澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

冤罪を訴える人々と、国民救援会。

日本国民救援会は、1928年4月7日に結成されたというから、来年が設立90周年となる。そのホームページには、「戦前は、治安維持法の弾圧犠牲者の救援活動を行い、戦後は、日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤として、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支え、全国で100件を超える事件を支援しています。」とある。

その国民救援会が発行する「救援新聞」は旬刊で、毎月5の日に発行。最新刊の11月5日号の第4面から6面に、救援会が支援している冤罪被害者(あるいは家族)の声が紹介されている。
「私は無実です ご支援ください」という大きな見出し。ほとんどが再審請求中の事件で、その数25件。一つ一つの事件の本人の「私は無実です」という訴えが痛々しい。

その事件名と当事者の名前だけを連ねておく。
●秋田・大仙市事件  畠山博さん
●山形・明倫中裁判  元生徒7人
●宮城・仙台北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件  守大助さん
●栃木・今市事件 勝又拓哉
●東京・三鷹事件 竹内景助さん(故人)
●東京・痴漢えん罪西武池袋線小林事件 小林卓之さん
●東京・小石川事件 井原康介さん
●長野・冤罪あずさ35号窃盗事件 Yさん
●長野・あずみの里「業務上過失致死」事件 山口けさえさん
●福井・福井女子中学生殺人事件 前川彰司さん
●静岡・袴田事件 袴田巖さん
●静岡・天竜林業高校成績改ざん事件 北川好伸さん
●愛知・豊川幼児殺人事件 田邉雅樹さん
●三重・名張毒ぶどう酒事件 奥西勝さん(故人)
●滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件 西山美香さん
●滋賀・日野町事件 阪原弘さん(故人)
●京都・タイムスイッチ事件 車本都一さん
●京都・長生園不明金事件 西岡廣子さん
●兵庫・花田郵便局強盗事件 ジュリアスさん(仮名)
●兵庫・えん罪神戸質店事件 緒方秀彦さん
●岡山・山陽本線痴漢冤罪事件 山本真也さん
●高知・高知白バイ事件 片山晴彦さん
●熊本・松橋事件 宮田浩喜さん
●鹿児島・大崎事件 原口アヤ子さん
●米・ムミア事件 ムミア・アブ=ジャマールさん

救援新聞には、「ひとこと」という会員の投書欄があって、宮城の女性が、次の投書を寄せている。
「『司法』というのは、正義の守り手のはずです。それなのに冤罪が生まれる。それでも再審請求し、正義が正義になるよう、力を合わせないといけない。これも闘い?」

司法の正義とは、けっして冤罪者を出さぬことだ。しかし、冤罪は後を絶たない。冤罪が明らかになったとき、司法は頑強にこれを認めようとしない。司法が間違ったとなれば、司法の権威が損なわれると考えるからだ。しかし、司法が自らの権威の失墜を恐れて冤罪の救済を怠るようなことがあれば、そのこと自身が大きな正義の喪失であり、司法の権威と信頼は地に落ちることになる。

市民運動が、雪冤を訴える冤罪被害者の声に耳を傾けて励まし、再審無罪を勝ち取ることができれば、市民自身が正義を実現し、失墜した司法の権威回復に寄与したことになる。

戦前、市民運動としての救援会と被告と弁護士との三者の連携を、「モ・ベ・ヒ」の団結と言ったそうだ。モは救援会の前身の「モップル」、ベは弁護士、ヒは被告本人である。当時、冤罪と言えば、弾圧事件だった。これに抵抗する、強固な弾圧からの救済運動組織が必要とされた。救援会は、その流れを汲んでいる。

その弾圧事件はけっして過去のものではない。公選法による弾圧も、民商に対する弾圧も、そして公務員労働者に対する弾圧もけっしてなくなることはない。「共謀罪法」が成立した今、新たな弾圧事件の発生も懸念される。

権力による市民への弾圧がなくなり、司法の誤りがなくならぬ限り、国民救援会は発展し続ける。創立90周年から、100年を超えて、いつまでも…。
(2017年10月30日)

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