澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

沖縄「本土復帰」の日に - 「継母のイジメ」から「実母の虐待」に

 

本日(5月15日)は、沖縄の「本土復帰」の日である。1972年のあの日から、もう47年にもなる。

当時を思い起こせば、復帰によって、本当に「沖縄が本土並みになるのか」が問われた。むしろ、「本土の沖縄化に道を開くことになるのではないか」との懸念も論じられた。

「沖縄の本土化」論も、「本土の沖縄化」論も、復帰によって沖縄が本土と政治的・経済的に一体となり、当然に文化的・心理的な一体感も醸成されるだろうとの前提では一致していた。なお、当時、沖縄をアメリカに売り渡した、昭和天皇(裕仁)の沖縄メッセージという犯罪的行為は明らかになっていなかった。

47年を経てなお、変わったことよりは、変わらなかったことの方が多いという印象を拭えない。とりわけ、昭和天皇(裕仁)の沖縄メッセージが、沖縄を犠牲に差し出して本土の生き残りをはかろうという、戦前からの変わらぬ本土側の本音であるとすれば、今なお旧態依然ではないか。

本日(5月15日)の沖縄タイムス・コラム[大弦小弦]欄に、「復帰とはね、継母から母の元に帰ることなんだよ」という、反語的でシニカルな、それゆえにまことに的確な指摘の論説が掲載されている。

 「復帰とはね、継母(ままはは)から母の元に帰ることなんだよ」。3月まで沖縄国際大教授を務めた稲福日出夫さん(68)は幼いころから、学校で教えられた。継母は沖縄を支配していた米国。母は日本国だ

▼母と信じた日本政府は、2013年に「主権回復の日」式典を開いた。沖縄が日本から切り離されて米軍の統治下に置かれた「4・28」を、国際社会に復帰した記念日と位置づけた

▼沖縄では同じ日に抗議集会があり、稲福さんも足を運んだ。会場の金網に「日本国にもの申す! もはや親でもなければ子でもない」と書かれた布がくくりつけられていたのを覚えている。「基地撤去の言葉より、政権批判より心に刺さった」。ウチナーンチュの率直な感情の発露と捉えた

▼記念日では、ほかにも歴史の皮肉がある。米軍の輸送機「オスプレイ」が沖縄に配備された12年は、復帰40周年だった。配備反対の県民大会があり、全41市町村の代表らが東京での抗議行動に参加した

▼県議だった故玉城義和さんは、撤去を求める文書を「建白書」と命名した。初代知事の屋良朝苗さんが復帰前、米軍基地撤去などを日本政府に求めた「建議書」の精神を継承する意味があった

▼建議も建白も為政者への意見具申だが、実現していない。きょうは47回目の復帰の日。「母」の愛情より、苛烈さが目につく。(吉田央)

まことに、言い得て妙ではないか。継母のもとで苛められていた子が、47年前に、実母のもとに帰ってきた。ところが、この実母、実は自分の保身のために、継母にこの子を売り渡していたのだ。そんな事情を知らないから、子は実母のもとに帰れたことを素直に、喜んだのだ。

しかし、次第に子は悟る。「この実母は継母にばかり気を使って、いまだに続く継母のイジメにガマンしなさいというだけ」「いや、継母と一緒になって私をイジメようとしている」「この冷たい実母は、私に寄り添う人ではない」「私を犠牲にして身の安全をはかろうとしているのだ」。「結局のところ、47年前に継母のイジメが実母の虐待に変わっただけなのだ」。

問題は、46人の同胞たちの姿勢である。腹黒い親は見捨てても、兄弟姉妹は運命共同体である。沖縄を見捨ててはならない。
(2019年5月15日)

本日(4月28日)沖縄『屈辱の日』に、国家・国民・天皇を考える。

一国の国民は、栄光と屈辱、歓喜と無念、慶事と凶事を共有する。それであればこその国民国家であり、国民である。もちろん、これはタテマエであって現実ではない。しかし、統治をする側がこのタテマエを壊しては、国民国家はなり立たない。本日、4月28日は、厳粛にそのことを噛みしめるべき日である。しかも、天皇代替わりを目前にしての、国民統合に天皇利用が目に余るこの時期の4月28日。国家と天皇と国民の関係を考えさせる素材提供の日である。

本日の琉球新報に、「きょう『4・28』 沖縄『屈辱の日』を知ってますか?」という解説記事。同紙の本日の社説は、4・28『屈辱の日』 沖縄の切り捨て許されぬ」というタイトル。さらに、皇室に県民思い複雑 4・28万歳と拳 『屈辱の日』67年」という、沖縄への天皇の関わりに触れた署名記事も掲載している。また、沖縄タイムスの社説も、「きょう『4・28』今も続く『構造的差別』」である。

1952年の今日・4月28日に、サンフランシスコ講和条約が発効して、敗戦後連合国軍の占領下にあった日本は「独立」した。しかし同時に、沖縄や奄美は日本から切り離されて、米軍の施政権下におかれた。沖縄の本土復帰には、さらに20年という年月を要した。この間、沖縄に日本国憲法の適用はなく、米軍基地が集中し、過重な基地負担の既成事実が積み上げられた。だから、この日は沖縄県民にとって「屈辱の日」と記憶される日なのだ。しかも、このアメリカへの沖縄売り渡しを主導したのが、既に主権者ではなくなっていた、天皇(裕仁)である。

2013年4月28日には、安倍政権がこの日を「主権回復の日」として、政府主催の式典を挙行した。当然のこととして、沖縄からは強い反発の声が上がった。この間の事情を、本日の琉球新報「皇室に県民思い複雑 4・28万歳と拳 ― 『屈辱の日』67年」の記事から抜粋する。

 沖縄にとって4月28日は「屈辱の日」として深く刻まれている。
 2013年4月28日には、安倍政権が主催し「主権回復の日」式典が開かれた。式典には首相、衆参両議長、最高裁長官の三権の長とともに天皇皇后両陛下も臨席された。
 サンフランシスコ講和条約を巡り、昭和天皇が米軍による沖縄の長期占領を望むと米側に伝えた47年の「天皇メッセージ」が沖縄の米統治につながるきっかけになったとも言われる。
 昭和天皇の「戦争責任」と講和条約による「戦後責任」を感じている県民の間には、皇室に対して複雑な感情もある。「4月28日を巡る式典は、沖縄と皇室の在り方をあらためて問い掛ける出来事となった。
   ◇    ◇    ◇
 「天皇陛下、バンザーイ」「バンザーイ」
  2013年4月28日、東京都の憲政記念館で開かれた政府主催の「主権回復の日」式典。天皇皇后両陛下が退席される中、会場前方から突然、掛け声が上がった。つられるように、万歳三唱は会場中にこだまし、広がった。
  だが、講和条約締結を巡っては昭和天皇による「天皇メッセージ」が沖縄の米統治に大きな影響を与えたといわれる。沖縄戦で悲惨な戦禍を受け、その後も日本から切り離された沖縄にとって、皇室への複雑な感情は今もくすぶっている。
 こうした中で開かれた式典に、県内の反発は激しかった。一部の与党国会議員からも異論の声が上がった。「主権回復の日」式典と同日・同時刻に政府式典に抗議する「『屈辱の日』沖縄大会」が宜野湾市内で開かれ、県民は結集し怒りの拳を上げた。「万歳」と「拳」。本土と沖縄の温度差が際だっていた。

琉球新報の社説は、あらためて沖縄地上戦の凄惨な犠牲を思い起こし、平和な沖縄を願うものとなっている。

<社説>4・28「屈辱の日」 沖縄の切り捨て許されぬ

 この「屈辱の日」を決して忘れてはならない。沖縄は去る大戦で本土防衛の時間稼ぎに利用され、日本で唯一、おびただしい数の住民を巻き込んだ地上戦が繰り広げられた。戦いは凄惨を極め、日米合わせて20万人余が犠牲になった。このうち9万4千人が一般人で、現地召集などを含めると12万2千人余の県出身者が亡くなった。民間人の死者が際だって多いことが沖縄戦の特徴である。

 激戦のさなか、日本軍はしばしば住民を避難壕から追い出したり、食糧を奪ったりした。スパイの嫌疑をかけられて殺された人もいる。戦後は米統治下に置かれ、大切な土地が強制的に接収された。米国は、講和条約の下で、軍事基地を自由に使用することができた。

 72年に日本に復帰したものの、多くの県民の願いを踏みにじる形で米軍基地は存在し続けた。沖縄戦で「捨て石」にされたうえ、日本から切り離された沖縄は、今に至るまで本土の安寧、本土の利益を守るために利用されてきたと言っていい。

 そのことを象徴するのが、名護市辺野古の海を埋め立てて進められている新基地の建設だ。2月24日の県民投票で「反対」票が有効投票の72・15%に達したが、政府は民意を黙殺した。

 1879年の琉球併合(琉球処分)から140年になる。沖縄はいまだに従属の対象としか見なされていない。基地から派生する凶悪事件、米軍機の墜落といった重大事故が繰り返され、軍用機がまき散らす騒音は我慢の限度を超える。有事の際に攻撃目標になるのが基地だ。この上、新たな米軍基地を造るなど到底、受け入れ難い。そう考えるのは当然ではないか。

 これまで繰り返し指摘してきた通り、県民が切望するのは平和な沖縄だ。政府はいいかげん、「切り捨て」の発想から脱却してほしい。

そして、沖縄タイムス社説
 講和条約第3条が、基地の沖縄集中を可能にしたのである。「構造的差別」の源流は、ここにあると言っていい。「4・28」は、決して過ぎ去った過去の話ではない。
 安倍政権は講和条約が発効した4月28日を「主権回復の日」と定め、2013年、沖縄側の強い反対を押し切って、政府主催の記念式典を開いた。
 ここに安倍政権の沖縄に対する向き合い方が象徴的に示されていると言っていい。講和・安保によって形成されたのは「沖縄基地の固定化」と「本土・沖縄の分断」である。それが今も沖縄の人びとの上に重くのしかかっている。

安倍政権は、沖縄を切り捨てた日を、式典で祝ったのだ。たいへんな神経である。そこには、三権の長だけでなく天皇も参加させ、「テンノーヘイカ、バンザーイ」となったのだ。一方の沖縄では、同日・同時刻に政府式典に抗議する「『屈辱の日』沖縄大会」が宜野湾市内で開かれ、県民は結集し怒りの拳を上げた。東京では、「テンノーヘイカ、バンザーイ」であり、沖縄はこれに抗議の「拳」を挙げた。

琉球新報の「皇室に県民思い複雑」は、ずいぶんと遠慮した物言いではないか。アメリカへの沖縄売り渡しを提案した裕仁の「天皇メッセージ」は、明白な違憲行為であり、天皇という存在の危険性を如実に露呈するものである。これこそが、現在の県民の重荷の元兇なのだから。

そして、沖縄屈辱の日の政府式典において、現天皇への「テンノーヘイカ、バンザーイ」は、別の意味での天皇の危険性をよく表している。天皇は式典出席で、安倍政権の沖縄切り捨て策に利用され加担したのだ。もとより、天皇は憲法の許す範囲で政権の手駒として、政権の指示のとおりに行動するしかない。けっして、ひとり歩きは許されない。沖縄切り捨てを含意する祝賀の式典での「テンノーヘイカ、バンザーイ」は、政権に対する、県民・国民の批判を天皇の式典出席が回避する役割をはたしたことを物語っている。

民主主義にとって天皇はないに越したことはない。直ちに、憲法改正が困難であれば、その役割を可能な限り縮小すべきである。そのためには、天皇や、政権の天皇利用に、批判の声を挙げ続けなければならない。
(2019年4月28日)

「真摯に沖縄に寄り添う」と言いつつ県民の抗議を排除して大浦湾埋立を強行する、この政権を何と形容すべきだろうか。

日本語という言語世界の豊穣さを表すものに枕詞というものがある。もっとも、ギリシャ神話にも、すね当てよろしきアカイア人、全知全能のゼウスなど、よく似た形容詞・形容句がいくつも出てくるから、枕詞を日本語特有のものとするのは、井の中の蛙のたわ言なのかも知れない。

昔は、類型化してものを見ることを強いるつまらぬものと思っていたが、他者とのイメージ共有化の手段として、便利なものと考えを変えている。節度なく転向したのだ。

あかねさす日、あらたまの年、ちはやぶる神代、ぬばたまの闇、うつせみの命、たらちねの母、ひさかたの光、あしひきの山、くさまくら旅、あまざかる鄙…などの類が典型的なものだが、固有名詞にも枕詞はつく。圧倒的に多くは地名であるが、人名につく枕詞もあるそうだ。

そらみつ大和
八雲立つ出雲
飛ぶ鳥の明日香
玉藻よし讃岐
不知火筑紫
隠りくの泊瀬
神垣の三室
神風の伊勢
押し照る難波
青丹よし奈良
雨隠り三笠
秋津洲大和
百伝ふ磐余
まだすき畝傍
鶏鳴く吾妻
細波の志賀
などなど。

いずれも、「あの」「ほら、例の」という、話者と聴き手の共通のイメージを呼び起こす効果をもっている。語りかけるときの、この効果は貴重なものだ。

そして、日本語の豊穣は、悪態・罵倒語にもあらわれている。詩人川崎洋が「かがやく日本語の悪態」という好著を出している。 日本人は、悪態・罵倒語の豊穣にも恵まれている。

そこで、安倍政権に枕詞を奉ろうと思う。もちろん、悪態の枕詞。誰もが安倍政権を話題にする際に、話者と聴き手の共通のイメージを呼び起こす適切な形容詞としてのもの。歌に読み込もうというものではないから、5音ないし4音である必要はない。もっと長い形容詞句でも良い。

これまで、人口に膾炙するものとしての筆頭は、
ウソとごまかしの安倍政権」だろう。
あるいは、「偽造・捏造・隠蔽・改竄の安倍政権」
そのほかにも、
忖度跋扈の安倍政権」
トモダチ優遇アベ政権」
政治私物化の安倍政権」
説明しません安倍政権」
審議打ち切り安倍政権」
歴史歪曲の安倍政権」
反省無縁の安倍政権」
憲法嫌いなアベ政権」
改憲ゴリ押し安倍政権」
原発大好きアベ政権」
格差拡大安倍政権」
暴走止まらぬ安倍政権」
軍隊大好き安倍政権」
トランプ追随安倍政権」
ポチさながらの安倍政権」
統計偽造の安倍政権」
国民なめてる安倍政権」
森羅万象支配の安倍政権」
万事閣議決定の安倍政権」
立法府長のつもりの安倍晋三」

欺瞞とデタラメのオンパレード。東京五輪もこの手のウソで招致した。要するに汚いのだ。これでどうして政権が持っているのかが、現代の不思議。

しかし、今は、このレベルではおさまらない。
「沖縄県民に寄り添う」「真摯に県民世論に耳を傾ける」と口では神妙なフリをして、沖縄県知事との協議継続を拒否したアベ晋三。「断固として沖縄に敵対し、大浦湾の美ら海に赤土を投入して埋立を強行する」「週明け25日にも、新たな海域に土砂搬入する」と明言している。この安倍政権をどう形容すれば良いのだろうか。

「嘘つき内閣」「恥知らず内閣」「民意無視内閣」「県民敵視内閣」「性悪内閣」「破廉恥内閣」「悪辣内閣」いや、「極悪非道の安倍政権」と言ってしかるべきではないか。

  うそつきのしんぞうのしたはぬかれたり にまいさんまいこれでおしまい

  うそつきはあべのはじめといましめよ あべになるまいうそつくなゆめ 

(2019年3月23日)

衆議院沖縄3区補選 革新側候補統一に ー 瑞慶山茂君の出馬撤回を評価する

今年(2019年)は亥年、統一地方選と参院選が重なる「選挙の年」。7月参院選が憲法の命運を決める重大な選挙で、今年の統一地方選は地方選独自の課題だけでなく、参院選の前哨戦としての意味も大きい。その統一地方選の前半戦(4月7日)の告示日が今日となり、いよいよ選挙イヤー始動である。

ところで、同じ重要性をもつ衆議院議員の補選が二つ(大阪12区・沖縄3区)ある。なかでも、玉城デニーの沖縄県知事選挙出馬によって空位となっている衆院沖縄3区補選の成り行きが注目される。4月9日告示で、投開票が1カ月後の4月21日。

前回(17年10月22日)総選挙の開票結果は下記のとおり。
当 玉城デニー 58 無所属    前 95,517票(57.9%)
次 比嘉奈津美 59 自民(公推薦)前 66,527票(40.3%)

今回の補選では、「オール沖縄」がフリージャーナリスト(元・琉球新報記者)の屋良朝博を擁立し、自民党が島尻安伊子(元沖縄担当相)を公認して公明・維新がこれを支える。改憲推進派と護憲派、基地推進勢力と基地反対勢力との一騎打ちとなる見通し、と報道されてきた。

しかし、選挙の争点は、基地問題だけではない。中央政権がチラつかせる経済振興策というエサに対する対応も大きな争点とならざるを得ない。デニー後継の屋良圧勝とは単純にならない。それに、島尻の評判はともかく知名度の高さは大きな武器である。新人屋良の知名度はけっして高くはない。要するに、接戦は必至なのだ。

この情勢で、革新陣営にある弁護士・瑞慶山茂が立候補を表明した。彼は、沖縄戦の民間戦争被害国賠訴訟弁護団長、「南洋戦」被害国賠訴訟弁護団長として知られる。

彼は私と修習同期(23期)。同期というだけでなく、1年4か月の実務修習を、東京の同じ班でともにした。実務修習をともにしただけでなく、カリキュラム外の活動もともにして、お互い信条も心情も理解したと思っていた。彼が革新陣営の弁護士であることに疑問の余地はない。

その彼の突然の立候補表明には、戸惑わざるを得なかった。もちろん、立候補は権利である。彼の立候補が売名であるはずはない。しかし、革新が共同を求められているこの政治状況の中で、革新の票を割る、あるいは「オール沖縄」票を削ることになりはすまいか。という危惧である。やきもきしている内に、昨日(3月20日)午後、メーリングリストに彼の投稿があった。ホッとしている。

23期の皆様へ

衆院沖縄3区補選の件につきまして、本日、屋良朝博氏と政策協定を結びましたので、ご報告いたします。
協定書を添付いたしますので、ご確認下さい。
やむを得ずの出馬表明でしたが、その話はまた改めて。
今後とも宜しくお願いいたします。

その政策協定のなかに、瑞慶山茂は、支援者と自らの思いを屋良朝博に託すことにし、出馬を取りやめ、沖縄基地問題に正面から取り組み、戦争政策に反対し、今回の補欠選挙に出馬の準備を進めている屋良朝博を推して、本補欠選挙に臨み、屋良朝博の必勝に向けて支援する決意をした。」とある。潔さを印象づけた立派な下り方で、筋を通している。

政策協定全文は以下のとおりである。雨降って、地はより強固になったと理解している。
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衆議院沖縄3区補欠選挙に向けた
屋良朝博と瑞慶山茂の政策協定書

衆議院沖縄3区補欠選挙が4月9日告示、同21日投開票で実施される。弁護士・瑞慶山茂は、この間、先の大戦における沖縄戦の民間被害者および旧南洋群島・フィリピン群島などで戦禍に巻き込まれた県出身住民や遺族らに対する国の謝罪と損害賠償を求める国家賠償訴訟の弁護団長として取り組んできた。また、沖縄戦等被害者や全国の空襲被害者と遺族らの救済を国の責任において行う「空襲被害者等援護法案」及び「沖縄戦時行為等被害者等援護特別措置法案」(仮称)の制定をめざして立法活動を行ってきた。
そのため、「沖縄・平和の党」を設立し、今回の補欠選挙に出馬表明を行ったが、このたび、屋良朝博と直接会う機会があり、沖縄の困難な現状と輝かしい未来について虚心坦懐に話し合った。その結果、瑞慶山茂は、屋良朝博の人柄と深い見識に接し、支援者と自らの思いを屋良朝博に託すことにし、出馬を取りやめ、沖縄基地問題に正面から取り組み、戦争政策に反対し、今回の補欠選挙に出馬の準備を進めている屋良朝博を推して、本補欠選挙に臨み、屋良朝博の必勝に向けて支援する決意をした。
ついては、弁護士・瑞慶山茂とフリーランスライター・屋良朝博は、次のような認識を共有し、本補欠選挙に向けて、未補償のまま放置されている数多くの民間戦災者の救済措置等の実現に係る重点政策に合意するものである。

重点政策

先の大戦から74年になるが、旧軍人・軍属には総額60兆円の援護がなされている一方、多くの方々が戦災者として今なお、身体的精神的障害や後遺症に苦しみ、ご遺族への弔慰もない状況が続いている。そんな中、従来の空襲訴訟において司法は「立法を通じて解決すべきだ」との判断を下し、また、ドイツやフランスなど諸外国では民間人も軍人も分け隔てなく平等に補償していることを踏まえれば、日本政府は国の責任において民間の戦争被害者の救済措置を講じるべきであると考え、次の課題及び政策実現に共に取り組むものである。
1、国に対し、先の大戦における空襲や地上戦などの民間の被害者への謝罪とその救済および被害実態の徹底した調査を求めていく。
2、「空襲被害者等援護法を実現する議員連盟(超党派)の活動を通して、「空襲被害者等援護法案」および「沖縄戦時行為等被害者等援護特別措置法案」(仮称)の制定に全力をあげる。
3、戦争につながる米軍基地の早期撤去を求め、基地のない平和な世果報の沖縄を創り上げていく。
なお、具体的な選挙協力については、今後必要に応じて協議する。

2019年3月20日

フリーランスライター 屋良 朝博 印
弁護士        瑞慶山 茂 印

(2019年3月21日)

辺野古新基地工期 「最短で13年」ー その間普天間は温存という不条理

「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」が主催した昨日(3月16日)の沖縄県民集会。集会名称は、「土砂投入を許さない! ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地断念を求める3・16県民大会」と長い。長いだけに、趣旨明瞭である。那覇市おもろまちの那覇新都心公園で開かれた集会の規模は、主催者発表で1万人の参加。

本日(3月17日)の赤旗が、一面トップでこの集会を報道している。「新基地断念までたたかう」「沖縄県民大会に1万人超」の大見出し。集会の熱気をよく伝える写真がよい。

冒頭、「オール沖縄会議」の稲嶺進共同代表(前名護市長)が、新基地建設の工事には莫大な税金と最短で13年かかることを指摘。「(工事の間は)普天間基地は動かないということは、この新基地建設そのものが間違い」だと批判し、「白紙撤回させるため、力合わせて頑張りましょう」と訴えている。これは、重要な問題提起だ。

沖縄では、もっと大きな集会の開催もあるが、沖縄県の人口は140万人。1万人超の参加者規模は、東京での10万人集会に当たるのではないだろうか。参加者が一斉に掲げる民意は示された」「土砂投入をやめろ」という、メッセージボードの写真が印象的である。

採択された決議の全文を末尾に掲載するが、そのなかに、下記の一文がある。
「私たちは、故翁長前知事が命をかけて守り抜いた県民の『誇りと尊厳』を引き継ぎ、誇りある豊かさを実現させるまでたたかう。『新時代沖縄』の実現へ向け、沖縄県民の命とくらし、沖縄の地方自治と日本の民主主義と平和を守るためこの不条理に全力で抗い続ける。」

この、「誇りと尊厳」「不条理に全力で抗い続ける」というフレーズが、素晴らしい。なお、決議の宛先は、首相、外務相、防衛相、沖縄担当相、米国大統領、駐日米国大使。上京しての対政府要請行動において提出予定だという。

集会では、沖縄防衛局が今月(3月)25日にも新たな埋め立て区域に土砂投入を開始すると県に通告していることが大きな話題となった。その25日には、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で拡大抗議行動が実施され、引き続いて、この行動にも参加するよう集会主催者から呼び掛けられた。

玉城デニー知事のあいさつ(謝花喜一郎副知事代読)は大要以下のとおり。
 「辺野古移設に反対の民意は過去2回の県知事選など一連の選挙でも示されてきたが、辺野古埋め立てに絞った投票で民意が示されたのは初めてで、極めて重要な意義がある。民主主義国家の我が国において直接示された結果は重く、何よりも尊重されなけれならない」
 「軟弱地盤は深く存在することが判明し、完成しても基地の下では地盤沈下が続く。政府が辺野古移設に固執することによって、普天間の危険性が放置されることは許されるものではない。県民の民意、思いを尊重し、日米両政府が断念するまで揺らぐことなく闘い続ける」(以上琉球新報の要約による)

なお、3月10日の琉球新報は以下の記事を報じている。これまでも言われてきたことだが、このようにまとめられると、なるほど、「(この長い工事の間)普天間基地は動かないということは、この新基地建設そのものが間違い」というとおりではないか。この訴えは、受け入れざるをえない。

「新基地工期 最短13年 軟弱地盤、問題次々 膨らむ工費 沈下恐れも
 名護市辺野古の新基地建設を巡って、軟弱地盤の問題による工事の長期化を示す事実が次々と明らかになっている。政府は地盤改良だけで工期を約5年と見込むが、そのために必要な県への計画変更申請も認められる見通しは立っていない。工期と同様に工費が膨らむことも避けられない情勢で、政府が辺野古移設を進める理由に掲げる『普天間飛行場の一日も早い返還と危険性除去』という大義名分は崩れている。
  政府の当初予定では、埋め立て5年、その後の施設整備3年の計8年の工程が計画されていた。だが、軟弱地盤の対応が発生したことで、単純計算すると13年以上の工期がかかることになる。県が独自の試算で示した「13年」に符合する。

■計画変更
 防衛省の報告書で示された工程表によると、地盤改良工事は大きく分けて二つの段階がある。海上から大型作業船を使って地盤を固めるための砂杭(ぐい)6万3155本を打ち込む工事には約3年8カ月を見込む。それに加え、改良が必要な場所は大型船で対応できない浅瀬部分にも広がり、いったん埋め立てた後に砂杭1万3544本を打ち込む作業が計画される。この過程には約1年かかる。足し合わせると約5年になる。
 報告書では浅瀬部分について「海上工事に連続して施工する工程としている」と記載し、二つの改良工事は同時並行での実施を見込んでいない。
 これらの地盤改良は、政府が今後工事の計画変更を県に申請し、承認されてからが起点となる。2月の県民投票で辺野古新基地に「反対」の民意が改めて示され、防衛省内は「変更申請に対して知事がはんこを押すことはできないだろう」と見る。地盤改良に着手できなければその分、工期も遅れる。
 
■7・7万本
 軟弱地盤に約7万7千本の砂杭を打ち込む辺野古の改良工事に関して、防衛省の報告書には東京国際空港(羽田空港)との比較表が載っている。開会中の国会審議でも、防衛省は過去の軟弱地盤工事で羽田空港が約25万本、関西空港は1期目が約103万本、2期目が約120万本の杭がそれぞれ使われる規模だったとして、辺野古の本数の“少なさ”を強調し工事が可能だと説明している。
 だが、地盤工学が専門の鎌尾彰司日本大学准教授は「羽田空港とは埋め立て面積の規模が異なり、杭の本数が違うのは当然だ。本数よりも深さが問題で、深くなるほど工事の難度が高くなる」と語る。
 辺野古の軟弱地盤は最大で水面下90メートルの地点に達しているが、防衛省は改良が必要なのは水面下70メートルまでで、その下の地盤は「より固い粘土層」ゆえ工事は不要との立場を示している。
 ただ、関西空港の例では軟弱地盤が改良地点よりも深い場所に及び、現在でも年に10センチずつ沈下しており定期的に補修が施され莫大な費用がかかっている。辺野古についても防衛省は完成後の地盤沈下の対策を検討しており、追加的な補修により経費がかかる可能性がある。
 鎌尾教授は「長期にわたる地盤沈下の見通しを立て、適切な対応を取らなければ安全な構造物ではなくなる」と危険性を指摘した。

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 辺野古新基地建設断念を求める3・16県民大会決議<全文>

 政府は2月24日の県民投票で示された圧倒的な沖縄県民の民意を尊重し、埋め立て工事を中止し、野古への新基地建設を即時、断念せよ。

  沖縄県知事が県民投票の結果を政府に通知した直後、政府は新たな護岸工事に着工し、さらに3月25日には新たな区域で埋め立てを行うとしている。県民の民意を無視して辺野古新基地建設を強行することは、民主国家として恥ずべき行為であり、断じて許すことはできない。日本が民主国家ならば国策の遂行が民意と無関係であってはならない。

  国土の約0・6%の沖縄県に米軍専用施設の約70%が集中していることは異常事態である。沖縄県民の負担軽減を行うならば、県民投票の結果を受けて、政府は米国政府と直接交渉し、辺野古新基地建設を断念し、オスプレイ配備撤回、世界一危険な普天間基地は即時運用停止を行い閉鎖返還すべきだ。

  私たちは、故翁長前知事が命をかけて守り抜いた県民の「誇りと尊厳」を引き継ぎ、誇りある豊かさを実現させるまでたたかう。「新時代沖縄」の実現へ向け、沖縄県民の命とくらし、沖縄の地方自治と日本の民主主義と平和を守るためこの不条理に全力で抗い続ける。

  今県民大会において、以下、決議し、日米両政府に対し、強く抗議し要求する。

  記

  1、県民投票で示された圧倒的な民意を尊重し、埋め立てを中止し辺野古への新基地建設を即時、断念すること。
  2、大浦湾側には活断層があり、その付近の海底には、超軟弱地盤が存在する。米国の安全基準である高さ制限にも抵触している。環境を著しく破壊している赤土混じりの埋め立て土砂を全て撤去すること。
  3、欠陥機オスプレイ配備を撤回し、米軍普天間基地を即時運用停止し、閉鎖・撤去すること。

 以上

 宛先 内閣総理大臣 外務大臣 防衛大臣 沖縄担当大臣 米国大統領 駐日米国大使

2019年3月16日

 辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議

(2019年3月17日)

日本は果たして民主主義国家か。 ― 「辺野古新基地建設NO!」の沖縄県民投票結果が問うもの。

日本は民主主義政体の国家である(はずである)。民主主義とは、民意に基づいて国家を運営することである(はずである)。特定のテーマで、圧倒的な民意が明確に示された場合には、政策の選択においてこれに従うべきが民主主義の常道でなくてはならない(はずである)。さて、日本は本当に民主主義国家なのであろうか。民意が尊重される国であるのだろうか。そのことが、今試されようとしている。

沖縄県民が、安倍政権に鋭い問を突きつけている。「中央政府は、民主主義の何たるかを理解しているのか」「ここまで明確になった沖縄の民意を無視できるのか」。43万余の積み上げられた辺野古新基地建設反対の投票数と、この得票によって明確となった県民の民意の存在はこの上なく重い。

注目の、辺野古新基地建設の可否を問う沖縄県民投票。昨日(2月24日)投開票が行われ、25日0時30分に開票が終了。ほぼ予想されたとおりの開票結果となった。

投票率は52・48%。辺野古沿岸部の埋め立てに「反対」が43万4273票、有効投票の72・2%となった。なお、「賛成」は19・1%、「どちらでもない」が8・8%であった。

県民投票条例に基づいて、玉城デニー知事は近く安倍晋三首相とトランプ米大統領に開票結果を通知することになる。当然に、辺野古新基地建設を断念するよう要請することになるが、果たして日米両政府はこの要請にどのように対応するであろうか。とりわけ、日本の政府の対応が注目される。沖縄県民が示した民意を真摯に尊重して大浦湾埋立を断念して、日本が民主主義国家であることを証明できるだろうか。それとも、明確に示された民意を歯牙にもかけずに蹂躙することになるのだろうか。安倍政権の民主主義に対する体質が根底から問われている。

本日(2月25日)の各紙の社説が興味深い。朝日・毎日・東京が「県民投票の結果を尊重せよ」との論陣。極めて常識的な見解と言えよう。産経だけが、「国は移設を粘り強く説け」という苦汁のレトリック。読売・日経は、社説を掲載していない。戦線離脱である。

タイトルだけで、各紙の立場はほぼ理解できる。

 沖縄県民投票 結果に真摯に向きあえ (朝日)

 「辺野古」反対が多数 もはや埋め立てはやめよ(毎日)

 辺野古反対 沖縄の思い受け止めよ (東京)

朝日社説は言う。「沖縄県民は「辺野古ノー」の強い意思を改めて表明した。この事態を受けてなお、安倍政権は破綻が明らかな計画を推し進めるつもりだろうか。」
毎日社説は言う。「もはや普天間の辺野古移設は政治的にも技術的にも極めて困難になった。政府にいま必要なのはこの現実を冷静に受け入れる判断力だ。」
そして東京社は言う。「民主主義国家としていま、政府がとるべきは、工事を棚上げし一票一票に託された県民の声に耳を傾けることだ」。いずれも、当然の理を述べている。

 沖縄県民投票 国は移設を粘り強く説け(産経)

産経は、「投票結果は極めて残念である。政府はていねいに移設の必要性を説き、速やかに移設を進める必要がある。」「県民投票に法的拘束力はない。辺野古移設に代わるアイデアもない。日米両政府に伝えても、現実的な検討対象にはなるまい。」という。

さて、産経は「埋立反対の県民投票の結果に法的拘束力はない」という。では、強引に大浦湾を埋め立てている政府の側には、何らかの「法的拘束力があるのか」といえば、やはり「埋立をしなければならない法的拘束力はない」のだ。

すべての法にとって、その「拘束力」の源泉は主権者の意思、すなわち民意にほかならない。「埋立反対」の側に民意のあることが明瞭であって、「埋立賛成」の側に民意はない。

以下に、運動の主体となった「『辺野古』県民投票の会」の声明を引用しておきたい。文中の「安全保障政策を支える基盤は、基地の所在する地域の民意である。安全保障問題が国の専権事項であることを理由に沖縄の民意を踏みつぶすことがあってはならない。」が、十分に産経論説への反論となっている。

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  声  明

 本日実施の県民投票の結果が明らかになった。
投票率52.48%、米軍基地建設のための「辺野古」埋立てについて「反対」票43万4273票(72.2%)、「賛成」票11万4933票(19.1%)、「どちらでもない」票5万2682票(8.8%)となった。
 有権者の過半数を超える県民が投票所に足を運び、各人の意思を表明されたことにまず感謝を申し上げたい。
 投票者の72.2%にあたる43万4273名という多くの県民(全有権者の37.6%)が、埋立て反対票を投じ、明確な反対の民意を示したことの意味は大変重い。
 私たちは、今回の県民投票は、一つの争点につき明確な県民の意思を表明した点で、この国の民主政治の歴史に新たな意義ある一歩を刻んだと確信している。
 私たちは改めて、県民投票の実現に尽力された多くの県民に敬意を表するとともに、御礼を申し上げ、県民の皆様とともに県民投票の成功を喜びたい。

 今回の県民投票は、目前で強行されている「辺野古」埋立ての賛否を問い、審判を下すものであった。その本質は、辺野古への代替施設建設が普天間飛行場の危険性除去(基地返還)のための「唯一の選択肢」だと判断した国策の是非を問うものであった。
 それに対し、沖縄県民は県民投票により明確に反対の意思を示した。政府はこの民意を重く受け止め、民主主義の基本に立ち返り、直ちに「辺野古」埋立て工事を中止・断念すべきである。

 安全保障政策を支える基盤は、基地の所在する地域の民意である。安全保障問題が国の専権事項であることを理由に沖縄の民意を踏みつぶすことがあってはならない。
辺野古米軍基地建設のための埋立てに対し明確な反対の民意が示された今、これから問われるのは本土の人たち一人ひとりが沖縄の民意を踏まえて当事者意識を持ち、この国の安全保障及び普天間飛行場の県外・国外移転についての国民的議論を行うことである。
そして政府は、普天間飛行場の危険性除去(基地閉鎖・返還)を最優先に米国政府との交渉をやり直し、沖縄県内移設ではない方策を一刻も早く検討すべきである。

 県民投票は、当面する「辺野古」問題への沖縄県民の明確な民意を示すだけでなく、国策決定(辺野古米軍基地建設のための埋立て)における民主主義のあり方を問う実践の場でもあった。
私たちは、この国にはいまだ民主主義政治が健在であると信じたい。
今回の県民投票は、この国に住む全ての人たちに民主主義のあり方を改めて問うものでもある。国民一人ひとりが、この問題を真剣に考えるべきである。
そして、政府は、直ちに「辺野古」埋立て工事を中止・断念し、沖縄県内移設によらない普天間飛行場の危険性除去(基地閉鎖・返還)に向けた英断を行うことを強く期待する。

最後に、玉城デニー知事に対しては、「反対」票が全有権者の4分の1を超えたので、辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例第10条3項に基づき、速やかに、内閣総理大臣及びアメリカ合衆国大統領に対し、結果を通知するとともに、沖縄県民の民意に沿った諸行動をとることを切望する。

       2019年2月24日
             「辺野古」県民投票の会

(2019年2月25日)

沖縄県民投票での「埋め立て反対」圧勝を期待する

本日(2月14日)が沖縄県民投票の告示日。沖縄全県で24日に投開票が行われる。投票結果について、賛成または反対の多い方の票数が投票資格者の総数の4分の1に達したときは、知事はその結果を尊重しなければならない」(県民投票条例第10条第2項)と定められており、その結果を知事が内閣総理大臣(安倍晋三)及びアメリカ合衆国大統領(ドナルド・トランプ)に対し通知する」もの(同条第3項)とされている。

本日、玉城知事が以下のコメントを発表している。

投票日の告示について

本日、辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例第4条第2項の規定に基づき、県民投票の投票日を2月24日・日曜日とすることを告示いたしました。
 今回の県民投票は、普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立てに対し、県民の意思を的確に反映させることを目的に実施いたします。
 投票は、投票用紙の「賛成」の欄、「反対」の欄、又は「どちらでもない」の欄のいずれか一つに「○」の記号を記入する方法で行います。
 また、期日前投票も、明日2月15日・金曜日から実施されます。
 私自身も、明日早速、期日前投票を行うこととしております。
 県民投票は、県民の皆様ご自身の意思を直接示すことができる大変重要な機会です。県民の皆様には、ぜひ、投票所に足を運んでいただき、貴重な一票を投じていただくようお願い申し上げます。

平成31年2月14日
沖縄県知事玉城デニー

そして、本日の地元紙沖縄タイムスの社説を引用(抜粋)しておこう。

[県民投票きょう告示]沖縄の将来像を語ろう

 「ようやく」という言葉がふさわしいのかもしれない。名護市辺野古の新基地建設を巡る県民投票が、24日の投開票に向け、14日、告示された。
 国が進めている埋め立ての賛否を問うもので、「賛成」「反対」「どちらでもない」の三つの選択肢の中から、いずれかに「○」を記入する。
 今さら法的拘束力もない県民投票を実施する必要がどこにあるのか-そんな声は今もある。だが、県民投票を実施する最大の理由は、まさにそこにある。
 「他に選択肢がない」という言い方は、政策決定によってもっとも影響を受ける者の声を押しつぶし、上から目線で「これに従え」と命じているのに等しい。実際、選挙で示された民意はずっと無視され続けてきた。
 県民投票は、戦後74年にわたる基地優先政策が招いたいびつな現実を問い直す試みでもある。
 軟弱地盤の改良工事のため、当初の予定を大幅に上回る工期と建設経費がかかることも明らかになってきた。状況が変わったのだ。
 米軍普天間飛行場の一日も早い危険性除去をどう実現すべきか。辺野古の自然環境は果たして保全されるのか。
 埋め立ての賛否を考える上で避けて通れないのは、この二つの論点である。
 県民投票に法的な拘束力はない。どのような結果になっても計画通り工事を進める、というのが政府の考えである。
 しかし、「反対」が多数を占めた場合、玉城知事は辺野古反対を推し進める強力な根拠を得ることになる。
 県民投票によって、疑う余地のない形で沖縄の民意が示されれば国内世論に変化が生じるのは確実だ。政府が辺野古での工事を強行しているのは、県民投票を意識している現れでもある。

さて、埋立についての法的問題の経過を確認しておきたい。
公有水面埋立法によれば、海面を埋め立てるには知事の許可または承認を要する。沖縄防衛局の大浦湾埋立を仲井真知事(当時)が承認し、翁長前知事が承認を撤回した。これが、昨年(2018年)8月31日。但し、同知事は8月8日に死去して、知事代行の副知事が撤回の意思表示をしている。
その状態で、沖縄県知事選が行われ、9月30日に「オール沖縄」の玉城デニー候補が圧勝した。
知事選後、アベ政権は沖縄に寄り添う姿勢を捨てた。10月17日には沖縄防衛局が国交大臣に対して承認撤回を理由のないものとして、行政不服審査法に基づく審査請求をし、併せて「(撤回の効力についての)執行停止」を申立てた。同月30日、国交相の執行停止決定がなされ、工事が再開されることになる。12月14日、辺野古沿岸部に土砂が投入され埋め立てが始められた。いま、美ら海が土砂で埋められつつある。

そのような時期における県民投票であるが、沖縄タイムス社説が言うとおりの、事情変更が明らかになっている。軟弱地盤の改良工事のため、当初の予定を大幅に上回る工期と建設経費がかかる」ことが明らかになってきたのだ。

以前から軟弱地盤問題は知られていたが、予想を遙かに上回るものであることが確認されつつある。「辺野古軟弱地盤 最深90メートル」「杭は7.7万本必要」「砂650万立方メートル」「新基地は不可能」と各紙の見出しが躍っている。

この軟弱地盤、最大の水深90メートル(海面から海底まで30メートル、地中60メートル)に達する、という。土木工学の専門家が、これだけの深さの地盤改良工事は前例がなく、技術的にも極めて困難、これを可能とする地盤改良船は日本にはないという。

この軟弱地盤の改良工事は、護岸部分はサンドコンパクションパイル(SCP)工法(強固に締固めた砂杭を地中に造成して地盤を改良する工法だという)で3万8945本、埋め立て部分はサンドドレーン工法で3万7754本、合わせて7万6699本になるのだという。

地盤改良区域の面積は約65ヘクタール(新基地建設埋立て区域160ヘクタールの約4割)。砂杭に使用する砂の量は東京ドーム5・25杯分にあたる約650万立方メートルに達するという。

当然に、沖縄県の地盤改良工事のための設計変更許可が必要になろう。安倍首相は1月31日の衆院本会議で、軟弱地盤の改良工事のため計画変更の承認を沖縄県に申請すると、政府として初めて言及したという。が、県が許可できるはずはない。

こうして、辺野古新基地建設は法的にも技術的にも不可能であることが鮮明になりました(しんぶん赤旗)というのが常識的なものの見方。計画は白紙にするほかなかろう。

このような事態での県民投票である。政権の思惑は、早期に既成事実を積み重ねて県民を諦めさせることだった。しかし、そうはなりそうにもない。投票の結果次第では、辺野古新基地建設を断念させることができそうではないか。運動の成果を期待したい。
(2019年2月14日)

沖縄全県での県民投票実施見通しを歓迎する。

辺野古新基地建設に伴う大浦湾埋め立ての是非を問う2月24日沖縄県民投票。ようやく、県内の全市町村で実施される見通しとなった。まずは、安堵の思い。「県民投票」の具体的内容については、県の公報が丁寧に解説している。末尾にこれを引用するので、ご参考にされたい。

ここまで来る道は平坦ではなかった。県民世論の所在を明確にするための「埋め立ての賛否を問う」投票に、これだけの抵抗と妨害があるのだ。県民世論が明確になることを快く思わぬ勢力が根強いことをもの語っている。もちろん、その勢力の裏側には、中央政権の存在がある。

県民投票を求める運動が具体的に動き出したのは、前翁長雄志知事生前の昨年(2018年)5月。「『辺野古』県民投票の会」(代表・元山仁士郎)が県民投票条例制定の直接請求署名運動を開始し、9月までに必要数(有権者の50分の1・2万3千筆)の約4倍にあたる92,848筆の署名を集めて県議会に提出した。

これを受けて、県政与党(オール沖縄派)は回答の選択肢を「賛成」「反対」の2択とした県民投票の条例案を作成して上程。これに対し、県政野党である沖縄・自民党と、中立派の公明党は「賛成」「反対」に、「やむを得ない」「どちらとも言えない」を加えた4択とする案を提出。結局、野党案(4択案)は否決され、与党案(2択案)が賛成多数で可決成立して、県民投票条例は10月31日公布となり、その後投開票実施日は2019年2月24日とされた。ここまでは、順調だった。

ところが、投票事務の実施をすることとされた、県内市町村の首長や議会は、必ずしも県政与党派と同じ立場ではない。選挙事務執行のための補正予算が市町村議会に上程されたが、うるま市・沖縄市・宜野湾市・糸満市・宮古島市・本部町・金武町・与那国町の8市町で補正予算案を否決。最終的に宮古島・宜野湾・沖縄・石垣・うるま5市の市長が県民投票不参加を表明した。これによって、全有権者の31%に当たる約36万7千人が投票の機会を失う事態となった。

この事態を打開したのは県民の運動だった。県内全域で、とりわけ県民投票不参加を表明した5市で、「投票権奪うな」の声が巻きおこった。このことは、記憶に留めておかねばならない。

県は各市長に、事務を行うべき「法的義務」があるとして助言や勧告を行った。玉城知事や謝花副知事は、足を運んで各市長へ協力の要請を重ねた。また、行政法や地方自治の専門家からは、参政権を奪うことの違憲・違法を指摘する意見も相次いだ。

そして、県民投票の会元山代表のハンガーストライキが事態を動かした。
琉球新報は、「県民の熱意が政治を動かした 元山さんのハンストで事態急展開 辺野古県民投票」との記事で、「事態が急展開したのは、県民投票条例を直接請求した「辺野古」県民投票の会の代表で、大学院生の元山仁士郎さんが15日に始めた宜野湾市役所前での24時間のハンガーストライキだった。投票を実施しない市長への抗議の意思を示す元山さんのストライキは19日まで続き、同時に集めた全県実施を求める請願には5千人が署名した。」「一連の出来事は、政治の流れを決めるのは、政治家でも行政でもなく、主権者である市民なのだということを改めて示した。」としている。

結局は、県議会与野党の再議で、回答の選択肢を「賛成」「反対」の2択から、「賛成」「反対」「どちらでもない」の3択に修正することでの合意が成立した。

しかしこれもけっしてすんなり決まったわけではない。自民党は、「普天間飛行場移設のための辺野古移設はやむをえない」「反対」「どちらともいえない」とする3択案を主張した。これを与党である“オール沖縄”側が拒否して、与党も妥協した「賛成」「反対」「どちらでもない」の3択案で全会派一致となった。これが、一昨日のこと。正式には、1月29日の県議会で、条例改正案が可決成立となる予定という。

県自民党が折れたのは、このままでは、県民世論の風圧に耐えられなくなるとの判断によるものだろう。5市を抜きにした県民投票が実施され、しかも、圧倒的に「埋立反対」の結果が出た場合、投票を妨害した責任を問われることになる。ボルテージの高い民意を敵にまわして、到底支えきれないと読んだのだろう。これが、沖縄県民の運動の成果である。

とはいえ、本来は投票の選択肢は2択であるべきだったろう。いま、恒久的な新基地建設のために、辺野古の海が埋め立てられつつある。埋立を止めさせるのか、続けさせるのか。とるべき政策は一つでしかない。投票回答は、埋立に「反対」か、「賛成」かのどちらかでなければ意味をなさない。「どちらでもない」とは、いったい何のことだ。どうしようというのか、さっぱり分からない。この回答は、主権者として無責任ではないか。

考えられるのは、「反対」の意見をもつ人に、「賛成」票を投じるよう説得は難しい。「せめて、『どちらでもない』に投票していただきたい」という切り崩しに役に立つ、という思惑なのだろう。

雨降って地固まる、というではないか。この間の県民の全県での投票を求める運動の昂揚は、辺野古新基地建設反対に弾みをつけたのではないだろうか。2月24日には、圧倒的な県民世論の「反対」の声を聞きたい。

それにしても、この件についての本土における関心の低さが気になってならない。自分の問題としてとらえられていないのだ。ことあるごとに、訴えなければならないと思う。
(2019年1月26日)
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沖縄県広報

平成31年2月24日(日曜日)は県民投票です。

この県民投票は、辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う
県民投票条例(平成30年沖縄県条例第62号)に基づき、
「普天間飛行場代替施設建設のための辺野古埋立てについて」
の賛否を問うものです。

通常の選挙とは異なり、特定の候補者に投票するものではなく、
投票用紙の賛成欄又は反対欄に〇の記号を記載する方法で投票を行います。
この投票により、県民の皆様の意思を明確に示すことができます。

 県民投票の意義

 この県民投票は「米軍基地建設のための名護市辺野古の埋め立て」 に対し、県民の皆さまの賛否を明確に示すことを目的としています。
日本政府は、普天間飛行場の代替施設となる米軍基地建設のため、名護市辺野古の埋立てを計画しています。
県経済や子育て施策などさまざまな課題について政策を訴える候補者に票を投じる選挙とは異なり、今回の県民投票で問うのは、名護市辺野古の埋め立てに「賛成」か「反対」かの賛否のみです。県民一人一人が改めて、辺野古の基地建設のための埋め立てについて考え、意思を明確に示すことができます。
投票の結果、「賛成」「反対」どちらか多い方が一定数に達した場合、日本の総理大臣、アメリカ大統領にも通知します。

県民投票条例制定について

この県民投票は、県民の9万2848筆の署名の提出を伴った住民投票条例制定の直接請求※1を受け、沖縄県が条例案を県議会に提案、県議会の審議・可決制定を経て、実施が決定しました。
沖縄県は条例案の可決を受け、平成30年10月31日に「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例」を公布し、投票運動や投票できる資格者、投票に必要な事項を次のように定めています。
投票資格者(第5条) 平成31年2月13日時点で以下に当てはまる人。
日本国籍のある満18歳以上(2月14日生まれも含む)で、沖縄県内の市町村に3カ月以上住所があり、その後も沖縄県内に住所がある人で、投票資格者名簿に登録されている人。

投票数(第6条)1人1票投票の秘密保持(第8条)投票した人が、投票した内容を明かす義務はありません。県民投票の情報提供(第11条) 沖縄県は、県民の皆様が賛否を判断するため必要な広報活動、情報の提供を客観的、中立的に行うものとする。
※1 住民の直接請求は地方自治法によって定められています。

投票の結果について

1 辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例 第10条
知事は、県民投票の結果が判明したときは、速やかにこれを告示しなければならない。
2 県民投票において、本件埋立てに対する賛成の投票の数又は反対の投票の数のいずれか多い数が投票資格者の総数の4分の1に達したときは、知事はその結果を尊重しなければならない。
3 前項に規定する場合において、知事は、内閣総理大臣及びアメリカ合衆国大統領に対し、速やかに県民投票の結果を通知するものとする。

「沖縄県民投票」妨害の議決をした5市の議員も法的責任を免れない

2月24日投開票が予定されている「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票」。住民の直接請求を受けて、沖縄県議会が可決した住民投票条例によるもの。その事務手続は、各市町村が代行することになっており、その費用は県が負担する。

この投票事務手続委任の趣旨を木村草太さんは、沖縄タイムスへの寄稿の中で次のように説明している。

「地方自治法252条の17の2は、「都道府県知事の権限に属する事務の一部を、条例の定めるところにより、市町村が処理することとすることができる」とする。今回の住民投票条例13条は、この規定を根拠に、投票に関する事務は「市町村が処理する」こととした。
 なぜそうしたのかと言えば、投票所の設置や投票人名簿の管理は、国や県よりも地元に密着した市町村が得意とする事務だからだ。つまり、今回の事務配分は、各市町村に投票実施の拒否権を与えるためではなく、あくまで県民投票を円滑に実施するためのものだ。」

この点を、沖縄県のホームページはこう解説している。

Q5 市町村事務に要する経費について
  市町村の事務の執行に要する経費については、地方財政法第28条の規定に基づいて全額、県が負担し、市町村に交付します。市町村が実施する投票に関する事務の主なものは「名簿の調整」、「投票の実施」、「開票の実施」に係る事務があります。

ところが、この投票事務手続に関して、県内5市(沖縄、宜野湾、うるま、宮古島、石垣)が実施を拒否して事実上の投票不参加を表明している。

この実施拒否はおそらくは違法だ。違法な上に、住民の意見表明の権利を侵害している。これは、官邸や自民党の意向を忖度した宮崎政久・自民党議員の煽動によるところが大きく、5市の関係者の責任は重く大きい。そのことは明確だが、いまどう対応すべきか、それが喫緊の課題となっている。

なによりも全国の世論の結集と糾弾が最重要であろう。それを背景に、県から総務省に緊急に要請して、同省から各市町村への行政指導を求めるのが、一つの手立てではないか。あるいは、5市の住民から、各市を被告とする直接型義務付け訴訟の提起と、仮の義務付けの申立(行政訴訟法第37条の5・1項)ができないだろうか。

ところで、一昨日(1月15日)、「2・24県民投票じのーんちゅ(宜野湾市民の意)の会」が、同市で記者会見し、市を相手とする投票権侵害に対する国家賠償請求訴訟に向けて、原告を募集することを発表した。当座の間に合わないが、これも、インパクトが大きい。
原告募集期間は、2月24日まで。宜野湾市に住む同県民投票の投票資格者を対象としている。訴額(損害賠償請求額)は1人1万円、費用負担は訴訟費・事務経費などで1人千円で、3月の提訴を目指しているという。

「同会共同代表の宮城一郎県議は、原告団の規模の目安は同県民投票を求める市内の有効署名数の4813人と発言。「お金で償ってもらうというのは本来の趣旨ではない。やはり私たちの権利を奪うことの償いとして、その罪を歴史に残す」と説明しました。会は並行して、松川市長に引き続き県民投票の参加を求めていく構えです。」(TBS) また、宜野湾だけでなく、宮古島などでも同様の動きがあるという。

関連して提案したい。この損害賠償請求の提訴には、宜野湾市だけでなく、松川市長個人も、県民投票参加に反対した保守系議員も被告にすべきではないだろうか。

地方自治法の規定によって、県から事務の委託を受けた市は、その執行の義務を負うものと解される。だからこそ、市長は受託事務の執行やその予算を議会に提案した。議会がこれを否決すると、市に義務がある限り、市長はその義務遂行のために、議案を再提案(再議)しなければならない。そして、再び否決されても、やはり市の義務の遂行のためには、否決された受託事務を執行しなければならない。

この義務に違反していることが明らかな市と市長が、損害賠償の義務を負うべきことは分かり易い。この点を、今話題の自民党・宮崎政久衆院議員が作成・配布した12月5日付「県民投票条例への対応について」と題する2頁の資料には、このように記されている。

3 市町村議会で予算案を否決した場合の取り扱い
 地方自治法177条第1項により、当該市町村長は再議に付さなければならない。
 再議における議会の議決で再度否決された場合は、同条第2項により、当該市町村長は当該予算案を原案執行することが可能である。
 しかし、この原案は執行することが「できる」のであって、議会で予算案が否決された事実を前に、これに反して市町村長が予算案を執行することは議会軽視であり、不適切である。

果たしてそうだろうか。もともと、市は県から委託された事務を執行する義務を負っている。この「できる」は、再否決によっても義務を免除されない意と読むべきであって、「執行してもしなくてもよい」意と解してはならない。行政庁が「できる」とされた権限の不行使が違法とされる例は、数多くある。

むしろ問題は、議案に反対した議員の責任である。

やはり、宮崎が作成した、12月8日付の「県民投票条例への対応に関する地方自治法の解釈」と表題する文書には、

「予算案を否決することに全力を尽くすべきである。議員が損害賠償などの法的な責任を負うことはない」

との一文が見える。明らかに無責任な煽動というしかない。「法的な責任を負うことはないのだから」と、「市の義務の執行のための予算案」を無責任に否決した議員を特定して、その責任を問わねばならない。煽動した宮崎も、煽動された議員側も、予算案を否決する議決に責任が伴うことは考えていないようだ。しかし、憲法51条の議員の発言・表決についての免責特権は国会限りのもので、地方議会の議員に適用はないとされている。私自身の経験でも、以下のような判例がある。

(1991年1月10日・岩手靖国訴訟仙台高等裁判所判決)
「県議会のした国の代表及び国賓による靖国神社公式参拝が実現されるよう強く要望するとの趣旨の決議が違憲無効であることを前提として,同決議を可決して県に同決議事項を内容とする意見書等の印刷費並びに同意見書等を内閣総理大臣,総理府総務長官及び衆,参両議院議長等に提出するための旅費の支出による損害を被らせたこと及び法律上の原因なく前記旅費の支給を受けたことを理由として提起された地方自治法242条の2第1項4号後段に基づく議員個人に対する損害賠償請求及び県議会議長に対する不当利得返還請求につき,議員の発言又は表決は,地方自治法99条2項所定の地方議会の議決がその後の司法判断により違法とされても,その議決当時,前記発言又は表決の対象となった議決の内容に関する法的解釈が分かれている状況にあった場合には,前記発言又は表決が憲法及び法令の遵守義務を負う議員としての見識に基づき,かつ,相当の根拠と合理性を有する法解釈に依拠している限り,違法と評価されるべきではなく,また,議長は,議決の違憲性又は違法性が一見明白でない限り,議決に従って職務を行うべきであるから,職務上の行為としてした意見書等の印刷及び意見書等の提出のための出張は,違法とはいえず,その行為のため支出された費用を取得しても不当利得とはならない」

議員に責任を負わせることはできなかったが、この高裁判例の射程距離からは、煽動された5市の議員らが「憲法及び法令の遵守義務を負う議員としての見識に基づき,かつ,相当の根拠と合理性を有する法解釈に依拠していない」ことが明らかである以上は、有責と考えざるを得ないではないか。

(2019年1月17日)

徴兵検査のない成人を迎えた若者に訴える。ぜひ主権者として、平和憲法擁護の自覚を。

本日(1月14日)は「成人の日」。数少ない、天皇制とは無縁の、戦後に生まれた祝日。「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」日(祝日法)とされている。関東は天気も晴朗。「みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」にふさわしい日となった。私も、この日に、若者諸君に祝意と励ましの言葉を贈りたい。

何をもって「成人」であることを自覚するかは、社会によって時代によって異なる。かつての日本では徴兵検査だった。その時代、すべての成人男子には否応なく兵役の義務が課せられた。男子にとって大人になるとは、天皇の赤子として、天皇の軍隊の兵士になる義務を負うことだった。軍人勅諭を暗唱し、行軍と殺人の訓練を受けた。戦地に送られ、命じられるままの殺戮を余儀なくもされた。

その時代、主権は天皇にあって国民にはなかった。立法権も天皇に属し、帝国議会は立法の協賛機関に過ぎなかった。女子には、その選挙権も被選挙権もなかった。その時代、天皇制を支えた家制度において女性は徹底的に差別され、民事的に「妻は無能力者」とされていた。

あり得ないことに、天皇は神を自称していた。もちろん、神なる天皇は操り人形に過ぎなかった。この天皇を操って権力や富をほしいままにした連中があって、その末裔が今の日本の保守政治の主流となっている。

天皇、戦争、女性差別は一体のものだった。そのような非合理な国は亡ぶべくして亡びた。国の再生の原理は、新しい憲法に確固として記載された。国民主権、平和、そして自由と平等である。徴兵制はなくなった。天皇に対する批判の言論も自由である。女性差別もなくなった…はずである。その憲法の「改正」をめぐって、いませめぎ合いが続いている。

平和も、国民主権も、性差のない平等も、言論の自由も、昔からあったものではない。これからずっと続く保障もない。現実に、憲法は一貫して「改悪」の攻撃に曝されている。徴兵検査のない成人式も、主権者の意識的な努力なければ、今後どうなるか定かではない。

私たち戦後間もなくの時代に育った世代は、日本国憲法の理念を積極的に受容して、今日までこの憲法を守り抜いてきた。しかし、この憲法をよりよい方向に進歩させることは今日までできていない。いま、せめぎ合っているのは、憲法を進歩させようという改正問題についてのことではない。大日本帝国憲法時代の「富国強兵」の理念を復活させようという勢力が力を盛り返そうとしているのだ。言わば、「成人男子には徴兵検査を」という時代への方向性をもった「憲法改悪」なのである。

今の若者は保守化していると言う言葉をよく聞く。しかし、今のままでよいじゃないかというほどの社会はできていない。今のままでは将来が不安だと若者たちも気付いているはずだ。

この世の不正義、この世の不平等、権力や資本の横暴、人権の侵害、平和の蹂躙、核の恐怖、原発再稼働の理不尽、沖縄への圧迫。格差貧困の拡大、過労死、パワハラ、セクハラ…。この世の現実は理想にほど遠い。若さとは、この現実を変えて理想に近づけようという変革の意志のことではないか。

若さとは将来という意味でもある。社会がよりよくなればその利益は君たちが享受することになる。反対に社会が今より悪くなればその不利益は君たちが甘受しなければならない。

君たちには多様な可能性が開けている。未来は、君たちのものだ。君たち自身の力で、未来を変えることができる。これから長く君たちが生きていくことになるこの社会をよりよく変えていくのは君たちだ。

さて、今年は、選挙の年だ。君たちの一票が、この国の命運を決める。とりわけ7月に予定の参院選。いまは、自・公・維・希の改憲勢力が、かろうじて議席の3分の2を占めている。この3分の2の砦を突き崩せば、安倍改憲の策動は阻止することができる。君たちの肩に、主権者としての責任が重くのしかかっている。

投票日だけの主権者であってはならない。常に、主権者としての自覚をもって、民主主義や人権・平和のために何ができるかを考える人であって欲しいと思う。

一つ、主権者としての自覚における行動を提案したい。DHCという、サプリメントや化粧品を販売している企業をご存知だろうか。その製品を一切購入しない運動に参加して欲しい。商品の積極的不買運動、ボイコットでこの企業に反省を迫ろうというのだ。

DHCとは、デマとヘイトとスラップをこととする三拍子揃った企業。その会長である吉田嘉明が在日や沖縄に関する差別意識に凝り固まった人物。電波メディアを使って、デマとヘイトの放送を続けている。そして、吉田嘉明とDHCは、自分を批判する言論に対するスラップ(言論抑圧を動機とする高額損害賠償訴訟)濫発の常習者でもある。詳しくは、当ブログの下記URLを開いて、「DHCスラップ訴訟を許さない」シリーズをお読みいただきたい。
http://article9.jp/wordpress/?cat=12

あなたがなんとなくDHC製品を買うことが、デマとヘイトとスラップを蔓延させることになる。あなたの貴重なお金の一部が、この社会における在日差別の感情を煽り、沖縄の基地反対闘争を貶める。また、安倍改憲の旗振りに寄与することにもなる。

言論の自由を圧迫するスラップ訴訟は、経済合理性を考えればあり得ない。しかし、DHCの売り上げの一部が、こんな訴訟を引き受ける弁護士の報酬にまわることにもなる。

DHC製品不買は、「消費者主権」にもとづく法的に何の問題もない行動。意識的にDHC製品を購入しないだけで、この社会からデマとヘイトとスラップをなくすることができる。若者たちに訴える。ぜひ、主権者としての自覚のもと、「DHC製品私は買わない」「あなたも買っちゃダメ」と多くの人に呼びかけていただきたい。投票日だけの主権者ではない、自覚的な主権者の一人として。
(2019年1月14日)

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