澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

『法と民主主義』6月号(特集「新型コロナウイルス問題があぶり出したもの」)のお勧め

(2020年7月3日)
日本民主法律家協会発行の『法と民主主義』6月号(6月29日発行・第549号)のご紹介とご注文のお願い。
5月号に引き続いての新型コロナ問題特集となっている。先月号の特集が「新型コロナウイルス問題を考える」だったが、今月号は「新型コロナウイルス問題があぶり出したもの」。今までは見えなかった、あるいは目につきにくかった諸問題が、このコロナ禍の中であぶり出されている。まずは、目を背けずに見つめなければならない。

巻頭論文が金子勝氏の「新型コロナウイルス対策はなぜ失敗するのか」。筆者は、住専破綻に端を発した金融危機や福島第1原発事故に典型的に見られるように、日本社会はリスク対応能力を欠いた無責任社会であるとし、今回のコロナ危機にも、適切な対応ができていないという。日本のコロナウィルス対応を失敗と断定して、クルーズ船「ダイアモンド・プリンセス号」事故以来の政府の対応を分析する。その上で、「危機管理の鉄則を踏まえた抜本的なコロナ対策こそが、最大の経済政策になる」という。

次いで、コロナ感染の拡大によってあぶり出された医療の脆弱性が、医療者からの2本の論文によって明らかにされる。これまで、政策的に医療は質も規模も脆弱化させられてきたのだ。

子どもの発達成長権から見た教育も脆弱なのだ。政治的思惑から学校が全国一斉の休校となって、子どもの環境における経済格差が教育格差となっている実態が語られている。

コロナ禍の中では、公文書の作成・保管もおろそかになっている。専門家会議の議事録はいまだ作成されていない。

そして、ドイツ・フランス・イタリアからの報告である。各国とも、真摯な議論をしていることがよく分かる。

さらに、各界各現場から「『新型コロナ問題』から見えてきたもの」の寸評をいただいた。この深刻な事態だからこそ見えてきた様々な問題、とりわけ、この「危機」から生じた社会的弱者への深刻な被害のしわ寄せは看過しがたい。敢えて、お一人の原稿字数を800字に抑えての凝縮したコメント。読者の関心に応える貴重なものとなっている。

なお、「あなたとランチを〈番外編〉」は、「美魔女は法民に乗って?」と題して、33年間「法と民主主義」の編集に携わってきた林敦子さんのインタビュー。この間、1号の欠落もなく「法と民主主義」を作り続けてきたことが、どれほどたいへんなものだったのか、その片鱗が語られている。

そのほか、特別報告が2本。「黒川弘務元東京高検検事長の定年延長と検察庁法改正案問題 ─ 問題の本質と廃案までの経過」「法律家662名が安倍首相を刑事告発 ― 政治資金規正法違反・公職選挙法違反」

以上、読み応えは十分と思う。

ホームページはこちら。
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そして、ご注文はこちらから。よろしくお願いします。
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特集●新型コロナウイルス問題があぶり出したもの

◆特集にあたって ……… 編集委員会・丸山重威
■日本はなぜ間違ったのか
◆新型コロナウイルス対策はなぜ失敗するのか ……… 金子 勝
◆医療政策の大転換を─ショックドクトリンの向こうへ─ ……… 吉中丈志
◆新型コロナ危機、なぜ日本の医療は、脆弱な実態をさらけ出したのか ……… 本田 宏

■基本的人権とコロナ緊急事態── 欧州各国に学ぶ
◆ドイツにおける新型コロナウイルス感染症への対応 ……… 奥田喜道
◆フランスの緊急事態における権力の統制 ……… 植野妙実子
◆期間限定と比例性の原則── イタリアからの報告 ……… 高橋利安

◆緊急事態時における公文書は誰のものか? ……… 榎澤幸広
◆新型コロナウイルス感染症の拡大と子どもの権利 ……… 世取山洋介
◆「新型コロナ問題」から見えてきたもの
前川喜平/鈴木敏夫/大久保賢一/原 和良/笹渡義夫/二平 章/伊賀興一/青龍美和子/大竹 進/菊地雅彦/長谷川京子/笹本 潤/長谷川弥生/原いこい/浪本勝年/金 竜介/岩崎詩都香

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◆連続企画●憲法9条実現のために〈30〉
新型コロナと在日米軍、日米地位協定 ……… 布施祐仁
◆特別報告
黒川弘務元東京高検検事長の定年延長と検察庁法改正案問題
── 問題の本質と廃案までの経過 ……… 大江京子
◆特別報告
法律家662名が安倍首相を刑事告発
──政治資金規正法違反・公職選挙法違反 ……… 米倉洋子
◆メディアウオッチ2020●《コロナ危機・余聞》
逃走する政治、問われるメディア、そして電通
国会閉幕、「火事場」に問題は錯綜 ……… 丸山重威
◆あなたとランチを〈番外編〉
美魔女は法民に乗って? ……… 林 敦子さんインタビュー×佐藤むつみ
◆改憲動向レポート〈No.25〉
コロナ禍の最中にも憲法審査会開催に固執する自民党・公明党・日本維新の会 ……飯島滋明
◆書評●道理の通る国をめざしての刑事弁護六〇年余
── 石川元也著『創意─事実と道理に即して 刑事弁護六〇年余─』(日本評論社) ……… 加藤文也
◆インフォメーション
◆時評●子育て・教育の行方?暴言・暴力の威力(弊害) ……… 村松敦子
◆ひろば●マイナンバー利用の失態と懲りない策動 ……… 奥津年弘

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