『きょういく』と『きょうよう』に満ちた一日
(2021年12月14日)
誰の言葉か。「高齢者には『きょういく』と『きょうよう』が必要」だという。教育と教養ではない。「『今日行くところ』と『今日すべき用事』があれば、ボケることはない」ということ。まったくそのとおり。コロナ禍の最近、今日行くところがなくなっている。
本日は恒例の「本郷・湯島9条の会」街頭宣伝活動。厳寒の冷雨を衝いての決行である。さながら、赤穂浪士討ち入りの心境。300年余以前の今日、徒党を組んだテロリスト集団が大江戸を騒がせた。47名共謀しての、住居侵入、往来妨害、監禁、傷害、殺人、死体損壊、建造物損壊等々の刑事犯罪の数々。
「本郷・湯島9条の会」は、犯罪とは無縁の徹底した合法主義団体である。が、改憲阻止の意気込みだけは、討ち入りの浪士並み。「9条壊憲ストップ」「戦争できる国へ、9条改悪ストップ」「6兆円こえる軍事費、いつの間にか戦争する国に」「敵基地攻撃能力は9条違反」「グズグズ地盤の辺野古基地建設中止」「思いやり予算1兆円軍事費6兆円超え」「人類の理想、戦争放棄の9条」「批判しない野党、わさび抜きのおすし、からし抜きのおでん」「しなくても増える軍事費、しても増えない支援金」等々のプラスターにはビニールをかぶせ、代わる代わるマイクを握った。
「世論は安倍改憲政権を倒した。ところが却って今、改憲の危機が迫っている」「安倍晋三が言ってるそうだ。強面の自分ではできないが、岸田政権だからこそ改憲の可能性が高まった」「どんな事態でも9条を変えてはならない。9条こそは、戦争への歯止め。9条がなくなれば再び戦争を繰り返す日本になる」「憲法9条は理想に過ぎないという人もいる。しかし、理想は大切にしなければならない。平和の理想を語りあうことが平和の維持のために必要ではないか」「安易な現実への妥協は汚辱にまみれた戦争への道、飽くまでも美しい平和の理想を追い求めよう」「憲法9条こそが、実は日本にとって最も現実的な安全保障政策であることを確認しよう」「国の安全を軍備の増強に頼ることは、対立する国同士の限りない軍拡競争の連鎖に落ち込み、結局は国を滅ぼすことになる。それこそが、80年前太平洋戦争に突入した歴史の教訓ではないか」
「戦争に対する反省は、勝てない戦いを始めたことではない。勝っても負けても、悲惨極まりない戦争を始めたことだ」「中国の台頭著しい今、対抗する武力を抑止力にしょうという考え方が、リアリティを失っている」「日本は各国と平和的に連携し国際法と国際世論の良識を集約した批判をもって軍事大国の覇権主義に対抗する。これよりほかに手段はない」「アメリカの核の傘に頼ることは、結局核競争の危険な悪循環をもたらすだけの無意味なこと」
「80年前、日本国民は周囲の国民を、鬼畜米英と言い、暴支を膺懲すべしと言い、不逞鮮人取り締まれと言った」「戦争をするには、無理にでも相手を憎まなければならない」「外国人を差別し、憎悪するような風潮は戦争の準備でもある」「平和は、世界の諸国民との親密な友情によって支えられる」「お互いの、ヘイトの言動や心情は、戦争につながる」「どの国の人も大切にしよう」「とりわけ、中国・朝鮮・韓国の人びとと友好を深めよう」
街宣終了後、リーダーの石井彰さんが、いみじくも言った。「こういうときこそ、草の根が大事です。大集会も大宣伝もたいせつだけれど、何よりも心ある人みなが、身近なところで声を上げなくてはならない。7500ある九条の会」みんなが一斉に声を上げれば力になります。本日は、ご苦労様でした」
その後に、文京革新懇の世話人会議。やはり、今の改憲策動の切迫感がこもごも語られた。そして、選挙共闘の必要性と、必要ではありながら現実には難しいことも。
革新懇の世話人会議は高齢者が多い。さすがに含蓄の深い言葉にハッとさせられることも。
「これまで、何度も選挙を経験してきたが、自分たちが努力し積み上げてきたもの以上の成果は出ない、そう思わせられ続けてきた。しかし、今回だけは、例外ではないかと夢を見た。市民と野党の共闘に支えられた政権獲得選挙という夢。しかし、儚い夢は破れた。やはり成果は、自分たちが努力し積み上げてきたものだけなのだ。次も、確実なものを積み上げなければならない」
「『反共は戦争の前夜』。言い古された感があるが、この度はこの言葉が身に沁みた。『反共攻撃』『野党共闘の妨害』は、保守の側にとっての至上命令なのだ。臆せず怯まずに、反共攻撃とは対峙して克服しなければならない」
そして夕刻は、オンライン参加の「法と民主主義」編集会議。『きょういく』と『きょうよう』に満ちた、討ち入りの日の一日だった。