澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

赤旗記事に見る東西トンデモ首長との闘い

本日は赤旗記事の紹介。同紙には、他紙にないニュースも解説も調査記事もあることを認めざるを得ない。そのような記事の二つを転載する。

まずは、本日(1月20日)の赤旗6面「おはよう ニュース問答」欄に「東京『君が代』3次訴訟で一部勝訴したね」という記事がある。子(のぼる)が発問し、父(晴男)が答える問答形式での解説。実に要領よく、事件と判決内容の解説がされている。私が書くと、どうしても事情をよく知らない読者にはわかりにくい文章になってしまう。この赤旗解説記事は、読者にわかってもらおうとの配慮が行き届いている。執筆記者に敬意を表したい。なお、文中にある二つの小見出し「賠償請求は棄却」「都教委は謝罪」は省略した。

のぼる 東京地裁が、東京「君が代」3次訴訟で、都立学校の教職員26人、31件の停職・減給処分を取り消したっていうけど、お父さん、どういう裁判なの?
晴男 卒業式や入学式などで「君が代」斉唱時に起立せず、各校長の職務命令に従わなかったとして、東京都教育委員会から戒告や減給、停職処分をうけた都立学校の教職員50人が処分取り消しと精神的苦痛に対する損害賠償を求めた裁判だよ。

のぼる 「一部勝訴」ってあるけど、どういうことかな?
晴男 戒告処分25件については取り消しを認めず、原告らの精神的苦痛には一切触れることなく、都教委に国家賠償法上の過失はないとして賠償請求も棄却したんだ。

のぼる 処分取り消しを求める裁判は、いつから始まっているの?
晴男 2004年に懲戒処分を受けた173人が、処分取り消しを求めて2007年2月に提訴したのが始まりだよ。

のぼる 職務命令や懲戒処分が「思想及び良心の自由」「信教の自由」など憲法に違反するか、懲戒処分が都教委の裁量権逸脱らん用になるかが争点となったわけだね。
晴男 都教委が2003年秋、「教職員は指定された席で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱」「式典会場は、児童・生徒が正面を向いて着席するように設営」など細部まで規定した実施指針通りの式を強制し、従わない教職員を処分するという通達をだした。「10・23通達」といわれている。その違憲性も争点になった。

のぼる 判決では、違憲の主張は認めなかったけど、『減給以上の処分では、事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要』とし、減給・停職は違法としているね。
晴男 3年前の東京「君が代」裁判1次訴訟の最高裁判決の内容を維持したもので、3次訴訟原告団・弁護団は「『国旗・国歌強制システム』を断罪し、都教委の暴走に歯止めをかける判断として評価」としているね。

のぼる 違法な懲戒処分をした都教委は謝罪し、反省すべきだね。子どもたちのために自由かったつで自主的な教育を取り戻すたたかいに注目していきたいな。」

もう一つの記事は、4面の「橋下市長は憲法違反 『思想調査』裁判結審 原告が陳述 大阪地裁」という記事。

大阪版では扱いが大きいのかも知れないが東京版では小さい。この訴訟、その後どうなったかと気になっていたが、昨日(1月19日)結審し、3月30日が判決言い渡しだという。他紙の報道にない、私には貴重な情報。

「橋下徹大阪市長による市職員への憲法違反の「思想調査アンケート」(市職員への労使関係アンケート調査)で「精神的苦痛をうけた」として、職員59人が市に損害賠償を求めた裁判が19日、大阪地裁で結審しました。判決は3月30日。
 同アンケートは2012年2月、橋下市長の業務命令として全職員に実施。労働組合への参加や、街頭演説を含む特定の政治家を応援する活動への参加、それらを誘った人の名前まで回答を求めるものです。
 結審では原告団長の永谷孝代さんが最終陳述し、多くの原告が、回答しなければ懲戒免職を含む重大な処分もあり得ると思い、その上で、憲法を守るべき自治体労働者が憲法違反でも回答すべきかと葛藤し、悩み苦しんだと強調。アンケート実施後、多くの職員が心を閉ざし物が言えない職場になったとし、「業務命令と処分で職員を牛耳り、民主主義や働きがいを奪っていったアンケートが憲法違反であることを公正に認めていただきたい」と訴えました。
 同アンケートをめぐっては昨年6月、中央労働委員会が不当労働行為と認定する命令を出しました。橋下市長が同7月、中労委命令の取り消しを求める提訴議案を市議会に提出しましたが、野党4会派などが否決。中労委命令が確定しています。」

東京における教育現場での「10・23通達」との闘いと、大阪市の「思想調査アンケート」との闘いが同根・同質のものであることがよくわかる。いずれも、民主主義の原理をわきまえない横暴なトンデモ首長が問題を引き起こした。

いつの世にも、果敢に闘わずして民主主義の確立も人権の擁護もあり得ないのだ。
(2015年1月20日)

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