森友文書改ざん再調査 ー 前言撤回の岸田もおかしいが、再調査に怒った安倍はもっとおかしい。
(2021年9月8日)
私、岸田文雄です。自民党総裁選に立候補いたします。よろしくお願いしま?す。
安倍晋三さんの政権が7年8か月、そして後継の菅義偉さんがほぼ1年。右寄り政権には国民が飽き飽きしている頃ではありませんか。保守的政権に危機が来れば、リベラル派のバネを利かせるのが自民党の伝統。そろそろ、私の出番なのですよ。菅さん相手の勝負には、アベ・スガの痛いところを衝かなきゃ勝てない。だから、少し思い切ったことを言ってみた。
キーワードは、「国民への丁寧な説明」。安倍政権にも菅政権にも決定的に不足していたもの。そこで、森友問題での財務省の決裁文書改ざん問題について『国民が納得するまで説明を続けることが政府の姿勢として大事』と踏み込んだ発言をしちゃったんだ。こうすれば、国民からの喝采を受けることができる。そうなれば、選挙の顔として申し分がない。
菅退陣表明は9月3日だった。まだ、その前兆もつかめなかった前日の9月2日。菅さんと闘うことだけを想定して、BSーTBSの番組で言っちゃったんだ。いや、自分から言ったわけではない。森友事件の再調査の必要性を問われたからだ。
「調査が十分かどうかは国民が判断する話だ。国民は足りないと言っているわけだから、さらなる説明をしないといけない。国民が納得するまで努力することが大事だ」とね。誰が聞いても、徹底的な再調査を尽くして、政府の説明責任を果たし、国民誰もが納得するまで努力を継続する覚悟、と思うよね。
ところが驚いたことに、これが裏目に出た。翌日、菅さんは退陣を表明。私の相手は、突然に菅さんじゃなくなった。それなら、キーワードもキャッチフレーズも変わってくる。それだけではない。安倍晋三さんがエラくご立腹だとのこと。私ではなく、あの保守も保守、夫婦別姓も絶対に認めようとしない高市早苗さんを応援すると伝えられた。これは、たいへんだ。安倍さんに反省の情を見せなくてはならない。
そこで、7日の前言撤回記者会見となったわけだ。今度はこう言い訳をした。
「行政において調査が行われ、報告がなされた。裁判が続いており、これから判決が出る。必要であれば国民に説明すると申し上げている。従来のスタンスと全く変わっていない」
実のところは、変わっていないどころではない。もちろん、「再調査はやっぱりや?めた」宣言だ。これで安倍さん、少しは気分を直してくれるよね。そして、最後は私を支援してくれるんじゃないのかな。
だけど安倍さん、なぜ怒ったんだろう。わたしは、安倍さんの責任を追及するとも、安倍さんに忖度した官僚の実態を暴くとも言ってないじゃないか。「国民が納得するまで調査する」と言っただけ。安倍さん常々言っていたよね。「自分も妻も、一切関与していない」って。調査の結果、国民誰もが、安倍さんの関与はないって、納得してもらえるはずなんだから、怒るのは筋違いじゃないのかな。
それともなにかな。徹底して調査されると、政治家生命を断たれるような不都合な真実が出てくるのを心配しているのだろうか。
スホーツ紙の見出しに、「岸田文雄氏、森友問題への態度一変『再調査考えてない』安倍晋三前首相に忖度?…自民党総裁選」「安倍晋三前首相に配慮した変節とも取られかねない軌道修正」なんて書かれちゃって、国民世論的には痛手だけど、それだけ、長老政治家には「岸田は安全パイだ」って、考え直してもらえたんじゃないだろうか。
それにしてもだ。あ?あ、ヘマやっちゃったな。優柔不断で芯のない政治家だと国民に思われちゃったな。でも、安倍さん、モリ・カケ・桜に触れられるとあんなに怒るんだ。凄いな。やっぱり、触れられては困るんだ。でも、それでいいのかね。