澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

船尾徹・自由法曹団新団長の船出にエールを送る。

「しんぶん赤旗」は共産党の政党機関誌だが、市民運動関係の情報豊富なところが貴重な存在となっている。昨日(10月24日)赤旗朝刊を開いたら、社会面に「共闘広げ改憲阻止 自由法曹団総会終わる」の記事。小見出しに「新団長に船尾氏」と、船尾徹さんが三重県鳥羽市で開かれていた団の総会で、新しい団長に選任されたという記事が写真とともに目に飛び込んできた。事前に一切情報がなかったため一瞬驚いたが、まことに当を得た人事で素晴らしいニュースだ。

弁護士とは、在野に徹し反権力を堅持すべき専門職能。国家権力とも、大資本とも、厳しく対峙しなければならない。だから、弾圧事件にも冤罪事件にも取り組む。労働争議も解雇も思想差別も、弁護士の出番だ。そんな心意気の、本来の姿の弁護士の集団が自由法曹団。最も活動的で団結力の強い規模の大きな弁護士の任意団体である。

その弁護士集団の新代表になった船尾さんは、私が弁護士として職業生活をスタートさせた東京南部法律事務所の1年先輩に当たる。6年間机を並べて議論もし、事件の現場も一緒に歩いてともに仕事をした仲だ。温厚篤実な人柄で粘り強い仕事ぶりには定評がある。

遠くから見ている限りで立派な人物も近づけば幻滅。それが世の常なのだが、船尾さんは最初から身近にあって尊敬すべき人物として揺るぎがない。この人事、団のためにも船尾さんのためにも、心からの祝意を表したい。

私は、修習生の時代に青年法律家協会に参加した。ここで、最高裁と衝突の経験を経て将来の生き方を決めた。弁護士として仕事を始めて、すぐに自由法曹団員となった。そして間もなく団の事務局次長となって貴重な経験をした。その後に総評弁護団員になり、日本民主法律家協会会員にもなった。

私が弁護士になりたてのころ、自由法曹団長といえば雲の上の存在だった。上田誠吉、小島誠一、岡崎一夫などの錚々たる顔ぶれ。治安維持法の時代を知る年代。団規令や政令325条と闘った筋金入りの弁護士たち。そして、松川事件やメーデー事件など伝説的な法廷闘争で輝かしい成果をあげた大先達。

時代は移った。この頃は近しい人が団長を務める。20期の菊池紘さんのあと、22期が3人続く。篠原義仁さん、荒井新二さん。そして船尾さんである。それぞれが個性あって多士済々。いずれも、それぞれの分野で語るべき業績を
あげてきた人たち。

以下は、自由法曹団の解説。
 団は、1921年に神戸における労働争議の弾圧に対する調査団が契機となって結成された弁護士の団体。今年で、創立96周年を迎えた。広辞苑でも「大衆運動と結びつき、労働者・農民・勤労市民の権利の擁護伸張を旗じるしとする。」と紹介されている。
 団の目的は、「基本的人権をまもり民主主義をつよめ、平和で独立した民主日本の実現に寄与すること」であり、「あらゆる悪法とたたかい、人民の権利が侵害される場合には、その信条・政派の如何にかかわらず、ひろく人民と団結して権利擁護のためにたたかう」(規約2条)こと。団は、この間、平和、民主主義と人民の生活と権利を守るため、憲法改悪、自衛隊の海外派兵、有事法制、教育基本法改悪、小選挙区制、労働法制改悪などに反対する活動を行ってきた。そして今、戦争法制(安保法制)など戦争する国づくりに反対する活動、秘密保護法に反対する活動、米軍普天間基地撤去を求め、辺野古新基地建設に反対する活動、議員定数削減に反対し、民意の反映する選挙制度を目指す活動、労働法制改悪に反対する活動、盗聴法の拡大と司法取引の導入に反対する活動、裁判員制度の改善と捜査の全面可視化を実現する活動、東日本大震災と福島第一原発事故による被害者支援の取り組み、脱原発へ向けたとりくみなどを行っている。
また、団と団員は、布川事件、足利事件、袴田事件などのえん罪裁判、派遣労働者の派遣先企業への正社員化を求める裁判などの数々の労働裁判、生活保護受給を援助する取組、嘉手納爆音裁判などの基地訴訟、環境・公害裁判、税金裁判、消費者裁判などの様々な権利擁護闘争に取り組んでおり、国際的な法律家の連帯と交流の活動も行ってもいる。
 現在、約2100名の弁護士が団員として全国すべての都道府県で活動しており、全国に41の団支部がある。
 現在の役員は、団長・船尾徹(22期)、幹事長・加藤健次(40期)、事務局長・西田穣(57期)。
 
船尾新団長の船出に、風雨ことさらに激しき折、心して風を切り浪を乗り越えよと、心からのエールを送る。
(2017年10月25日)

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