澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

アンハッピー・クリスマス粗閣ー「大惨事やべえ内閣」に警戒

昨日(12月24日)特別国会が招集されて、クリスマス組閣となった。第3次安倍内閣の発足は、大多数の国民にとって心躍るプレゼントではありえない。到底「メリー」とも「ハッピー」とも口にする気分ではない。

一昨日(23日)の東京新聞「本音のコラム」で鎌田慧が、「クリスマス粗閣」「第惨次内閣」と、嘆いていた。まことに「惨々たる粗末な内閣」の継続である。

続いて、本日(25日)の東京朝刊「こちら特報部」では、いくつかのネーミングが紹介されている。
「(絶対得票率)4分1内閣」「公約違反不誠実内閣」「(長く続かぬ)ショート景気内閣」「(原発)強制再起動[リセット]内閣」「失敗隠蔽内閣」「プチ整形内閣」「話を聞か内閣」そして「妖怪のしわざ内閣」などなど。総じて評判はすこぶる悪い。

評判の悪さの原因は2点に集約される。
第1点は、与党の議席は上げ底であることだ。民意の支持の実体を遙かに上回る議席数を掠めとっているのだ。小選挙区マジックによる虚構の絶対多数。それをわきまえた謙虚さを欠くことが悪評の原因。

以下のような計算をしてライバル共産党と比較してみると、小選挙区制の不公平さ加減が感覚的に理解できるのではないか。

共産党は小選挙区で全国合計704万の票を得ている。この票数で獲得議席はわずかに1。1議席あたり704万票である。沖縄1区を除いてことごとくが死票となっている。一方、自民党は2546万票で222議席。1議席あたり11万5000票である。704万票集めてわずか1議席の政党と、11万5000集めて1議席獲得の政党とがある。その不公平較差なんと61倍である。この不公平に目をつぶれるだろうか。

東京都内だけを抽出すると、この較差はさらに甚だしい。
自民党が全25選挙区に候補者を立ててはいないので比例区の得票数で比較することにしよう。得票数は自民180万、共産89万で、その比率はほぼ2対1。公平な選挙制度であれば、獲得議席数も2対1であってよい。これが現実には、22対0である。自民党は約8万2000人の得票で1議席を獲得しているのに、共産党は89万票で一議席もとれない。不公平の極みというほかはない。

第2点は、解散時から選挙期間中は、「アベノミクスを問う」「アベノミクス選挙だ」と言っておきながら、開票が済むや一転して、「信任を受けた」「憲法改正もやらねばならぬ」と言い出す、悪徳商法並みの二枚舌にある。下駄を履かせられた「虚構の3分の2」である。これで、「国民の信任を得た」などとして強権を発揮されたのではたまらない。

なお、東京新聞は前回2012年選挙後にも、同様の企画を掲載している。「ネトウヨ内閣」「国防軍オタク内閣」「極右はしゃぎすぎ内閣」「逆戻り内閣」などのネーミングが紹介された。どれもこれも、まさしくピタリだったわけだ。この度のネーミングも当たるとなれば、「大惨事やべえ内閣」と警戒しなければならない。

それにしてもである。議席を減らしたとはいえ、自民党が第一党として最大の得票を得た。比例票は、共産党票に比較して全国で2.9倍、東京で2.0倍である。これだけ多くの人が、「アベノミクス」に期待して投票したことは否定し得ない。

経済が疲弊している状況でなぜだろうか。この点について、先のコラムで鎌田慧が、大意次のように語っている。

戦後の読売新聞社争議の立役者だった鈴木東民の妻、ゲルトルートのヒトラーが政権をとる直前ベルリンでの思い出。公園のベンチに座っていた失業者が、仲間の一人にこういっていた。
『俺はヒトラーに賛成していない。けれども、もしヒトラーが政権をとるようなことがあったら、失業ってのはなくなるだろう』
彼女に会ったのは、もう30年も昔のことだ。ベンチに座った失業者の話を聞いたわけではない。それでも妙に情景が心に残っている。いま、日本は非正規労働者が約40%。安倍さんが景気を回復させる、というのに期待せざるを得ないほどに、生活が苦しい。…いくばくかの賃金が上がれば、武器輸出、原発再稼働、憲法改悪、戦争経済の一本道も気にかけないほど疲弊している。」

本日の東京新聞の一面政治欄「第3次安倍内閣発足」に、「安保加速」「経済継続」「原発維持」の語が重ねられ、「反対論の中『信任を得た』」と見出しが付けられている。その記事の最後は、次の言葉で締めくくられている。

「首相は24日夜の記者会見で『賛否は大きく分かれるが(衆院選で)引き続きこの道を進んでいけという信任を得て、有言実行、まい進していく決意だ』と安倍政治を進めると宣言した。しかし、これらの政策は個別にみると反対論の方が多いことが世論調査結果で表れている。安倍政治が全面的に支持されたわけではない。」

悪評高く、大惨事を起こしかねない、やべい内閣。年明けから国会の内外の波乱は必至である。国会の中では十分な論戦を期待したい。国会の外でも「公約違反不誠実内閣」「失敗隠蔽内閣」「話を聞か内閣」批判の声を大きくしなければと思う。
「俺は安倍には賛成していなかったんだ。けれども、あのとき生活がマシになるかと思ってアベノミクスに期待の一票を入れたんだ。それが悔やまれる」と後年臍を噛むことがないように。
(2014年12月25日)

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