澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

「法と民主主義」最新号紹介 ― 特集「原発と人権」と、禰屋町子さんとの「ランチ」など。

「法と民主主義」は年10回刊。2・3月と8・9月が合併号となる。このほど本年(2018年)8・9月号(№531)が発刊となった。

編集委員の一人である私が言うのもやや気が引けるが、原発問題に関心をもつ法律家・ジャーナリストには、必見の内容である。
ぜひ、下記URLからご注文を。
https://www.jdla.jp/houmin/
https://www.jdla.jp/kankou/itiran.html#houmin

特集のタイトルは、ずばり「原発と人権」。「人間・コミュニティの回復と原発のない社会をめざして」というやや長い副題が付せられている。第4回「全国研究・市民交流集会 in ふくしま(2018.7.28~7.29)」の報告集となっている。集会報告の録音を起こしたものではなく、あらためて執筆していただいたもの。

目次をご紹介しておこう。
★特集「原発と人権」人間・コミュニティの回復と原発のない社会をめざして 第4回全国研究・市民交流集会 in ふくしま(2018.7.28~7.29)より
◆特集にあたって………編集委員会・丸山重威
◆開会挨拶………牛山積
◆歓迎の挨拶………中井勝己
●全体会報告
◆記念講演:フクシマは何を問うているのか………高橋哲哉
◆報告:福島第一原発の現状………山川剛史
●被害者・被災地の声
◆原発推進暴走国策と東電の暴利追求に闘い抜く………早川篤雄
◆帰還困難区域のふるさと・津島に想う………佐々木 茂
◆福島県内に居住し続けた人々の被害について………伊東達也
◆営業努力がない、と賠償打ち切り「被害ある限り賠償」のウソ………斎藤朝興
◆裁判所からの御墨付き「区域外避難」………鴨下祐也
◆国連人権理事会での訴え 無用な被ばくを避けるための情報コントロール権の確立を………森松明希子
◆報告:福島原発災害7年を経て||その復興とは何か………鈴木 浩
◆報告:先行する7判決の評価と課題(損害論を中心に)………米倉 勉
◆報告:原発差止め訴訟判決の成果と課題………井戸謙一
◆報告:「福島事故から7年、私たちの訴え」について………松野信夫
●分科会報告
◆第1分科会:福島第一原発の後始末と脱原子力社会への転換………水藤周三
◆第2分科会:原発災害と政策転換………礒野弥生
◆第3分科会:原発事故賠償の課題と展望………大坂恵里
◆第4分科会:核兵器と原発………内藤雅義
◆第5分科会:原発政策の転換とメディア………林 勝彦
◆閉会挨拶………塩谷弘康
◆お知らせ………「原発と人権」第4回全国研究・市民交流集会inふくしま実行委員会

★特集外

司法をめぐる動き・裁判手続等の「全面IT化」に向けた急激な動き その重大な問題点………正木みどり
*司法をめぐる動き・7月/8月の動き………司法制度委員会
*メディアウオッチ2018●《進む不正な情報支配》受け手の情報環境への視点を 安倍キャンペーンと沖縄ヘイト………丸山重威
*あなたとランチを〈№39〉●「普通のおばさん」ってほんと………ランチメイト・禰屋町子さん×佐藤むつみ
*改憲動向レポート〈№7〉憲法改正に「人生をかける」とまで発言する安倍首相………飯島滋明

時評●ジェンダー差別をなくすことはすべての差別をなくすことに通じる………杉井静子
ひろば●政策の転換を!………海部幸造

◆「特集にあたって」の冒頭の一節。
 原発のパラダイムは大きく変わった…。第4回「原発と人権」全国研究・市民交流集会inふくしまを開催して確認できたことは、井戸謙一弁護士が喝破されたとおり、「原発のパラダイムは大きく変わった」ということだ。「夢のエネルギー」と大宣伝された原発も、フクシマ事故後7年半を経て、依然として政権からは「基幹電源」と位置づけられても、いくら「必要だ」と強調されて、「もう、それは無理なのだ」とみんなが納得できる状況になりつつあることは、確かではないだろうか。
 今回の集会に当たって、実行委員会は「福島事故から7年、私たちの訴え――国、東電が責任を持ち、地域と住民を守り、『原発のない社会』の実現を」と題するアピールを提案、集会で確認した。
 幅広く、自由に議論しようと、「研究集会」と銘打って始めた集会で、初めて、「被害の救済」「地域の復興」と、「原発がない社会」を確認した。これまでの研究と闘いの成果である。大切なのは、ここで示された課題と、解決への道筋をひとつ一つ実現し、実際の政治に生かしていくことである。
 今回の特集は、この集会の記録集として位置づけされている。高橋哲哉教授の基調講演ほか、この第4回集会の講演、報告をできるだけ忠実に記録した…。

特集以外の記事も充実している。その中での息抜きのスペースが、佐藤むつみ編集長のインタビュー記事、「あなたとランチを」。今号で39人目となるランチのお相手は、いまや有名人となった禰屋(ねや)町子さん。倉敷民商弾圧事件の当事者である。

そのタイトルが、『「普通のおばさん」ってほんと………ランチメイト・禰屋町子さん×佐藤むつみ』というもの。「暴虐な弾圧に一歩も退かない闘士」像を想像させる禰屋さんだが、一緒にランチをしてみると、実は「普通のおばさん」なのだという感想が標題になっている。しかし、もちろんそれだけではない。弾圧の経過や抵抗、抵抗を支えた支援の運動や、接見を絶やさなかった弁護団の献身性などが書き込まれている。お話しを直接聞き取った、428日間に及ぶ勾留期間の生活状況も興味深い。

冒頭と、末尾だけを転載させていただく。

禰屋町子さんは「倉敷民商弾圧事件」で2014年1月早朝逮捕された。2015年3月やっと保釈が通るまでなんと「428日間」1年2か月も身柄を拘束された。その間「黙秘」と「否認」を続けた。冤罪である裁判は今も続き、「刑事被告人」と呼ぱれて4年を超える。いったい町子さんに何があったのか。

取り調べの検事は「極悪人と思ったら普通のおばちゃんじゃん」と。普通のおぱさんを舐めてはいけない。わかったね。
(2018年9月30日)

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