澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

山際大志郎こそ、岸田内閣を代表するにふさわしい政治家である。

(2022年8月11日)
 昨日、岸田改造内閣発足。「逆風下の組閣」「ぱっとしない顔ぶれ」「統一教会癒着隠し失敗」「派閥均衡優先人事」…等々、評判は芳しくない。内閣支持率はさらに低迷することになろう。

 この新内閣を象徴する人物は…やっぱり、山際大志郎。あなたが一番だ。岸田改造内閣というよりは、山際大志郎内閣が実は分かり易い。内閣全体の性格や雰囲気を山際がたった一人でよく語っているのだ。

 この人、統一教会との関係を指摘されながらの留任である。統一教会との腐れ縁を批判されて、降ろされた有力閣僚が何人もいるにかかわらず、なぜ。厳重な身体検査がなかったからだ。いかにも、岸田内閣のいい加減さをよく表している。

「やや日刊カルト」の報道によると、この人、2011年11月に東京都大田区の区民ホールアプリコで、国際勝共連合、世界平和連合、平和大使協議会らによる『アジアと日本の平和と安全を守る全国大会』なる集会に出席した。2018年10月には神奈川労働プラザ多目的ホールで教団フロント組織が主催・後援した『アフリカビジョンセミナー』に山本朋広・前防衛副大臣と来賓出席した。2017年10月の幕張メッセでの1万人信者集会『Peace Loving Festival KANAGAWA』にも出席していた。その事務所スタッフが統一教会から派遣されているとも指摘されている。

 この人、昨日までも、昨日からも、「新型コロナ対策担当」である。彼の記念すべき閣僚再任の日、新型コロナの猖獗は過去最高となった。この日の新規感染者は全国で新たに25万403人が確認された。1日当たりの新規感染者が25万人を上回るのは初めてである。死者は251人。重症者は前日から16人増えて597人となった。このコロナ対策の無為無策も、岸田内閣の性格をよく表している。

 恐るべきは、この山際大志郎が、経済再生担当大臣として「新しい資本主義」実現に向けての政策実行を担当するのだという。これまで何をしてきたのかよく分からず、これから何をしようというのは、さらに分からない。もとより、「新しい資本主義」がなんであるかがさっぱり分からぬものである以上、「新しい資本主義」実現に向けての政策実行がなんであるかはだれにも分からない。何かをやってる振りを続ける以外にこの人のやることはない。思えば、安倍もそうだった。

 さて、無名だったこの山際大志郎が一躍有名政治家の仲間入りをしたのは、今年7月のことである。昔のことではない。7月3日、青森県八戸市で街頭演説した際、こう言ったのだ。

「野党の人から来る話はわれわれ政府は何一つ聞かない。本当に生活を良くしたいと思うなら、自民党、与党の政治家を議員にしなくてはいけない」

 これは凄い。山際の「われわれ政府」代表としての発言。あの安倍晋三の「こんな人たちに負けるわけにはいかない」発言と兄たりがたく弟たりがたし。岸田内閣の「聞く力」とは、こういうバイアスをもったものだったのだ。山際の政府を代表しての「野党の話は政府は何一つ聞かない」宣言を岸田内閣が追認するのか、否定するのか。山際を切らない限り、「岸田内閣の耳は片耳」なのだと理解せざるを得ない。そのような事態での山際留任なのだ。岸田内閣の正体を見極めるに十分ではないか。

 それだけではない。山際大志郎には、「選挙費用の残金2962万円 全額の行方が不明」という名誉ある報道もなされている。

https://nordot.app/823399786595991552?c=776486672410263552

 資料で調査が可能な2009年以降から直近2017年までの4回の衆院選における選挙運動費用収支報告書(要旨)によると、まず、2009年選挙の際420万5177円の資金を余らせた。ところが、自らが代表を務める政治団体「自由民主党神奈川県第十八選挙区支部」などにはこの余剰金が戻された記載がなく、約420万円の使途は不明のままになっている。

 同様に2012年選挙では451万9034円、2014年選挙では308万8837円、2017年選挙では1781万5294円の選挙費用をそれぞれ余らせ、いずれもその全額の行方がふめいのままであるという。過去4回の選挙で行方不明の余剰金の総額は2962万8342円に達している。

 さらに山際は、政治資金規正法違反疑惑でも、政治資金パーティーを巡っての収支報告書に虚偽記載があったとして、同区民ら156人が2022年6月8日、政治資金規正法違反の疑いで、山際らを横浜地検に告発している。

 大した経済再生大臣である。まさしく、「われわれ政府」「われわれ岸田内閣」を代表するに、最もふさわしい政治家。しかも、よくこの人の所業を見つめ直すと、あの安倍晋三と、何とよく似ていることに驚かざるを得ない。もしかしたら山際大志郎こそ、安倍直系の政治家というべきなのかもしれない。

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