澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

平和のために、今こそ「九条守れ」の声を高く。

(2022年5月10日)
 ご近所にお住まいの皆様、ご通行中の皆様。しばらく、お耳を拝借いたします。こちらは「本郷・湯島九条の会」です。私たちは、日本国憲法の徹底した平和主義をこよなく大切なものと考え、長く「九条守れ」の活動を続けてまいりました。

 そして今、ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始したという深刻な事態の中で、常にも増して、今こそ「九条を守れ」「九条による平和を」と、声を挙げなければならないと決意を固めています。

 皆さん、戦争とはいったいなんでしょうか。それは、大量の殺人行為です。大規模な強盗です。放火でもあり、建造物損壊でもあります。これ以上なく多くの人に不幸をもたらす野蛮な犯罪と言わねばなりません。歴史上、権力を手にした多くの為政者が、罪のない多くの人の不幸を無視して、より大きな権力と富を求めて戦争を繰り返してきました。しかし同時に、文明は何とかして戦争を止めさせたいと願い続け考えつづけてもきました。

 そして、19世紀から20世紀にかけて、人類は戦争を違法なものと確認する営みを継続してきました。最初は捕虜に対する非人道的な行為や残虐な武器の使用を禁じ、やがて侵略戦争を違法とし、第二次大戦のあとには国連憲章が、例外を残しながらも戦争一般を違法なものとして禁止しました。

 その流れをさらに一歩進めて、日本国憲法九条は、例外のない全ての戦争を放棄し、その保障として戦力の不保持を宣言しました。人類の叡智の貴重な到達点と言わねばなりません。

 ウクライナに侵略した現在のロシアは、軍国主義・侵略主義をひた走った戦前の日本の姿です。日本は、侵略戦争を繰り返す中で、台湾・朝鮮を自国の領土とし、さらには満州を占領し、国際連盟で孤立しました。それでも中国にまで侵略の手を伸ばして泥沼に陥いり、世界から経済制裁を受けて行き詰まるや、米・英・蘭にも戦争を仕掛け…、そして壊滅的な敗戦を迎えました。

 それが内外にどんな悲惨な災禍をもたらしたか、ご存じのとおりです。これを身に沁みた日本国民は、平和憲法を制定し、二度と戦争はしない、いかなる名目でも戦争は絶対にしないこと、そしてその保障として戦力を持たないことを憲法に明記したのです。これは、日本が世界に向かってした誓約にほかなりません。

 しかし、今、ことさらに「九条は無力だ」「敵基地攻撃能力が大切だ」「非核三原則を見直そう」と、声高に語る人がいます。予てから、戦争の準備が必要だと発言していた人たちです。火事場泥棒同然にこの機会に乗じた、「防衛力を増強しよう」「軍事予算を増やそう」などという煽動に乗せられてはなりません。ましてや、「九条改憲」「核共有」などもってのほか、危険極まりないといわねばなりません。

 憲法9条本来の理念は、他国を武力によって威嚇する防衛思想を放棄し、国際的な信頼関係を醸成することによって、平和を築き戦争を予防しようということです。単に戦争を予防するだけでなく、信頼と協調で結ばれた平和な世界を創ろうということにほかなりません。本来、日本はそのような外交努力に邁進すべきなのです。

 そのとき、なによりも大切なものは、信頼の獲得です。強大な武力を持つ国ではなく、戦争を放棄し戦力を持たない平和主義に徹した国であればこそ、世界のどの国からも、誰からも信頼してもらえます。その信頼に基づいた平和外交が可能となるのです。

 戦争の原因となる相互不信の原因や、国際的な格差や飢餓や、搾取や不平等を解きほぐし信頼関係を構築するには、九条というソフトパワーは、強力なツールであり権威の源泉というべきです。

 残念ながら今、日本は世界有数の軍事力を持ち、アメリカとの軍事同盟に縛られている現状で、九条はその力を十分に発揮してはいません。それでも、九条は、少なくとも専守防衛に徹することの歯止めとしての役割を果たしています。この歯止めがはずれた場合の恐るべき事態を防止しなければなりません。

 これ以上、自衛隊を強化し、防衛予算を増やし、米軍の基地を増強し、さらには核共有までの議論を始めるとなれば、日本は、平和を望む諸国と人々に対する、国際的な信頼と権威をさらに失墜し、却って危険を招くことになるでしょう。

そうならないように、火事場泥棒に警戒を怠らず、ともに「今こそ九条を守れ」と声を挙げていただくよう、お願いいたします。日本と世界の平和のために。 

目指すのは 自由と平和 二刀流

(2022年3月17日)
 昨夜の大地震は宮城や福島では最大震度6強と報じられている。東北は私の故郷、被災の皆様にはお見舞い申しあげます。

 関東一円での震度は4、我が家が揺れて軋む音が恐かった。幸い、実害がないと思っていたら、今朝(17日)になってメールが通じていないことが分かって慌てた。このブログも、閲覧不能になっている。地震で「サーバーが落ちた」というトラブルだとのこと。本日(17日)深夜には復旧するはずだという。

 このブログが攻撃されるとすれば、安倍かプーチンの手先によるものかと思っていたが、地震もあったのだ。復旧を待つしかない。


 関東弁護士会連合会に「憲法改正問題に取り組む全国アクションプログラム」という部門があり、数年前から、「こども憲法川柳」公募の企画を続けている。再審の「関弁連たより」に、以下のとおり、今年の入賞作品が発表されている。

第5回こども憲法川柳 入賞作品発表!

 関東弁護士会連合会では、今回も管内11都県の小学校5年生から高校3年生までの学生の皆さまに「日本国憲法」を題材とする川柳を募集したところ、多数のご応募をいただきました。
 審査の結果、次の作品を入賞作品に決定しました。
 ご応募いただきました皆さま、ありがとうございました。

最優秀賞(1作品)

 目指すのは 自由と平和 二刀流

 (山梨県中学3年 大天使ルシファー)

 (作品に込められた思い)自由と平和を両立することで必ず良い未来が待っているという思いを込めた。

優秀賞(5作品)

 攻めちやうの? 守るだけだよ 自衛隊 (東京都中学3年)

(思い)集団自衛権により他国を攻撃してしまうことがあるのでやめてほしい。

 振り上げた 軽い拳が 戦争参加(惨禍) (東京都高校1年)
(思い)憲法9条を守りたいという強い思いを込めた。安易に周りに流されて戦争に向かうことのないよう、一人ひとりが考えてほしいというメッセージを伝えたい。

 戦闘機 国を守りて 人守らず (山梨県 高校2年 鈴山かやく)

(思い)年々上がる防衛費。確かにそれは他国からの攻撃から国を守るのに必要だ。しかしそれを補っているのは本来守るべき国の国民だ。はたしてお金をかけるべきところはそこであっているのだろうか。それを国民は望んでいるのか。

 第9条 消費期限は 永久です  (山梨県中学3年 もみじ)
(思い)第9条は絶対に変えてはいけないものなので、未来まで戦争のない幸せな日本であり続けてほしいから。

 黒髪に 染めて心も ブラックだ  (千葉県中学3年)
(思い)自分も学生としてこの校則はよくないと思うし、髪を染めた人はどのような気持になるか考えてかきました。

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 最優秀賞の「二刀流」は大谷翔平の活躍にあやかったものだろうが、「自由」と「平和」を組み込んだのは、なかなかのセンス。「自由と平等」や、「民主と人権」では面白くない。まさか、「成長と分配」、「予防と経済」でもあるまい。

 この句の形、無限にパロディを生む。その意味では、たいへんな秀逸作

 目指すのは 法治と立憲 二刀流
 目指すのは 護憲と倒閣 二刀流
 目指すのは 非核非武装 二刀流
 目指すのは 平和と友好 二刀流
 目指すのは 民事も刑事も 二刀流
 目指すのは 理論と実践 二刀流
 目指すのは ワークとライフ 二刀流
 目指すのは 家庭と社会の 二刀流
 願わくは 半農半漁 二刀流
 うそっぼい 倫理と算盤 二刀流
 本領は 嘘とごまかし 二刀流
 みえすいた カネと売名 二刀流
 プーチンに 抵抗腹背 二刀流
 プーチンに 抗議と制裁 二刀流
 プーチンに 声とペンでの 二刀流
 プーチンは 四苦と八苦の 二刀流
 目指すのは 福祉と9条 二刀流
 目指すのは 竹刀と木刀 二刀流
 目指すのは 武器を持たない 無刀流

『きょういく』と『きょうよう』に満ちた一日

(2021年12月14日)
 誰の言葉か。「高齢者には『きょういく』と『きょうよう』が必要」だという。教育と教養ではない。「『今日行くところ』と『今日すべき用事』があれば、ボケることはない」ということ。まったくそのとおり。コロナ禍の最近、今日行くところがなくなっている。

 本日は恒例の「本郷・湯島9条の会」街頭宣伝活動。厳寒の冷雨を衝いての決行である。さながら、赤穂浪士討ち入りの心境。300年余以前の今日、徒党を組んだテロリスト集団が大江戸を騒がせた。47名共謀しての、住居侵入、往来妨害、監禁、傷害、殺人、死体損壊、建造物損壊等々の刑事犯罪の数々。

 「本郷・湯島9条の会」は、犯罪とは無縁の徹底した合法主義団体である。が、改憲阻止の意気込みだけは、討ち入りの浪士並み。「9条壊憲ストップ」「戦争できる国へ、9条改悪ストップ」「6兆円こえる軍事費、いつの間にか戦争する国に」「敵基地攻撃能力は9条違反」「グズグズ地盤の辺野古基地建設中止」「思いやり予算1兆円軍事費6兆円超え」「人類の理想、戦争放棄の9条」「批判しない野党、わさび抜きのおすし、からし抜きのおでん」「しなくても増える軍事費、しても増えない支援金」等々のプラスターにはビニールをかぶせ、代わる代わるマイクを握った。

 「世論は安倍改憲政権を倒した。ところが却って今、改憲の危機が迫っている」「安倍晋三が言ってるそうだ。強面の自分ではできないが、岸田政権だからこそ改憲の可能性が高まった」「どんな事態でも9条を変えてはならない。9条こそは、戦争への歯止め。9条がなくなれば再び戦争を繰り返す日本になる」「憲法9条は理想に過ぎないという人もいる。しかし、理想は大切にしなければならない。平和の理想を語りあうことが平和の維持のために必要ではないか」「安易な現実への妥協は汚辱にまみれた戦争への道、飽くまでも美しい平和の理想を追い求めよう」「憲法9条こそが、実は日本にとって最も現実的な安全保障政策であることを確認しよう」「国の安全を軍備の増強に頼ることは、対立する国同士の限りない軍拡競争の連鎖に落ち込み、結局は国を滅ぼすことになる。それこそが、80年前太平洋戦争に突入した歴史の教訓ではないか」

「戦争に対する反省は、勝てない戦いを始めたことではない。勝っても負けても、悲惨極まりない戦争を始めたことだ」「中国の台頭著しい今、対抗する武力を抑止力にしょうという考え方が、リアリティを失っている」「日本は各国と平和的に連携し国際法と国際世論の良識を集約した批判をもって軍事大国の覇権主義に対抗する。これよりほかに手段はない」「アメリカの核の傘に頼ることは、結局核競争の危険な悪循環をもたらすだけの無意味なこと」

「80年前、日本国民は周囲の国民を、鬼畜米英と言い、暴支を膺懲すべしと言い、不逞鮮人取り締まれと言った」「戦争をするには、無理にでも相手を憎まなければならない」「外国人を差別し、憎悪するような風潮は戦争の準備でもある」「平和は、世界の諸国民との親密な友情によって支えられる」「お互いの、ヘイトの言動や心情は、戦争につながる」「どの国の人も大切にしよう」「とりわけ、中国・朝鮮・韓国の人びとと友好を深めよう」

 街宣終了後、リーダーの石井彰さんが、いみじくも言った。「こういうときこそ、草の根が大事です。大集会も大宣伝もたいせつだけれど、何よりも心ある人みなが、身近なところで声を上げなくてはならない。7500ある九条の会」みんなが一斉に声を上げれば力になります。本日は、ご苦労様でした」

 その後に、文京革新懇の世話人会議。やはり、今の改憲策動の切迫感がこもごも語られた。そして、選挙共闘の必要性と、必要ではありながら現実には難しいことも。

 革新懇の世話人会議は高齢者が多い。さすがに含蓄の深い言葉にハッとさせられることも。

 「これまで、何度も選挙を経験してきたが、自分たちが努力し積み上げてきたもの以上の成果は出ない、そう思わせられ続けてきた。しかし、今回だけは、例外ではないかと夢を見た。市民と野党の共闘に支えられた政権獲得選挙という夢。しかし、儚い夢は破れた。やはり成果は、自分たちが努力し積み上げてきたものだけなのだ。次も、確実なものを積み上げなければならない」

 「『反共は戦争の前夜』。言い古された感があるが、この度はこの言葉が身に沁みた。『反共攻撃』『野党共闘の妨害』は、保守の側にとっての至上命令なのだ。臆せず怯まずに、反共攻撃とは対峙して克服しなければならない」 

 そして夕刻は、オンライン参加の「法と民主主義」編集会議。『きょういく』と『きょうよう』に満ちた、討ち入りの日の一日だった。

本郷三丁目の街角で ー 憲法9条の理念を訴える。

(2021年3月9日)
皆さま、明日が3月10日です。あの東京大空襲の日。76年前の3月10日、東京下町は252機のB29による空襲で一面の火の海となりました。一夜にして10万の人々が殺戮され、100万人が焼け出されたのです。私たちは、ヒロシマ・ナガサキの原爆投下とならぶ東京大空襲の被害を忘れることができません。また、けっして忘れてはならないと思います。

この日の未明、わずか3時間の間にB29の大編隊は低高度から1665トンに及ぶ大量の焼夷弾を投下しました。折からの強風に煽られた火は、たちまち大火災となって、東京の半分を焼き尽くしたのです。

この日、空襲が始まるまで空襲警報は鳴りませんでした。防空法という法律が、人々を逃げずに現場で消火にあたれと足を止めて被害を広げました。何よりも、首都の防空態勢は無力でした。グアム・サイパン・テニアンの各基地から飛び立った機の、長距離爆撃を防ぐ手立ては日本にはなかったのです。

1945年3月、首都を焼かれ100万の被災者を出して、日本の敗戦は誰の目にも明らかとなりました。それでも、この国は戦争をやめようとはしませんでした。今では知られているとおり、政権が国体の護持にこだわってのことです。国民の命よりも、天皇制の存続が大事と本気になって考えていたからなのです。

国民の戦争犠牲は、東京大空襲被害のあともとどまることなく、日本の都市のほとんどが焼け野原となり、沖縄戦、ヒロシマ・ナガサキの悲劇と続きます。敗戦は8月となりましたが、国民は文字通り、塗炭の苦しみにあえいだのです。

でも、戦争の被害は日本国内だけのものではありませんでした。日本が仕掛けた戦争でしたから、主たる戦場となったのはアジア・太平洋の各地でした。そこでは、戦闘員でない一般市民が、天皇の軍隊によって理不尽な殺戮の対象となりました。

たとえば、重慶大空襲。1938年末から1941年にかけて、日本軍は当時中国蔣介石政権の臨時首都とされた重慶市に無差別爆撃をくり返し多くの人々を殺傷しました。中国側の資料によると、その爆撃回数は218次に及び、死傷者2万6千人、焼失家屋1万7千戸の被害を出しています。戦争末期に、日本はそれ以上の規模での報復を受けたことになります。

日本国憲法は戦争の惨禍を再び繰り返してはならないという日本国民の切実な願いを結実したものとして生まれました。その第9条は、再び戦争をしないという不戦の誓いを条文にしたものです。

戦争の惨禍は、加害によるものと、被害としてのものと両者があります。日本は近隣諸国の人々に筆舌に尽くせない、甚大な被害を与えました。その死者の数だけでも2000万人を下らないと考えられています。そして、自国民の被害も310万人に上っています。

二度と愚かな戦争を繰り返してはなりません。平和憲法を守り9条を守り、この9条を活かして崩れぬ平和を守り抜こうではありませんか。近隣の諸国を敵視し、あるいは威嚇するのではなく、お互いに敬意をもって接し友好を深め、民間交流も活発化して、国際紛争は誠実で真摯な外交交渉によって解決すべきです。それが、日本国憲法の示すところです。

以上で、「本郷湯島9条の会」からの今月の訴えを終わります。耳をお貸しくださりありがとうございました。

暮れに思う ー 改憲は、ウソつき晋三にできることではなかったのだ。

(2020年12月31日)
大晦日の今日、東京の新規コロナ陽性者数は1337人だという。気の滅入るようなコロナ禍の中2020年が暮れてゆく。明日の希望が見えるような年の瀬ではない。とは言え、日本国憲法を大切に思う者にとっては、特別の感慨がある今年の終わりである。

思い出す。2017年5月3日、憲法施行70周年となる憲法記念日の右翼の集会に、安倍晋三はビデオメッセージを送った。かれは自分の支持基盤に対して、あらためての改憲の誓約をした。そして、「2020年を新憲法施行に年にしよう」と、決意を述べたのだ。

「私は、かねがね、半世紀ぶりに夏季のオリンピック、パラリンピックが開催される2020年を、未来を見据えながら日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけにすべきだと申し上げてきました。かつて、1964年の東京五輪を目指して、日本は大きく生まれ変わりました。その際に得た自信が、その後、先進国へと急成長を遂げる原動力となりました。」「2020年もまた、日本人共通の大きな目標となっています。新しく生まれ変わった日本が、しっかりと動き出す年、2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと強く願っています。私は、こうした形で国の未来を切り拓いていきたいと考えています。」

その2020年が終わろうとしている。憲法は健在である。そして、今年安倍晋三が利用しようとした東京オリンピックはなく、安倍晋三は退陣して桜疑惑追及の醜態をさらしている。もちろん、菅義偉承継政権が信をおくに足りるものではない。学術会議任命拒否問題だけで正体見たりとの感はあるが、相対的に改憲意欲が高いとは見えない。

今年幕を引いた安倍政権とは何であったか。その国民の印象を12月19日毎日朝刊「仲畑万能川柳」蘭の掲載句がよくまとめている。

 リズムよし「モリカケ桜クロカワイ」 日南 たかの紀凜

安倍内閣とは、改憲勢力の与望を担って登場した改憲指向政権であった。保守内右翼が作った長期政権として、民族差別・歴史修正主義・対米従属の政権として、左派・リベラル陣営との強い緊張関係が絶えなかった。もしや、安倍晋三やその取り巻きが、廉潔な政治姿勢を維持していたとしたら、7年8か月の間に何らかの改憲ができていたかも知れない。

しかし、安倍晋三の国政私物化体質と、ウソとごまかしの政治姿勢は抜きがたいものとして、国民の反発を招き、数々の悪法を残しながらも、憲法に手を付けることはできないまま、政権の座を去った。言わば、ウソつき晋三のウソつき体質が、改憲世論の興隆を阻害したのだ。あらためて思う。憲法改正は真に国民の信頼を重ねてでなくては、なしえない事業なのだ。

退陣した安倍政権にレガシーというべきほどのものはなく、負のレガシーが「モリカケ桜クロカワイ」に代表される、国政の私物化と腐敗であった。このことを凝縮したのがこの句だが、いかんせんアベ政治の腐敗は「森友・加計・桜を見る会・黒川・河井」の5事件だけでは収まらない。IR汚職で起訴され、証人買収までして保釈を取り消された秋元司事件は欠かせない。今話題の農水大臣吉川貴盛の事件も。起訴は免れたが、大臣室で陳情に来た業者から現金を受け取った甘利明・元経済再生相。後援会の観劇ツアーの疑惑を追及されて、証拠隠滅のためにドリルでハードディスクを破壊した小渕優子・元経産相。そして下着泥棒疑惑で“パンツ大臣”と呼ばれた高木毅・元復興相。下村博文は、その「博友会」が政治団体の届け出をせずに政治活動を行ったという疑惑を追及された。まだまだ書き切れない。

これだけの不祥事の固有名詞を川柳に読み込むのは無理なのだ。狂歌でも都々逸でも不可能。長歌なら可能だろうが、覚えきれない。「スキャンダルいっぱいの」「ウソとゴマカシと違法だらけの」安倍政権というしかない。

「モリカケ桜クロカワイ」の中核に位置している「桜疑惑」。その一部である「前夜祭の収支疑惑」追及の告発がこの暮れに「安倍不起訴」となった。その安倍の記者会見と国会(閉会中審査における議運)での答弁が、また新たな疑惑を生んでいる。ウソを上塗りすると、新たなウソが生じるのだ。こうしてウソの追及をされ続けるのが、ウソつき晋三の宿命である。

明くる年もまた、ウソつき晋三に対する追及をゆるめることはできない。日本国憲法を擁護するためにも。

日本学術会議「任命拒否」問題を、街頭で訴える。

(2020年11月10日)
本日は、恒例の「本郷湯島九条の会」月例街頭宣伝活動。紺碧の空と陽ざしに恵まれ、本郷三丁目交差点・かねやす前に、マスク姿の12名が参加しました。手作りのプラスターを手に、ズラッと並ぶと壮観です。道行く人たちもつい見入ってしまうようです。

そのプラスターの名文句の数々。

秋田から東京くれば苦労人。
苦労人冷たい人もいるんだな。
たっぷりと歳費もらって叫ぶ自助。
気に食わん者は排除、ゴーマン・スガ政権。
都合悪い学問研究は排除。
スガ首相はアベ前首相を踏襲して、任命拒否を役人のせいにしてはいけない。
壊れたレコード、それは当たらない、棒読み、支離滅裂、答弁不能
公務員の選任は国民固有の権利だ、スガ首相の権利じゃない。
学術会議は軍事研究へのご意見番、任命拒否は許さない。

 アメリカ大統領選はバイデン大統領の誕生により、狂気のトランプ時代は4年で幕を閉じます。米中の緊迫した事態の中で、日本の進路が鋭く問われることになります。憲法9条をもつ日本は、しっかり自立し、国際法と道理に基づいて世界の緊張関係を平和裏に解決していく道筋を探っていかなければなりません。そのことを多くの弁士が訴えました。

そして、平和の問題にダイレクトに連動している日本学術会議問題です。日本学術会議6名の任命拒否問題に弁士の舌鋒は集中しました。先のアジア太平洋戦争の反省から日本学術会議が誕生しました。それは学問が政治に隷属してはならないという教訓からのことです。日本学術会議創立から71年、この間、一貫して日本学術会議法3条『日本学術会議は独立して職務を行う』、7条2項『会員は日本学術会議の推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する』。公選制から任命制に変更されても「任命は形式的で推薦をそのまま任命する」と国会で政府は答弁しつづけたこと…。

菅義偉首相が今回、6名の任命を拒否したことは、政府が勝手に法解釈を根幹から変更したことになります。これは、憲法41条『国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である』をないがしろにした、事実上の立法行為。違憲行為。菅義偉首相は、憲法23条の学問の自由もないがしろにして、国会を無視する独裁者に成り果てたかのようです。各弁士はこのことを厳しく訴えました。

本日は、初めて近く予想される衆院選の東京2区日本共産党予定候補がこの街頭宣伝に参加してマイクを握り、今こそ立憲野党の連合政権をつくる機会であることを訴えました。「本郷・湯島9条の会」は、何党の人でも憲法を守る立場の方なら歓迎いたします。また、何党の人でも、憲法を守る立場でない方にはご遠慮を願います。

コロナ禍はますます猛威を奮っています。
菅義偉政権のコロナ禍政策といえば、「go toトラベル」「go toイート」の類いばかり。有効な対策はありません。今わたしたち国民は、「自助・共助」でしのぐしかありません。

選挙も、そう遠くはないと思われます。是非とも、しっかりと憲法を擁護する新政府をわたしたち自身の手でつくろうではありませんか。

                 「本郷・湯島九条の会」石井彰(+澤藤)

弁護士会は、アパホテルを他の企業と同列に遇してはならない。

質問状に対する回答に接して

2020年9月11 日

関東弁護士会連合会
理事長 伊藤茂昭殿

本年8月17日付公開質問状別紙に記載の弁護士計65名
〒113-0033 東京都文京区本郷5丁目22番12号
代 表  澤 藤 統一郎

 「関弁連だより」(№272)に掲載されたアパホテル専務インタビュー記事(以下、「アパホテル記事」と言います)に関して本年8月17日付「公開質問状」を発送いたしましたところ、同月28日付の「回答」に接しました。期限内に誠実なご回答をいただいたことに感謝申し上げます。

また、当該回答書中に、「執行部としては,弁護士法に基づく公的法人である構成弁護士会の連合会として,この記事の掲載を継続することは適切ではないと判断し」「今後は,会員からの疑義が述べられるような事態が発生しないよう,慎重に取り組む所存」との記載があり、あらためて関弁連の基本姿勢を確認して安堵いたしました。
とは言え、「回答」書中にはやや納得しかねる点も散見されます。とりわけ、個別の質問についての回答はいただけなかったため、この度のアパホテル記事掲載という不適切な事態がどうして生じたのかについてのご説明はなく、またアパホテル記事が何故に不適切なのかについての理由の開示も不十分と感じざるを得ません。
今後の適切な会務運営と、さらに充実した会報を期待して、ご参考にしていただきたく、以下の意見を申し上げます。

(1) 回答書中には、アパホテル記事掲載を不適切とする理由として、「私企業の経営者のインタビュー記事は、その人の思想信条を支持するかのような誤解を与える可能性があり」とあります。しかし、私たちは、決して私企業性悪説に与するものではありません。その経営者の思想信条が、憲法の理念や関弁連の基本方針に合致するものであれば、記事掲載になんの支障もないことは明らかと考えます。また、必ずしも合致するとは言えない場合でも、大きく背反することのない常識的な範囲のものであれば、敢えて問題とするには及ばないとも考えます。
私たちは、「極端に反憲法的な思想や行動と緊密に結びついた企業、あるいは社会正義や人権の擁護に悖る企業を弁護士会連合会の会報に無批判にとりあげること」が問題であり、弁護士会の姿勢について社会に誤解を与える点で不適切だと考えます。
今回の公開質問状は、私企業一般の問題ではなく、歴史修正主義・憲法改正・非核三原則撤廃・核武装などという極端な反憲法的イデオロギーと緊密に結びついたアパホテルグループの特殊な姿勢を問題とし、これを無批判に広報紙に掲載することが関弁連として不適切と主張していることをご理解いただきたいと存じます。

(2) 回答書中に「『(アパホテル)経営者一族の思想信条には触れておらず、記事そのものについては問題がない』という意見もあった」とあります。この意見こそ、弁護士会内において克服されねばならないものと考えます。
アパホテルグループが、その反憲法的言動において突出していることは、社会的に顕著な事実となっています。アパホテルやその経営者を会報記事に取りあげるとすれば、とりあげる側の歴史観や憲法についての姿勢が問われることになります。そのような客観的な状況が存在しているのです。読み手は、よく知られたアパホテルグループの反憲法的な見解や姿勢と連動して、掲載者側の姿勢を推し量ることにならざるを得ません。関弁連だよりが、アパホテル記事を掲載すれば、関弁連のみならず、日弁連や単位会の憲法についての姿勢までが社会から問われることになります。「『経営者一族の思想信条には触れておらず、記事そのものについては問題がない』という意見」は、その意味で余りに軽率で不見識と言わねばなりません。

(3) 「アパホテル記事は、『経営者一族の思想信条には触れておらず、記事そのものについては問題がない』という意見」は、別な角度からも、批判されねばなりません。
例えば、人権弾圧をおこなっていると広く認識されているある外国の指導者が来日した場合、有力なメディアがその指導者のインタビュー記事で、その人権弾圧の点に何も触れない記事は、当該人権弾圧を不問に付しているとみなされることになります。そのことは、「何も触れていない」ことで、世論における批判を希釈しあるいは免責するという効果を生むことになると言わねばなりません。
同様に、アパホテル記事も、弁護士会が「経営者一族の思想信条に触れないこと」で、関弁連がアパホテルグループの反憲法姿勢を不問に付すべきものと判断したと受け取られ、憲法を大切に思う世論に負の影響をもたらすことを考えていただくよう、要望いたします。

(4) 弁護士会は、日本国憲法の理念にもとづいて社会正義と基本的人権とを顕現すべき立場から、一定の企業には批判的立場をとらざるを得ず、そのため過度な親密化は好ましくないと考えます。
そのような企業としては、憲法や法律をないがしろにすることを広言する企業、労働者に対するハラスメントで指弾されている企業、公害や消費者被害を頻発している企業、不当労働行為や労働基準法違反の常習企業、反社会的勢力と結託している企業、デマやヘイトを事としている企業等々が考えられます。このような企業を、無批判に他の企業と同列に遇してはならないと考えます。今回のアパホテル記事問題は、そのような典型事例と考えて然るべきではないでしょうか。

今後、会務の運営に以上の点をご参考にしていただけたら幸甚に存じます。
そして、会報広報委員会の皆様には、ますます魅力的な「たより」をお届けいただくよう、お願い申し上げます。

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関東弁護士会連合会(関弁連)の会報「関弁連だより」(№272・2020年6月30日発行)に、アパホテル専務インタビュー記事が掲載された問題。当ブログは、まずこれを批判し、65名の弁護士連名での公開質問状を提出して、これに回答を得た。その一連の経過は、下記URLをご覧いただきたい。

不見識きわまれり、弁護士会広報紙にアパホテルの提灯記事。
http://article9.jp/wordpress/?p=15193

アパホテル記事について、関弁連に対する公開質問状。
http://article9.jp/wordpress/?p=15444

関弁連から、アパホテル問題についての「公開質問状に対する回答」

http://article9.jp/wordpress/?p=15553

この経過における問題提起とその回答は、それなりに考えるべき興味深いテーマを浮かびあがらせている。冒頭の「公開質問状に対する回答に接して」は、そのまとめとなっている。

上記のとおり、意見は4項目である。要約すれば、以下のとおり。

(1) なぜアパホテル記事掲載は不適切なのか。「極端に反憲法的な思想や行動と緊密に結びついた企業」だからである。私企業一般を問題としているのではない。歴史修正主義・憲法改正・非核三原則撤廃・核武装という極端な反憲法的イデオロギーと緊密に結びついたアパホテルグループの特殊な姿勢を問題としているのだ。

(2) インタビュー記事は「経営者一族の思想信条には触れていない」、だから問題ないとしてはならない。この経営者一族が、その反憲法的言動において突出していることは、社会的に顕著な事実であって、アパホテル記事を掲載した弁護士会が憲法についての姿勢を問われることになるのだ。これに目をつぶるのは、余りに軽率で不見識。

(3) 弁護士会が、アパホテルを記事にして、「経営者一族の思想信条に触れないこと」は、弁護士会がアパホテルグループの反憲法姿勢を不問に付すべきものとのメッセージを社会に発信したということになる。憲法を大切に思う世論に負の影響をもたらすことを考えなければならない。

(4) 弁護士会は、その任務から、一定の企業には批判的立場をとらざるを得ず、そのため過度な親密化は好ましくない。たとえば、「憲法や法律をないがしろにすることを広言する企業」「ハラスメント企業」「公害や消費者被害の垂れ流し企業」「不当労働行為や労働基準法違反の常習企業」「反社会的勢力と結託している企業」「デマやヘイトを事としている企業」等々。このような企業を、無批判に他の企業と同列に遇してはならない。アパホテルは、その典型ではないか。

一応の成果はあったと考えて、上記意見書を再度送付することで、今回のアクションは終了することとなった。

天皇への態度こそは、精神のリトマス試験紙である。

とあるメーリングリストで、こんな投稿に出会った。

 自ら文化人とか知識人と自任しているであろうマスコミに登場する人達の実態は天皇制に対する立ち位置で簡単に判別できる。憲法の本質から外れる天皇制を容認するのか否か。これが、有名無名に限らずその人の認識を判断するリトマス試験紙だ。

 まったくそのとおり、「天皇制についての態度はリトマス試験紙」は至言である。天皇制を容認するか否かがその人の精神の在り方を映し出す。

権威に従うのか、自立の精神を尊ぶのか。
社会の主流におもねるのか、抵抗するのか。
同調圧力に屈するのか、反発するのか。
現状を容認するのか、変革を求めるのか。

天皇を敬う、天皇に恐れ入る、天皇を褒める、天皇を敬語で語る…そのときに、その人の蒙昧さが滲み出る。天皇の御代をことほぐ、天皇の弥栄を讃える、テンノウヘイカ・バンザイを叫ぶ…そのときその人の知的頽廃が顕れる。天皇制の永続を願うという…その人の臣民根性こそが救いがたい。

投稿の「憲法の本質から外れる天皇制」という断定が鋭い。
「憲法が天皇を認めているから、護憲派の私も天皇を認めざるを得ない」ではない。「憲法の条文に天皇が書かれてはいるが、それは『憲法の本質』ではない。護憲派の私なればこそ、天皇を容認しない」ということなのだ。

まずは、「憲法になんと書いてあろうとも、私は世襲や差別を認めない」と言わねばならない。「高貴な血という馬鹿げた迷信をこの世からなくそう」「戦争に利用された天皇制という危険な存在を容認してはならない」が、当たり前の感性であり、精神の在り方なのだ。

憲法とは核心(コア)をなす部分と、核心の外にある周辺部分とからできている。天皇制は、核心部分にはない。核心と矛盾するものだが、「国民の総意に基づく限りにおいて」憲法の周辺部の端っこに位置している。個人の尊厳が、憲法の「1丁目1番地」だとすれば、天皇の存在の位置は「番外地」なのだ。

憲法のコアをなす部分こそが、「憲法の本質」である。明らかに、「天皇制は憲法の本質から外れ」ている。平等原則とも、主権原理とも、もちろん民主主義とも。

「憲法を護ろう」とは、天皇が公布した日本国憲法という憲法典を守ろうということではない。「日本国憲法の本質としてのコアな部分」、つまりは近代市民社会の理性が到達した「人権体系」と「その人権体系を擁護し実現するための統治機構の原則」をこそ護ろうということなのだ。

だから、敢えて言えば、憲法の本質と明らかに矛盾した天皇制条項をなくしていくことこそが、真に憲法を擁護することなのだ。
(2019年11月20日)

安倍改憲阻止のために(その1)

※はじめに
本日(8月17日)の学習会。ご指定のタイトルが、「改憲阻止のために」。
そして、次のテーマに触れるよう、事前のご注文をいただいています。
第1 改憲の危機・情勢等
第2 立憲主義・個人の尊厳等
第3 天皇代替わり関連のこと

以上の第1が、「憲法をめぐる政治情勢」。第2が「憲法の構造をどう理解するか」という基本問題。そして、第3が象徴天皇制をめぐるトピックのテーマと理解して、報告を進めます。

なお、かなり長いので、第1を本日(8月17日)、第2・第3を明日(8月18日)の各ブログにアップいたします。

第1 改憲の危機・情勢等
1 憲法をめぐる大状況
実は、改憲の危機はこれまで常にあったし現にある、と言わねばなりません。日本国憲法成立以来、憲法は一貫して危機にあったのです。
自民党が、「自主憲法制定は結党以来の党是」としている如く、戦後の保守政権は、一貫して憲法を敵視し、あわよくば改憲を狙い続けてきましました。
ほぼ一貫して、このような保守政権を支え続けてきたのが国民であり、また、改憲策動を許さず、憲法を守り抜き、定着させてきたのもまた国民です。
改憲反対の側から見れば、保守が邪魔とする憲法であればこそ、護るべき意義があると言えると思います。

2 安倍政権の改憲志向
その保守のホンネを語る貴重な文化財が自民党改憲草案(12年4月27日)です。そのようなホンネを恥ずかしげもなく実現しようとする真正右翼・改憲主義者が政権を把握しました。それが、安倍晋三です。
安倍政権とは、
国家主義・軍事大国主義・歴史修正主義・新自由主義を理念とし、
「親大日本帝国憲法・叛日本国憲法」路線の政権です。

3 「安倍改憲」提案の経過
☆安倍ら改憲派にとっては、明文改憲が必要なのです。戦争法(安保関連法)はようやく成立させたけれど、憲法9条の壁を乗り越えられず、「不十分なもの」にとどまっている。「フルスペックの集団的自衛権行使」はできないままとなってる。今のままでは、同盟国・アメリカの要請に応じての海外派兵はできない。だから、何とかしての「9条改憲」なのです。
☆しかも、改憲ができそうな情勢ではありませんか。改憲派が、各院の3分の2を超える議席をもっている。今のうちなら、改憲の現実性がないとは言えません。
☆2017年5月3日 安倍は、右翼改憲集会へのビデオ・メッセージを送り、同時に読売新聞紙面で、「アベ9条改憲」を提案します。ご存じのとおり、現行の9条1項2項には手を付けず、そのまま残して、「自衛隊を憲法に明記するだけ」の改憲案です。この改憲を実現して、2020年中に施行するというのです。
☆実は、その種本は、日本会議の伊藤哲夫「明日への選択」に掲載された論文です。
彼は、一方では、「力関係の現実」を踏まえての現実的提案としていますが、もう一つの積極的な狙いを明言しています。「護憲派の分断」という戦略的立場です。
つまり、これまでの護憲派の運動は、「自衛隊違憲論派」と「自衛隊合憲(専守防衛)派」の共闘で成立している。この両者の間に楔を打ち込むことが大切だというのです。
☆その1年後の2018年3月25日、自民党大会がありました。予定では、この大会までに党内意見を一本化して、華々しく9条改憲を打ち上げる手筈でした。何とか、改憲原案については党内の「憲法改正推進本部長一任」までは取り付けましたが、全然盛り上がらない。現実には4項目の「たたき台・素案」作成にとどまるものでした。
☆その後速やかに、改憲諸政党(公・維)と摺り合わせ→「改正原案」作成、の予定とされていましたが、現在与党内協議さえ、まったく緒についていない現状です。
☆当初は、2018年秋の臨時国会にも、「改正原案」上程の予定でした。
衆院に『改正原案』発議→本会議→衆院・憲法審査会(過半数で可決)
→本会議(3分の2で可決)→参院送付→同じ手続で可決
『改正案』を国民投票に発議することになる。
☆60~180日の国民投票運動期間を経て、国民投票に。
国民投票運動は原則自由。テレビコマーシャルも自由。
有効投票の過半数で可決。
☆「安倍のいるうち、両院で3分の2の議席あるうち」が、改憲派の千載一遇のチャンスなのです。裏から見れば、安倍を下ろすか、各院どちかでも3分の2以下にすれば良い、と言うことなります。
☆そのような視点からは、2019年7月の参院選→改憲派の3分の2割れは由々しき事態です。しかも、自民は9議席減らして、相対的に公明の発言力が強くなっていますが、その公明が世論の動向を気にして、改憲協議に応じようとはしないのです。
☆しかも、現在、衆参両院の憲法審査会は機能していません。これを無理やり動かそうとした下村博文が、却って与野党の関係者から批判を浴びている現状です。大島衆院議長を批判した萩生田光一も肩身の狭い思いを強いられています。

4 「安倍9条改憲」の内容と法的効果
★「自民党改憲草案・9条の2」は、「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。」という勇ましいものです。自衛隊ではなく、堂々の国防軍をもちたいのです。これが、安倍晋三のホンネ。
★さすがにそれは無理。「たたき台素案・9条の2」はこうです。「前条(現行憲法9条)の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高指揮官とする自衛隊を保持する。」
☆安倍改憲では、堂々の国防軍は持たない。「自衛のための実力組織」としての自衛隊しか持ちません。しかし、よく読めばお分かりのとおり、9条1項2項の規定はそのまま置かれることにはなりますが、新しい定義の自衛隊を持てるというのです。これは、現行の9条を死文化することになります。自衛隊の中身は、時の多数派の意向次第。
「従って、本来ないはずの軍事力」が明文で合憲化されます。軍事の公共性が認められることにもなります。自衛隊員募集協力への強制や、土地収用法・騒音訴訟・戦争被害賠償訴訟にも、沖縄・辺野古基地関連訴訟にも大きく影響します。
☆しかも、戦争法を合憲化し、集団的自衛権行使が可能となり、海外派兵も容易になります。

5 緊急事態条項の危険性
制憲国会での金森徳次郎の次の答弁が示唆的です。
「緊急事態条項は、権力には調法だが、民主主義と人権には危険」

だから、新憲法には、緊急事態条項を盛り込まなかったのです。

権力と民主主義、調法と危険は、相反するのです。

(2019年8月17日)

関弁連「こども憲法川柳」入選作紹介

ご存じのとおり、弁護士会は弁護士法にもとづく公法人であり、全弁護士が会員となる強制加入団体である。どの国家機関からも統制を受けることのない自治組織であることを特徴としている。個別の弁護士は、その業務の遂行に関しては弁護士会からのみ指導監督を受け、最高裁からも官邸からも法務省からも容喙されることはない。全国に、52単位弁護士会があり、これを統括する日弁連がある。

余り知られていないが、単位会と日弁連との間に「中2階」の組織がある。通例「弁連」というようだが、全国8高裁の管轄内単位弁護士会の連合体である。

北から順次、北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州の各「弁護士会連合会」。その8弁連のうち最大の規模をもつのが、関東弁護士「会」連合会、略称「関弁連」である。東京高等裁判所管内13弁護士会によって構成されている。分かりにくいが、東京の三弁護士会(東京・第一東京・第二東京)と、神奈川県・埼玉・千葉県・茨城県・栃木県・群馬・山梨県・・長野県・新潟県・静岡県の各弁護士会の連合組織。

関弁連のホームページには、「関弁連に所属する弁護士の数は約2万人で,日本の弁護士の約60%が関弁連に属しています。」とある。

普段は目立たぬ関弁連だが、昨年(2017年)から「こども憲法川柳」の募集と入選作の発表を行っている。先日届いた「関弁連だより・2018年12月号」に、その入賞作品が発表されている。これがなかなかに面白いので、ご紹介したい。

(最優秀賞 1作品)

 改憲の前に議員よ開瞼(かいけん)を!   (山梨県 高校1年)

作品に込められた思い 「よく国会で、腕組みをしてうつむいて目を閉じている議員の方々をテレビで観ますが、憲法改正という国家の方向性を決める大事な議論をする時は、せめて目を開けていて欲しいという願いを込めました。」

(優秀賞 3作品)

 憲法を 知らないこわさに 気が付いて   (東京都 小学5年)

作品に込められた思い「知らないうちに憲法が変わっていって戦争にならないようにしなければならないと思って作りました。」

 校則に 子どもの人権 ありますか          (埼玉県 小学6年)
作品に込められた思い「進学予定の中学校の校則には理不尽
に思える内容が多かったので書きました。」

 無関心 私の未来 守れない                 (新潟県 高校3年)
作品に込められた思い「私達が、憲法について関心があると、もし憲法が変わるとなった場合、賛成や反対ができ、私達の求めるすばらしい未来になると思います。無関心で人任せだと、私達一人一人が納得いく日本はこないと思います。」

(佳作 5作品)
 分からない その一言で 終わらせない         (東京都中学3年)
(日本みんながしっかり憲法を理解して、考えてほしい。)

 憲法を みてみぬふりは いけんよ             (東京都中学3年)
(「いけん」はダメという意味と、「違憲」をかけました。)

 考えて 歴史と未未 つなぐ道                    (静岡県小学6年)
(時代の変化で新しいことを取り入れることも大事だけど、過去の経験と思いも忘れてはいけないという思い。)

 103の 先人の思い 変わらずに              (新潟県高校2年)
(憲法の改正はしてはいけない事だと思うので変わらずそのままつないでいきたい。)

 改正案 日本の未来 快晴か                      (山梨県高校1年)
(憲法9条の改正案が出されていてもし9条が改正された場合これからの日本の未来は本当に大丈夫なのが快晴になるのがという不安の思いを込めています。)

 

昨年(2017年)の第1回受賞作は、最優秀賞1点、優秀賞3点のほか、佳作13点となっている。

 考えろ 見るだけ聴くだけ もう終わり   (最優秀・群馬県 中3)

 軽はずみ 一字変換 戻せない              (優秀・群馬県 中3)
(これは、少し変えただけも、大きく変わってしまうことを表しています。)

 政治家よ 主権は国民 忘れるな      (優秀・東京都 中3)

 男女差別 憲法あっても 残ってる            (優秀・千葉県 高2)

佳作の中から、いくつかを

 改正は すればいいって もんじゃない

 憲法は 平和な募らしの 道しるべ

 国民の 2分の1が 決める国 (投票率の低さを指摘)

 伝えたい 世界に向けた 平和主義

なお、全句が憲法礼賛というわけではない。次の句も入選作。これもまた、結構ではないか。

 考えよう 時代に合った 憲法を

 我が国は 護憲で動けん 窮状だ

(2018年12月15日)

澤藤統一郎の憲法日記 © 2018. Theme Squared created by Rodrigo Ghedin.