澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

巨悪の高枕

昨日(8月9日)から、高枕をしてぐっすり眠れるようになった、あの二人に詩を贈ろう。

      晋三をねむらせ、晋三の屋根に雪ふりつむ。

      昭恵をねむらせ、昭恵の屋根に雪ふりつむ。

     疑惑は深く埋められて、ふりつむ雪の底の底。

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昨日(8月9日)のこと。学校法人森友学園への国有地売却や、これに関わる財務省関連文書の改ざんなどをめぐる問題で、大阪地検特捜部は、被告発者全員を再び不起訴処分とした。

もともと被告発者は38名に上るものだった。大阪地検特捜部は、これを一括全員不起訴として国民の怒りを招いた。さすがに、大阪第一検察審査会は、そのうち10名について、「不起訴不当」と議決した。その中には、近畿財務局の国有財産管理官(当時)や、佐川宣寿・元同省理財局長らが含まれ、大阪地検特捜部はこれを再捜査していた

再捜査後の2度目の不起訴処分については、8月10日現在告発人代理人である私の許には通知が届いていない。だから、正式には処分があったとは言いがたいのだが、大阪地検特捜部が記者を集めて発表したのだから間違いはなかろう。

大阪第一検察審査会の本年3月15日議決(通知書は同月29日付で作成されている)が強制起訴につながる「起訴相当」でなく、「不起訴不当」であったため、検審による2度目の審査は行われず、強制起訴への道はない。この2度目の全員不起訴処分をもって、特捜部は捜査を終結する。なんということだ。安倍政権への濃厚な忖度疑惑を解明することなく、刑事事件としては幕引きにするのだ。
「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」の会員で、告発人となった19名とその代理人は、昨日(8月9日)、以下の「見解」を公表した。

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2019年8月9日

大阪地検の不起訴処分決定に関する私たちの見解

 (原処分)平成29年検第17422号 
 刑事告発人 醍醐聰外18名
 同告発人ら代理人弁護士  澤藤統一郎
 同            杉浦ひとみ
 同            佐藤 真理
 同            澤藤 大河

(1)大阪地方検察庁は、私たちが背任で告発した森友学園への国有地の不当な値引き売却事件について、本日、再度、不起訴処分を発表した。
 大阪地検は不起訴処分の理由を公にしていないが、いわゆる「前打ち報道」によると、地中にごみが一定量存在していたことは確かだとし、起訴には至らないと判断したとのことである。
 しかし、私たちは、様々な証拠資料を挙げて、地下埋設物が存在したとしても、それは値引きの根拠となる「瑕疵」、すなわち、工事の支障となるものではなかったと訴えたのであるから、上記の不起訴理由は私たちの告発に全く答えない不真面目なものである。

(2)大阪地検は当初の不起訴処分の理由として、瑕疵に見合う値引きをして売却を急がなければ森友学園側から損害賠償の訴えを起こされる可能性があったと語った。しかし、大阪第一検察審査会も不起訴不当の議決をした理由として記載したように、そうした提訴は、森友学園の顧問弁護士でさえ、勝算の見込みが乏しいものだった。
 このような反証を再捜査でどう解明したのか、説明もないまま、再度の不起訴で幕引きを図ることを私たちは到底、容認できない。

(3)加えて、財務省は近畿財務局に交渉記録の改ざんを指示したり、森友学園側にゴミ撤去を偽装する口裏合わせの工作を持ち掛けたりしたことが国会の場で明らかになった。そうした一連の工作は、近畿財務局や財務省がやましい背任があったことを認識し、それを隠ぺいする工作を行なった事実を赤裸々に物語るものである。
大阪地検が、こうした事実に目を背け、参議院選挙が終わったこのタイミングで再度、不起訴処分の決定を発表したのは、安倍首相夫妻が深く関与した本件を、出来レースの国策捜査で幕引きしようとするものに他ならず、司法の威信、国民からの信頼を失墜させるものである。

 私たちは巨悪を眠らせる今回の不起訴処分に厳重に抗議するとともに、これからも公文書の改ざん問題も含め、真相解明を願う多くの市民と協力して事件の真相を追求する努力を続けていく。

以上

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「巨悪を眠らせるな」は、東京特捜から検事総長となった伊藤栄樹の言葉であった。「巨悪を眠らせるな、被害者と共に泣け、国民に嘘をつくな」というのが、彼の部下に対する訓示であったという。

統治の機構は、法の支配を貫き人権侵害を防止する観点から、相互監視と牽制の実効性が確保されていなければならない。とりわけ、権力機構の頂点に立つ者の独善や暴走を許さない検察の役割はこの上なく重要である。検察が「巨悪」と表現するのは総理大臣、あるいは、総理クラスの大物政治家を意味する。佐藤栄作・池田勇人・田中角栄・金丸信…等々。

かつては、検察の「巨悪を眠らせるな」というセリフには、リアリティが感じられた。今はなくなってしまったが、安倍忖度へのメスを入れることが、その汚名を挽回する千載一遇のチャンスだった。にもかかわらず、検察は自らそのチャンスをつぶしたのだ。「巨悪を眠らせるな、被害者と共に泣け、国民に嘘をつくな」と言った検察の魂は、今どこへ行ったのか。

刑事事件としては幕が引かれても、市民運動は幕を下ろさない。この疑惑を追及し続けよう。安倍政権の政治の私物化を糾弾する声を上げ続けよう。
(2019年8月10日)

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