澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

文京区議会が戦争法案反対請願を採択ー孤立しているのは自公だ

まずは、下記の請願に目を通されたい。
安全保障法制の関連法案に反対を求める請願
 請願者  文京平和委員会
 紹介議員 板倉美千代
 請願理由
安倍政権は集団的自衛権の行使容認を柱とした「閣議決定」(2014年7月1日)を具体化するための「安全保障法制の関連法案」を国会に提出しました。これは、戦力の不保持や交戦権否認を明記した憲法9条に違反して、海外での武力行使に踏み出すことを可能にするものです。
すなわち、?自衛隊が「戦闘地域」まで行って軍事支援をする、?イラクやアフガニスタンでの治安維持活動などに参加し、武器を使用できるようにする、?集団的自衛権を発動し、他国の戦争にも参戦するなどで、これらはこれまでの「専守防衛」の安保政策の大きな転換点を意味します。よって私たちは、以下のことを強く求めます。
 請願事項
「安全保障法制の関連法案」を廃案にするよう、国に求めること。

6月30日、わが町文京の区議会本会議がこの請願の採択を決議したのだ。戦争法案の違憲を指摘したうえで、曖昧さを残さず、その廃案を求める請願の採択である。拍手を送りたい。

地方自治法第99条は「地方公共団体の公益にかかわる事柄に関して、議会の議決に基づき、議会としての意見や希望を意見書として内閣総理大臣、国会、関係行政庁に提出できる」とさだめる。この請願は文京区議会の意見として、内閣と、衆参両院に提出されることなる。

東京新聞の報道では、「白石議長は、自身の所属する自民党が成立を目指す法案に反対する要望書を送付することに『議会が決めたことですから、きっちり扱わないといけない』と語った」という。

紹介議員の板倉美千代さんは共産党の所属。ブログでもと探したが、見あたらなかったので、代わって金子てるよし文京区議(共産党)のブログを紹介する。決議成立の経過について、次のように解説されている。

■「不採択」の主張は自民・公明だけ
 請願が審議された総務区民委員会は、採決に加わらない委員長を除くと委員は8名(自民1、公明1、未来3、共産2、市民1)です。26日の総務区民委員会で自民・公明の委員は「決して戦争法案ではない」「歯止めがある」と反論しましたが、未来・共産・市民の委員は「憲法違反」と指摘し、採択6・不採択2で「採択すべき」との報告が議長にされていました。

■マスコミも注目「東京」(1日付)が報道
「安保法制関連法案の廃案を求める要望書」が区議会の意思として政府に提出されることが確実になった30日、本会議開催前から党区議団にも取材があり、共産党都委員会や民主党都連への取材も踏まえ、法案に明確に反対の請願採択は“23区では初めて”と注目し、記事を掲載しました。

「未来」とは、正式名称は、「ぶんきょう未来」。「民主、維新、無所属の10人が所属する区議会最大会派」とのこと。結局、自・公が孤立して、本議会では「賛成多数」による採択だった。今は、自公以外は戦争法案に反対の姿勢なのだ。

民主党のベテラン・渡辺まさし区議のホームページの、立派な一文(抜粋)も紹介しておきたい。
特筆すべきは「安保法制案の廃案を求める」請願が採択されたこと。この案件において、地方議会から政府にダメだしを発信できたことはとても意義あることで、まさに区民の「時の声」を反映できたものと嬉しく思っています。
……地球の裏側で自衛隊が武力行使することや、集団的自衛権を行使できるなどということは、どう解釈しても現下の憲法では読み解くことが出来ないと思います。政府は集団的自衛権の行使について「歯止めがある」と強調していますが、国会審議を見る限りそれらも曖昧なままです。これらのことを真摯に受け止めて、どうぞ今後国会においては立法府として、また国権の最高機関としての矜持を示して頂き、間違っても憲法違反となるであろう法案を成立させることのないよう強く望むものです。

6月20日のNHKニュース7が、「安全保障法制について各地の地方議会が次々と国への意見書を議決している」というニュースを報じた。
その集計結果は、
  賛成    3
  反対  181
  慎重   53
である。この数字はなかなかのものではないか。

もっとも、NHKは、「賛成」と「慎重」の各1議会を現場取材して放映したが、「反対」意見を議決した圧倒的多数の議会については、一つも取り上げなかった。このみごとな偏向ぶりが話題を呼んで印象が深い。

今日(7月3日)の赤旗の首都圏欄に、文京区だけでなく、鎌倉市(13対10)と、国立市(12対9)での廃案を求める請願採択の記事が出ている。いずれも、反対した自公が孤立して敗れている。これは、今の世論の動向を良く表した結果だ。

これで、少なくとも、反対決議をした地方議会数は184となった。国会の会期は9月下旬まで。文京区や鎌倉市の成果が他に伝播していくことを期待したい。
(2015年7月3日)

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