澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

「立憲4党」にイエス。「壊憲4党」にはノーの意思表示を。

あと3日。参院選最終盤に至って、憲法問題の争点化が浸透してきた。
私は、先に今回参院選の勢力関係の骨格を、「右翼アベ自民とこれを支持する公明が改憲勢力を形づくり、左翼リベラル4野党連合が反改憲でこれに対峙する。この両陣営対決のはざまに、おおさか維新という夾雑物が存在するという2極(+α)構造」と描いた。これをもっと単純化すれば、「立憲4党」対「壊憲4党」の争いともいえるのではないか。

「立憲4党」は中野晃一さんのネーミング。なるほど、民進・共産・社民・生活の4党共闘の核になっているものは、明文改憲阻止というよりは立憲主義の回復というべきではないか。アベ政治は既に立憲主義を破壊しつつある。この現実を糺し修復しなければならないという喫緊の課題での共闘。このネーミングの方が緊迫感ないし切実感がある。

これに対する自民・公明・おおさか維新・こころの4党を、大手メディアが「改憲4党」と呼ぶようになっている。「改憲4党は、非改選議席と併せて参院の3分の2の議席がとれるだろうか」との関心の寄せ方。しかし、実は「これから憲法に手を付けます」ではなく、既に憲法の一部を壊しているのだ。その意味では、「改憲」よりは「壊憲4党」と呼ぶのにふさわしい。

大日本帝国憲法下での立憲主義と日本国憲法の下での立憲主義とは大きく異なる。この違いは、権力からの個人の自由をメインの理念とする「近代憲法」と、資本主義の矛盾を克服する福祉国家理念をもつ「現代憲法」との違いに対応したもの。権力が護るべきとされるものの中に、平和主義・民主主義・法律の留保なき人権・社会権・参政権の保障を含むか否かなのだ。

憲法を頂点とする法体系の保護がなければ、強い者勝ちになる不公正に歯止めをかけ、弱い者の立場を護る思想に貫かれているのが、現代憲法としての「日本国憲法」である。改憲を阻止する、憲法を護る、憲法を活かす、立憲主義を取り戻すとは、結局のところ、法の保護なくば弱い側の立場を守ろうということなのだ。「立憲」4党の「立憲」は、この立場を指す。

既に壊されている憲法の理念は、まずは平和である。その最大のテーマは戦争法(安保関連法)であり、次いで表現の自由などの精神的自由権。そして、労働や福祉、さらには教育も民主主義もある。

この二つのブロックの中の各政党の個性はひとまず措いて、「立憲ブロック」と「壊憲ブロック」のどちらに投票すべきか。立場によって分かれる。分かり易いではないか。迷う必要はなさそうだ。

もし、あなたがこの社会の強者の側にあるなら、つまりは大企業の経営者側で、労働者をできるだけ安く使うことを望んでおり、労働者の首切りは自由な方がありがたいと思う立場であるなら、また株や債権の売買でぼろ儲けをしていて、軍事緊張が高まれば武器が売れて景気がよくなるとほくそ笑む立場にあるなら、所得税も法人税も相続税もできるだけ小さくして、累進性をなくし、福祉も教育も自己負担で自助努力が原則の国を望むなら、堂々と壊憲4党に投票すればよい。

しかし、あなたが働く者として首切り自由はとんでもないとし、時間外手当のカットも不当と考えるなら。また、軍事緊張も戦争もゴメンだというのなら。所得税や相続税は累進性を強化すべきが実質的公平に合致すると考え、福祉も教育も本来は国が負担すべきが望ましいとお考えなら、壊憲4党に投票してはならない。農業や漁業の従事者も、中小零細企業家も同じだ。うっかり自公への一票は、自分の首を絞めることとなる。

さらに、仮にあなたがこの格差社会の不合理を身をもって体験している立場にあるなら、あなたの一票は特別な意味を持つ。政治とは、誰の立場にたって政策を進めるかのせめぎあいだ。この社会は利害対立するグループで成り立っている。総じて、強い立場の者と弱い立場の者。強い者は、自分たちが支配する現行の体制を維持し続けようと試み、支配を受けている者がこれに抵抗を試みているのだ。税金のとりかたも使い方も、「強い者・富める者」と「弱い者、貧しき者」との綱引きの結果として決まっている。実は、万人に利益となる政治は幻想であって、どちらの層の利益になるかが、熾烈に争われているのだ。

日本国憲法は、「強い者・富める者」の利益を抑制して、「弱い立場の者、貧しき者」の利益を擁護すべきとする理念を掲げている。飽くまで理念に過ぎない「弱い立場の者、貧しき者」の利益を実現する政治は、選挙によって初めて形づくられる。理念を眠り込ませることなく現実化するのが選挙という機会である。

政治を変えようと切実な声が選挙に結実すれば、医療も教育も、介護も保育も福祉も、すべてを国の負担で行う制度の実現が可能なのだ。格差と貧困を克服する社会の実現は、たとえ時間はかかろうとも、けっして夢物語ではない。その高みに至る道は、陰謀や血なまぐさい暴力によって切り開かれるのではない。あなたのもっている選挙権が唯一の武器だ。言論による説得と、自覚的な一票の積み重ねによって、もっと住みやすい社会を実現できる。アベ政治の継続で利益を得ている者たちに欺されてはならない。

まずは、立憲4党を勝たせることだ。憲法改正を阻止するだけでなく、既に損なわれている憲法の理念を修復して、弱い者に暖かい手を差し伸べる政治を実現しなければならない。壊憲4党に、分けてもアベ自民に投票してはならない。
(2016年7月7日)

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