澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

祝。海区調整委員選挙に、浜の一揆訴訟原告から2名が当選。

昨日(8月3日)、岩手県海区漁業調整委員会委員選挙の投開票。浜の一揆衆から立候補したお二人(菅野修一・藏德平)がみごとに当選した。立派なものだ。たいしたものだ。これで、三陸の浜の空気が少し変わるのではないか。もしかしたら県の水産行政も。

定数9の選挙。事前に浜の一揆から2人立候補の予定が明らかになると、どこからかの天の声で、立候補予定者は合計11名の「2人はみ出し選挙」になる模様と伝えられた。ところが、直前に候補予定者1人が下りて、1人はみ出し選挙となった。1人はみ出し選挙では、当選のための必要得票数がもっとも高くなる。

しかし、心配の必要はなかった。結果は以下のとおりである。

 大井 誠治          1,130
 前川 健吾          1,015
 小川原 泉            951
 久慈市漁業協同組合     753
 菅野 修一            676
 吉浜漁業協同組合       593
 大船渡市漁業協同組合    538
 藏 德平             365
 原子内 辰巳          325
 JF三陸やまだ          256

投票率は68.68%、投票者総数は6,602票だった。
なお、菅野・藏の両名を除く全候補が、漁協そのものか、漁協の組合長である。いわば、漁協の締め付けの中での選挙戦。浜の一揆訴訟の原告数は100人だから、その10倍の票の獲得は実はたいしたものなのだ。

新しい委員会では、県漁連会長(大井誠治)を含む漁協幹部7名と生粋の漁民2名(菅野・藏)が対峙する。委員会の傍聴に行ってみたいものだ。もちろん、漁協は一色でなく民主的な運営に成功しているところもある。漁協が一色でないように、新委員全部が一色でもない。中には漁民の声に真摯に耳を傾けてくれる委員もいると聞いている。この点が希望だ。

この選挙の管理は、県と各市町村の選挙管理委員会が行う。原則として、県議選挙に準じて公選法の規定が準用となるが、選挙公営制度適用がない。だから、供託金の制度がない。そして、公選法の選挙運動規制が一部読み替えられて適用になる。いくつか現場からの質問を受け、調べて初めて知った。なかなかに興味深い選挙。

ところで、海区漁業調整委員会とは、漁業法に基づいて各海区(原則1県1海区)に設けられた「漁業調整」の役割を持つ委員会。「漁業調整」は漁業法の中心概念だが、分かったような分からぬような。その定義の規定は法にはない。

漁業調整委員会は、「漁業調整」に関して、都道府県知事への諮問機関・建議機関として機能するとともに、委員会みずからが各種の裁定・指示・認定をおこなう決定機関としても広範で強力な権限をもつ(漁業法)。

漁業界には、「地域対立」「漁種対立」「階層対立」があるという。中で、もっとも根深いのが、「階層対立」。いま、その対立構造は象徴的に、三陸沿岸主力魚種サケの採捕の問題に表れている。

現状は、「漁協+浜の有力者」が大型定置網漁の権利を得て、漁獲を独占している。これに対して、小型漁船で操業する「一般漁民」はサケ漁から閉め出されている。うっかりサケを捕れば刑罰の脅しだ。

元々漁民全体の利益のために設立されたはずの漁協が、大規模定置網漁を自営することによって漁民の生活を圧迫している。これは、本来水協法が予定するところではなかったはず。現状の「漁業調整」のあり方を不当・不合理とし、何とか変えなければならないという発想での海区漁業調整委員会選挙への挑戦である。何よりも漁民と漁協の間の対立を解消して、新たな「漁業調整」秩序を作らなければならない。それには漁民の声が反映されなければならず、それこそが浜の一揆のロマンではないか。
(2016年8月4日)

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