澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

スラップ逆襲映画『バナナの逆襲』をお薦めする -「DHCスラップ訴訟」を許さない・第73弾

真正面からスラップ訴訟をテーマにしたドキュメント映画である。是非多くの人にご覧になっていただきたい。吉田嘉明だけでなくDHCの関係者にも広くお薦めしたい。自分のやっていることを見つめ直す機会になるだろうから。

スラップの標的とされた映画監督が、その顛末を自分を主人公として丸々1本の映画にしてしまった。これが、『バナナの逆襲』第1話『ゲルテン監督、訴えられる』。そして、スラップ訴訟で上映禁止を求められたドキュメンタリー映画が、『バナナの逆襲』第2話『敏腕?弁護士ドミンゲス、現る』である。

スラップを仕掛けたのは、世界最大の青果物メジャー・米国Dole社。DHCとはケタが違う大企業。同社が、スラップを仕掛けてまで知られたくなかったのが、中米ニカラグアにおける同社バナナ農園での農薬被害の実態なのだ。

しかし、Dole社のスラップは敗北した。結局のところ、却ってスラップのおかげで、Dole社のバナナ農園での農薬被害の実態が世界に注目されるところとなった。その一連の経過が『バナナの逆襲』なのだが、これは同時に『スラップに対する表現者の逆襲』でもある。そこが、私がお薦めする理由だ。このような映画を作った監督とこれを支えた人々、そして日本での上映に努力された人々に敬意を表するとともに、感謝も申し上げたい。

この映画配給者(「きろくびと」)による案内は次のとおり。
映画人の表現の自由は守られるのか?
弁護士は巨大企業の圧力に屈してしまうのか?

バナナ農園での農薬被害をめぐる世紀の裁判が、映画界も巻き込み大騒動に発展!
2009年、スウェーデン人映画監督フレドリック・ゲルテンがある多国籍企業に提訴された。中米ニカラグアのバナナ農園で農薬被害に苦しむ労働者が起こした裁判を追った、彼の新作ドキュメンタリー映画がロサンゼルス映画祭でプレミア上映されようとしていた時だった……。なぜ監督は訴えられたのか?超巨大企業は何を隠そうとしているのか?果たして映画は上映されるのか?

本作はスウェーデンのジャーナリストでもあるフレドリック・ゲルテンが2009年に制作した”Bananas!*”(第2話)と2011年制作の”Big Boys Gone Bananas!*”(第1話)の2作品で構成されている。日本においても、メディア界の自主規制やTPP問題が話題になっている今、あるバナナ農園の労働者を描いた映画とその上映をめぐるこの2作品は、多国籍企業のビジネス戦略や表現の自由、そして世界のいびつな構造について、さまざまな問題を投げかけている。

■第1話 ゲルテン監督、訴えられる Big Boys Gone Bananas!*
バナナ農園での農薬被害をめぐる裁判を描いた新作ドキュメンタリー映画が、ロサンゼルス国際映画祭でプレミア上映されることが決まり、意気揚々とアメリカに乗り込んだゲルテン監督。しかし上映直前、企業側はなんと映画祭に上映中止を要求し、監督を訴える。われわれの想像を超える過激な妨害工作と、そこから見えてくるアメリカのメディアの暗部。果たして映画は無事に上映されるのか?(2009年/87分)
 2012年 ミラノ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞
 2012年 ワン・ワールド映画祭観客賞
 2012年 サンダンス映画祭正式出品
 2011年 アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭正式出品など

■第2話 敏腕?弁護士ドミンゲス、現る Bananas!*
中米ニカラグアの12人のバナナ労働者が、使用禁止農薬による被害を訴え、米国の超巨大企業に対する訴訟を起こした。あまりにも強大な企業の力を前に、勝ち目はないと思われたが、裁判を請け負ったヒスパニック系弁護士ホアン・ドミンゲスは画期的な闘いを挑む!多国籍化する食料生産システムの闇だけでなく、TPP問題やグローバリズムといった世界のいびつな構造を描き出す、サスペンス・ドキュメンタリー。(2009年/87分)

上映は、2月27日(土)から。渋谷・ユーロスペースで
下記回上映後のトークも用意されている。
2/27 (土) 11:00回 横田増生さん(ジャーナリスト)
2/28 (日) 11:00回 原一男さん(映画監督)
3/05( 土) 15:00回 小林和夫さん(オルター・トレード・ジャパン) 、石井正子さん(立教大学異文化コミュニケーション学部教授)

渋谷・ユーロスペースでの上映時間は下記URLで。
  http://kiroku-bito.com/2bananas/index.html
3月19日(土)からは、横浜シネマリンで公開です。さらに下記劇場でも公開決定とのこと。
名古屋シネマテーク/大阪・第七藝術劇場/神戸アートビレッジセンター/広島・横川シネマ

1月28日、DHCスラップ訴訟控訴審判決言い渡しの日の夕方、この映画の主人公ともなったフレデリック・ゲルテン監督(スウェーデン人)と鼎談の機会があった。もうひとりの参加者は、『ユニクロ帝国の光と影』(2011年、文芸春秋)で、やはりスラップの標的とされた、フリージャーナリストの横田増生さん。最後を、監督がこう締めくくっている。

「私たち今日ここにそろった3人が発することのできる非常に重要なメッセージは、スウェーデンにしろ日本にしろアメリカにしろ、言論の自由、報道の自由というのは憲法で定められているのだから、訴訟を起こされることを恐れることはない、ということです。実際に裁判で勝つことができるんだと。もうひとつ重要なことは、ジャーナリストなど、他の誰かが攻撃されたときに、私たちは後ろで、援護射撃をしなくではいけない。支えなければならない。連帯ということが、非常に重要だと思います。
また、私の仕事の醍醐味というのは、世界中で同じように闘っている仲間と会えることです。私の作品を見て、本当にたくさんの人が私に会いに来て、自分の仕事や置かれている状況について話をしてくれます。韓国に行ったときには、どの上映会でも、自分の雇用主と闘っている組織ジャーナリストが声をかけてくれました。メキシコでは、たくさんのジャーナリストが殺害されている状況が続いていて、多くの観衆が涙を流していました。世界中のどこでもストーリーがあるのです。そして、今回お二人のお話を聞いて、日本にも兄弟がいると感じています。そういったことがとでもうれしいです。自分は一人じゃないのだと知ることはとても重要だと思います。闘い続けるためのエネルギーと勇気をくれますね。だから今日お二人にお会いできでとてもうれしく思います。またいつかお会いするまでそれぞれがんぱりましょう。そして、シンプルな話を語りつづけましょう。それこそがとても大きな力を持っているのです。」

席上、「Keep Fighting」と繰り返された。自由や権利を、紙の上の文字だけのものにせず、現実の社会に実現するには、闘い続けることが必要なのだ。この映画は、その教訓に満ちている。
(2016年2月24日)

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