澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

反撃訴訟次回期日の傍聴をー4月26日(木)13時30分・415号法廷 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第129弾

DHCと吉田嘉明が、私(澤藤)に6000万円を請求したスラップ訴訟。私がブログで吉田嘉明を痛烈に批判したことがよほど応えたようだ。人を見くびって、高額請求の訴訟提起で脅かせば、へなへなと萎縮して批判を差し控えるだろうと思い込んだのだ。そこで、「黙れ」という恫喝が、当初は2000万円のスラップ訴訟の提起。私が黙らずに、スラップ批判を始めたら、たちまち提訴の賠償額請求額が6000万円に跳ね上がった。なんと、理不尽な3倍増である。この経過自体が、言論封殺目的の提訴であることを雄弁に物語っているではないか。

当時の弁護団会議のメモには、「請求拡張はさらに続くことになるだろう。澤藤が批判をやめない限り、事実審の終結まで何度でも。請求金額はどこまでも大きくなるだろう」と、記載されている。DHC・吉田嘉明の意図は、2000万円から6000万円への請求拡張時には、澤藤が批判の言動を繰り返すのなら、際限なく請求の拡張を繰り返すことを考えていたに違いない。

ところが、現実に請求の拡張をして、その効果がないばかりか、明らかに不利になることを覚ったのだ。私は、既に120回を超える批判のブログを書いている。法律雑誌にもDHC・吉田嘉明の名を明確にした論文をいくつも書いてきた。DHC・吉田嘉明の名を明確にした講演も何度も行っている。DHC・吉田嘉明が、提訴の当時、本当に自分の権利を救済するために提訴が必要で、そのためには2000万円、6000万円の請求が妥当と考えていたとすれば、今頃は10億円を遙かに超す提訴を維持していなければならない。

結局のところ、「高額請求の提訴で脅かしてみたが、どうも効き目がないようだから請求拡張はあきらめた」ということなのだ。

地裁・高裁・最高裁までのスラップ訴訟を被告として闘って私の勝訴が確定した。今は私が反訴原告となり、DHCと吉田嘉明を反訴被告として、反撃訴訟を展開している。スラップの提起自体が違法で損害賠償の対象となるのだ。

係属は、東京地裁民事第1部。その次回口頭弁論期日が4月26日(木)13時30分、415号法廷である。是非、傍聴をお願いしたい。閉廷後に、控え室で弁護団と傍聴参加者とで、いつものように、資料を配付してのご説明と意見交換を行いたい。

4月19日、当方(反訴原告・澤藤)からの準備書面と書証を提出した。
前回、DHC・吉田嘉明側は、裁判所の勧告を受けて、10件の同種スラップの訴状や判決を提出した。今回の準備書面では、これを読み込んで、DHC・吉田嘉明がスラップの常習者で、自分の権利救済を目的とするのではなく、批判の言論に対する萎縮効果を狙った提訴を行っていることを明らかにしている。
1件だけの提訴や訴訟経過を見るだけでは分からないことが、同種の10件のスラップ全体を通覧すれば、はじめて見えてくるものがある。そのことを明確にして、DHC・吉田嘉明の私に対する6000万円請求提訴それ自身が、裁判を受ける権利を濫用した不法行為に当たる、という主張となっている。

主張の眼目は、
(1) (客観要素)DHCの澤藤に対する提訴には勝訴の見込みはなかった。
(2) (主観要素)提訴の目的は批判の言論の萎縮を狙ったものである。

4月11日の当ブログ(「DHCスラップ訴訟」を許さない・第128弾)で、格好の参考事例として『武富士の闇』訴訟判決の顛末を紹介した。
https://article9.jp/wordpress/?p=10188

本日は、今回の準備書面で引用する書証の一つ(乙15)をご紹介しておきたい。
当時たまたま目についた、「本ブログが(株)DHCから恫喝を受けました」と標題する、とあるブログ記事(2014年8月19日付)である。

その恫喝とは、「株式会社ディーエイチシー総務部法務課・杉谷義一」による「ブログ記事の削除要請の件について」と標題する通知。2014年8月19日付で、文面は以下のとおりである。

「ブログ記事を削除していただきたく、貴殿にご連絡いたします。
?今般、貴殿は、本ブログ記事において、全体として弊社代表者(註・吉田嘉明)を侮辱し、また、自ら「証拠もなしに」と何らの調査・取材も行っていないことを認めながら、弊社代表者が、「強烈な保身意識」のもとで渡辺議員を「警告、恫喝、口止め」している、「吉田のコメントは、念には念のヤクザの恫喝ではないのか」などと平然と書き、そのような人物が代表取締役会長をつとめている弊社(註・DHC)の社会的評価を低下させ、弊社の名誉を著しく毀損しています。
?貴殿が記事の削除に任意に応じて頂けない場合には、やむなく法的対応を検討せざるを得ませんので、できましたらそのようなこととならないよう何卒宜しくお願い致します。なお、本ブログ記事同様に、弊社代表者および弊社の名誉を毀損し或いは侮辱する記事を掲載した他のブログにおきましては弊社の指摘により記事の削除をして頂くことで円満解決しておりますことを、念のためお伝えしておきます。」

この通知を受けた同ブログ主宰者は、わざわざ「本ブログが(株)DHCから恫喝を受けました」と標題する記事を掲載して、DHCからの記事削除要請に不愉快を明言し、当該の記事が「訴訟を起こされて多額の慰謝料を支払う判決が下される様なエントリーとは思えない」と考えつつも、「現実問題として本当に裁判を起こされかねない」との判断のもと、「一時的削除」という判断に至っている。

本例は「恫喝による萎縮効果の」の好例となった。明らかに経済的強者の濫訴が言論の萎縮を招いているのである。スラップは、言論の自由を侵害する恐れがあるにとどまらない。既に現実化しているのである。

しかも、「本ブログ記事同様に、弊社代表者および弊社の名誉を毀損し或いは侮辱する記事を掲載した他のブログにおきましては弊社の指摘により記事の削除をして頂くことで円満解決しております」というのだから、被害は他にもあるのだ。

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当該のブログでは、DHCから「恫喝」を受けて「萎縮」せざるを得ないとの判断に至った経過が、次のようにブログに残されている。生々しいし、痛々しいとも言えよう。

「2014年4月8日のエントリー「さらば渡辺喜美」について、株式会社ディーエイチシー総務部法務課の杉谷義一とやらが当該記事の削除を求めるコメントを書き込んできた。何でも、当該記事は代表吉田嘉明と会社の名誉を著しく毀損する内容で、削除せねば「法的措置」を検討するらしい。
一瞬、ただのスパムコメントかと思ったが、どうやらDHCは同様の方法で会社に不都合なブロガーに圧力をかけて回っている様だ。だとしても、こんな場末のパンピーブログにまで恫喝してくるとは、DHCとはケツの穴の小さい会社である。余程不都合な内容だったのだろうか(笑)。
笑ってばかりもいられない。と言うのも、DHCの恫喝はただの脅しではなく刃が付いている可能性が高いからだ。実際、東京弁護士会の澤藤弁護士が、◎◎◎◎(註・このブログ名)と似た様なことをブログに書き、つい最近DHCから2000万円の慰謝料を求めて訴訟を起こされている。
アップした画像の文章も、低能丸出しのスパムと比較して文章が本物っぽく感じられる。やばそうだ。ちなみに、澤藤弁護士は、「言論の自由を企業の力で潰すスラップ(見せしめ)訴訟だ」と徹底抗戦の構えで、77人の弁護団を組んで8月20日にも第1回口頭弁論に挑む。
さて、◎◎◎◎はどう対処しようか。訴訟を起こされて多額の慰謝料を支払う判決が下される様なエントリーとは思えないが、現実問題として本当に裁判を起こされても面倒だ。ついては、一時的に当該エントリーのDHCに関する記述を削除しようと思う。
もちろん、削除前のエントリーは保存しておく。澤藤弁護士の訴訟結果を待ち、澤藤弁護士が勝訴したら再アップしようと思う。」

これにいくつのコメントがついている。

☆おお、DHCの事なんかすっかり忘れていたのに、頑張って思い出せてくれましたね。そういえばニュースで渡辺利美(ママ)が出ていました。 臨時国会から復活したいようです。
これってDHCの事を書いたブロガーじゃなくて、渡辺義美復活阻止の嫌がらせカモ?
いずれにしてもろくでもない会社ですねえ。
ともかく一応削除は正解だと思います。馬鹿とキチガイの相手はしない事です。

☆戦略的撤退
こんにちは。
私も△△△さんのご意見に賛成です。
業腹なところも当然有るとは思います。
しかし、裁判そのものを楽しんでやろうというという類いの焔が心中になければ、ここはヒラリとかわす一手だと思います。

☆今は魚拓というやり方もありますし、私も今後注目されそうなブログニュースのエントリーは保存しています。
ネット上から削除すれば隠蔽できる、という時代ではありません。にもかかわらず、こんな木っ端(失礼w)ブログまで脅しにかかるとは、DHCなる企業のお里が知れるというものです。余程裁判が好きなのでしょう。
そういえば、今月20日がDHCスラップ訴訟の第一回公判でした。弁護士はあまり好きな人種ではありませんが、この件については奮闘して欲しいものです。

☆こんばんは。
あのエントリーは、推測で批判する負い目から手加減した部分もあって、あちらさんはその優しさ部分を見事に揚げ足とってきました。どこかの国とよく似てますね(笑)。
続報が無くて消化不良だったのですが、今回の一件でDHCがどんな会社なのか新しいエントリーを書くこともできて、私としては不満の無い展開です。
渡辺、復活しましたねぇ。「体調不良」の名目でお詫び行脚の毎日を過ごしていたそうです。まあ、謝るだけマシですね。今後の活躍に期待しますよ。

☆昨晩は怒り心頭で最悪の気分でしたが、一夜明けて平静を取り戻しました。それに悪いことばかりでもないな、と。
仰られるように、今は戦略的撤退の一手ですね。私はごく普通の社畜なので、仕事に支障をきたすことだけは避けねばなりません。

☆木端ブログの管理?です(笑)。
かような木端ブログを大企業様にお相手していただき光栄の至りですよ。おかげで箔がつきました(笑)。
スラップ訴訟の動向は、澤藤弁護士が自身のブログで随時情報をアップするらしいです。今日の情報も近日アップされることでしょう。
ただ、この弁護士さんを応援したいのは山々なんですが、どうも彼は私が日頃から批判している類の弁護なんですよねぇ。DHCもよくケンカを売りましたよ(笑)。
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なお、同ブログに以下の報道記事が引用されている。

DHCの吉田会長批判ブログ執筆者らを続々提訴
http://www.asiapress.org/apn/archives/2014/08/18142546.php
「みんなの党」の代表だった渡辺喜美代議員の失脚の原因となったのが、化粧品製造販売会社DHCの吉田嘉明会長が渡辺議員に貸し付けた8億円について自ら雑誌に告白したのがきっかけだったのは周知の事実だろう。その吉田会長が弁護士やジャーナリストなどを相次いで名誉棄損などで訴えていることが関係者への取材で分かった。訴訟の件数は10件に上るという。(アイ・アジア編集部)

この一連の訴訟の最初の口頭弁論が、東京地裁で8月20日に開かれる。訴えられているのは、東京弁護士会の澤藤統一郎弁護士だ。訴状によると、澤藤弁護士は自分のブログで、吉田会長が自分の儲けのために渡辺元代表に金を交付したが、自分の思い通りにならないので切って捨てたとの趣旨の記載を行い、「DHC側のあざとさも相当なもの」と記述したという。
その上で、吉田会長の側は、ブログがインターネット上で誰でも閲覧できるものである上、被告は社会的地位のある法律の専問家であるから読者は記述を高く信用してしまい、吉田会長の名誉が著しく損なわれたとしている。そして、澤藤弁護士に対して、吉田氏本人とDHC社に各1000万円、合わせて2000万円の損害賠償とブログへの謝罪広告の掲載を求めている。

これについて澤藤弁護士は次にように話し、裁判で争う姿勢を示している。
「経済的な強者が高額請求の訴訟を起こすことで政治的な言論を封殺しようとするもので、憲法上看過できない重大な問題を含んでいると思う。私のこの程度の表現が違法ということになれば、言論の自由は封殺されることになる。とりわけ、強者の違法に切り込む言論が封殺されてしまう」。
(2018年4月21日)

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