澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

札幌地裁、書記官の「令和」使用強制に謝罪。

「令和」は使いたくない。使用強制はまっぴらだ。

「令和」という文字を見るだけで、神経がざらつく。そもそも元号にアレルギーではあるが、「令和」の採択に安倍や菅など現政権が関わっていることも、嫌悪感の大きな一因となっている。何の違和感もなく、「令和」を使用している人のセンスを疑う。この場合のセンスとは、歴史に対する感覚、政治に対する感覚、体制との間合いの取り方についての感覚、つまりは憲法感覚を指している。

先月の参院選で野党統一候補として当選したある弁護士が、立候補前だったが5月になるやさっそく「令和」で書面を送ってきたのには驚いた。えっ? 「革新」の候補者が? 私は、この人の憲法感覚を信用しない。

反対に、「これは立派だ。この人たちなら信頼できる」というのが、北海道合同法律事務所の姿勢。8月1日の同事務所ホームページに次の記事。
http://www.hg-law.jp/news/entry-3078.html

札幌地方裁判所の元号の強制問題についての当事務所の取り組み

北海道合同法律事務所

1 2019年5月1日、天皇が明仁天皇から、徳仁天皇に代わり、元号も平成から令和に代わりました。こういった矢先に、札幌地方裁判所で元号の使用を強制するという事件が起きました。
具体的には、本年7月初め、私たちの事務所の事務職員が、札幌地方裁判所の破産係の受付に自己破産申立書を提出したところ、対応したA書記官は、事務職員に対して、申立書の「申立日」や「申立人の生年月日」の年数を西暦表記ではなく元号で表記するように訂正を求め、以後、「報告書の年月」や「債権者一覧表の借入日」等も元号表記することを要求しました。このことについて、あらためてその趣旨と理由を確認しに出向いた私たちの事務所の事務局長に対して、「合同さんはそういう主義主張だとわかっていますから、もういいです。合同さんに対してはもう言いません。」との返答をしました。
元号法が制定された1979年の国会において、元号法は「一般国民に元号の使用を義務づけるものではない」と国務大臣が答弁していますが、このようなA書記官の対応は、元号使用のお願いの範囲を超えて、強制に至るものと評価せざるを得ませんし、それが、A書記官の個人的な対応なのか札幌地方裁判所としての対応なのかも判然としませんでした。
そこで、以下の公開質問状を提出しました。

2019年7月22日

札幌地方裁判所長 本多知成 殿

公 開 質 問 状

〒060-0042 札幌市中央区大通西12丁目       
北海道合同法律事務所 

              
弁護士 池田賢太  弁護士 石田明義  弁護士 内田信也
弁護士 小野寺信勝  弁護士 加藤丈晴  弁護士 川上有
弁護士 笹森  学  弁護士 佐藤博文  弁護士 佐藤哲之 
弁護士 中島  哲  弁護士 長野順一  弁護士 橋本祐樹
弁護士 桝井妙子  弁護士 三浦桂子  弁護士 山田佳以
弁護士 横山浩之  弁護士 渡辺達生   以上18名                           

本年7月2日及び同月5日、当事務所の事務職員が、貴庁民事第4部商事部受付に自己破産申立書を提出しました。対応したA書記官は、事務職員に対して、申立書の「申立日」や「申立人の生年月日」の年数を西暦表記ではなく元号で表記するように訂正を求め、以後、「報告書の年月」や「債権者一覧表の借入日」等も元号表記することを要求しました(以下、「本件元号使用要求」といいます。)。このことについて、同月5日、あらためてその趣旨と理由を確認しに出向いた事務職員に対して、「合同さんはそういう主義主張だとわかっていますから、もういいです。合同さんに対してはもう言いません。」との返答をしました。
あらためて、年数の表記方法について、公開質問状を提出いたしますので、1週間以内に文書でご回答ください。
(※ 実際の公開質問状では書記官の実名を記載していますが、この書面の公開に当たっては実名である必要がないので、A書記官と記載しています。)

2 この質問状に対し、7月29日、札幌地方裁判所の民事次席書記官と総務課長が私たちの事務所に来て、裁判所の見解を口頭で説明をしてくれました。
その説明の要旨は次のとおりです。

・ 今回の元号使用要求が札幌地方裁判所の方針なのか否かについて
今回の元号使用要求は、A書記官の個人的見解であり、札幌地方裁判所としての方針ではないし、破産係を所管する民事第4部としての方針でもない。
・ 元号使用要求の法的根拠について
指摘された国務大臣の答弁のとおり、元号の使用を強制する法的な根拠は一切なく、あくまでも出来るのはお願いであり、今回のA書記官の対応はお願いを越えたものであり、元号の使用を強制したと評価されても仕方がないものである。
ただ、A書記官としては、生年月日について戸籍との照合の便宜も踏まえると元号で記載したほうが良いとの思いがあった。
・ 裁判所の対応
A書記官が元号の使用を強制したことについて謝罪すると共に、今後、このようなことがないように職員に対して指導を徹底する。

書面による回答はいただけませんでしたが、回答期限までに裁判所のしかるべき方が上記のとおり説明をすると共に謝罪もしてくれましたし、回答等を公開することも了解してくれました。私たちは、このような札幌地方裁判所の対応は責任ある対応と評価します。
このような事件が他の裁判所や他の役所等で起きることがないよう、社会に訴えることも含め、この事件を社会に公表いたします。 以上

 

北海道合同の弁護士諸君の姿勢は立派だし、札幌地裁の対応も適切だったと思う。皆さん、あらゆるところで、「令和」使用強制をきっぱりと拒否しようではありませんか。

(2019年8月3日)

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