澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

昔アヘンで、いまバクチ。さすが血筋は争えない。

良く知られているとおり、戦前の日本は戦費調達のために、植民地や占領地で大規模な「アヘン政策」を実行した。「大東亜共栄圏を通ずる大アヘン政策」は、国家機関である興亜院が推進した。麻薬を禁止する国際条約を締結しながら、「漸禁主義」の建前のもと、日本は莫大なアヘンを生産し、中国全土にこれを売りさばいて巨利を得た。国家が、社会の健全性を金に換えたのだ。恐るべき国家犯罪というほかはない。(「日中アヘン戦争」江口圭一、「阿片帝国・日本」倉橋正直、「阿片帝国日本と朝鮮人」朴橿など)

アヘンの専売を国家事業として推進した革新官僚の中に岸信介の名がある。「阿片王」として知られた里見甫の墓碑銘を揮毫しているのが岸である。

財政や経済の必要を理由に、国家がアヘンの生産と販売に関わる。恥ずべきこととしか評しようがない。いま、岸の遺伝子を受け継いだ孫が、経済の興隆と財政への寄与を理由に、民営博打を解禁しようとしている。これも、恥ずべきこととしか評しようがない。

アヘンと博打はよく似ている。どちらも社会病理以外のなにものでもない。有益な何ものも生み出さない。依存性が高く、著しく社会の勤労意欲を損なう。カジノと言っても、IRと言い替えても、博打は所詮バクチでしかない。賭場に入る者たちから、胴元が確実にカネを巻きあげるシステム、民衆からの収奪手段として本来が違法の代物なのだ。

一昨日(6月25日)午後の参院予算委員会。大門実紀史議員が、カジノ法案についての質問に立った。質問だけを連ねた方が、問題の本質がよく分かる。抜粋して並べてみよう。

大門実紀史 カジノについて質問いたします。まず申し上げたいのは、この国会の延長の最大の理由が、もうカジノ、賭博場をつくる、こんな法案を通すためというのは、何とも私おぞましいと、本当に国会の権威をおとしめるものだというふうに思います。
  この間、世論調査を見ても、カジノ実施法を今国会で成立させる必要はないというのは7割です。自民党支持者でも6割以上が必要ないと答えているわけですね。総理はIRが理解されていないということをおっしゃったことありますけれど、幾らIRという言葉でごまかしても、国民の皆さんは、所詮ばくちはばくちだと、刑法で禁じられた犯罪行為を合法化するなどとんでもないということを皆さん感じておられるから、この2、3年ずっと反対が多いわけですよね。

総理は、カジノをつくる目的を、外国人観光客を増やし経済成長の目玉にするんだというふうにおっしゃってまいりましたけれども、もうそんな必要はありません。
これ、2011年から2016年の外国人観光客の増加の推移をパネルにしました。カジノ推進派の方々がカジノの成功例としてシンガポールのことを盛んに宣伝されます。シンガポールどうなのかというと、外国人観光客の増加率は確かに増えていますが、124%でございます。カジノのない日本は386%。この間、カジノ誘致に手を挙げている大阪等々調べましたけど、大阪が595%。ちなみに大阪は、2017年まで伸ばしますと増加率700%、七倍に増えております。北海道が404%、長崎は254%。どこも、カジノがあるシンガポールよりも外国人観光客は何倍にも増えているわけであります。
総理、観光戦略とかそれを目玉にした成長戦略とおっしゃいますけれど、要らないんじゃないですか、カジノなんか。カジノなくて十分に日本は観光振興成功しておりますしね。だから、国民の反対、カジノ、反対するカジノなんかは導入しなくて、真っ当な健全な観光政策を進めるべきで、カジノ計画はもう断念されたらいかがですか。

カジノをつくれば更に、発展するような話ですが、そうじゃないんじゃないかと思うんですよね。現地の視察に行ってまいりました。逆に、日本の観光振興にこれからマイナスになるんじゃないかというふうに思います。
一つは、地域の観光収入を増やすどころか、かえって減らす可能性があります。
この間、大阪、北海道苫小牧、長崎佐世保、現地調査へ行ってまいりました。どこのカジノ計画も、実は空港から、高速船あるいはBRT、電気バスなどで空港から直接カジノにお客さんを呼び込む、連れてくるという計画、いわゆる囲い込み戦略になっております。
例えば、大阪は関空から夢洲まで高速船を運航すると。船着場までもう想定しておりました。こんなことをやっていったら、来日した外国人が空港に着くなりそのままカジノに連れていかれて、そこですってんてんにされて、大阪観光するお金とかがなくなってそのまま帰国しちゃうんじゃないかと。だから、カジノのおかげで今まで地域に入った観光収入がかえって減るんじゃないかと。

もう一つは、カジノが、今、日本各地が持っているブランドですね、地域イメージですよね、だから増えているわけですね。それを壊す危険性があるんです。これは、例えば大阪、万博とセットでカジノを開業するという構想ですね。大阪府や市、経産省は、カジノと万博とは別だということをずっと説明していますけど、本当かどうかですよね。現地に行ってびっくりしました。市当局に案内してもらったんですけど、何と万博パビリオンの、パビリオンの道路挟んだ隣にカジノをつくるんですよ、真隣に。万博に来たお客さんに、こっち来てくださいと言ってカジノに引っ張り込むようなそういう仕組みになっているんですね。ここでもみんなそのカジノでお金すっちゃって、悪い思い出ばっかり持って万博会場を後にすると。
せっかくここまでプラスに伸びてきた大阪の観光イメージが、私はカジノによってかえってダウンしてしまうんじゃないかと思うんですけれども、石井カジノ担当大臣、カジノが日本の観光振興にとってかえってマイナスになると、そういうことは想像されたことはありますか。

そもそも外国人がターゲットじゃないんですよ。その三つの大阪、北海道、長崎の当局に聞くと、大体想定しているターゲットというのは日本人なんですよね。七割から八割は日本人を想定しております。外国人観光客は二割から二五%であります。
こういう、要するに日本人を相手に、しかも今回は民営賭博、民間賭博ですね。なぜこれが、違 法性の阻却ですよね、なぜ合法なのかと。賭博というのは違法ですよね。それが、なぜこんな日本人を相手に、しかも民間が合法になるのかということは最大の、これはクリアできていないんじゃないかと私は思います。

戦後の賭博罪に関する解説書、競馬法、公営賭博の歴史、裁判例を調べてみました。要するに、何が一番大事かというと、目的の公益性です。これ、どういう意味かといいま すと、この公益性に、よく言われています、今まで説明があった経済効果だとか、そういう曖昧な言葉は含まれておりません。そんな曖昧なことは刑法の解釈上、含みません。
問題は、この目的の公益性の一番は、入ってきたお金をどう使うかです。入ってきたお金を民間がポケットに入れたら、それはもう犯罪そのものになると。入ってきたお金を住民サービスとか公に使うから目的の公益性が担保されると。しかし、民間企業が自分たちがもうけたものを公に寄附するわけがありません。ですから、公がいろんな事情でギャンブルやって、その代わり住民のために使うというふうなこの目的の公益性、つまり、もうけを何に使うかということが厳しく限定されて、それで公営ギャンブルしか認められてこなかったわけであります。

今回のこのカジノ実施法は、粗利益の三割は国や自治体に納めるんだけれど、残りの七割は民間企業が懐に入れるわけですね。どうしてこれで違法性が阻却できるのか と、この目的の公営性をクリアして、どうして合法になるのかと。これ、最大の、あり得ないことを法務省は、何といいますかね、今までの見解を拡大解釈して、まあルビコン川を渡ったと思いますけれど、法務省はそう簡単に解釈変えていいのかと、厳しく指摘したいと思いますけど。

じゃ、国民の皆さんから吸い上げたお金がどこに行くかということなんですけど、これは今日本で参入を狙っているアメリカ最大手のラスベガス・サンズの株主構成であります。衆議院の参考人質疑で静岡大学の鳥畑与一教授が、このラスベガス・サンズを例に取って、カジノの利益のほとんどは一握り、一部のファミリーに還元されるということを告発されました。それで、最新のこのラスベガス・サンズ、これはトランプ大統領の最大の支援者、アデルソンさんが会長としてやっているところであります。日本でカジノを開いて、粗利益の三割は国や自治体に納めるけど、七割の利益はどこに行くかというと、こういう株主に行くんです。しかも一握りのですね、一握りのファミリーに行くと。しかもアメリカですよ、日本で吸い上げたお金がアメリカのファミリーに行く…。

この悪法はもう本当に廃案にするしかないということを申し上げて、質問を終わります。

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明らかに違法で反社会的なバクチ。庶民のフトコロからカネを吸い上げて莫大な儲けを手にする胴元は、トランプの息のかかったアメリカのファミリーなのだ。今のところ、カジノ経営のノウハウをもつ日本の企業はないという。カジノの導入も武器の購入も、アベがトランプに押しつけられたもの。

極悪非道な戦前の日本も、さすがに自国の国民にはアヘンを流通させなかった。もっぱら、他国の国民からの収奪に余念がなかったのだ。

岸の血を引くアベの手口は、岸より出でて岸より奸佞である。バクチを国内で解禁して日本社会の荒廃を許し、国民の財産を収奪する利権を外国の業者に与えようというのだ。アベの悪辣さは、岸を凌ぐと言ってよい。これを出藍のホマレというべか。
(2018年6月27日)

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