澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

敵に塩を送るの話ーー松村包一さんの詩とパロディ

つまらね? --じいじの昔話

昔々、この国が未だ幾つもの領国(くに)に分かれて
互いに戦をしていた頃の話じゃがの
海辺の領国の領主じゃった謙信公はの
内陸の敵国の領主じゃった信玄公の陣営に
大事な塩をたっぷり送り届けたそうじゃ
みみっちい経済封鎖なぞ考えもせんかったと

それから幾百年もの時がたち、この国は
一つの国となり、いろいろあっての揚句だが
自由だの平和だのと叫んでも一人も掴まらず
民主主義の独立国と威張っておったが
何の、何の、独立国とは名ばかりで
実は亜米利加という大国の属国じやったと

その頃、海の向こうの半島の一角には
何々人民民主主義共和国なんたらかたら
名前だけは滅法、民主主義風の国があっての
そこの恐怖の独裁的首領様、兼将軍様は
原爆を開発したり、ミサイルをうちあげたりして
日本や亜米利加の戦狂いやら武器商人やらを
めっちや喜ばせ、活気づかせたんじゃと
つまり敵陣に塩を送っちまったわけさ

一方日本は世界第二の経済大国となり
トョタやらキヤノンやらの大企業がひしめき
ボロ儲けをした揚句、若い働き手を数千数万と
師走の巷や河辺に放り出したんじゃと
アコギなことよ、ところがそれがの
奴等の強敵共産党に元気の源(もと)を吹き込んで
ますます強い相手にしちまったんだと
ここでも 敵陣に塩 と言ったわけさ

世の中とは斯ういうもんじゃて……
何? つまらね?

以上の詩は、松村包一さんの「詩集 夜明け前の断絶-テロと国家と国民と-」(2013年1月29日刊)の一編。詩集は158頁、54編の詩が掲載されている。
「英霊に捧ぐ」「テロの源流」「ガザの子どもたち」「言葉の綾」「日米同盟とオスプレイ」「愛国心」「安全と主権の行方」等々。題名から内容の傾向は推測できるだろう。徹底して民衆に寄り添い、徹底して国の無責任を追求する「叛骨詩」である。

松村さんは、私の学窓の大先輩。「1931年水戸市で出生。茨城中学(旧制)、水戸高校(旧制)、茨城大学文理学部を経て1957年東京大学文学部卒」とある。その後の職歴は「劇団東演に所属して演劇活動。川崎市立中学校教諭」である。

この詩集は、松村さんご自身から同窓会の席でいただいた。滅法面白いので、既に何編かを抜き出して紹介した。今回は、3度目になる。
http://article9.jp/wordpress/?p=4502
http://article9.jp/wordpress/?p=4680
上記「じいじの昔話」に、僭越ながら続編をつなげてみたい。ごく最近の話題で。松村さんのことだ。笑って許していただけるだろう。

つまらね? --じいじの「昔は今の話」

亜米利加の属国の日本という国にな
安倍晋三という戦狂いがおってな
ご主人様に気に入られたいの一念で、
属国根性丸出しにこんな約束をしおったと

「お国の兵隊が攻撃されたその折には、
 世界の果てのどこまでも、及ばずながら駆けつけて
 一緒に戦(いくさ)をいたします
 必ず今年の夏までに、
 我が国のうるさいきまりを変えまして、
 ご意志に沿うてみせまする」

で、それ以来日本という国は、戦争法案の審議をめぐって
国内での大戦(いくさ)じゃ

一応日本は、自由で平和で民主主義の独立国というタテマエだからの
安倍晋三が一人声を張り上げても、すごんでも、領国の民を説得しなければ
きまりを変えることはできんのじゃ

そこで、安倍はの、丁寧な説明を心掛けると言わなきゃならないんじゃが、
この男は元々頭が高い。しゃべれば上から目線になっちまう
丁寧に説明すればするほどボロが出る
人気はガタガタ支持率は下がりっぱなし

そこで安倍の家来の37人がイラだっての
城の本丸で秘密の作戦会議を開いたんだと
みんな首相兼総裁様へのおべっか使いだが、こいつら少し思慮が足りなくての
相談相手に百田という札付きの右翼作家を呼んだんじゃ
そりゃ38人は話が合うのさ 大いに盛りあがったということじゃ

「法案審議に国民の反対が多いのは新聞のせいだ」
「怪しからん新聞は懲らしめにゃならん」
「不買運動と広告収入日干しで締め上げろ」
「沖縄の新聞は潰さなあかん」

とまあ、勇ましくぶち上げての、
これが全部明るみに出た

城代家老の谷垣は怒ったな
おまえたち敵陣に塩を送りおって と言ってさ
謙信公がやれば格好良いがの
安倍の家来がやればタダのバカ

いやいや、塩を送ったどころの話しではなかろう
コメも野菜も鉄砲も弾薬もさあどうぞ ということじゃろう

とりあえずは37人については中心人物をお仕置きしてな
家来ども一同には「一切外でしゃべるな」とお触れを出したそうだ 
よっぽどこたえたんじゃろうな

ところがだ 谷垣が頭を抱えたことがある
客として呼んでしゃべらせた百田の口の封じかた
何しろ安倍のお友だちなんじゃから難しい
結局ここだけは口封じができない 
それで、百田は相変わらず反対陣営に塩を送り続けているそうじゃ

もしかしたら「永遠のシオ」
あるいは「安倍にとっての青菜に塩」

そんなこんなで、奴等の強敵共産党だけでなく
護憲勢力全体に元気の源(もと)を吹き込んで
ますます強い相手にしちまったんだと

世の中とは斯ういうもんじゃて……
何? つまらね? いや、そんなはずもなかろう

(2015年6月28日)

Comments are closed.

澤藤統一郎の憲法日記 © 2015. Theme Squared created by Rodrigo Ghedin.