「ILO/ユネスコ再勧告実現! 7.24 集会」閉会の辞
(2022年7月24日)
「『日の丸・君が代』ILO/ユネスコ勧告実施市民会議」主催「再勧告実現! 7.24 集会」の閉会のご挨拶を申しあげます。
本日は、まことに盛り沢山で、中身の濃い、充実した集会でした。たくさんの知らないことを教わりました。いくつもの考え方のヒントもいただきました。とても意義の深い有益な集会だったと思います。しかし、有益だったということは、「こうすればよい」「こうすればこのような成果を得ることができる」という安直なノウハウや結論を得たということではありません。むしろ、問題は、この国の権力構造や、民主主義の成熟度や人権意識、そして司法の体質などにも関わる極めて重い課題であることの再確認を要するとの思い強くしました。
もちろん、私たちは、日本の政治を変えなければ何も勝ち取ることはできないという立場はとりません。今目の前にある権利侵害や不合理の解決のために全力を尽くしますが、教育現場での国旗国歌強制問題の根の深さを再認識せざるを得ません。
「10・23通達」発出以来、もうすぐ19年です。もう18年も裁判を継続して「国旗に向かって起立し、国歌を斉唱せよ」という職務命令と闘い続けてきました。最初にこの問題を法的に考えたときに、こう思いました。
あの旗と歌を、国旗・国歌とみれば、日本という国家の象徴であり、権力機構の象徴でもあります。主権在民の原則を掲げる今の時代に、主権者である国民に対して、国家の象徴である国旗国歌への敬意表明を強制できるはずはありません。
また、あの旗と歌を、「日の丸・君が代」とみれば、日本国憲法が意識的に排斥した大日本帝国憲法体制の象徴というほかはありません。天皇主権・国家主義・軍国主義・侵略主義・排外主義の歴史にまみれた旗と歌。これを受け入れがたいとすべきが真っ当な精神というべきで、日の丸・君が代への敬意表明を強制できるはずはありません。明らかに、憲法19条の思想・良心を蹂躙する暴挙だ。
これに対して、都教委やそれにつながる国家主義陣営はどう反論したか。「国民一般に対する国旗国歌(日の丸君が代)の強制と、公務員に対する強制とは別だ。教育公務員はさらに別だ」というのです。
この論争、緒戦では勝利しました。いわゆる予防訴訟における、2006年9月21日東京地裁「難波判決」です。しかしその直後に最高裁ピアノ判決が出て、以来私たちは憲法論のレベルでは敗訴が続いています。かろうじて、裁量権の逸脱濫用論で勝つにとどまっています。戒告を超える減給・停職は、重きに失する処分として違法で取り消されています。教員側も都教委側も勝ちきれていない状況が続いているのです。
こういうときに、国連という世界の良識が、「教員の国旗国歌強制の拒否も、市民的不服従として許されるべきだ」「現場に混乱をもたらさない態様での思想・良心の自由は保護されなければならない」という勧告は、大いに私たちの闘いを励ますものとなっています。
日本の政府や都教委は、できることならこの勧告・再勧告を、「勧告に過ぎない。拘束力がない」として、無視しようとしてます。明らかに、自分たちの立場を弾劾する不都合な内容だからです。しかし、これが、世界標準なのです。誠実に対応しないことは、日本の恥を嵩めることになります。私たちは、世論を喚起して都教委や政府に、常識的で真っ当な対応を求めたいと思います。
本日の集会の成果を生かして、これから多様な努力を積み重ねなければなりませんが、まず目前に文科省交渉があります。
8月4日、来週の木曜日15時から、
衆院第1議員会館 地下第4会議室
にご参集ください。
貴重な発言をしていただいたご基調講演の勝野正章(東京大学)さん、阿部浩己(明治学院大学)さん、鼎談の阿部浩己さん、寺中誠(東京経済大学)さん、前田 朗(東京造形大学名誉教授)さん、特別講演の岡田正則(早稲田大学)さん。そして、現場からのご報告の皆様方に、感謝申しあげます。
コロナ禍を押してご参集いただいた皆様ありがとうございました。そして、この集会準備に携わられた多くの皆様方に、厚く御礼を申しあげて、閉会の挨拶といたします。
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