澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

違憲の戦争法案 いよいよ参院審議大詰めだ

戦争法案審議の日程は来週が大詰めとなる。その決戦の来週、既定のスケジュールは以下のとおり。16日(水)15時30分までは決まっているが、その後はまったくの白紙だ。
 14日・月曜日 特別委員会審議 9時~17時
 15日・火曜日 中央公聴会
 16日・水曜日 地方(横浜)公聴会 13時~15時30分
 17日・木曜日 不気味な空白
 18日・金曜日 不気味な空白

14日(月曜日)の委員会質疑では、佐藤正久・北澤俊美・山口那津男・片山虎之助・山下芳生・山田太郎・福島みずほらが質問者となる。安倍・中谷・岸田らが答弁し、NHKが放映する。NHKが中継するのだから強行採決はない。

この間、法案の廃案を目指す勢力の主な行動提起は以下のとおり。
 14日・月曜日 13:00~17:00 国会正門前座り込み
         18時30分 強行採決絶対反対・安倍退陣 国会包囲大行動
 15日・火曜日 12:30~17:00 国会正門前座り込み
 16日・水曜日 13:00~17:00 国会正門前座り込み
 17日・木曜日 13:00~17:00 国会正門前座り込み
 18日・金曜日 13:00~17:00 国会正門前座り込み
 以後連休 27日会期末

さて、15日の中央公聴会はどうなるのだろうか。本日(9月12日)の東京新聞一面トップが、「安保公聴会 意見表明 95人応募 全員『反対』」というヘッドライン。これだけで、いや凄い事態だ。そして、これをトップに持ってくるのは、見上げたセンスではないか。

ずいぶん以前のことだが、私も参院憲法調査会の公述人公募に応募して採用されたことがある。あのときは競争率が低かった。今回は、与党側2人、野党側4人の枠に95名の応募者。狭き門ではあるが、せっかくの機会なのだから、私も今回再度手を挙げておけばよかった。後知恵の浅はか。

東京新聞記事を抜粋する。
「安全保障関連法案に関する参院特別委員会は十一日、有識者や国民から意見を聞くために十五日に開く中央公聴会で意見を表明する「公述人」の公募を締め切った。参院では過去十年で最多の九十五人が応募し、全員が法案に反対の立場を示した。法案に対する懸念の強さがあらためて裏付けられた。特別委の民主党理事が明らかにした。

参院特別委の福山哲郎理事(民主党)は「短期間の公募だったのに応募数が多く、全員が反対だったということが国民の法案に対する明らかな姿勢を表している」と記者団に説明。民主党が推薦する二人のうち一人は応募者から選ぶ考えを示した。
これに対し、与党は応募者ではなく、法案に賛成する有識者らから選ぶことになる。」

95人の応募者全員が「法案反対」。思いがけないことだが、これが世論の分布状況をよく表している。これで採決を強行してよいはずはない。本当にこんな状態で採決ができるというのだろうか。

「安保法案廃案・安倍政権打倒・立憲主義と民主義を守れ」という声は、メインの集会だけのものではない。東京でも地方でも、新しい反対運動が次々に生まれている。採決強行した場合の民衆の怒りと政権のダメージははかりしれない。けっして、採決強行が既定の事実となっているわけではない。

ところで、本日(9月12日)の東京新聞は読み応え十分。東京新聞(中日新聞)の読者でない人にために、宣伝を買って出よう。いくつかの記事をご紹介する。

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本日の社説が読ませる。「湾岸戦争のトラウマ 安保法案に通じるだまし」というタイトル。「湾岸戦争のトラウマ」は欺しだった。その欺しの手口が、今また「安保法案成立に向けて」世論操作に使われている、というなかなか刺激的で大きなテーマ。

私は、湾岸戦争のときに、仲間を語らって「市民平和訴訟」を起こした。湾岸戦争への国費からの1兆1700億円支出と掃海部隊派遣の差し止めを求める訴訟である。
このとき、当初は90億ドル、最終的には130億ドルの支出をしながら、「人を出して血を流す支援をしなかったから、国際社会から感謝されることがなかった。やっぱり一国平和主義ではなく、積極的に派兵を可能にしなければならない」という言説が流された。これが「湾岸戦争のトラウマ」である。

「◆感謝広告になかった日本
 トラウマの原点は1991年の湾岸戦争にある。イラクの侵攻から解放されたクウェートが米国の新聞に出した感謝の広告には30の国名が並び、130億ドルの巨費を負担した「日本」の名前はなかった。日本政府の衝撃は大きかったが、間もなく政府は自衛隊海外派遣の必要性を訴えるキャッチフレーズとして使い始める。…防衛庁長官は「湾岸戦争から学んだものは、やはり、お金だけでは責任を果たしたことにはならない」と述べ、“トラウマ効果”を利用した。湾岸戦争の後、衆院に初当選した安倍首相もこのトラウマを共有している。
 なぜ、意見広告に日本の名前がなかったのだろうか。政府はこれを調べることなく、人的貢献の必要性を言いはやし、翌92年、自衛隊を海外へ派遣する国連平和維持活動(PKO)協力法を成立させて陸上自衛隊をカンボジアに派遣した。
 派遣後の93年4月になって、政府は追加分90億ドル(当時のレートで1兆1千700億円)の使途を公表した。配分先のトップは米国で1兆790億円、次いで英国390億円と続き、肝心のクウェートへは12カ国中、下から2番目の6億3000万円しか渡されていない。大半は戦費に回され、本来の目的である戦後復興に使われなかったのである。

◆「逆手」にとった日本政府
 本紙の取材であらたな証言が飛び出した。湾岸戦争当時、東京駐在だったクウェート外交官で現在、政府外郭団体の代表は「あれは『多国籍軍に感謝を示そうじゃないか』と米国にいたクウェート大使が言い出した」と明かし、米国防総省に求めた多国籍軍リストがそのまま広告になったという。多国籍軍に参加していない日本の名前がないのは当たり前だったことになる。
 クウェート政府に問い合わせていれば、たちまち明らかになった話だろう。解明しようとせず、「湾岸戦争のトラウマ」を逆手にとって焼け太りを図る様は、まともな政府のやることではない。このトラウマがイメージを先行させる手法だとすれば、安倍政権下で健在である。

◆採決急がず審議で正体を
 安保関連法案をめぐり、首相は「自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してない」「外国を守るために日本が戦争に巻き込まれるという誤解があるが、あり得ない」と断言する。
 「湾岸戦争のトラウマ」を利用し続けた政府の言葉を信用できるだろうか。国民をだましているのではないか、との疑念は国会審議を通じて、高まりつつある。政府は急ぎたいだろうが、参院では拙速な採決に走ってはならない。答弁を重ね、国民に法案の正体を説明する義務がある。」

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また、本日の同紙「こちら特報部」は、昨日の当ブログが触れた、都立校「日の丸・君が代」強制に関連する「内心の自由告知」問題を取り上げている。昨日(9月11日)の都教委への「申し入れ」行動の様子を、かなり大きなスペースで記事にしてくれた。「日の丸・君が代」強制問題は、民主主義や教育の根幹に関わる重要性を持ちながらも地味で記事になりにくい。関心を持ってくれる頼りのメディアは、東京新聞とサンデー毎日なのだ。

戦争法案審議大詰めの来週、東京新聞にはさらなる健筆を期待したい。
(2015年9月12日・連続895回)

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Published in 土曜日, 9月 12th, 2015, at 21:18, and filed under 戦争法.

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