澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

軽減税率適用とは、追いはぎに勘弁してもらったフンドシに過ぎない。

落語では、良民から身ぐるみ剥ごうという山賊だの追いはぎだのが活躍する。彌次郎や、庚申待ち、饅頭怖いなどのサブストーリーの定番。メインストーリーとしての追いはぎ噺としては蔵前駕籠がおなじみ。この話、時代や場所が特定されている。

文楽や志ん生の録音を聞いていると、「御一新のときの上野戦争」という言葉が出て来る。江戸の庶民にとって、御一新とは、薩長という化外の地からの軍隊が押し寄せてきた戦争だったという実感があるのだろう。

その当時のこと。世情は混乱を極め、蔵前通りには夜な夜な追いはぎが出没していた。追いはぎは吉原通いの籠を襲ってこう言う。

「我々は由緒あって徳川家にお味方する浪士の一隊。軍用金に事欠いておるのでその方に所望いたす。吉原で使う汚い金を、我々が清く使ってやるのだ。命が惜しくば、身ぐるみ脱いで置いてゆけ。武士の情け。フンドシだけは勘弁してやる」

命とフンドシを勘弁してもらった被害者は、「ご勘弁いただき、ありがとうございます。」と、腰をかがめて礼を言いながら這々の体で逃げ帰ってくる。

この話、消費税の軽減税率適用によく似ている。安倍政権はこう言っているのだ。
「我々は由緒あって財界にお味方する政権与党の一味。企業減税の財源に事欠いておるのでその方らに薄く広く所望いたす。その方らの浪費を我々が有効に使ってやるのだ。8%を10%にいたすからつべこべ言うな。つべこべ言うと福祉の財源はないものと思え。とはいうものの武士の情けだ。食料品だけは8%据え置きで勘弁してやる」

さて、このセリフに、民主主義時代の主権者はどう反応すべきだろうか。まさか、「お慈悲深いアベ様。食料品の消費税アップをご勘弁いただき、ありがとうございます。」などと言うことはあるまいと思うのだが。
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      クズとカミヤツデの復讐
たった独りで草刈りや蔓払いをしていると、時に憎しみのフォースを感じることがある。ぞっとして、まわりを見回す。と、めまいを感じてふらりとし、クズの根に足をはらわれ、倒れようとする首に蔓が巻き付いてくる。握っているカマが私の胸にザックリささる。しばらく後に、探しにきた者が首にクズの蔓の巻き付いた血だらけの遺体を発見する。

「あの方はずいぶん植物を痛めつけましたからね、復讐を受けたんですよ」と誰かがうなずきながら言うだろうか、言わないだろうか。

たかが植物とはいえ、クズの生命力は尋常ではない。古家を2年間放っておいたらすっかり緑に覆われ、食い尽くされしゃぶり尽くされ、5年たったらガラスとプラスチックしか残らないだろう。

クズもすごいが、今、私が頭を抱えているのはカミヤツデ。これは南方からの帰化植物。蔓はないのでどこかに巻き付くことはないが、地下茎がはいまわって、日当たりだけではなく日陰にも湿地にも辺りかまわず芽を出す。それがピンクの茎や葉に白いフェルトをまとって、むっくりと出てきたときは、あまりの可愛らしさに見過ごしてやろうかという気分にふとなってしまう。しかし情けはかけてはいけない。それを見過ごせば、重い敷石でもフェンスでも何のその、その下を通って四方八方に地下茎は拡がっていく。

冬も成長を続けるので、すぐに直径20センチにはなって、7メートルほどの高さに成長する。冬になるとそのてっぺんに、ヤツデとおなじで、カリフラワーのような白い蕾が現れてクリーム色の花がふんわりと咲く。寒い真冬なのに、いずこからかたくさんのハチやアブの類いが現れて乱舞する。そこまでは許せるが、堪忍ならんのは、径6,70センチメートルにもなろうかという天狗の羽うちわのようなとてつもない大きな葉っぱである。下の植物には陽が当たらなくなる。それが落葉すると、下の木々の上にべったりと張り付いて、悪魔のマントが覆ったかのようになる。取り除こうとすると、葉っぱ全体を覆っている白いフェルトが飛び散って、目といわず口といわずはいりこんで、ひどい喘息発作におそわれる。

可哀想だが、今年は一番の親玉と思われる木を伐採した。幹の真ん中は白い芯になっていて、そこを取り出して桂剥きにして紙を作ったといわれているように、ザクザクの柔らかさなので、切り倒すのは造作もなかった。問題は飛び散る綿埃だった。ゴーグルとマスクを装着していたにもかかわらず、胃がひっくり返るかと思われるような咳が出てしばらく止まらず、その後の身体中をおそった筋肉痛は酷いものであった。強い植物はただ滅ぼされるということはない。必ず恐るべき復讐をするのである。
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   DHCスラップ訴訟12月24日控訴審口頭弁論期日スケジュール
DHC・吉田嘉明が私を訴え、6000万円の慰謝料支払いを求めている「DHCスラップ訴訟」。本年9月2日一審判決の言い渡しがあって、被告の私が勝訴し原告のDHC吉田は全面敗訴となった。しかし、DHC吉田は一審判決を不服として控訴し、事件は東京高裁第2民事部(柴田寛之総括裁判官)に係属している。

その第1回口頭弁論期日は、
 クリスマスイブの12月24日(木)午後2時から。
 法廷は、東京高裁庁舎8階の822号法廷。
ぜひ傍聴にお越し願いたい。被控訴人(私)側の弁護団は、現在136名。弁護団長か被控訴人本人の私が、意見陳述(控訴答弁書の要旨の陳述)を行う。

また、恒例になっている閉廷後の報告集会は、
 午後3時から
 東京弁護士会502号会議室(弁護士会館5階)A・Bで。
せっかくのクリスマスイブ。ゆったりと、楽しく報告集会をもちたい。
 表現の自由を大切に思う方ならどなたでもご参加を歓迎する。
(2015年12月15日・連続第989回)

現代の「朝三暮四」ー軽減税率適用物語り

私、菅です。官房長官の。いろいろ言われているようですがね。軽減税率の問題、落ちつくところに落ちついたんじゃないでしょうかね。結果オーライで、どんぴしゃりじゃないですか。

昨日(12月13日)の記者会見で、記者団から「軽減税率制度は、低所得者対策にはならないという指摘もあるが」と質問がありましたね。こういう予想通りの質問はとてもありがたい。まるで、示し合わせた質問みたいのね。

「日常の必需品中心なのでしっかり(低所得者対策に)なる。生活に必要なものは、生鮮食品だけでは収まらないのが事実ではないか。国民の皆さんからは大変高い評価をいただいていると思う」と予定のとおりに述べておきましたよ。久しぶりに、安倍政権が、まるで庶民の味方みたいなセリフが吐けて、格好良かったでしょう。「企業減税は大盤振る舞いで、消費税は飽くまで上げるんですか」なんて意地の悪い質問はなかった。また、支持率少し上がるんじゃないかな。

それから、政府の財政健全化目標への影響について、「全くないと考えている」と述べておしまい。それ以上の記者からの突っ込みはなかった。この商売、気楽なもんですな。

それにしても、こういうときに、私の座右の銘を思い出すのですよ。私は、安倍さんと違って少しは教養がありますから、中国の故事なども知っている。例の「朝三暮四」というやつね。荘子にも列子にも出て来る、あの有名なエピソード。

あの話しはね、実は政治家への教訓を語っているんですよ。いえ、昔のことではない。今の民主主義の時代の政治の要諦を。

あれは、「狙公なる者」と「羣を成す狙たち」のお話し。狙とは猿のこと。猿がしゃべるわけはない。文句を言ったり喜んだりする猿とは人民のこと、その飼い主の狙公なる者とは政治家のこと。そう思って、この話は読まなくちゃ。

さて、狙公はたくさんの猿を飼っていたんだが財政が逼迫して、「俄にして匱(とぼ)し。将(まさ)に其の食を限らんとす。」ということになった。これは、消費税を上げなければならなくなったといっているわけ。注目すべきは、「衆狙の己に馴(な)れざるを恐るるや、」という文章。消費税を上げて猿に嫌われることは大いに困るわけだ。そこで、狙公は一計を案じた。「先ずこれを誑(あざむ)きて曰(いわ)く」ということになった。誑は、たぶらかしてと読んだ方がぴったりの感じ。

「『若(なんじ)に茅(しょ)を与えんに、朝に三にして暮に四にせん。足らんか』と。衆狙(しゅうそ)皆起って怒る。」
茅とは栃の実のことだそうだが、この際何でもよい。芋でも米でも、バターでも。もちろん、金でも、サービスでも。

「ねえキミたち、いま消費税8%でも苦しいだろうが、10%にしなければならないんだ。どう?」と言ってみた。案の定猿たちは怒った。

そこで、「俄(にわか)にして曰(い)はく、『若に茅を与えんに、朝に四にして暮に三にせん。足らんか』と。衆狙皆伏して喜ぶ。」

食料品には軽減税率を適用することにしよう。これならどうかね?
そしたら猿たちは、機嫌が直って「ありがとうございます。低所得者になんと寛大な政治」と喜びましたとさ。
ね、とても教訓に満ちたお話しでしょう。昔の人はさすがに良いことを言う。

特に私がこの話を気に入っているのは、「朝三暮四」では猿たちは「起って怒り」、「朝四暮三」では「伏して喜ぶ」と対比されているところ。「起つ」は政権への反抗を意味して穏やかならざること甚だしい。「伏す」は従順に権力に従う様だ。これが本来の猿の姿。

人民は猿みたいなものだが、怒らせたら怖い。上手に誑かせば、馴れさせることができる。猿皆を伏して喜ぶようにできるという、これぞ民主政治の要諦そのものでしょう。民主政治とは人気取りのことなんだから、選挙に勝てるかどうかがすべてじゃないですか。要するに、この程度のことで人民を欺すことができるという目出度いお話し。

現に、消費税は10%に上げるといっておいて、ちょっぴり軽減税率でまけてやると言えば、それでみんな納得して人気が出る政策というのだから、やっぱり政権は楽。よい猿に恵まれている。いや、賢い国民の皆さまだ。

昨日(12月13日)の赤旗の一面では、日本共産党の志位さんが、「消費税10%への大増税について、政府・与党が検討している食品の『軽減税率』のまやかしを告発し、来年7月の参議院選挙で大増税ストップの願いを日本共産党に」と言っていますね。あれは困ったものだ。

「連日『軽減税率』が報道されると、税負担が軽くなるかのような錯覚を呼び起こしますが、実態は、2%の増税分=5・4兆円のうち、1兆~1・3兆円を減税したとしても、4兆円を超える大増税となり、1家族あたり年4万円以上の負担増となります」「現行の8%と比較して、『軽減税率』を実施したとしても10%では逆進性が広がることになります。だいたい与党は、『軽減税率』の『財源』を確保するためとして、『4000億円の低所得者対策』をとりやめるという。何のための『軽減税率』か、もはやまったく説明がつきません。結局、大増税という毒薬を『軽減税率』というオブラートに包んで無理やりのみこませるというものであり、選挙目当ての最悪の党利党略」と、これまたきついことを言っている。

残念ながら、日本国民全部が猿ではなく欺されないのもいるでしょうがね。まあ、あちらの言うことに耳を貸して「起つ」人は多くはなく、こっちの言うことを納得して「伏す」猿の方が圧倒的に数は多いと思いますよ。
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   DHCスラップ訴訟12月24日控訴審口頭弁論期日スケジュール
DHC・吉田嘉明が私を訴え、6000万円の慰謝料支払いを求めている「DHCスラップ訴訟」。本年9月2日一審判決の言い渡しがあって、被告の私が勝訴し原告のDHC吉田は全面敗訴となった。しかし、DHC吉田は一審判決を不服として控訴し、事件は東京高裁第2民事部(柴田寛之総括裁判官)に係属している。

その第1回口頭弁論期日は、
 クリスマスイブの12月24日(木)午後2時から。
 法廷は、東京高裁庁舎8階の822号法廷。

ぜひ傍聴にお越し願いたい。被控訴人(私)側の弁護団は、現在136名。弁護団長か被控訴人本人の私が、意見陳述(控訴答弁書の要旨の陳述)を行う。

また、恒例になっている閉廷後の報告集会は、
 午後3時から
 東京弁護士会502号会議室(弁護士会館5階)A・Bで。
せっかくのクリスマスイブ。ゆったりと、楽しく報告集会をもちたい。
 表現の自由を大切に思う方ならどなたでもご参加を歓迎する。
(2015年12月14日・連続第988回)

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