戦争法案の衆議院強行採決には、多くの声明・アピール・決議が飛び交っている。全国では厖大なものになるだろう。多くは、「満身の怒り」「断固たる抗議」から書き始められ、「強く廃案を求める」理由が語られ、「そのために全力を尽くす決意」で締めくくられている。
廃案を求める理由は、「法案の違憲」「立憲主義違反」「平和主義反する」「民主主義反する」というもの。世論の動向に触れたものも多い。
法律家団体の抗議声明3通をご紹介する。私の所属する日民協や自由法曹団ら6団体の共同声明、東京弁護士会の会長声明、そして席代の東弁会長連名の声明。みんな、素早い。そして、真剣さが伝わって来る。誰も、落胆などしていない。怒りとともに、廃案へ闘う決意十分だ。こんな情勢で、はたして安倍政権持ちこたえられるろうか。
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自民公明両党などによる戦争法案の衆議院強行採決に
強く抗議し、同法案の廃案を求める法律家6団体共同声明
自民・公明両党は、武力攻撃事態法、自衛隊法など既存10法を一括して改正する「平和安全法制整法案」と新設の「国際平和支援法案」(以下併せて「戦争法案」という。)を昨日の衆議院特別委員会に引き続き、本日、衆議院本会議において強行採決により可決した。私たち法律家6団体は、自民・公明両党などによるこの度の強行採決に強く抗議するとともに、憲法違反の戦争法案の廃案を断固として求めるものである。
1.戦争法案は違憲であること
戦争法案は、我が国が直接武力攻撃を受けていない場合に、米国ほか他国のために武力行使を行う集団的自衛権を認めるものであり、その行使を限定する歯止めは存在しないに等しい。のみならず、戦争法案は、自衛隊が海外の戦闘地域あるいはその直近まで赴き、米国軍他の多国軍隊の後方支援活動(兵站活動)を行い、また、任務遂行のための武器使用や米艦等防護を口実とする武力行使を可能とするものである。日本の安全を守る、あるいは、国際平和への貢献という名のもとに、自衛隊の海外派兵と武力行使を解禁するものであり、憲法第9条の定める戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認に違反することは明らかである。衆議院での審議により、こうした法案の問題点は払拭するどころか、ますます明らかになる中での強行採決であった。
2.立憲主義・民主主義に反する強行採決
そもそも昨年7月1日の閣議決定は、「集団的自衛権の行使は憲法違反」という60年以上にわたって積み重ねられてきた憲法解釈を一内閣の判断で根本的に変更するものであり、憲法解釈の枠を逸脱するものである。さらに、本年4月27日、日米両政府は、「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)を、現行安保条約の枠組みさえも超える「グローバルな日米同盟」に改定し、同29日、安倍首相は米国上下両院において、法案の「この夏までの成立」に言及するなど、国民主権軽視の姿勢は一貫していた。そして、多数の憲法研究者や元内閣法制局長官らが憲法違反を指摘し、各種の世論調査において国民の過半数が反対し、8割が政府の説明に納得していない現状の中で、自民、公明両党が行った衆議院強行採決は、立憲主義と国民主権・民主主義を踏みにじる戦後憲政史上最悪ともいうべき暴挙であり、断じて許されてはならない。
3.結語
私たち法律家6団体(構成員延べ7000名)は、安倍政権による反民主主義、反立憲主義手法による戦争法案の強行採決に強く抗議し、今後とも、広範な国民とともに、憲法9条を否定し、日本を戦争する国に変え、日本国民並びに他国民の命を危険にさらす本戦争法案を廃案とするために、全力を尽くす決意であることをここに表明する。
2015年7月16日
改憲問題対策法律家6団体連絡会
社会文化法律センター 代表理事 宮 里 邦 雄
自 由 法 曹 団 団 長 荒 井 新 二
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議 長 原 和 良
日本国際法律家協会 会 長 大 熊 政 一
日本反核法律家協会 会 長 佐 々 木 猛 也
日本民主法律家協会 理事長 森 英 樹
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2015年07月16日
東京弁護士会 会長 伊藤 茂昭
本日、衆議院本会議において、『安全保障関連法案』が与党のみによる賛成多数で強行採決され、参議院に送付された。
『安全保障関連法案』は、他国のためにも武力行使ができるようにする集団的自衛権の実現や、後方支援の名目で他国軍への弾薬・燃料の補給等を世界中で可能とするもので、憲法改正手続も経ずにこのような法律を制定することが憲法9条及び立憲主義・国民主権に反することは、これまでも当会会長声明で繰り返し述べたとおりである。
全国の憲法学者・研究者の9割以上が憲法違反と断じ、当会のみならず日弁連をはじめ全国の弁護士会も憲法違反を理由に法案の撤回・廃案を求めている。法律専門家のみならず、各マスコミの世論調査によれば、国民の約6割が反対を表明しているし、約8割が「説明不足」だとしている。
このように、法律専門家の大多数が憲法違反と主張し、国民の多くからも強い反対や懸念の表明があるにもかかわらず、『安全保障関連法案』を政府及び与党が衆議院本会議における強行採決で通したことは、国民主権を無視し立憲主義及び憲法9条をないがしろにする暴挙と言わざるを得ない。
安倍総理自身が、「十分な時間をかけて審議を行った」と言いながら「国民の理解が進んでいる状況ではない」と認めており、そうであるならば主権者たる国民の意思に従い本法案を撤回すべきである。国民の理解が進んでいないのではなく、国民の多くは、国会の審議を通じ、本法案の違憲性と危険性を十分に理解したからこそ反対しているのである。
参議院の審議においては、このような多くの国民の意思を尊重し、慎重かつ丁寧な審議がなされるべきであり、政府及び与党による強行採決や60日ルールによる衆議院における再議決など断じて許されない。
あらためて、憲法9条の恒久平和主義に違反し、立憲主義・国民主権をないがしろにする『安全保障関連法案』の撤回あるいは廃案を、強く求めるものである。
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私たちは、安全保障関連法案の撤回・廃案を強く求めます!
2015年7月15日
「二度と戦争をしない」と誓った日本国憲法の恒久平和主義が、今最大の危機を迎えている。
現在、国会は政府の提出した「安全保障関連法案」を審議中であるが、会期を異例の95日という長期間延長し、本日、衆議院の特別委員会での採決を強行した。政府与党は、引き続き、本国会での成立を辞さないとの構えを見せ、日々緊迫の度を増している。
安全保障関連法案は、昨年7月1日の集団的自衛権行使の容認等憲法解釈変更の閣議決定を立法化し、世界中のどの地域でも自衛隊の武力行使(後方支援)を可能とするものである。「厳格な要件を課した」と称する存立危機事態・重要影響事態等の発動の基準は極めて不明確で、時の政府の恣意的な判断で集団的自衛権が行使され、自衛隊の海外軍事行動が行われる危険性が高く、憲法9条の戦争放棄・恒久平和主義に明らかに反するものである。
また憲法改正手続に則って国民の承認を得ることなく、憲法を解釈変更し、これに基づく法律制定をもってなし崩し的に憲法を改変しようとすることは、立憲主義および国民主権を真っ向から否定するものである。
衆議院憲法審査会に与野党から参考人として招じられた3名の憲法学者がそろって「安全保障関連法案は憲法違反」と断じ、大多数の憲法学者も違憲と指摘している。これまでの歴代政府も一貫して、集団的自衛権行使や自衛隊の海外軍事活動は憲法9条に違反するとの見解を踏襲してきたのである。
然るに、政府は「日本をめぐる安全保障環境が大きく変わり、国民の安全を守るためには集団的自衛権が必要」と主張し、武力による抑止力をことさらに喧伝しているが、そのような立法事実が実証できるのかは甚だ疑問である。また、政府は唐突にも、1959年(昭和34年)12月の砂川事件最高裁判決を本法案の合憲性の根拠として持ち出しているが、同判決は、個別的自衛権のあり方や米軍の国内駐留について述べたものであって、集団的自衛権を認めたものではないことは定説である。
われわれ国民は、日本国憲法の恒久平和主義という究極の価値観のもと、様々な考えや国際情勢の中で平和と武力の矛盾に揺れながらも、戦後70年間軍事行動をしなかったという、世界に誇れる平和国家を創り上げてきたのである。政府は「国民の安全を守るのは政治家である」として、かかる歴史と矜持を、強引に踏みにじろうとしている。
私たちは、憲法とともに歩みこれを支えてきた在野法曹の一員として、憲法の基本理念である恒久平和主義が、時の一政府の発案によって壊されようとしている現状を深く憂い、ここに安全保障関連法案の違憲性とその危険性を強く国民の皆さんに訴えるとともに、同法案の撤回あるいは廃案を求める。
昭和57年度会長 安原正之 昭和58年度会長 藤井光春 昭和63年度会長 海谷利宏 平成元年度会長 菅沼隆志 平成5年度会長 深澤武久 平成7年度会長 本林徹 平成9年度会長 堀野紀 平成11年度会長 飯塚孝 平成12年度会長 平山正剛 平成13年度会長 山内堅史
平成14年度会長 伊礼勇吉 平成15年度会長 田中敏夫 平成16年度会長 岩井重一 平成17年度会長 柳瀬康治 平成18年度会長 吉岡桂輔 平成19年度会長 下河邉和彦 平成20年度会長 山本剛嗣 平成21年度会長 山岸憲司 平成22年度会長 若旅一夫 平成23年度会長 竹之内明 平成24年度会長 斎藤義房 平成25年度会長 菊地裕太郎 平成26年度会長 ?中正彦 平成27年度会長 伊藤茂昭
(2015年7月16日)
まずは怒らねばならない。安倍内閣に対する熱い怒りを共有しよう。この最悪の内閣が、立憲主義を蹂躙したことに。憲法九条に込められた平和の理念を放擲したことに。そして、明らかに国民世論に背を向けた民主主義破壊の暴挙に。
今日(15日)の強行採決スケジュールを決めた13日の自民党役員会で、安倍晋三は「私も丁寧に説明して(国民の)理解が進んできたと思う。」と述べたという(共同)。このノーテンキな日本国首相の言葉の軽さを信じがたいことと驚いたが、本日(15日)午前中の委員会質疑で、同じ安倍が「残念ながら、まだ国民の理解は進んでいる状況ではない」と認めたという(時事)。それでも、採決は強行するのだというその鉄面皮にさらに驚ろかざるをえない。
要するに、国民の理解などはどうでもよいのだ。「丁寧な説明」は口先だけ。恰好だけを繕って、国民の理解があろうとなかろうと、スケジュールのとおりに時至れば数の暴力で決着をつけようというだけのことなのだ。こんな連中に、国の運命を任せてはならない。こんな連中が権力を握るこの国を戦争のできる国としてはならない。
さあ、これからが怒りを行動への本番だ。戦争法案成立阻止と安倍政権打倒が行動の目標となる。
政権寄りの論者の中には、「安倍政権の支持率低下は織り込み済みで想定内の範囲に収まっている」という者がいる。はたしてそうだろうか。いま澎湃と湧き起こっている分厚い世論の批判と包囲が、安倍政権にとっての想定であったはずはない。政権は焦り、苛立っている。世論をおそれ不安を感じている。彼らは、攻勢的に与党単独採決の強行に踏み切ったのではない。このままでは、ジリ貧となって押し込まれるという危機感から、強行採決に追い込まれたのだ。
しかも、戦争法案だけではなく、いろんな問題が政権を悩ませている。いや、正確には、安倍政権の強引なやり口で闘わざるを得ない分野が数々あるのだ。
まずは沖縄だ。辺野古への移設反対の揺るがぬ県民世論は「慰霊の日」以来、反安倍の色調を露わにしている。党内の親安倍勢力の言論弾圧体質も明らかになっている。この「言論圧力勉強会」への処分に対する不満の不協和音も聞こえてくる。これに加えて、このところにわかに重要問題としてクローズアップされてきた新国立競技場建設問題だ。政権の体質を物語る事件として世論への影響が大きい。
さらに、労働者派遣法改悪に象徴される安倍政権の労働法制問題、社会福祉改悪問題、大学の自治への介入問題。そして、地方切り捨てとTPP。戦後70年談話問題も、既に政権にとっての重荷となっている。
安倍政権は、自らの悪政で多くの分野の多くの人を傷つけ敵に回している。多くの人の安倍政権打倒の共闘の条件を作っているのだ。安倍政権は、自ら墓穴を掘っているに等しい。国民へ大きな傷跡を残さぬうちの、早期退陣の条件が整いつつあるのではないか。ようやくにして、閣内からも、政権の手法についての憂慮の声が上がり始めている。
今日の強行採決を、安倍政権の墓標としよう。この墓標の下に政権の亡骸を葬り、「かつて立憲主義と、平和主義と民主主義とを蹂躙した暴君がいた」と墓標に書き込もう。
(2015年7月15日)
この緊急事態に、皆さまに訴えます。しばらく、お耳をお貸しください。
何が緊急事態か。日本を戦争のできる国に作りかえる、とんでもない法案が国会の審議で大詰めを迎えて、明日にも委員会での強行採決が行われようとしているそのことです。「日本が戦争をする国になる? まさかそんなことが」「もし、そんなことになるとしてもずつと先のことでしかなかろう」などと悠長にお考えの方はいらっしゃいませんか。「『狼が出るぞ』という宣伝は聞き飽きた」、そう言ってはおられません。明日(7月15日)、「牙をむいた恐ろしい狼」が出ようとしていののです。
いま、異例の長期延長となった国会で審議中の法案を、政府与党は「平和安全法制」と呼んでいます。また、マスコミの多くは「安全保障法制」、略して「安保法制」という言葉を使っています。しかし、この法案に反対する私たちは、ズバリ「戦争法案」と名付けています。一定の要件が整えば、日本も戦争をすることができると定める法律だからです。文字どおり、日本を戦争のできる国とする法案だから、戦争法案なのです。
平和憲法は一切の戦争と武力行使を禁じたはずです。最大限譲歩しても、現に侵略を受けた場合の自衛のための武力行使に限られる。それ以外の戦争はできるはずもない。そのような常識で、戦後70年を過ごしてきた国民が、突然に安倍内閣という狼に政権を委託してしまったのです。彼は、自衛のための武力行使に限らず、集団的自衛権行使容認を明言し、いまこれを立法化しようとしているのです。他国の戦争を買ってまで、戦争に参加しようというのです。
「戦争が廊下の奧に立っていた」という有名な句があります。もしかしたら明日、「戦争が委員会室の奧に立つ」のです。その後、衆議院の本会議場に戦争が立ち、参議院の議場にも戦争が立つようなことになったら、身震いする事態です。おそらく、教室にも、新聞社にも、テレビ局にも、戦争が立つ風景が展開されることになるでしょう。
私たちは70年前、戦争の惨禍を繰り返さないことを誓って、平和国家日本を再生しました。そのとき、なぜあのような悲惨で無謀な戦争をしてしまったのか、十分な反省をしたはずです。その答の一つが、民主主義の不存在でした。
戦前、国民は主権者ではなく、統治の対象たる臣民でしかありませんでした。自分たちの運命を自分たち自身で決めることのできる立場になかったのです。情報に接する権利も、意見を発して政治に反映させる権利も、まことに不十分でしかありませんでした。平和と民主主義とは、相互に補い合う、密接な関係にあるというべきです。
我々は主権者として、戦争を可能とする戦争法案の廃案を強く求め、平和を壊す安倍政権にノーを突きつけなければなりません。我々は、選挙の日一日だけの主権者ではない。いま、安倍政権は、選挙によって多数の支持を受けたとする傲慢をひけらかしていますが、あらゆる論戦、あらゆる論壇、そしてあらゆる世論調査の結果が、民意は安倍政権から離れて、戦争法案反対派のものとなりつつあります。私たちは、その主権者の意思を表明しなければなりません。デモ・集会・メール・ファクス・ブログ、あらゆる手段で「戦争法案を廃案に」「強行採決反対」の声を、安倍政権と国会にぶつけましょう。
皆さん、とりあえず国会に出向きましょう。集会に行きましょう。デモ行進にも参加しましょう。力を合わせて、いまこそ行動を起こすとき。狼になど負けてはおられません。
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7月14日、強行採決前日と囁かれる本日は、フランスの革命記念日である。ルイ王朝打倒の市民革命が始まったとされるこの日。安倍レジームに抵抗するにふさわしい日。
昼休み時間に本郷三丁目交差点、夕刻有楽町マリオン前で、2度マイクを握った。その後、日比谷野音の総掛かり大集会に参加し、2万人余の人とともに国会までのデモに参加した。これが私の革命記念日。
集会とデモのシュプレヒコールは、「九条守れ」「戦争法案廃案」「強行採決絶対反対」は当然として、胸にストンと落ちたのは、「安倍を倒せ」だった。ラップ調で、「安倍はやめろ」「今すぐやめろ」「さっさとやめろ」が、大きな声で唱和された。
60年安保の時も、「アンポ・ハンタイ」だけでなく「岸を倒せ」のスローガンが津々浦々にこだました。いま同じように、「アベヲ・タオセ」「とっとと辞めろ」のスローガンが全国に沸き上がりつつある。
「安倍を倒せ」「強行採決絶対反対」「戦争法案廃案」は平和と民主主義の双方を救うことなのだ。
(2015年7月14日)
メディアが、一斉に「今週がヤマ場だ」と伝えている。本日(13日)中央公聴会が終了して採決強行の舞台が整ったということなのだそうだ。明日(14日)にも、衆院安保法制特別委員会の決議強行があり得ると言われ、あるいは明後日だとも伝えられ、ずれ込んでも今週中だろうなどとも囁かれている。自民党3役が「決めるべき時には決める」と口を揃えている。60日ルールを意識した採決のリミットが近づいているとのこと。
しかし、この法案の審議を打ち切っての採決強行などは狂気の沙汰ではないか。110時間審議したから議論が尽くされたなどとはとんでもない。そもそも、10本の法改正を一本にしてきたこの法案提出の乱暴さが問題なのだ。本来、10倍の時間を費やしても足りないほど。何よりも、この法案の審議を見守っている国民が、到底審議が尽くされたと認めていない。
民主主義とは熟議の政治である。徹底した議論を尽くすことによって、合意点あるいは妥協点を見出すべきことが想定されている。議論が出尽くして行き詰まり、どうしても結論を出さねばならないときに、はじめて多数決原理が働くことになる。議論を尽くさずしての採決強行を民主主義政治とは言わない。予定された審議時間を消化したからスケジュールに乗っ取って採決を、という手口は「多数派独裁」と言うほかない。
さらに、国会の論戦においては、議論の内容が国民の目によく見えて理解されることが重要である。主権者とは投票日一日だけのものではない。国会の論戦をよく見て理解した有権者は、そのことによって論戦に関わった政党やその政策の支持・批判の意見を形成することができる。何を議論しているのかわけが分からず、法案の中身も法案に賛否の根拠もよく分からぬままでの審議打ち切りは、主権者としての意思形成に支障が生じることになる。
首相は国民に「丁寧に説明する」と約束したではないか。あらゆる世論調査において、国民の圧倒的多数は、首相の説明は不十分としている。「丁寧な説明をする」という、国民への約束は果たされていないではないか。国民の大多数が「理解できていない」「首相の説明は足りない」と言っている。にもかかわらずの審議打ち切りは、国民を愚弄し民主主義を冒涜するものとして許されない。
「丁寧な説明」とは、国民に法案を十分に理解してもらい、十分な理解にもとづく国民の声にも耳を傾けるという約束でもあったはず。しかし、首相が説明すればするほど、国民の理解が進めば進むほど、この法案への反対意見が増えてくる。そもそも、主権者国民に支持をされないことが明確なこのような法案は、廃案が筋でこそあれ、採決強行などもってのほかだ。
何よりも、こんなに多くの人から、「立憲主義にもとる」「違憲法案だ」「憲法解釈の限界を超える」「これまでの政府解釈との整合性がとれない」「姑息・裏口入学的な汚い手口」と散々な酷評を得ている法案も珍しい。しかも、その実質は、国民投票なき改憲であり、壊憲なのだ。
この事態に黙ってはおられない。明らかに、民意と国会内の議席構成が大きくズレている。こんなときに、悠長に「次の選挙」を待ってはおられない。主権者としての声を上げよう。内閣と国会に、主権者として物申そう。集会に行こう、デモに参加しよう。街頭宣伝を繰り広げよう。あるいは、要請・抗議の葉書やファクスを集中しよう。主権者としての意思表示が必要なときが来たのだ。
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この時期に符節を合わせたように、朝日とNHKの最新世論調査結果が発表となった。上述のとおり、世論は、集団的自衛権行使容認自体に反対、今国会での戦争法成立反対。首相の説明は不十分、としている。注目すべきは、両調査結果とも、内閣不支持率が支持率を上回って逆転した。ワニの口が閉じたのだ。毎日の調査に続いての慶事である。朝日はともかく、「アベ様のNHK」と揶揄されるNHKの調査結果の影響は大きい。整理して紹介すれば以下のとおりである。
安倍内閣支持率 41%(前回48%)?7
不支持率 43%(前回34%)+9
「山が動いた」はやや大げさかも知れないが、この1か月間で、森か林くらいは動いたのだ。有権者の700万人が、「内閣支持」から「不支持」へ鞍替えした勘定になる。この逆転は第2次安倍内閣の発足以降初めてのことだというのだから、これはニュースだ。
また、注目すべきは次の回答結果
安倍内閣が安全保障法制の整備を進めていることを
「大いに評価する」 8%
「ある程度評価する」 24%
「あまり評価しない」 31%
「まったく評価しない」30%
プラス評価計は32%、マイナス評価計61%である。
安全保障関連法案を、いまの国会で成立させることに
「賛成」 18%
「反対」 44%
「どちらともいえない」 32%
これまでの国会審議で議論は
「尽くされたと思う」 8%
「尽くされていない」 56%
「どちらともいえない」 28%
「安全保障関連法案は憲法違反ではない」としている政府の説明に
「大いに納得できる」 4%
「ある程度納得できる」 20%
「あまり納得できない」 37%
「まったく納得できない」29%
安倍政権を支えていた世論は、確実にしぼみつつある。代わって多数派を形成しつつある反安倍勢力の国民世論を、目に見える形として表すべき時がきている。禍根を残さぬためにも、集会に出かけよう、デモに参加しよう。
東京近郊の人は、明日(7月14日)午後6時半日比谷野音に集合しよう。久々の大集会になりそうだ。そして、久々の大きな規模のデモにもなる。
(2015年7月13日)
ホントのところはですね。安保法制についての丁寧な説明なんて要らないんでございます。なんと言っても、自民党が選挙に勝っているわけでございますから。しかも圧倒的にですよ。国民の皆さまから、存分にやりたまえとワタクシは予めのご支持を得ているんでございます。だから、丁寧な説明抜きの採決強行についても、国民から了解済みだということをご了解いただきたいわけでございます。
民主主義の世の中ですから、民意が最も大切でございましょ。その民意は選挙に表れます。けっして、デモや集会ではないのでございます。2014年暮れの総選挙では、幸いに我が自民党が、主権者の皆さまから厳粛に引き続いての政権の委託を受けたわけでございます。国権の最高機関である国会の議席は、与党が圧倒的な多数を占め、第一党の党首であるワタクシが内閣総理大臣としての指名を受け、憲法の規定に従って天皇陛下にご任命いただいたのでございます。
選挙制度が歪んだ鏡になっているとか、小選挙区制のマジックだとか、民意は正確に議席に反映されていないとか、自民党の絶対支持率はわずか25%だとか、いろいろご意見のあることはすべて承知しています。しかし、どれもこれも民意を獲得できなかった陣営の負け惜しみというほかはありません。現行のルールでワタクシたちは勝たせていただいたのです。勝てば官軍、しかも民主主義の儀式としての選挙で勝ったのです。
その選挙の公約をよくお読みいただけば、今国会でご審議いただいている法案のことも書き込んでありますよ。具体性がないとか、目立たないようにしている、などという些末なご批判はとるに足りないものと思います。公約とは、全体的な方向を決めるものではないでしょうか。そもそも我が党は、堂々と9条を改正して国防軍を作るという具体的な憲法改正案を公表しています。ワタクシが右翼的だとか好戦的だとか、反憲法的だなどと言われているのは、今日に始まったことではありません。昔からのことでございますよ。もちろん選挙前からのこと。それでも、堂々と選挙に勝たせていただいたのですから、安全保障政策については、国民の皆さまから、このワタクシとワタクシの率いる政権がお任せいただいた、そう考えて差し支えないではありませんか。
そもそも、安全保障や軍事の問題については、国民の皆さまには分かりにくいことなのです。選挙で選ばれた政権に任せていただくことがもっとも適切だと確信しているわけでございます。
分かりにくさの原因の一つは、問題が複雑で専門用語も多いこと、本当に理解するためには厖大な時間と労力が必要なのです。実のところ、ワタクシだってよくは分かっていないのです。信頼する官僚の作ってくれた資料とメモの棒読みでなんとか急場を凌いでいるのですから。ましてや、主権者である国民の皆さま方はお忙しい。勤務のことや商売のことで頭がいっぱいでございましょう。安保法制だけを考えて暮らしておられるわけではない。デートもすれば、プロ野球も気になる、NHKのドラマも見なけりゃならないでございましょ。国民の皆さまが十分に安保法制の理解ができないことは当然のことでもあり、やむを得ないことでもあるのです。
分かりにくさの原因のもう一つは、ことがらの性質上、明らかに出来ないことが多いことにあるのでございます。何しろ、防衛機密の漏示は、戦前であれば死刑を含む重罪でした。国会では、野党の諸君が「情報公開せよ」「説明責任を全うせよ」「事実が分からずして審議ができるか」などと叫びます。国民の皆さまには、一見もっともな要求と聞こえるかも知れません。しかし、責任あるワタクシとしては、軽々に公の場で防衛秘密を漏示するに等しい利敵行為に及ぶことができようはずはありません。とぼけて話をそらしているだけというわけでもないのでございます。
ですから、我が国の安全保障についての論議は、ワタクシを信頼してお任せいただくしかないのでございます。ワタクシが信頼できないとなれば、次の選挙でワタクシに代わるどなたかを選び直せばよいのです。それまではワタクシが総理として責任をもって、法案を提出し国会では与党多数で粛々と物事を決めていく。これが民主主義というものでございます。もちろん一億国民の中には、反対も心配もございましょう。しかし、いちいちこれに対応していては、ものごとは前には進みません。何よりも安全保障には政策決定のスピードと断固たる姿勢が大切なわけでございます。
選挙で選ばれたワタクシこそが国民の総意を体現する立場にあるのでございます。ですから、ワタクシを信頼することは、民意を尊重すること。主権者国民の皆さまには、ワタクシに政治をお任せていただき、反政府的な「戦争法案反対」のデモや集会に参加するなど面倒な上に無駄なことはおやめになって、日常生活にいそしんでいただきたいのでございます。それこそが、賢明でもあり、望ましい民主主義政治のあるべき姿でございましょう。
ワタクシを首班とする閣議決定も、ワタクシの内閣が提案する法案も、それ自体が民意そのものであります。ですから、国民の皆さまには、中身を読まずとも、この法案が国家の安全を守り、国民の幸福を維持し増進するものと信頼していただくことが何よりも肝要なのでございます。
それでも、「戦争準備の法案だ」「他国の戦争に巻き込まれるおそれがある」「安倍の危険な好戦性の表れだ」「違憲の立法だ」などという悪宣伝が振りまかれていますので、これを払拭するために、繰りかえし「国民の皆さまには丁寧な説明を」と申しあげてまいりました。
何のための「丁寧な説明」か。もちろん、国民の皆さまを説得しご納得いただいて、ワタクシにご同意をいただくためのものでございます。けっして、国民の皆さまの民意を問い直すものではございません。法案成立は、国際公約なのですから、今さら撤回はできません。世論調査の結果では「丁寧な説明がなされていない」「説明不足だ」という意見が8割を超えて、説明すればするほど法案に反対の声も増えているやに聞いております。ワタクシのインターネット出演も評判が芳しくない。それなら、聞く耳を持たない、ものわかりの悪い国民の皆さまへのご説明は無駄なことですから、打ち切らざるを得ません。国会の内外でのご説明を打ち切って、「決めるときには決める」。これこそがワタクシに与えられた任務なのでございます。
繰りかえしになりますが、安保法制関連2法の採決強行は、国民の皆さまから負託を受けたワタクシの責任として断固行うものなのでございます。でありますから、野党や、憲法学者や、弁護士会や、広範な有識者や、今や反安倍で固まりつつあるマスコミの論調や、今は影響力を失った自民党の長老諸氏や、宗教団体や、反対の決議を上げている地方議会や、元法制局長や、労働組合や民間諸団体や、昨日は大人数で国会前に押しかけた若者たちや、世論調査に表れた反対世論などが、どんなに大きな声で、なんと言おうとも、やるべき時にはやらねばならないのです。反対の声に耳を傾けて、その説得力にうろたえ反対勢力の大きさに圧倒されて遅疑逡巡することは、尊敬する祖父の遺志に反することでもあり、民主主義にもとるあるまじきことであるとのワタクシの信念をご理解くださるようお願いする次第でございます。
いま、安保法制関連法案に反対は、圧倒的な国民の声になりつつあります。しかし、幸いにして、その反対世論は内閣の不信任には直結していません。最近の世論調査でも、いまだに安倍内閣の支持率は40%を維持しています。たとえ「衆参両院で2度の採決を強行して、その都度支持率が5%ずつ低下しても、まだ30%台に踏みとどまることができ、危険水域までは落ちないというのが政権の思惑だ」、一部のマスコミがこう報道したとおりなのです。「このような事態でなお私を支持してくれる国民の3割」こそがワタクシの心の支えで、頼りであり杖なのでございます。私を支持し共鳴される、この人たちのいる限り、ワタクシはその方々の誠の心に応えるつもりなのでございます。
(2015年7月11日)
じん肺と闘う運動の中から生まれた名フレーズが、
「あやまれ、つぐなえ、なくせ。じん肺」 というもの。
「あやまれ、つぐなえ、なくせ。公害」 とも使われる。
思想弾圧にも、侵略戦争にも、植民地支配にも、対内的な戦争責任にも、戦時の人権侵害にも、加害・被害の関係のあるところ、責任追及と関係修復のスローガンとして、普遍性を持つものとなっている。
交通事故でも、学校事故でも、医療過誤や消費者被害でも、イジメ事件でも傷害事件でも同様だ。被害者の求めるものは、まずは加害責任を明確にしての真摯な反省に基づく謝罪である。これあればこその「つぐない」となり、さらに「なくせ」の徹底となる。これがそろって、被害者は加害者を宥恕することができることになり、関係は修復される。
まず何よりも、求められているのは真摯な謝罪である。真摯ならざる開き直りの似非謝罪は、被害者の心情をさらに傷つけ、加害被害関係の修復を困難にする。
安倍首相が7月3日の衆院平和安全法制特別委員会で枝野議員の質問に答える中でしたとされる自民党「報道圧力勉強会」暴言についての「陳謝」は、そのような似非謝罪の典型といえよう。「一応、謝っておきます」「謝ったんだからもういいだろう」「謝りついでに、言いたいことも言っておこう」という、真摯ならざる思惑が芬々なのだ。
だから、安倍自身はなんの償いもしようとはしない。口先以上の責任はとらない。自民党と安倍政権の体質から出たこの事件。「真摯なあやまり」がないのだから、「つぐない」も「なくせ」にもつながるはずはない。
この安倍謝罪について、大方の報道と解説は次のようなものである。
「自民党の若手勉強会で報道機関への圧力を求める発言や沖縄への侮辱的な発言が出たことについて『党を率いる総裁として国民に心からおわびを申し上げたい』『国民の皆様に申し訳ない気持ちだ。党の長年の沖縄振興、基地負担軽減への努力を水泡に帰すものであり大変残念だ』などと繰り返した。」
「先月25日の勉強会開催から約1週間、自民党総裁としての責任をようやく認めた形だ。首相側には当初、危機感はなかったが、安全保障関連法案の衆院通過に向けた環境整備に向け、方針を転換。明確に陳謝することで騒動を幕引きしたい考えだ。」(毎日)
委員会議事録(速報版)では、首相の発言は次のとおりである。
「先般の自民党の若手勉強会における発言につきましては、党本部で行われた勉強会でございますから、最終的には私に責任があるもの、このように考えております。
報道の自由、そして言論の自由を軽視するような発言、あるいはまた沖縄県民の皆様の思いに寄り添って負担軽減、沖縄振興に力を尽くしてきたこれまでの我が党の努力を無にするかのごとき発言が行われたものと認識をしております。
これは大変遺憾であり、非常識な発言であり、国民の信頼を大きく損ねる発言であり、看過することはできないと考え、そのため、谷垣幹事長とも相談の上、関係者について、先週土曜日、直ちに処分することとしたところでございます。」
「沖縄県民の皆様の思いに寄り添って負担軽減、沖縄振興に力を尽くしてきたこれまでの我が党の努力」とはよくも言ったり。その鉄面皮ぶりも腹立たしいが、「党本部で行われた勉強会でございますから、最終的には私に責任がある」という言いまわしにも引っかかる。あたかも、本来自分には無関係のことだが、立場上責任を認める、と言わんばかり。潔さの誇示さえ感じさせる。
いったい、どんな「勉強会」だったのかAERA最近号の記事が話題となっている。「自民党若手が開く『報道圧力』勉強会の真相 企業と法制局にも圧力」という表題。
会出席の衆院議員が、匿名を条件に取材に応じ、こう明かした。「会の本来の目的は(秋の総裁選での)安倍再選の雰囲気づくりだった」
発起人は党青年局長の木原稔衆院議員だが、背後の「プランナー」は会合にも出席していた安倍首相の側近である萩生田光一・党総裁特別補佐と加藤勝信官房副長官だったという。
同じ日に予定されていた「反安倍」議員の勉強会を中止させ、同じ週に放送される討論番組「朝まで生テレビ!」への議員の出演も、党本部の要請で出席を見送らせたとも伝えられている。万全の準備で臨んだ安倍応援の会合のはずだった。
私的勉強会といいながら、自民党を担当する記者でつくる「平河クラブ」に開催の案内が届いた。しかも、「終了後に、代表の木原稔より記者ブリーフィングをさせていただきます」とある。ひっそり勉強する会ではないことは、誰の目にも明らか。期待通り、大勢のメディアが集まり、会合の最中には「壁耳」と呼ばれる取材が行われた。
勉強会では、実際に報道されている以上に激しい言葉が飛び交った。
「(沖縄)タイムス、(琉球)新報の牙城の中で、沖縄の世論、ゆがみをどう正しい方向に持っていくか。(中略)沖縄はもう左翼勢力に乗っ取られちゃってる」
「朝日、毎日、東京新聞を読むと、もう血圧が上がって、どうしようもない。あれに騙されているんですよ、国民は」
「青年会議所も経団連も商工会議所も、子どもたちに悪影響を与えている番組ワースト10とか発表して、これに広告を出している企業を列挙すべきだ」
「法制局は法の番人とか言われているが、内閣法制局で法律家の資格を持っているのは6人だけ。言ったら、80人の医者のなかで免許を持っているのが6人だけの病院なんですよ。そういう人たちの解釈をずっと持ち続けないといけないのか」
よく分からない例えだ。最後に百田氏がこう締めくくった。
「政治家は言葉が大事。戦争と愛については何をしても許されるという部分はあるんです。その目的のためには、負の部分はネグったらええんです、はい。学術論文ではないのだから、いかに心に届くかです」
また、朝日(7月8日)は、次のようにも報じている。
そもそも、懇話会の目的は「保守思想の発信」にあった。懇話会代表の木原稔青年局長(当時)は周辺に「保守的な国家観や政策を国民に理解してもらうため、国民の心に響く言葉を学びたい」と語っていた。憲法改正に反対する「九条の会」を意識し、作家の大江健三郎氏や作曲家の坂本龍一氏らに対抗できる保守的な文化人を発掘することも念頭にあった。
しかし5月初旬、党内にリベラル系の若手議員が「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」を立ち上げたことで、「首相応援団」の性格が一層強まった。
9月の総裁選を無投票で乗り切りたい首相側はリベラル系の動きを警戒。首相側近の加藤勝信・官房副長官と萩生田光一・党総裁特別補佐が「顧問格」で入り、懇話会の人数集めに加わった。
何のことはない。問題暴言は「安倍の身内による安倍のための会合」でのことだったのだ。首相が他人事のように、「党本部で行われた勉強会でございますから、最終的には私に責任があるもの」などという謝り方で済む問題ではない。到底、真摯な反省に基づく謝罪ではない。安倍の陳謝の相手方は国民である。こんな謝り方で、国民が自民党や安倍政権を宥恕する気持になれるはずもない。
制服向上委員会のあの歌の歌詞が、妙にリアリティをもって響く。
「諸悪の根源 自民党」「大きな態度の安倍総理」
「本気で自民党を倒しましょう!」という以外に、加害・被害を清算する解決の途はなさそうである。
(2015年7月9日)
本日の毎日新聞1面の左肩に、何度見ても笑みがこぼれる折れ線グラフが掲載されている。安倍内閣成立以来毎月続けられてきた、内閣支持率と不支持率。青の線の内閣支持率が上側にあっ下落を続け、赤の線の不支持率が右肩上がり。内閣成立直後は、支持が70%で不支持はわずかに15%程度。その大差そ55ポイントが次第に縮まって、最新調査でついに逆転したのだ。
普通、「ワニの口」は時とともに開いていくことの喩えに用いられるが、この図は、まさしくワニの口が閉じたことを連想させる。これまでの、安倍内閣の世論誘導策が吹き飛んだ。騙しのテクニックのメッキがはげた。これからが、ビリケン(非立憲)内閣を追い詰める正念場だ。
いったん閉まったワニの口は再び開くことになるだろう。そのときは上顎と下顎か逆になっているはずだ。赤線(不支持率)が上になり、青線(支持率)が下に逆転のワニの口が大きく開いて、戦争準備内閣を飲み込むことになる。
《毎日新聞世論調査:安倍内閣不支持上回る 安保法案、説明不十分8割》
毎日新聞は4、5両日、全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は5月の前回調査から3ポイント減の42%、不支持率は同7ポイント増の43%で、2012年12月の第2次安倍内閣発足後初めて、支持と不支持が逆転した。政府・与党が衆院通過を急ぐ安全保障関連法案については、国民への説明が「不十分だ」との回答が81%に上った。会期延長した今国会で安保法案を成立させる方針にも61%が「反対」と答え、「賛成」は28%にとどまった。
安倍内閣の支持率は13年3月に70%に達した後、徐々に低下し、14年6月以降は40%台半ばで横ばい状態が続いていた。今回の42%は衆院選のあった14年12月の43%をわずかに下回り、第2次、第3次内閣では最低を記録。一方、不支持率は初めて40%台になった。自民党の国会議員が開いた勉強会で「マスコミを懲らしめる」など報道機関に圧力をかける発言があったことについては「問題だ」が76%に上り、「問題ではない」は15%。自民支持層でも「問題だ」が7割弱を占めた。
注目すべきは、次の数字だ。
戦争法案に 「反対」 58%(前回53) +5
「賛成」 29%(前回34) ?5
今国会成立に 「反対」 61%
「賛成」 28%
戦争法案は 「違憲だと思う」 52%
「違憲と思わない」 29%
政府の説明は 「十分だ」 10%
「不十分だ」 81%
解説記事が付いている。
「首相官邸や与党は、安全保障関連法案を今国会で成立させようとすれば一定の支持率低下は避けられないとみていたものの、自民党の若手勉強会による報道機関への圧力発言問題も重なり、「法案への国民の理解が広がらないまま衆院で採決を強行すれば、さらに10ポイント前後下がるのではないか」(同党幹部)と危ぶむ声も出始めた。
自民党幹部も「ついに来たかという感じだ。勉強会の問題が響いていると思う」と述べた。さらに「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉が大詰めを迎え、結果によっては党内で反発が出るだろう。経済もいつまでいいか分からない」と懸念を示した。公明党幹部は「自民が次から次へとオウンゴールした影響が大きい」と語った。
今国会での成立に反対する層では内閣支持率が24%にとどまり、不支持率は63%。政府・与党が採決を急げば、支持率はさらに下がる可能性がある。
以上は、常識的なものの見方。ところが、世の中、常識的なものの見方だけではない。とりわけ、政府中枢の考え方は、常人には計り知れない。
菅義偉官房長官は記者会見で安保法案を今国会で成立させる方針を繰り返し表明している。安保法案の国民への説明が「不十分だ」との回答が81%だったことに対しても、参院自民党幹部は「100時間審議しても200時間審議しても、この質問への答えは変わらない」との見方を示す。同党の支持率自体は大きく下がっていないことも強気の背景にあるようだ。
同時期に読売も世論調査をし、本日結果を発表している。
こちらはワニの口はまだ閉じていない。しかし、「安倍内閣の支持率は49%で、前回調査(6月5?7日)の53%から4ポイント低下した。内閣支持率が5割を切ったのは、14年12月の第3次安倍内閣発足直後(49%)以来で、「報道規制」発言が影響したとみられる。不支持率は40%(前回36%)。」と、支持と不支持の差は、17%から9%と8ポイント縮まった。読売の調査をもってしても、1億の有権者の内400万人が、安倍内閣支持から不支持へと鞍替えした計算になる。
戦争法案の審議が始まって一か月半。「法案に対する政府の説明は不十分」が圧倒的な民の声である。さりとて、「丁寧に説明すればするほどボロが出る」「審議が進むほどに反対世論が大きくなる」。「次から次へのオウンゴール」はたまたまのことではない。すべては、安倍内閣の体質そのものの露呈ではないか。
内閣支持率に火が付いたこの事態で、政府与党が戦争法案の採決を強行できるはずはない。まさしく、それは火に油を注ぐ愚行だ。
政権の選択肢は二つ。自暴自棄に採決強行してワニの口に飲み込まれるか、それとも法案を撤回してワニを宥めるか。ワニをなめてはならない。
(2015年7月6日)
日本民主法律家協会(日民協)は60年安保改定に反対する大国民運動から生まれた。幅広い多くの法律家が、自らの職能の持つ使命感から安保反対の国民運動に参加した。その法律家集団が、「安保条約改定阻止法律家会議」を経て、1961年10月に日民協の設立に至った。協会は、安保闘争の申し子である。
安保闘争が、主権と平和と民主主義の擁護を願う国民的な拡がりを持つものであったことから、日民協は自ずと法律家団体の統一戦線的組織となった。思想的な幅の広さだけでなく、「法律家諸団体の連合組織として、また学者・弁護士・税理士・司法書士・裁判所職員・法務省職員・法律事務所職員など多職能の法律分野で働く人々が参加しているという、他に例のない特色」(「協会案内」から)をもっている。
その「安保闘争の申し子」が、新安保闘争というべき戦争法案反対の国民運動燃えさかる中で、本日第54回定時総会を迎えた。アメリカと日本との関係、支配層の憲法嫌悪、世論と議席数の乖離、民主主義の脆弱さ…、基本的なことがらが60年安保の当時と少しも変わっていないことに驚かざるを得ない。なんと、当時の首相の孫が、現首相という因縁さえもある。悪夢のデジャヴュではないか。
日民協が自らに課してきた主たる課題は、一つが「憲法の擁護」であり、もう一つが「司法の独立」である。その取り組みが憲法分野重視のこともあり、もっぱら司法問題を重視したこともあった。今は、まぎれもなく熱い憲法の季節。
以下が、総会で採択された「壊憲と戦争への道を許さず、国民の力で憲法を守り抜こう」と題する、「戦後70年にあたってー日本民主法律家協会第54回定時総会アピール」である。同アピールは下記の3パラグラフから成っている。
第1パラグラフで、日本国憲法に内実化されている平和を説いて、戦争法案が違憲であって、それ故に国民の平和への願いを踏みにじるものとして指摘し、
第2パラグラフで、今や憲法9条だけでなく、あらゆる憲法理念が、安倍政権によって全面的に攻撃されていることを、「壊憲」として指摘し、
第3パラグラフにおいて、戦争法案審議の強行と壊憲の動きに反対する歴史的な国民運動を巻き起こそうと呼びかけている。
ぜひ、ご一読いただきたい。
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壊憲と戦争への道を許さず、国民の力で憲法を守り抜こう
1 戦後70年。この節目の年に、この国は再び戦争への道に足を踏み出そうとしています。
日本は、アジア諸国民2000万人以上、日本人約310万人の尊い命を奪った侵略戦争の悲惨な経験から、再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、不戦の誓いを持って戦後の国際社会に復帰し、戦争放棄と戦力不保持を規定した憲法9条の下、戦後70年にわたり、海外での武力行使を許さない立場を堅持してきました。
しかし、今国会に提出された安保関連法案(戦争法案)は、戦闘地域を含め世界中どこでも、いつでも、アメリカをはじめとした他国の軍事行動に対し、弾薬や武器の提供などの兵站活動、武器の使用、さらには参戦も、切れ目なくできるようにしたもので、平和国家としての日本の国のあり方を根本から変える戦争法案です。
憲法9条は、戦争を永久に放棄し、戦力の不保持,交戦権の否認を謳っており、本来、自衛隊の存在を認めることさえ困難です。戦争法案は、憲法9条によって守り抜かれてきた「戦わない」という一線を踏み越えるもので、明らかに憲法違反であり、解釈で憲法9条を壊すことは立憲主義の見地から許されないことはもちろん,70年間戦争を拒否してきた日本国民の平和への意思を踏みにじるものです。
2 安倍政権の政策は、憲法9条の破壊にとどまりません。日本の戦後の制度の根幹を揺るがす重大な政策転換を全面にわたって行おうとしています。
労働者の権利を壊す残業代ゼロ法案、命と環境を壊す原発推進、暮らしを壊す社会保障大幅縮減、農業破壊のTPP、軍事国家化のみならず国民の知る権利・批判の自由を壊す秘密保護法、国民のための教育権を壊す教育の国家統制、学問の自由・大学の自治を壊す大学管理強化・文系学部圧殺、司法の独立を壊す司法「改革」、法科大学院制度導入に伴う法学研究の破壊、刑事被告人・被疑者の権利を壊し監視社会を作る刑事司法制度の大改悪(盗聴拡大・司法取引導入など)等々の、個別問題としても大きな憲法破壊の動きが同時進行で襲いかかってきています。
安倍政権は、憲法を頂点とする戦後の制度を「戦後レジーム」と罵倒し、ここから「脱却」することを目標として暴走しています。これらはいずれも憲法壊し、つまり「壊憲」です。
3 安倍政権は、戦争法案の危険性を隠したまま、また、壊憲政策と言うべき幾つもの法案を数に任せて成立を強行しようとしています。
しかし、国民や国会を無視した安倍政権の反民主主義的態度が国民に大きな不安を抱かせ、国会を大きく揺るがせています。与党の推薦者をはじめ参考人全員が戦争法案を違憲と断じ、憲法研究者や学者が今までにない広がりで廃案を求め、国民運動の共同の輪が広がり、運動に関わったことのない人々も声をあげ始め、多くの地方議会でも反対意見書が採択され、世論調査でも、国民の大多数が反対し、さらに広がりをみせています。また、壊憲政策というべき幾つもの法案に対する反対の声も強まっています。
延長国会となったこの夏、国民の共同を、より多様に、より広く、より地域に根ざして、大きく発展させ、政権と国会を包囲し、戦争法案を必ず廃案にし、また壊憲政策を頓挫させなければなりません。
この国が歴史的岐路に立つ今、私たちは、本協会設立の原点である、法律家を結集する結節点としての役割、また、国民各層と共同する役割を深く自覚し、壊憲と戦争への道を許さず、主権者である国民の力を結集して憲法を守り抜くことを決意します。
(2015年7月4日)
「自公の与党幹部が、昨日(7月1日)東京都内で会談し、衆院特別委員会で安全保障関連法案を7月15日を軸に採決をめざす方針を確認した。」
朝日の報道である。「会期末をにらみ、参院審議も念頭に衆院での再議決が可能な60日以上の日程を確保して衆院を通過させ、関連法の確実な成立をめざす。」という解説。そりゃ、ないよ。
丁寧に説明すると聞いた憶えがあるが、まだ丁寧な説明には遭遇していない。もう、先を決めての審議だというのか。形だけの説明、形だけの丁寧。国民が理解しようとしまいと、スケジュールのとおりに粛々と採決に持ち込む算段。そりゃなかろう。
60年安保を思い出そう。あの大運動が本格的に盛りあがったのは、5月19日衆院安保特別委員会での強行採決、そして翌5月20日衆議院本会議強行採決を契機としてのことだった。平和の問題だけでなく、民主主義の問題までが、国民の前に突きつけられたのだ。今回、様相が似て来つつあるではないか。
そもそも、本当に採決強行などできるのか。自公に次世代だけではみっともない。せめて維新を抱き込みたいというのが政府与党の願望だろうが、いよいよ世論の支持が細りはじめている。維新も自公と心中はしたくないだろう。ダメージは大きいぞ。本当に内閣がつぶれかねない。手を貸した政党もだ。
各社の世論調査で安倍内閣の支持率が軒並み低下している。戦争法には反対、集団的自衛権は容認しない、法案は違憲だ、内閣の説明はまったく不十分、というのが圧倒的な世論となっている。朝日の調査を皮切りに、共同、産経、日経、テレビ朝日と、軒並み同様だ。それに重ねて、「若手勉強会+百田」の「マスコミを懲らしめろ」「沖縄2紙を潰せ」の発言問題。このオウンゴールがよく利いている。説明すればするほど支持率低下する。だから、世論に耳を傾けて譲歩せざるを得ないとするか、早めに強行採決した方がよいと開き直るか。
こんな折、 福島民報社・福島テレビ共同の県民世論調査結果に驚いた。この調査、6月29日時点のものだが、全国にさきがけての激動の予兆なのかも知れない。
法案「違憲」54.3% 「違憲ではない」15・3%
まず、この数値の差に驚かざるを得ない。
集団的自衛権行使容認に「反対」51・7% 「賛成」14・5%
これにはさらに驚いた。極めつけは、内閣支持率だ。
安倍内閣を「支持する」28・4% 「支持しない」50・6%
この圧倒的な内閣不支持率は、既に事件だ。安倍にとっては驚愕の数字だろう。今後の各紙各社の調査が楽しみだ。
福島民報は県内最大のメディアである。福島だけが突出しているというよりは、これが最近の世論の動向とみるべきだろう。もしかしたら、この調査結果、安倍政権の凋落を知らせる桐の一葉なのかも知れない。
常識的には、弱い立場の安倍政権、強気の強行採決などできようはずもない。しかし、坐してジリ貧を待つよりは今のうちに乾坤一擲、ということもないではない。すべては党利党略で、民意が国会にも、内閣にも届いていないもどかしさを感じる。
もとはと言えば、小選挙区制のマジックのなせるわざ。民意の風が国会にも官邸にも、さわやかに吹いてもらいたい。
(2015年7月2日)
つまらね? ??じいじの昔話
昔々、この国が未だ幾つもの領国(くに)に分かれて
互いに戦をしていた頃の話じゃがの
海辺の領国の領主じゃった謙信公はの
内陸の敵国の領主じゃった信玄公の陣営に
大事な塩をたっぷり送り届けたそうじゃ
みみっちい経済封鎖なぞ考えもせんかったと
それから幾百年もの時がたち、この国は
一つの国となり、いろいろあっての揚句だが
自由だの平和だのと叫んでも一人も掴まらず
民主主義の独立国と威張っておったが
何の、何の、独立国とは名ばかりで
実は亜米利加という大国の属国じやったと
その頃、海の向こうの半島の一角には
何々人民民主主義共和国なんたらかたら
名前だけは滅法、民主主義風の国があっての
そこの恐怖の独裁的首領様、兼将軍様は
原爆を開発したり、ミサイルをうちあげたりして
日本や亜米利加の戦狂いやら武器商人やらを
めっちや喜ばせ、活気づかせたんじゃと
つまり敵陣に塩を送っちまったわけさ
一方日本は世界第二の経済大国となり
トョタやらキヤノンやらの大企業がひしめき
ボロ儲けをした揚句、若い働き手を数千数万と
師走の巷や河辺に放り出したんじゃと
アコギなことよ、ところがそれがの
奴等の強敵共産党に元気の源(もと)を吹き込んで
ますます強い相手にしちまったんだと
ここでも 敵陣に塩 と言ったわけさ
世の中とは斯ういうもんじゃて……
何? つまらね?
以上の詩は、松村包一さんの「詩集 夜明け前の断絶?テロと国家と国民と?」(2013年1月29日刊)の一編。詩集は158頁、54編の詩が掲載されている。
「英霊に捧ぐ」「テロの源流」「ガザの子どもたち」「言葉の綾」「日米同盟とオスプレイ」「愛国心」「安全と主権の行方」等々。題名から内容の傾向は推測できるだろう。徹底して民衆に寄り添い、徹底して国の無責任を追求する「叛骨詩」である。
松村さんは、私の学窓の大先輩。「1931年水戸市で出生。茨城中学(旧制)、水戸高校(旧制)、茨城大学文理学部を経て1957年東京大学文学部卒」とある。その後の職歴は「劇団東演に所属して演劇活動。川崎市立中学校教諭」である。
この詩集は、松村さんご自身から同窓会の席でいただいた。滅法面白いので、既に何編かを抜き出して紹介した。今回は、3度目になる。
https://article9.jp/wordpress/?p=4502
https://article9.jp/wordpress/?p=4680
上記「じいじの昔話」に、僭越ながら続編をつなげてみたい。ごく最近の話題で。松村さんのことだ。笑って許していただけるだろう。
つまらね? ??じいじの「昔は今の話」
亜米利加の属国の日本という国にな
安倍晋三という戦狂いがおってな
ご主人様に気に入られたいの一念で、
属国根性丸出しにこんな約束をしおったと
「お国の兵隊が攻撃されたその折には、
世界の果てのどこまでも、及ばずながら駆けつけて
一緒に戦(いくさ)をいたします
必ず今年の夏までに、
我が国のうるさいきまりを変えまして、
ご意志に沿うてみせまする」
で、それ以来日本という国は、戦争法案の審議をめぐって
国内での大戦(いくさ)じゃ
一応日本は、自由で平和で民主主義の独立国というタテマエだからの
安倍晋三が一人声を張り上げても、すごんでも、領国の民を説得しなければ
きまりを変えることはできんのじゃ
そこで、安倍はの、丁寧な説明を心掛けると言わなきゃならないんじゃが、
この男は元々頭が高い。しゃべれば上から目線になっちまう
丁寧に説明すればするほどボロが出る
人気はガタガタ支持率は下がりっぱなし
そこで安倍の家来の37人がイラだっての
城の本丸で秘密の作戦会議を開いたんだと
みんな首相兼総裁様へのおべっか使いだが、こいつら少し思慮が足りなくての
相談相手に百田という札付きの右翼作家を呼んだんじゃ
そりゃ38人は話が合うのさ 大いに盛りあがったということじゃ
「法案審議に国民の反対が多いのは新聞のせいだ」
「怪しからん新聞は懲らしめにゃならん」
「不買運動と広告収入日干しで締め上げろ」
「沖縄の新聞は潰さなあかん」
とまあ、勇ましくぶち上げての、
これが全部明るみに出た
城代家老の谷垣は怒ったな
おまえたち敵陣に塩を送りおって と言ってさ
謙信公がやれば格好良いがの
安倍の家来がやればタダのバカ
いやいや、塩を送ったどころの話しではなかろう
コメも野菜も鉄砲も弾薬もさあどうぞ ということじゃろう
とりあえずは37人については中心人物をお仕置きしてな
家来ども一同には「一切外でしゃべるな」とお触れを出したそうだ
よっぽどこたえたんじゃろうな
ところがだ 谷垣が頭を抱えたことがある
客として呼んでしゃべらせた百田の口の封じかた
何しろ安倍のお友だちなんじゃから難しい
結局ここだけは口封じができない
それで、百田は相変わらず反対陣営に塩を送り続けているそうじゃ
もしかしたら「永遠のシオ」
あるいは「安倍にとっての青菜に塩」
そんなこんなで、奴等の強敵共産党だけでなく
護憲勢力全体に元気の源(もと)を吹き込んで
ますます強い相手にしちまったんだと
世の中とは斯ういうもんじゃて……
何? つまらね? いや、そんなはずもなかろう
(2015年6月28日)