丁寧に説明すれば、解散の大義は「こくなんとっぱ」
本当は、自分でも恥ずかしい。「国難突破解散」だなんてね。我ながら、よくもまあ大袈裟に言えるもんですよね。照れくさがらないで。でもね、私も政治家のはしくれですからね。
私にだって、ほんの少しですけど知性のカケラくらいは残っていますから、気恥ずかしさが先に立ってしまってね。声が上ずっていたでしょう。役目がら仕方がないと思ってくださいよ。
これまでも、自信のないときにこそ大きな声で、思い入れたっぷりにデンデンと原稿読んできましたがね。今回ほど忸怩たるスピーチは記憶にありませんね。「引っ込め、大根!」なんて声がかかるんじゃないか。焦りましたね。
それでもね。成り行きですからね。これ以外思いつきませんからね。精一杯声を張り上げたんですよ。
「この解散は国難突破解散だ。急速に進む少子高齢化を克服し、我が国の未来を開く。北朝鮮の脅威に対し、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この国難とも呼ぶべき問題を私は全身全霊を傾け、国民とともに突破していく決意だ」ナンチャッテ。
でもね、正直のところ北朝鮮のお陰です。後付けですけどね、国民に信を問うための「大義」みたいなものを拵えあげることができたんだから。金正恩には、足を向けて眠れませんよ。
今日の会見で、解散の理由を説明できたとは思っていません。当の私がそういうのだから間違いありません。当たり前じゃないですか。
「急速に進む少子高齢化を克服し」って消費税増税分の一部を財政再建ではなく、福祉にまわそうってこと。こんなことが解散の理由になるばずないですよね。そもそも10%への消費税増税なんて再来年の10月のこと。その使途を国民に問うための突然の解散なんて、常識ではあり得ませんよね。私も苦しい。むしろ、民意を問うなら堂々と国会で説明して論戦すべきところでしょう。アベノミクスの継続だっておんなじ。解散理由になんてなりっこない。そんなことは指摘されるまでもなく、私にだって分かってますよ。だけど、これくらいしか言えることはないんです。分かってくださいよ。
本当は、「疑惑隠し」の、「ジリ貧だから今のうち解散」だってことは、皆さんよくご存じですから、解散の大義なんて説明のしようはないんですよ。「史上最低の私利私欲解散」て言われてもね。そのくらいは覚悟の上での解散・総選挙なんでね。
大仰、ダサイ、クサイ、説明になってない。なんと言われようと、選挙に勝つこと最優先ですから、これでよいのです。
それでも、私だってまんざらバカではない。喉まで出ていた改憲については、グッと押さえて言わなかったんですよ。選挙前には強調せずに、選挙で勝ったら言い出せばよい。これまでどおり、勝ってしまえば、私のすること全てに支持をいただいたと主張できるんですよ。
「こくなんとっぱかいさん」って、アナグラムで「こんなとっくさ かんぱい」(「こんな特区さ、乾杯」)。加計学園問題を折り込んでいるんですよ。
それから、「こくなんとっぱ」は、逆さに読むと「ぱっとんなくこ」。「ぱっと泣く子」みたいな語呂合わせ。この解散、もしかしたら、泣く子を起こすことになりはしませんかね。多くの人々が、再び安倍内閣の「モリカケ疑惑」や「丁寧な説明の約束」を思いだして、批判票を積み上げたりしなけりゃいいんですがね。心配になってきちゃった。
(2017年9月25日)