澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

呪われた東京五輪? いいえ、社会の劣化が見えるようになっただけ。

(2021年7月20日)
 東京五輪が、目も当てられぬぐちゃぐちゃの事態である。国民の過半が開会に反対し中止を求めている。これほど、開催国民から愛されず、期待されず、不人気で、中止せよと言われ続けたオリンピックは、過去に例を見ないだろう。おそらくは今後の五輪のあり方を変えるきっかけとなるだろう。

 まずはコロナの蔓延である。本日の東京都内での新たな感染者数は1387人。火曜日としては過去最多人数という。先週火曜日の830人から、557人の増。率にすると67%のアップである。これは恐ろしいことになってきた。第5波は、第4波を遙かに凌駕する規模のものとして到来しているのだ。その重大なときに、ワクチンの供給もヨレヨレになっている。菅・河野の無責任な弁明が虚しく不安は募るばかり。そして、コロナに加えて、なんという不愉快な今日の暑さだ。こんなときに大規模運動会を予定したことは正気の沙汰ではない。

 次々とバブルの穴が報告される。オリンピック出場のために来日した選手の逃亡が報じられている。国立競技場は強姦の舞台となった。得意げに自分のイジメ体験を吹聴していた異常者が開会式の楽曲を担当していたことが明らかになった。それでも、バッハや菅にも小池にも、危機意識が見えない。

 本日の毎日新聞社会面トップの見出しの中に、『この大会呪われている』という言葉が踊る。一瞬そうかも知れないと誰でも思う。コロナに見舞われただけでなく、数々の不祥事の出来で、汚れてぐちゃぐちゃなのだ。

 毎日の見出しは、正確には「小山田氏辞任 『この大会呪われている』 五輪組織委関係者嘆く」というもの。

 私は、不明にして小山田圭吾を知らない。その辞任のインパクトの大きさはさっぱり分からないが、報道された彼が自ら吹聴する障害者の同級生2人に対する「イジメ」の凄惨さには唖然とするしかない。人が人にそこまで非道なことができるとは信じられないほどの悪行。人非人の所業といってもよい。このような明らかな犯罪行為が学校で行われ、処罰もされずに放置されてきたこと、それを加害者側が得意げにしゃべり、それを記事にする業界誌もあることが信じがたく、慄然とせざるを得ない。

 この小山田イジメ記事は業界ではかなり知られたことだったという。小山田と接触した組織委の担当者も、業界には詳しかろうから、知っていたのではないか。あるいは少し調べれば分かること。こんな連中を集めてオリンピックをやっているのだ。

 組織委関係者は毎日の記者に、「人間として許しがたく辞任は仕方ない。開幕直前までいろいろなことが起き、本当にこの大会は呪われている」と嘆いて見せた。しかし、そうではあるまい。おそらくは、東京五輪に群がっている連中が薄汚く、劣化しているのだ。

 このぐちゃぐちゃのルーツは、安倍晋三の「フクシマは完全にアンダーコントロール」というウソの招致演説にある。その後に、竹田恒和(JOC会長)の2億円賄賂疑惑の発覚もあった。この二人だけでない。競技場デザイン問題もあり、エンブレム問題もあった。電通も、森喜朗も、佐々木宏も、そして小山田も、社会の劣化を象徴する人物なのだ。

 薄汚くてぐちゃぐちゃな五輪に近づくと企業イメージが傷付く。「最高位スポンサー」というトヨタが、そう考えてオリンピックと距離を置く方針に踏み切った。五輪を利用したコマーシャルは一切打たず開会式にも出席しないという。これに、同じく最高位スポンサーであるパナソニックが続いた。同社も開会式には出席しないと発表した。「最高位」ではないがこれに次ぐ地位にあるというスポンサー企業では、NTT、NEC、富士通も開会式出席はないという。これは主催者側の大きな痛手だろう。東京五輪は、閉会後に巨大な負のレガシーを残すことになるだろうが、既に開会前からしっかりと負のイメージを焼きつけているのだ。

 一方、その不人気の開会式に、天皇(徳仁)が出席し、開会を宣言することがきまったと報じられている。この出席の是非についての本人の意思はない。内閣の指示に従うだけの存在。自分のイメージにどう影響するかの考慮も、それ故の選択も一切許されない。それが彼の立場である。彼が日本の元首であるはずはないにせよ。

 なお昨日、上野千鶴子や元駐仏大使の飯村豊らが、東京オリパラの中止を求める要望書と13万9576人分の署名を都や組織委に提出したことが報じられている。要望書では、大会を契機としてコロの爆発的な感染が懸念されるとして「危険なイベントを即刻中止するよう求める」というもの。

 都庁で開いた記者会見で上野はこう言ったという。
 「多くの人が中止を求めている中で、強行開催するのは正気の沙汰ではない。最後まで中止を訴えていく」
私もあきらめず、最後まで東京五輪中止を訴えていきたい。

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Published in 火曜日, 7月 20th, 2021, at 19:47, and filed under 未分類.

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