再び、近隣諸国に対する敵意の煽りに乗せられてはならない。
ご近所の皆さま、三丁目交差点をご通行中の皆さま。お暑うございます。
こちらは地元「本郷・湯島」の「九条の会」です。憲法を守ろう、憲法の眼目である9条を守ろう。平和を守りぬき、絶対に戦争を繰り返してはいけない。アベ自民党政権の危険な暴走を食い止めなければならない。そういう志を持つ仲間が集まってつくっている小さな団体です。平和のために、少し耳をお貸しください。
それにしても、いやはや何とも暑い。敗戦の年、1945年も暑い夏だったそうです。73年前のあの年の今ころ、このあたりは焼け野原でした。3月10日未明の東京大空襲で、23万戸が全焼し、東京市民10万人が焼け死にました。首都が焼かれて一夜にして10万の死者です。こうまでされても、日本に反撃の能力のないことが明らかになりました。
それでも、日本は絶望的な闘いを続けました。4月1日には、沖縄の地上戦が始まります。6月末までの2か月間で20万人の死者が出ました。沖縄戦は、本土決戦の態勢を整えるための時間稼ぎ。7月のいまころは、まだ、一億国民が火の玉となって鬼畜米英との本土決戦を闘い抜くのだ、そんなふうに思い込まされていました。
戦争の最高指導者はヒロヒトという人でした。今の天皇アキヒトという人の父親です。信じられますか。この人は神様とされていました。日本は神の国で、この国を治めるヒロヒトは、アラヒトガミとか、アキツミカミと崇められ持ち上げられていたのです。神様のすることだから、けっして間違うはずはない。本土決戦では、最後はカミカゼが吹いて日本は勝つのだ。多くの人がそう思い込まされていました。神様のすることだから批判などトンデモナイことだったのです。日本国中がオウム真理教の洗脳状態だったのです。何とバカバカしい愚かな世の中だったことでしょうか。
このアラヒトガミは、國体の護持つまりは天皇制の維持にこだわって、日本人が何万、何十万と殺されようが、戦争をやめようとはしませんでした。「もう一度、戦果をあげてから」と言い続けて、結局は無条件降伏まで多くの同胞を見殺しにし続けたのです。
8月6日には広島に史上初めての原爆が投下されます。そして、8月9日には長崎の悲劇が続きます。天皇は、ソ連に、戦争終結のための仲介を依頼して望みを繋げますが、そのソ連が対日参戦するに至って、ようやくポツダム宣言受諾を覚悟します。
こうして、敗戦を迎えて、日本国民は深刻な反省を迫られました。再び戦争は起こさない。起こさせない。再びだまされない。だまされて戦争に駆り出されるようなことはけっして繰り返さない。この国に民主主義のなかったことが、戦争の悲劇をもたらした。天皇を神とするような愚かな社会とは訣別しなければならない。その反省が結実したものが日本国憲法でした。
ところが今、その大切な日本国憲法が危機にあります。安倍晋三という人物によってです。彼は今、9条の改憲に手を付けようとしています。70年余の以前、日本の国民は近隣諸国への敵愾心を意図的に植えつけられました。台湾・朝鮮そして中国、ソ連です。不逞鮮人とか、暴支膺懲とか、さらには鬼畜米英とまで言った。
今また、安倍政権は同じようなことをしつつあるのではないでしょうか。思い出してください。去年10月の総選挙。あのモリ・カケ・南スーダン問題の雰囲気の中では、安倍自民党は大敗するだろうと大方が思いました。しかし、そうはならなかった。明らかに、北朝鮮のお陰です。
安倍自民は、この総選挙を「国難選挙」とネーミングしました。北朝鮮が危険だ。明日にもミサイルが飛んでくる。この国難を救うために強力な政府を。国防の態勢を。こう訴えて、アベ政治は生き残りました。
昔の出来事が繰り返されようとしているのではないでしょうか。安倍政権にとっては、いつまでも危険な存在としての北朝鮮が必要なのです。半島の軍事緊張が必要なのです。北の核がなくなり、南北の宥和が実現すれば、タカ派のアベ政権は無用の長物になり下がることにならざるを得ません。
再びだまされまい。近隣諸国に対する敵意の煽りに乗せられてはならない。暑いさなかですが、米朝・南北、そして日朝・日韓の関係に目を凝らしたいと思います。
米朝首脳会談の成果にケチをつけるのではなく、朝鮮半島の全体を非核化しようと動き出したシンガポール宣言を守らせる国際世論を作っていく努力を積み重ねようではありませんか。
(2018年7月10日)