交差点は厳しい熱暑。しかし、アベにも負けず、夏の暑さにも負けぬ気概で、「9条の会」の活動に取り組みたい。
(2018年7月29日)

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