澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「『桜を見る会』を追及する法律家の会」の緊急声明 ー 安倍晋三を正式起訴せよ・安倍晋三は政界から身を引け

(2020年12月2日)
「桜を見る会前夜祭」にまつわる首相の犯罪を刑事告発したのが、「『桜を見る会』を追及する法律家の会」。5月21日の第1次告発状提出時には622名だった。その後の告発を含め、現在は会員941名となっている。

その「法律家の会」が、東京地検特捜部捜査開始の報道を受けて、昨日(12月1日)、地検に徹底した捜査と起訴を行うよう要請した。その後、司法記者クラブで会見した「法律家の会」事務局長の小野寺義象弁護士はこう述べた。

「(5月に告発を行ってから)やっとここまで来た。これは首相の犯罪なんだという私たちの告発が正しいと裏付けられる段階になった」と強調。その上で、「(不起訴処分や略式起訴の)軽い処分で済ませることは絶対にしてはならない。刑事裁判の場でこの問題をはっきりさせることが求められる」(赤旗)

 同日、「追求する会」は、下記の緊急声明を発表している。そのポイントは以下の2点である。

「検察においては、徹底捜査のうえ、安倍前首相をはじめとする被告発人らを正式起訴するよう、強く求める。略式起訴などの軽い処分で終わらせることは、絶対に許されない。」

「安倍前首相は自らの刑事責任を認めて、国会で真相を語り、国会議員を辞職して、潔く政界から引退すべきである。」

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要 請 書

2020年12月1日

東京地方検察庁特別捜査部 御 中

「桜を見る会」を追及する法律家の会

事務局長 弁護士 小野寺 義 象

世話人  弁護士 米 倉 洋 子

世話人  弁護士 泉 澤   章

                                    外

1 要請の趣旨

「桜を見る会」前夜祭をめぐる問題について、今後も徹底した捜査と真相究明を求めるとともに、現在告発されている安倍晋三氏ら被告発人3名について、不処分ないし略式起訴などで終わらせるのではなく、正式起訴を行うよう、強く要請する。

2 要請の理由

? われわれ「桜を見る会」を追求する法律家の会は、本年5月21日、安倍晋三前首相の首相在任中、後援会主催で行われていた「桜を見る会」前夜祭において、参加者から集めた参加費の合計とそれを上回る宴会費用との差額分を、安倍前首相及び後援会関係者ら被告発人3名が共謀して補填した疑いがあるとして、政治資金規正法違反(不記載)及び公職選挙法違反(寄附行為)で、御庁に告発した。その後8月6日に第二次告発として提出した告発状を加えれば、現時点で941名分もの告発状が御庁に提出されている。

? この間、御庁から本件捜査に関する進展の報告などは一切なかったが、本年11月23日、一部マスコミによって、御庁が本件告発にかかる事件の関係者複数から、事情聴取をしているとの報道がなされた。そして、その後のマスコミ各社の報道によれば、安倍前首相らが「桜を見る会」前夜祭において差額を補填してきたことは紛れもない事実であって、このことは安倍前首相をはじめとする被告発人らも認めているというのである。つまり、安倍前首相が国会において「補填は一切ない」としてきた答弁はまったくの虚偽であるとともに、私たちが御庁に提出した告発状の内容こそ事実であったということが、あらためて裏付けられたのである。

? 今回の事態を踏まえ、われわれ法律家の会としては、御庁に対して、さらに徹底して本件の真相究明に取り組むよう強く求める。特に、ホテルに支払った差額分の領収書の宛名は、後援会ではなく、安倍前首相の政治資金管理団体である晋和会だったと報道されているが、仮にそうなのであれば、実際に晋和会から金銭が出ているのか、その資金はどこから捻出されたのか等々、あらたな違法行為に結びつく疑問が次から次へと出てきており、さらなる真相の究明こそが求められている。

? 本件のような政治資金がらみの事件といえば、かつて東京佐川急便の違法献金問題(1992年)では、当時与党の実力者(自民党副総裁)であった金丸信氏が、違法献金を受けていた事実が明らかになったにもかかわらず、正式に起訴されずに略式起訴となったことで、国民の検察に対する信頼が大きく揺らいだことを、今一度思い出していただきたい。

今回、仮にでも前首相に対する“忖度”から捜査の手を緩め、不処分や略式起訴のような軽い処分を選択するようなことがあるならば、検察に対する国民の信頼が再び地に堕ちるであろうことは確実である。御庁は、本件の真相解明へ向けて徹底した捜査を行い、そこで明らかとなった事実を前提として、安倍前首相ら被告発人を正式起訴すべきである。

3 結語

本件は、前首相の関与した犯罪という意味で国政上の重大事件であって、その社会的影響は計り知れず、わが国の民主主義体制に与える影響も極めて甚大である。

御庁は、国民の期待と信頼に応え、法の支配を貫徹させるために、ぜひ要請の趣旨に則った捜査を進めていただきたい。

以上

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緊急声明

徹底捜査、正式起訴によって「首相の犯罪」の全容に迫るべきである
―東京地検特捜部の「桜を見る会・前夜祭」捜査報道を受けてー

2020年12月1日
「桜を見る会」を追及する法律家の会 事務局長小野寺義象

 私たち「桜を見る会」を追及する法律家の会(以下「法律家の会」)は、本年5月21日、662名の弁護士・法学者が告発人となり、「桜を見る会」前夜祭に関する政治資金規正法違反・公職選挙法違反で、安倍首相(当時)らを東京地方検察庁に告発した(なお、その後本年8月6日に第2次告発を行い、告発人は現在941名となっている。)。
この間、捜査の進捗に関する情報はなかったが、最初の告発から半年が経過した本年11月23日、東京地検特捜部が上記告発に関して関係者への捜査を行っていると、一部のマスコミが突然報じ始め、以後続々と報道がなされている。
このような情勢の変化を踏まえ、私たちは、現在報道されている事実をもとに、告発を取りまとめた者の責任として、下記の声明を発表する。

1 国民の力が検察を動かした
今回の情勢は、私たち法律家の会の告発が契機となっているものの、それだけで切り開かれたものではない。「桜を見る会」前夜祭問題の徹底捜査を求める署名が全国各地から寄せられ、各種世論調査でも、「桜を見る会・前夜祭」に対する安倍首相の対応を批判する世論が示された。さらに、検察支配を画策した東京高検検事長定年延長問題・検察庁法改正問題に対しても、SNS等で国民の強い批判が日本中で湧きあがり、安倍政権の横暴を許さなかった。
このような国民の力が検察庁を動かしたのであり、このこと自体が、民主主義の大きな成果であるといえる。

2 告発内容の正しさが裏付けられた
現在なされている報道を総合すれば、安倍前首相らが、「桜を見る会」前夜祭において、参加者から集めた会費合計とそれを上回る宴会費用との差額を補填していたことは紛れもない事実であって、そのことは、安倍前首相らも認めているというのである。つまり、安倍前首相が国会において「補填は一切ない」としてきた答弁はまったくの虚偽であり、私たちが東京地検に提出した告発状の内容こそが事実であったということが、あらためて裏付けられたのである。
報道されていることが事実なら、安倍前首相らにおいて、政治資金規正法違反(不記載)及び公職選挙法違反(寄附行為)の成立を免れることは、到底できないのである。

3 犯罪内容は極めて悪質で深刻なものである
この間の報道内容をみると、私たちが当初想定していた以上に、犯罪内容は悪質かつ深刻であることは明らかである。
まず、前夜祭宴会費用の不足分は、安倍前首相の後援会ではなく、安倍前首相の資金管理団体である晋和会が補填しつつ、晋和会の収支報告にも補填の記載がなかったというのである。このことは、安倍前首相に関連する2つの政治団体が、まさに“一体となって”、政治資金規正法違反を行っていたことを意味している。しかも、その補填金の出処が未解明であるということは、この問題のさらなる根深さを伺わせている。
また、2013年には補填金を晋和会がホテルに支払ったかたちをとっているが、なんと安倍前首相側は、収支報告の記載方法について総務省に問合せをして、「(報告書に)記載すべき」との回答を得ていたと報道されている。そうであれば、安倍前首相側は、この回答を知りつつ、あえて無視して翌2014年から不記載としたことになるのであって、意識的な「計画的犯行」だったと言わざるを得ない。その意味で本件は極めて悪質であり、日本の民主主義にとって深刻な影響を与えている。

4 安倍前首相のこれまでの対応、態度も悪質である
「桜を見る会」前夜祭における安倍前首相らの行為は、日本の国政を担当する当時の最高責任者らによる犯罪であるだけでなく、収支不記載罪(時効未完成分)だけでも2015年から2019年まで5年の長期にわたって、補填金累計900万円以上にも及ぶ、反復継続された犯罪である。つまり、数百名に及ぶ安倍前首相の後援会員に対する900万円を超える饗応を、首相在任7年間にわって継続して行うという、悪質極まりない特筆すべき金権政治犯罪なのである。
安倍前首相は、このような悪質きわまりない金権政治犯罪について、2019年11月の国会で問題を指摘された後、虚偽答弁を繰り返し、国権の最高機関である国会を愚弄し、民主主義を蹂躙してきた。
さらに、国会での虚偽答弁にとどまらず、安倍前首相は自らの責任を免れるために、料金設定についてはホテル側に、「桜を見る会」の開門時刻で後援会員に便宜を図った問題については旅行会社に、契約主体が誰かとい問題については後援会会員に、それぞれ責任を転嫁してきた。
そして今回、安倍前首相は、検察捜査が進展するにつれて、秘書に責任を転嫁しようとしており、自らが真摯に反省する態度などは、全くみせていない。安倍前首相に対しては、これまで同人が国会内外で行ってきた発言や行動を見極めたうえで、厳しい対応が求められている。

5 安倍前首相に対して
以上のような「桜を見る会」前夜祭におけるこれまでの安倍前首相の発言や行動を前提とすれば、安倍前首相は自らの刑事責任を認めて、国会で真相を語り、国会議員を辞職して、潔く政界から引退すべきである。自らの犯罪に関わる事項について、国会の場で説明責任を果さないばかりか、虚偽答弁を繰り返して国民を愚弄した政治家に、政治を語る資格はない。

6 検察に対して
検察は、これまでの捜査をさらに遂行し、安倍前首相及び菅現政権に忖度することなく、厳正公平・不偏不党の立場を貫き、「桜を見る会・前夜祭」事件に対して、強制捜査も含む徹底した捜査を行い、事件の真相究明と刑事責任の追及を行わなければならない。
上述した本件の悪質性や社会的影響の大きさに鑑みれば、安倍前首相らを不処分で終わらせたり、秘書をはじめ後援会や会計責任者など安倍前首相の部下だけを、略式起訴などの軽い処分で終わらせることは、絶対に許されない。
検察においては、徹底捜査のうえ、安倍前首相をはじめとする被告発人らを正式起訴するよう、強く求める。

7 菅政権・自民党に対して
菅政権・自民党は、前首相・前総裁が犯罪を行うとともに、国会で虚偽答弁を繰り返してきた事態の深刻さを、大いに自覚すべきである。
そして、「捜査中」を口実に、事実の究明・責任追及を曖昧にすることなく、菅政権及び自民党の責任において、「桜を見る会」前夜祭にとどまらず、安倍政権のもとで発生した「森友学園」問題、「加計学園」問題など一連の政治の私物化問題の徹底解明を行うべきである。
とくに菅首相は、安倍政権において官房長官という重要な地位に就いて、安倍前首相の政治の私物化に深く関与し続けてきた。
菅首相は、これまでの対応を根本的に改め、「桜を見る会」をめぐる問題での自らの関与を明らかにしたうえで、首相に相ふさわしい政治的責任をとるよう、強く求める。

8 国民の皆さんに
この間の全国の取組みに敬意を表するとともに、今後とも、政治を政治家任せにすることなく、また、政治の現状にあきらめることなく、法の支配、民主主義を守り、国政の私物化、更には独裁化を許さない運動にともに取り組んでいただくことを心から期待する。

以上

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