「トランプ発言」新たな火種 容疑者に「甘くなるな」 警官に粗暴行為奨励か
昨日(8月2日)「毎日」夕刊8面右肩の記事。この見出しだけだと、「愚かな大統領の新たな愚行」の報道というだけに見えるが、実はそうではない。ときどき、愚かな大統領と対比しての、敬すべきアメリカに感心させられることがある。当然のことだが、愚劣な大統領を支持しているだけがアメリカではない。これを毅然と批判するアメリカの奥深さがあるのだ。主としては、そのことの報道となっている。
リードは以下のとおり。
【ワシントン高本耕太】トランプ米大統領が警察官らを前にした演説で、犯罪容疑者に「甘くなり過ぎるな」と粗暴行為を奨励するような訓示をした。各地の警察組織から「適正な法執行の精神に反する」と反発の声が上がったのに対し、サンダース大統領報道官が「大統領は冗談のつもりだった」と釈明し、批判の火に油を注いだ。背景には、警察による市民への暴力事案が後を絶たない米国社会の現状がある。
愚かな大統領は何と語ったか。
トランプ氏は7月28日、ニューヨーク州を訪問し、ラティーノ(中南米系)ギャング「MS13」摘発にあたる州や自治体警察官らを激励した。演説でトランプ氏は「あなたたちは凶悪犯を護送車に乗せる時、頭をぶつけないよう手を添えたりする」と身ぶりを交え説明。「殺人をするような犯罪者だ。お願いだからそんなに気を使わないでくれ」と語った。
この愚劣な男の脳裏には、人間の尊厳も、文明が築き上げてきた刑事手続の原則も、司法警察本来のあり方などの理念はない。犯罪者を生み出す社会の責任も、犯罪を減らすための政策もかけらすらない。あるのはひたすら「ここでどう言えば、民衆に受けるだろうか」というさもしい根性だけ。これがポピュリズムなのだ。
おそらくは、トランプはこう考えた。「犯罪者の尊厳を語っても、民衆に受けるはずはない」。「むしろ、『憎むべきギャングに容赦するな』と語ることで、自分の本来的支持者からも、警察関係者からも喝采を浴びることができるに違いない」「そうすることが、危うい大統領としての地位を固めることになる」。ポピュリスト・トランプのことだ。こう忖度して間違いはない。
ところが、この演説への反応は、予期に反するものとなった。
この発言に対し、南部ルイジアナ州のニューオーリンズ市警は声明で「大統領の発言は、法にのっとった警察活動や地域社会との連携とは対極のものだ」と批判。西部オレゴン州のポートランド市警は公式ツイッターに「我々は、容疑者であっても尊厳と敬意を込めて対応する」と表明した。
これは、驚くべきことではないか。日本のアベ首相は、法の支配や民主主義の理解度において、トランプとは兄たりがたく弟たりがたい。そのアベ発言に対して、警察や自治体が公式に批判することが考えらるだろうか。しかも、批判の根拠は「法の支配」「個人の尊厳」「基本的人権いう文明社会の根源的原理に則ったものであり、この批判の真っ当さに反論すべくもない。
31日の記者会見で大統領の発言の真意を問われたサンダース報道官は「ジョークのつもりだった」と答弁。さらに波紋が広がった。
最初のボタンの掛け違いをごまかそうとすると、このように波紋を広げることになるのだ。トランプの愚劣な発言を糊塗しようとして、大統領府全体が批判の対象となった。毎日は、この経過に続けて、次のような背景事情と波紋をこう解説している。
首都ワシントン近郊の東部メリーランド州ボルティモアでは2015年、警察に拘束された黒人男性が護送車で移送される間に脊髄を損傷し死亡する事件が発生。抗議デモが暴動に発展した。その他にも米国では黒人らに対する警察官の過剰な行為や差別的な扱い、射殺事件が相次ぎ、社会問題になっている。
ワシントン・ポスト紙は31日、「警察暴力はジョークではない」との論説記事を掲載。「警察が『法を超える存在』となり社会からの信頼を失えば、地域の安全を守ることは困難になる」とトランプ氏の発言を非難した。
アメリカの民主主義や分権主義を侮ってはならない。なかには、その理念を体現するホンモノもいるのだ。
それだけではない。被疑者の人権を尊重しなければならないという実務的要請は、安永健太さん事件が教えている。容疑者に手荒に接することは、ときに不幸な市民の命を奪うことにもなるのだ。下記の当ブログ(2017年7月10日)を参照願いたい。
https://article9.jp/wordpress/?p=8830
2007年9月25日、安永健太さんは自転車に乗って障害者作業所から自宅に帰る途中で、不審者と間違われ、警察官から後ろ両手錠を掛けられ、5人もの警察官にうつぶせに取り押さえられて心臓突然死をしてしまいました。
健太さんには中等度の知的障害を伴う自閉症スペクトラム障害があり、コミュニケーションが難しいという特性がありました。健太さんは警察官と相対していた時も、「アーウー」としか言葉を発していなかったそうです。しかし、警察官は誰一人として健太さんに障害があることに気づきませんでした。
家族は健太さんが死んでしまった原因を知りたいと思い、刑事裁判で健太さんを取り押さえた警察官の刑事責任の追及をするとともに、民事裁判(国家賠償請求訴訟)として健太さんを死亡させたことの損害賠償を佐賀県に求めました。
しかし、刑事裁判では健太さんを取り押さえた警察官は無罪となり、民事裁判でも、佐賀県の責任は認められないまま、裁判は終わりました。(「考える会」のパンフレットより)
(2017年8月3日)
ヒクヒクうごめく
トカゲの尻尾
切り離された
生身の尻尾
声も出せない涙も出ない
放り出された哀れな尻尾
アタマのために
忖度尽くし
忠義も尽くし
言いつけ守って
けなげにやって
それでもあっさりお見限り
尻尾のスペアはいくつもあると
ある日突然捨てられた
アタマは一つで九尾のトカゲ
硬軟大小さまざまで
色もとりどり
多彩な尻尾
すべての尻尾が消耗品で
取っかえひっかえ目眩まし
飽きた尻尾は切り捨てる
「アタマあっての尻尾です」
精一杯のお世辞をつかい
アタマにゴマすり
へつらい媚びて
挙げ句の果ての
尻尾切り
冷たい風が身にしみる
切り捨てられて
血を出して
無能だアホだと罵られ
尻尾の怨みは
根が深い
尻尾にだって意地がある
2分か3分の魂も
いつかアタマに仕返しと
悔し涙の怨念で
身もだえするやヒクヒクと
明日はトカゲのソカクの日
古い尻尾を投げ捨てて
新たな尻尾に付け替える
こんな儀式で生き延びる
トカゲのアタマのしぶとさよ
尻尾を切って
尻尾を代えて
目先を変えても
おんなじトカゲ
尻尾を切ったで欺されまい
尻尾を代えたで欺されまい
どんな尻尾で飾っても
どんな尻尾も所詮は尻尾
アタマのフロクの飾り物
トカゲのアタマを見極めて
アタマを潰すがなにより肝腎
危険な毒もつ
トカゲのアタマ
しっかり潰そう
みんなして
(2017年8月2日)
はやいもので、今日から8月。「8月は 6日・9日・15日」であり、戦争と平和に思いをいたすべき格別のとき。例年熱い8月だが、今年は安倍政権断末魔の特別な熱さがある。
政権断末魔の象徴が、稲田朋美の防衛相辞任劇である。この無能無責任政治家のおかげで、安倍政権の不誠実さ隠蔽体質を、誰もが公然と批判できるようになった。その意味では、稲田朋美の功績大なるものがある。しかし、防衛省や、自衛隊にとっては、組織の威信を大いに傷つけた、この上ない厄介者である。
ひっそりと夜逃げ同然に庁舎を出ていくのかと思いきや、昨日(7月31日)その厄介者の離任式が行われた。無責任な最低大臣が不祥事で引責辞任するというのだ。しかも、自分の責任を棚に上げ、部下を犠牲にして組織の威信を大いに傷つけた、そんな愚かな元大臣に、なんと寛大で心優しい自衛隊。そして驚くべきは、事態の深刻さを認識する能力さえないこの人物の不気味な笑みである。こんな深刻な事態に、どうして、へらへら笑っていられるのだろうか。
当然のことだが、人は自ずからその場にふさわしい感情表現をする。「怒るべきときに泣いてはならない」は名言である。もちろん、悲しむべきときに笑ってはならない。場違いな笑いは不謹慎極まりない。責任を感じなければならない局面で、えへらえへら笑っているこの人の神経を疑わざるを得ない。
さらにこの人、最後まで顧みて他を言う得意技を発揮。「風通しのよい組織文化を醸成し、一層の連携強化を図り、いかなる困難な状況にも対応してほしい」と述べたと報道されている。隠蔽と嘘ゆえに引責辞任した人物の、この厚かましさに、開いた口が塞がらない。
もう、誰もが、この無能政治家本人と、無能無責任を任命し放置してきた安倍政権を遠慮なく批判できるようになった。
中でも、日刊ゲンダイは辛辣だ。
「KYバカは死んでも治らないということか。防衛省で31日開かれた離任式に笑顔で臨んだ稲田朋美前防衛相に、自衛隊員から大ブーイングの嵐だ。」
筆の滑りでも誇張でもない。これこそ正確な報道と受けとめざるをえないだろう。
大手新聞も負けてはいない。
「南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題で引責辞任した稲田朋美前防衛相は31日、防衛省での離任式に臨んだ。幹部を前にしたあいさつで「風通しの良い組織文化を醸成してもらいたい」と注文を付けたが、自身の組織運営を反省する言葉は一切なく、省内には改めて反発も出た。稲田氏は花束を手に笑顔で離任したが、残された職員にはしらけた空気が漂った。」(毎日)
これまで、安倍一強の高支持率に白けていた人々がようやくにして元気がよい。最近会う人ごとに、「ようやく安倍政権打倒の手応え」「もう一息だ」「手抜きしないでなんでもやろう」と声をかけられる。
さて、そのために今具体的に何ができるか。とりあえず、二つの署名運動を成功させたい。
一つは、「共謀罪法」廃止の緊急統一署名、そしてもう一つが「佐川国税庁長官(前理財局長)の罷免を求める1万人署名運動」。両者とも、安倍政権を大いに打つものである。
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「共謀罪法」廃止の緊急統一署名
呼びかけ団体
共謀罪NO!実行委員会
連絡先 日本国民救援会 03.5842.5842/日本民主法律家協会? 03.5367.5430
集約先 日本消費者連盟 〒169‐0051 東京都新宿区西早稲田1‐9‐19‐207
日本国民救援会 〒113‐0034 東京都文京区湯島2‐4‐4 平和と労働センター5F
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
連絡先 1000人委員会 03.3526.2920/9条壊すな!実行委員会 03.3221.4668
/憲法共同センター 03.5842.5611
集約先 総がかり行動実行委員会 〒101‐0062 東京都千代田区神田駿河台3.2.11
連合会館1F 平和フォーラム気付
第1次集約:8月31日、第2次集約:9月30日)
署名用紙は、下記からダウンロードできます
http://sogakari.com/?p=3028
内閣総理大臣 様
衆議院議長 様
参議院議長 様
政府と与党などは、2017年通常国会の参議院本会議で、法務委員会の採決を省略する極めて異例な「中間報告」という手段を用いて、共謀罪法(改正組織犯罪処罰法)を、強行採決によって成立させました。
私たちは、この暴挙に強く抗議し、下記の理由から「共謀罪法」の廃止を求めます。
1. 共謀罪法は、277種類もの犯罪について、法益侵害の危険性のない「計画」(共謀)を処罰しようとするものであり、まさに「話し合うことが罪になる」、刑法の原則を根本から破壊する憲法違反の悪法です。
2. 政府は、共謀罪を「テロ等準備罪」と呼び、東京オリンピック等を開催するためのテロ対策に必要だと主張しましたが、共謀罪の対象となる277の犯罪のほとんどはテロと関係がなく、共謀罪がテロ対策だというのはウソです。テロ対策の法制度はすでに整備されています。
3. 共謀罪は処罰の対象をテロリストや暴力団に限定するものではなく、一般市民・団体も対象としています。また、「計画」、「準備行為」、「組織犯罪集団」の定義はあいまいで、何が罪にあたり処罰対象となるのか知ることもできないため、市民の自由な言論・表現・行動に萎縮効果をもたらします。
4. 共謀罪法により、警察や検察の恣意的な判断で、政府や企業にものを言おうとする一般市民や団体が捜査対象にされたり、プライバシーを侵害されたりする市民監視・言論弾圧の危険が現実化します。
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「佐川国税庁長官(前理財局長)の罷免を求める1万人署名運動」
「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」が8月1日から、佐川国税庁長官(前理財局長)の罷免を求める1万人署名運動を始めました。
署名用紙は、http://bit.ly/2ub1F8W をダウンロードしてお使いください。
*署名はいつまで?
→ 8月1日(火)?8月14日(月)までです。
*目標は?
1万筆です。国税庁長官の罷免を要求するには、これくらいの数で「民意の底力」を示すことが不可欠です。
*署名はどのようにしたらよいのか? どこへ送ればよいのか?
・署名用紙:署名欄の下に説明していますので、ご覧下さい。
・ネット署名:http://bit.ly/2uCtQkK をご覧いただき、必要事項を記入の上、送信下さい。
ネット署名は、今からでも受け付けます。皆さまのご協力とお知り合いへの呼びかけ、呼びかけの拡散にご協力をお願いします。
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(参考資料)
「国税長官に佐川氏 財務相『丁寧な説明に努めた』」
(『東京新聞』2017年7月4日、夕刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201707/CK2017070402000244.html
「沈黙の佐川新長官 国税庁就任1カ月 異例の会見なし」
(『東京新聞』2017年7月30日、朝刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201707/CK2017073002000116.html
国民の疑問が解消されない中、佐川氏は理財局長から次官級の国税庁長官に昇格。
理財局長からの昇格は四人連続だが、国民からは安倍晋三首相を守ったことへの『論功行賞」といった批判が上がり、国税庁にも苦情が寄せられている。今後、就任会見を開けば、記者から森友問題に質問が集中する可能性が高い。
ある国税庁職員は「佐川長官になり、税務調査がやりにくくなった。長官が書類の廃棄を認めているので、調査対象者から『自分たちが書類を廃棄しても構わないだろう』というような嫌みを言われる。現場にも影響が出ている」と、困った表情で語った。」
(2017年8月1日)
本日(7月31日)午前、阪口徳雄君、児玉勇二君ら同期の弁護士とともに東京地検特捜部に赴き、下村博文らに対する政治資金規正法違反の告発状を提出してきた。
被告発人は、政治団体「博友会」の主宰者下村博文と、同会の代表者として政治資金収支報告の届出名義人となっている井上智治、そして同会の会計責任者兼事務担当者兼松正紀の3名。被告発事実は、下村が文科大臣だった2013年と14年当時における、政治資金パーティのパーティ券購入代金の収支報告書への「不記載」と「虚偽記入」。パーティ券購入先つまりは金主は、話題の加計学園である。
政治資金規正法違反は形式犯である。それだからこそ逃れがたいものの、実質的な違法性軽微として立件を免れるおそれなしとしない。しかし、記者会見で強調されたことは、本件告発は捜査の端緒に過ぎず、政治資金規正法違反はその入り口である。出口は実質犯、贈収賄成立の可能性となりうる。そこまでを見据えた厳格な捜査を期待したい、ということ。
下村が文科大臣となって(2012年12月?15年10月)以来、それまで年間20万円だった加計学園からの博友会への寄金額は、100万円に増額されている。しかも、加計学園が経営する岡山理科大学は、獣医学部だけでなく教育学部の新設(15年4月開学)も目指していた。
設立認可の権限をもつ大臣と、設立認可の申請をする事業者の、金を介しての癒着である。公正であるべき行政が歪められたと思わないのは、主権者としてあまりに鈍感というほかはない。
また、ことは政権中枢と加計学園という首相縁故者の癒着の問題でもある。20ページに及ぶ告発状の、14ページのスペースは「告発の理由」。背景事情に紙幅を割き、首相夫妻と下村夫妻、そして加計孝太郎学園長の親密さのうえに、加計学園問題があることを詳述している。本件告発は、捜査機関によるその解明のきっかけとなり得るのだ。
以下に、告発状の「被告発事実」についての概要だけをご報告する。
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第1 告発事実
1 加計学園からのパーテイーの対価に係る収入不記載罪
(1)「博友会」告発事実1(2013年加計学園からの100万円のパーティーの対価に係る収入の不記載の告発事実)
「博友会」の代表である井上智治と同会計責任者である兼松正紀は、「博友会」の実質的な代表である下村博文(以下この3名を総称する場合は「被告発人ら」と略す)と共謀の上、2013年10月3日東京プリンスホテル(東京都港区)における「セミナー」を開催したが、その際、「学校法人「加計学園」からのそのパーティーの対価に係る収入金100万円を受領しながら、同一の者からの政治資金パーティーの対価の収入で、その金額の合計額が20万円を超えるものについては、当該対価の支払をした者の氏名、住所及び職業並びに当該対価の支払に係る収入の金額及び年月日を「博友会」の2013年分政治資金収支報告書の収入欄に記載する義務あるところ、そのいずれも記載せず、2014年3月31日に同収支報告書を東京都選挙管理委員会に提出し、
もって政治資金規正法第25条第1項第2号(政治資金収支報告書の不記載罪)に違反したものである。
(2)「博友会」告発事実2(2014年加計学園からの100万円のパーティーの対価に係る収入の不記載の告発事実)
被告発人らは共謀の上、2014年10月14日東京プリンスホテル(東京都港区)における「セミナー」を開催したが、その際、「加計学園」からのそのパーティーの対価に係る収入金100万円を受領しながら、同一の者からの政治資金パーティーの対価の収入で、その金額の合計額が20万円を超えるものについては、当該対価の支払をした者の氏名、住所及び職業並びに当該対価の支払に係る収入の金額及び年月日を「博友会」の2014分政治資金収支報告書(以下「博友会2014年分収支報告書」という)の収入欄に記載する義務あるところ、それらを一切記載せず、2015年3月31日に同収支報告書を東京都選挙管理委員会に提出し、
もって政治資金規正法第25条第1項第2号(政治資金収支報告書の不記載罪)に違反したものである。
2 上記1の予備的告発事実
(1)告発事実1(1)の予備的告発事実(「政治資金パーティーの対価の支払のあっせん」の不記載罪)
下村博文が2017年6月29日の記者会見で釈明したようにパーティー券50枚分100万円を仮に「加計学園」の山中一郎・秘書室長が11人の者からそのパーティーの対価の支払いを集め「博友会」に提供した合計金であったとしても、それは政治資金規正法の「政治資金パーティーの対価の支払のあつせん」によるものであるから、20万円を超える対価の支払の場合は、当該対価の支払のあっせんした者の氏名、住所、職業、あっせんに係る収入金額、これを集めた期間、当該政治団体に提供された年月日を「博友会2013年収支報告書」に記載する義務あるところ、それらを一切記載せず、2014年3月31日に同収支報告書を東京都選挙管理委員会に提出し、
もって政治資金規正法第25条第1項第2号(政治資金収支報告書の不記載罪)に違反したものである。
(2)告発事実1(2)の予備的告発事実(「政治資金パーティーの対価の支払のあつせん」の不記載罪)
下村博文が2017年6月29日の記者会見で釈明したようにパーティー券50枚分100万円を仮に「加計学園」の山中一郎・秘書室長が11人の者からそのパーティーの対価の支払いを集め「博友会」に提供した合計金であったとしても、それは政治資金規正法の「政治資金パーティーの対価の支払のあつせん」によるものであるから、20万円を超える対価の支払の場合は、当該対価の支払のあっせんした者の氏名、住所、職業、あっせんに係る収入金額、これを集めた期間、当該政治団体に提供された年月日を「博友会2014年収支報告書」に記載する義務あるところ、それを、一切記載せず、2015年3月31日に同収支報告書を東京都選挙管理委員会に提出し、
もって政治資金規正法第25条第1項第2号(政治資金収支報告書の不記載罪)に違反したものである。
(3)上記2(2)に関する会計帳簿の虚偽記載の予備的告発事実
週刊誌に公表された一覧表「2014年博友会パーティー入金状況」が「博友会」の会計帳簿であるとすれば、上記2(2)の場合は、上記100万円が「政治資金パーティーの対価の支払のあつせん」によるものであること、その11名の各支払内訳を、会計帳簿にそれぞれ記載する義務があるところ、あたかも学校法人「加計学園」が2014年10月10日に政治団体「博友会」主催の政治資金集めのパーティー券100万円分を入金したかのごとき虚偽の記入をし、
もって政治資金規正法第24条第1号(会計帳簿の虚偽記載罪)に違反したものである。
(注)2013年の会計帳簿虚偽記載罪の公訴時効は3年であるので告発しない。
3 「博友会」のパーテイーの対価の「不透明性」に関する告発事実
(1)「博友会」パーテイの対価の不透明性に関する告発事実1(2012年パーティー券代収入計290万円の不記載の告発事実)
被告発人らは共謀の上、2012年9月28日東京プリンスホテル(東京都港区)における「セミナー」を開催したが、その際、「(株)東京インターナショナル」からのパーティー券代40万円、「(株)ナガセ」からのパーティー券代50万円、「都内貸金業男性」からのパーティー券代200万円を、それぞれ受領しながら、「博友会」の2012年分政治資金収支報告書(以下「博友会2012年分収支報告書」という)の収入欄に、そのいずれも記載せず、2013年3月29日に同収支報告書を東京都選挙管理委員会に提出し、
もって政治資金規正法第25条第1項第2号(政治資金収支報告書の不記載罪)に違反したものである。
(2)「博友会」パーテイの対価の不透明性(裏カネ)に関する告発事実?(2013年パーティー収入合計額2019万円の虚偽記載と裏カネにした金1039万円分の多額の「裏金」支出の不記載の告発事実)
被告発人らは共謀の上、2013年10月3日に開催された、東京プリンスホテル(東京都港区)における「セミナー」で合計約2019万円の収入がありながら、「博友会2013年分収支報告書」の収入欄に「政治資金パーティーの対価に係る収入」として合計額980万2円と虚偽の記載をし、かつ、「博友会2013年分収支報告書」の支出欄にその裏カネにした金1039万円分の支出を一切記載せず、2014年3月31日に同収支報告書を東京都選挙管理委員会に提出し、
もって政治資金規正法第25条第1項第2号・第3号(政治資金収支報告書の不記載罪、虚偽記載罪)に違反したものである。
(3)「博友会」パーテイの対価の不透明性に関する告発事実?(2014年加計学園からの100万円を除くパーティー券代収入計90万円の不記載の告発事実)
被告発人らは共謀の上、2014年10月14日東京プリンスホテル(東京都港区)における「セミナー」を開催したが、その際、「株式会社東京インターナショナル」から40万円、「日本医師連盟」から50万円を、それぞれ受領しながら、同一の者からの政治資金パーティーの対価の支払で、その金額の合計額が20万円を超えるものについては、当該対価の支払をした者の氏名、住所及び職業並びに当該対価の支払に係る収入の金額及び年月日を法12条において「博友会2014分収支報告書」の収入欄に記載する義務があるところ、それらを一切記載せず、2015年3月31日に同収支報告書を東京都選挙管理委員会に提出し、
もって政治資金規正法第25条第1項第2号(政治資金収支報告書の不記載罪)に違反したものである。
第2 罪名及び罰条
1 告発事実1について
告発事実1(1)(2)について
被告発人らの行為は政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)、刑法第60条(共同正犯)
2 予備的告発事実2について
(1)同2(1)(2)について
被告発人らの行為は政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)違反、刑法第60条(共同正犯)
(2)同2(3)について
被告発人らの行為は政治資金規正法第24条第1号(会計帳簿の虚偽記載罪)違反、刑法第60条(共同正犯)
3 告発事実3について
被告発人らの行為のうち告発事実2の「総額の収入についての虚偽記入」は政治資金規正法第25条第1項第3号違反。それ以外の告発事実の不記載は政治資金規正法第25条第1項2号違反。いずれも刑法第60条(共同正犯)。
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以上のとおり、第1項の「告発事実1」および「同2」が主位的告訴。添付の資料から常識的に推論可能な犯罪を告発事実とするもの。第2項の「予備的告発事実」は、容易には信じがたいが仮に被告発人下村の本件に関する記者会見での弁明が正しいものであったとした場合に成立する犯罪の告発である。
昨年(2016年)6月、東京地検は被告発人甘利明に対する「あっせん利得処罰法違反」告発を不起訴とした。再び、下村博文不起訴では、政権から独立した検察の権威を問われることになろう。是非、政権中枢に切り込む捜査を期待したい。
(2017年7月31日)
トランプ政権によるオバマケア潰しを阻んだ人物として、共和党のジョン・マケイン議員(アリゾナ州)が話題となっている。
民主党政権が成立させたオバマケア(「アフォーダブル・ケア・アクト」)に代わる法案の本命として、トランプ・共和党は「ヘルスケア・フリーダム・アクト」を提案して、下院は通した。そして、自信満々で上院の採決に持ち込んだが、7月28日否決に至った。満身創痍のトランプ政権に、また一つ深い傷が付け加わった。
上院の議席は各州2で100議席。その票決は、賛成49対反対51だった。その差わずか2票。反対票51の内訳は、民主党46、無所属3。これだけでは共和党の51議席にはおよばない。共和党からの2票の造反が採否を逆転させた。「ご意向」・「忖度」の程度を超えた、政権中枢や党幹部からの説得・圧力に屈しなかった2人のうちの1人が、ジョン・マケインである。彼は最近脳腫瘍と診断され闘病中と報道されていた。にもかかわらず、政治家としての存在感を見せた。
ジョン・マケインといえば、2008年大統領選挙で民主党オバマ候補の対立候補として接戦を演じたことが記憶に新しい。そのとき、生粋の軍人であること、戦闘機パイロットとしてベトナム戦争のヒーローであったことなどを知った。しかし、今、そのマケインがアメリカで再び尊敬を集めているという。もちろん、トランプとの対比においてである。
ベトナム戦争で彼は何度も死線をくぐっている。そして、撃墜されて重症を負い、さらにパラシュート脱出後民衆に殴打されて捕虜になり、5年に及ぶ過酷な捕虜生活に耐えたという。しかも、彼には早期釈放が提案されていた。マケインの父親(ジョン・S・マケイン・ジュニア)はアメリカ太平洋軍の司令長官となり、ベトナム戦域すべてを指揮する立場となった。それに伴ってのベトナム側からの釈放提案であったという。ところが彼はこれを拒否した。アメリカ合衆国軍の行動規範に”first in, first out”というものがあるそうだ。「自分より早く捕虜になった者がすべて釈放されるなら受け入れる」というのが、彼の拒否理由だった。
ベトナム戦争におけるアメリカの責任について免罪するつもりは毛頭ない。マケインも責任を分有しなければならない。しかし、廉潔や公平、自己規律という視点からは、自ずと別の評価が可能であろう。アメリカ軍の中にも、こういう人物はいるのだ。
そのマケインについてのもう一つの最近の話題が、2008年選挙集会でのある動画だという。彼が、民主党対立候補のオバマ候補を擁護した際の態度の公平さ、真摯さが、あらためて今、人々の称賛を集めていると報じられている。
その動画は、08年10月に中西部ミネソタ州でマケイン氏が開いた対話型集会の様子を映したもの。女性支持者が「オバマは信用できない。彼はアラブ人だ」と発言した。当時、支持者の中ではオバマ氏が過激派テロリストと関係しているなどの中傷が流布していた。マケイン氏は首を振りながら女性のマイクを取り上げ「違います。彼は家族を愛するまっとうなアメリカ市民です。彼と私はたまたま基本的な事柄について意見が異なるだけです」と諭した。
マケイン氏はその後も、会場の共和党支持者からブーイングを浴び続けながら「オバマ氏が大統領になっても恐れる必要はない。この国の政治は相手への敬意が基本だ」などと語った。
今月(7月)19日に脳腫瘍の診断を発表したマケイン氏に対し、共和、民主両党から早期回復を願う声が寄せられている。オバマ氏はツイッターで「マケイン氏は米国の英雄で最も勇敢な闘士だ。誰と戦っているのか、がんは分かっていない。ぶっ飛ばしてやれ」とエールを送った。(以上、「毎日」からの引用)
「彼と私とはたまたま意見が異なるだけです」「意見は異なっても、相手への敬意が基本」とはなかなか言えることではない。選挙という修羅場の中で、現実にそう言ったことで、マケインはいま尊敬を集めているのだ。
トランプとの比較もあろうが、「政治の私物化」「えこひいき」「隠蔽」「嘘つき」等々の非難の中、保身に汲々とするのわが国の政権にも、このような爽やかさがほしい。もっとも、尊敬すべき保守ほど手強い相手はいない。安倍政権の爽やかならざる隠蔽・嘘つき体質は、僥倖というべきなのだろう。
(2017年7月30日)
立憲主義をないがしろにし、憲法への敵意を剥き出しにしてきたのが安倍晋三「壊憲」内閣。かつての保守本流とは明らかに一線を画した危険な政権と指摘せざるを得ない。無理矢理に国費を金融市場に注ぎ込んで株価を押し上げ、「他の政権よりマシだから」という目眩まし国民世論の消極的支持を得てここまで命脈を保ってきた。その安倍政権が、ようやくにして崩壊寸前となっている。まさしく「築城3年、落城1日」の趣き。もう一息だ。
その落城寸前の安倍政権に打撃を与えた最大の功労者は、安倍晋三本人を除けば、稲田朋美という獅子身中の虫と万人が認めるところ。そのオウンゴール功労者が、「大臣としての資質に欠ける」「無能」「無責任」「隠蔽体質」「嘘つき」と火だるまになって、防衛大臣を辞任した。誰もが、いろんな角度から「辞任は当然だが、遅きに失した」と述べている。
昨日(7月28日)午後1時半すぎ、不名誉な辞任会見を終えて防衛省を去るに際して、記者団から「今の心境は」と尋ねられ、この人は、意味不明のにやけ顔で、「空(くう)ですね」と述べている。ことの重大さと自分の責任をまったく自覚していない風の不遜な態度。この人には、現実感というものが感じられない。常に、学校劇を演じてセリフをしゃべっているような浮遊感が漂っている。国民をなめきった所作と言葉。最後の最後まで、自らの資質の欠如、政治家としての「不適材」ぶりを誇示して、安倍晋三の人選の過誤、任命責任の深刻さを印象づけた。さすがに、オウンゴール名手としての名に恥じない。
おそらくは、あの記者会見は内閣支持率の幾ばくかの低下に確実に寄与した。こうして、安倍政権が崩壊し改憲・壊憲の動きにストップがかかれば、振り返って稲田朋美こそが日本国憲法の危機における救世主だったともなり得る。いずれは、感謝状を贈らねばならない。
ところで、稲田が言った「空」とは何だろう。言葉は社会的存在であるから、主観の忖度を離れて「空」の客観的な意味を探らなければならない。
「空」とは形声文字で、「穴」に音符の「工」を付したものという。「穴」は穴居生活の住居の象形(「偕老同穴」が分かり易い)で、くぼみ、へこみの「あな」を表す。「工」は、ノミなどの工具の象形文字で、この場合は音符となっているが元の意味を失っていない。大漢語林(大修館)では、「工具などでつらぬいた穴の意味から、むなしいの意味を表し」「転じてそらの意味を表す」。また「工は、広いの意味。広い穴、そらの意味とも考えられる」とされている。つまり、「大きな空っぽの穴」が原意であり、派生して「そら」になったという。
もともとが、「むなしい」「中身がない」「空っぽ」「実がない」という意味であり、やや転じて「うそ」「いつわり」「落ち着きを失った状態」「かいがない」「いたずらに」「むだに」との意味となったというのだ。
根も葉もない言葉を「空言」あるいは「空語」という。和語では「そらごと」。いつわりの涙は「空涙」。空虚・空吟・空耳・空理・空論・空文・空名・空想・空談…と、「空」とは実の伴わない空っぽのことなのだ。なるほど、中身なく責任感に欠けた「空っぽ政治家」が大臣辞任時に口にするに、まことにふさわしい言葉ではないか。
稲田朋美は、民主党政権時代に国会質問で、舌足らずながらもやたらと攻撃的な言葉使いで話題を提供した人物。当時の菅直人首相が、「私も野党時代、かなり厳しい言葉を使っておりました。 しかし、これほど汚い言葉は使わなかったつもりであります。」と反論したほど。
その稲田が、本会議でこう言ったことがある。
「民主党政権には日本の主権を守る意志がない。領土を守る意志がない。家族と地域社会を守る意志がない。そして何よりも国家観がない。この国がどんな国を目指すのかという理念もない。つまり、意志も国家観も理念もない、からっぽの政党なのです。」
いま、自らを「からっぽの政治家なのです」と自覚し、自嘲した言葉が「今の心境は空ですね」という意味かと、その捨てゼリフに納得がいく。
(2017年7月29日)
本日(7月28日)午前。大阪地裁の門前に二つの幡(はた)が躍った。一つは「勝訴」。そしてもう一つは、「行政の差別を司法が糺す!」。大阪地裁は、司法本来の使命をよくぞ果たした。裁判所にも、この裁判を支えた原告側の関係者にも敬意を表したい。
この裁判は、2013年1月24日の提訴。原告は、東大阪市で大阪朝鮮高級学校などを運営する学校法人「大阪朝鮮学園」。被告は、国。朝鮮学校を無償化の対象から外した国の「不指定処分」の取消を求める取消請求と、指定の義務付け請求の訴訟。今月19日の、同種訴訟での広島地裁判決が原告敗訴だっただけに、本日の判決はとりわけの感動をもって受けとめられた。原告弁護団の丹羽雅雄団長は、「裁判所は良心と法の支配のもとで適正な事実認定、判断を下した。我々の全面勝訴だ」とコメントしている。
高校の授業料の無償化(就学支援金支給)制度は2010年、民主党政権時代に導入された。この制度から、朝鮮学校だけを対象から外したのが、第2次安倍政権。ブラジル学校、中華学校、韓国学校、インターナショナルスクールなど、39校の外国人学校が文部科学大臣の指定を受けているが、朝鮮学校10校だけが除外されているという。「拉致問題の進展がない」「朝鮮総連との密接な関係から国民の理解を得られない」ことを理由とするもの。高校生に何の責任もないこと。
この制度で、外国人学校が無償化(就学支援金支給)の対象となるには文部科学大臣の指定を受ける必要があり、すべての朝鮮学校がその申請をしたが、2013年2月に申請拒否の処分となった。本日の判決は、原告の請求を認容して、国の「就学支援金の不支給処分を取り消す」とともに、被告国に対して「就学支援金の支給処分をせよ」と命じた。これは、安倍内閣の民族差別政策に対する断罪でもある。
同種訴訟は全国5地裁に係属している。請求内容は、「不支給処分取消」「支給処分義務付」、そして「国家賠償」の各請求である。提訴順に以下のとおり。
2013年1月24日
大阪地裁 原告 大阪朝鮮学園 処分取消・支給義務付
2013年1月24日
名古屋地裁 原告 生徒・卒業生10名 国家賠償
2013年8月1日
広島地裁 原告 広島朝鮮学園 処分取消・支給義務付
? 原告 生徒・卒業生110名 国家賠償
2013年12月19日
福岡地裁 原告 生徒・卒業生68名 国家賠償
2014年2月17日
東京地裁 原告 生徒・卒業生62名 国家賠償
このうち、広島と大阪が判決に至った。残る3件が審理続行中だが、東京訴訟が結審し、9月13日判決の予定である。
この種の訴訟は、行政裁量との闘いである。裁判所は民主的な手続で運営されている(はずの)行政の裁量を大幅に認める。法の趣旨や理念から大きく外れる場合に限って、処分が違法となる。裁判所は民主的な手続によって構成されない。その裁判所の行政への介入は最小限度であるべきという司法消極主義が、わが国の伝統となっているのだ。広島地裁判決は、このハードルを越えられないものだった。
しかし、本日の判決は、軽々とこのハードルを越えた。原告側の主張は、「北朝鮮との外交問題を理由に不利益を与えるのは差別意識を助長し違法」という平等権(憲法14条)を骨子とするもの。本日の大阪地裁(西田隆裕裁判長)判決は、「無償化に関する法律を朝鮮学校に適用することは、『拉致問題の解決の妨げになり、国民の理解が得られない』という外交的、政治的意見に基づいて対象から排除したと認められ」「教育の機会均等とは無関係の外交的、政治的意見に基づく処分で違法、無効」と指摘して、国の処分を取り消し、無償化の対象に指定するよう命じた、と報じられている。
いま、安倍内閣が揺らいでいる。安倍内閣の憲法無視の姿勢がようやくににして批判の対象になってきているということであり、近隣諸国民や在日に対する敵意涵養政策が揺らいでいるということでもある。民族差別や憎悪を助長する政策頓挫の意味は大きい。次は、9月13日の東京地裁判決に注目するとともに、支援の声を送りつつ期待したい。
(2017年7月28日)
当たり前のことですが、嘘つきはいけません。ね、稲田朋美さん。
「嘘つきは泥棒の始まり」と言いますよね。多分、「嘘をつくような人物は遵法精神に乏しく、そのため泥棒だってしかねない」という意味なのでしょう。「嘘つきは信用することができない。泥棒同然だ」ということでもあるでしょう。
ともかく、嘘つきは信用できないのですから、泥棒同様の取り扱いを受けなければなりません。社会的な信用を必要とする仕事をまかせるわけにはいかないのです。「民信なくば立たず」なんて2500年も前から言われていること。政治とは、国民からの信頼あって初めて成り立つものですから、政治家が「嘘つき」と言われるようになったら、もうオシマイです。
ところで、稲田朋美さん。あなたはたいへんに評判の悪い政治家でした。無知、無能、不誠実。やる気なく、信頼なく、実績なしの三拍子。トラブルメーカーとして政権の厄介者。右翼思想が右翼総理に気に入られただけの空っぽ政治家。政治家なんてこんなレベルでやっていけるという見本でしたが、さすがに「嘘つき」と呼ばれるようになったら、もういけません。あなたも、ようやく「自分はもうオシマイ」と気付いたようですね。
防衛大臣辞意表明と言われていますが、「国会議員ならできる」と勘違いしてはなりません。「福井1区の有権者なら、こんな無能で嘘つきの私でも、きっと許してくれるでしょう。」などと、なめてはなりません。潔く、謝罪のうえ政治の世界から身をお引きなさい。それが、あなたのためであり、国民のためであり、あなたの所属する政党のためでも、福井県民のプライドのためでもあることは間違いありません。
もっとも、人には思い違いというものがあります。だから、一概に人を「嘘つき」と決めつけることは難しいし、すべきでもありません。現に、あなたも「私の思い違いでした。その点は訂正して謝罪します」なんて、何度も言ってきましたね。つまり、「私は嘘つきではない。記憶違いをしていただけ」「悪いのは私ではなく、私の記憶力に過ぎない」という言い訳ですね。
でも、一連のその人の言動から、これは「嘘つき」と呼ばれても仕方がないということがありえます。むしろ、「嘘つき」と批判しなければならないことさえも。あなたの南スーダンPKO陸自日報隠し問題については、積極的な批判が必要なケースなんですよ。ことは、憲法や平和に関わる重大事なのですから。
しかも、興味深いのは、あなたの嘘を暴いた報道は産経グループにおいて、厳しいことです。思想的には、あなたやあなたを抜擢した安倍晋三と同じ、右翼のメディアがですよ。
フジ産経グループのFNNが、2017年2月13日「17時15分大臣室」に防衛省の幹部が協議した内容を記した直筆のメモを報道しました。これが生々しい。
南スーダンでのPKO活動の日報をめぐる問題について、このメモには、陸自の日報データが削除されずに残っていたこと、その報告を受けた上で、稲田さん、あなたが陸自の日報データが残っていたことを認識しながら自らが隠蔽に関与したことが記載されています。あなたの発言メモ。これは、ごまかしようがない。
辰己統幕総括官「破棄漏れがある」
稲田防衛相「7月7日から12日のもあったということ」
湯浅陸幕副長「紙はないかとしか確認しなかった。データはあったかというと、あった。今あったのは1件のみ」
稲田防衛相「明日(14日の予算委員会審議で)なんて答えよう」
稲田防衛相「今までは、両方破棄したと答えているのか」
米山大臣秘書官「データも破棄したと答えた」
このメモがあなたが、陸自の日報データが実際には存在していたことを知っていたことの動かぬ証拠。にもかかわらず、このあとあなたは、ヌケヌケと「私は一貫して情報公開を推進し事実解明に取り組んできた。非公表や隠蔽を了承する行動はこれまでの私の姿勢と真逆で相いれない」などと繰りかえし言っています。だから、「嘘つき」としか言いようがないのです。
確かに、世に言われているとおり、このメモの情報源は陸自の幹部以外にはなく、意を決しての彼らの大臣への叛乱なのでしょう。事態は容易ならざるものですが、こんな事態に至らしめたあなたの責任は重大であることをご認識いただきたい。
なぜ、総理はもっとすみやかに、あなたのクビを切れなかったのか。数々の無能ぶり、不祥事を見逃してきたのか。明らかに、自らが任命責任の追及を受けることをおそれ、自らに人を見る目のないことを暴露する結果になることを恐れたからにほかなりません。
政治家には、国民の安全と安心を守る責任がある。あなたを抜擢した安倍首相の口癖です。あなたには、自分と首相の保身しか頭になく、上の空で政治をもてあそんでいたにすぎません。そんなあなたに、国民はとうに見限っていたのです。辞任は遅きに失したとはいえ、恋々とその地位にしがみついている安倍首相よりは、ちょっとマシと言っておきましょう。
さあ、あなたを抜擢し任命し持ち上げ、数々の不祥事のあとにも重用し続けて事態を深刻な混乱に陥らせたもうひとりの責任者、そしてもうひとりの「嘘つき」でもあるこの人にも、きちんと責任をとってもらいましょうよ。ね、稲田朋美さん。
(2017年7月27日)
昨日と一昨日(7月24日・25日)、衆参両院での予算委員会閉会中審査が行われた。国家戦略特区制度を隠れみのにした、総理の友人への利益供与という加計学園疑惑。その疑惑が解明に至ったと白々しく言う者はないだろう。疑惑の核心に手が届いていないというもどかしさが残るばかり。新たな疑惑の深まりもある。この問題に幕を引くことはできない。幕引きを許してはならない。
「公正であるべき行政がゆがめられたのではないか」「その理由は、認可を申請する事業者が総理のオトモダチだったからではないか」。具体的な問題点を整理して、適切な証人を選定して、再度の追及が必要である。「どうせこれ以上は水掛け論」と、追及の手を緩めてしまえば、民主主義の敗北となる。
そもそもこの閉会中審査は、安倍晋三のイニシャチブで実現した。政権側の思惑としては、支持率低下に慌てて「行政私物化疑惑」「えこひいき疑惑」を払拭して国民の信頼をつなぎ止めようという舞台だった。政権延命のために、プライドを捨てて低姿勢に徹した安倍晋三だったが、所詮は形だけ。疑惑の払拭にも解明にも至らなかった。思惑外れであり、期待の内閣支持率回復はありえない。
次の注目舞台は、横浜市長選と、閉会中審査の安保委員会となる。選挙は民意の動向を表す場であり、安保委員会は政権の綻びを解明する場となる。後者は、稲田朋美防衛相による陸自日報隠し了承疑惑が焦点。稲田が居座ろうとも罷免されようとも、安倍政権に大きな打撃となることは必至である。
安倍内閣は既にアウトだ。少なくとも、レームダック。何かをなし得る力は既にない。9条改憲などもってのほかだ。安倍失脚後の安倍改憲政策の生き残りは、常識的にはないだろう。
安倍内閣のアウトは、岡山理科大学獣医学部設置認可の目は完全になくなったことも意味する。この2日間の質疑で明らかになった杜撰な関係省庁の審査は、新学部設置準備の杜撰をも物語っている。これで、新学部設置認可が可能とはとうてい考え難い。8月末日までに結論を出すという文科省の大学設置審議会が、まさか認可相当の判断をするとは考えられない。森友学園と同様、設立認可が得られないまま、校舎は取り壊しに至る公算が高い。
国家戦略特区における獣医学部の新設「4条件」(石破4条件)の充足すら具体的に検討されていない。加計問題として話題にならず、総理のご意向や忖度が幅を利かせた昨日までならともかく、今や国民の目が光っている。メデイアも手ぐすね引いている。ハードルは俄然高くなっているのだ。
「獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討課題」は次の4要件である。
1.現在の提案主体による既存獣医師養成でない構想が具体化し、
2.ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき具体的需要が明らかになり、
3.既存の大学・学部では対応困難な場合には、
4.近年の獣医師需要動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う。
だから、加計学園による、既存獣医師養成ではない独創的な獣医学部設立構想が具体化していなければならないが、そのような構想の説明も、審査の発表もない。
また、ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき具体的需要が明らかにされなければならないが、そのような調査も説明もなされていない。
さらに、上述の構想が、既存の大学・学部では対応困難でなくてはならないが、そのような調査が行われていないことが明確になっている。
最後に、「近年の獣医師需要動向も考慮しつつ、検討を行わねばならない」ところ、むしろ近年の獣医師需要は減少し続けているというのが、所轄の農水省の現状認識である。
報道によれば、加計学園の教員確保も、教育条件整備も困難であろうというのが実情を知る者の見解である。総理のオトモダチに、不当な利益を享受させてはならない。大学設置審は、総理の意向の忖度などすることなく、岡山理科大学獣医学部設置認可申請に対して、「認可不相当」の断固たる答申をせよ。
(2017年7月26日)
昨日(7月24日)、閉会中審査の衆院予算委員会において、安倍晋三はこう述べたという。
「『李下に冠を正さず』という言葉がある。私の友人が関わることで、国民から疑念の目が向けられることはもっともなことだ。私の今までの答弁ではその観点が欠けており、足らざる点があったことは率直に認めなければならない。常に国民目線に立ち、丁寧なうえにも丁寧に説明を重ねる努力を続けていきたい」
殊勝な言葉のつもりなのかも知れないが、なんとも軽く歯が浮く。責任の重さの観点が決定的に欠けている。
「李下に冠を正さず」の成語の出典は、『古楽府』の「君子行」だという。デンデン総理が、「ボクだってこれくらいのことは知っている」とひけらかして見せたわけだ。
出典の原文は、以下の短い文章。
「君子防未然、不處嫌疑間。瓜田不納履、李下不正冠。」
《君子は未然に防ぎ、嫌疑の間に處(お)らず。瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず》と読み下すようだ。君子たる者、嫌疑をかけられちゃおしまいよ、ということ。
また、調べて見ると、前漢の「列女伝」に、「経瓜田不納履、過李園不整冠」という成句があるという。
《瓜田を経るも履を納れず、李園をよぎるも冠を整さず》と読むのだろうか。これも同じ意味。
李園に実がたわわに成るころ、なにゆえ、その実の下において冠を正してはならないのか。答は自ずと明らかである。そんなことをする輩は、十中八九は李泥棒だからである。もう少し正確に言えば、「李下に冠を正す」行為は、李泥棒が嫌疑をごまかすための所作と相場が決まっているからである。収穫期の瓜田に入り込めばウリ泥棒。もっとも、必ずそうだと決めつけることは危険で例外の存在を否定できない。しかし、「李下に冠を正す」行為あれば明らかに嫌疑濃厚なのだ。
だから、原典も《君子は未然に防ぎ、嫌疑の間に處らず》と言って、「李下に冠を正す」行為を厳にいましめ、嫌疑の間に陥った場合には言及していない。瓜田でも李園でも、嫌疑をかけられた君子たる身には、みっともない言い訳はそれ自体見苦しい。「いったん疑われたらアウト」ということなのだ。
安倍晋三の言葉は軽すぎる。まだ、自分が国民からアウトの宣告を受けていることに気付いていないようなのだ。彼は、自分に「李下に冠」の行為があったから反省するという。しかし、「李下に冠」の行為を見咎められることは、窃盗の嫌疑をかけられること。そのような恥辱は君子には耐えがたいことのだ。ましてや一国の総理。「李下に冠」の疑惑を自覚すれば、潔く身を引く以外にはない。
安倍晋三は言う。「私の友人が関わることで、国民から疑念の目が向けられることはもっともなことだ」と。しかし、これではごまかしの域を出ない。国民目線に立つというのなら、もっと率直に誠実にこう言うべきなのだ。
「私・安倍晋三は、腹心の友のために、友が経営する学校法人の獣医学部新設の認可に関し、国家戦略特区諮問会議委員長の任にあることを奇貨として、公正であるべき行政をゆがめ、本来認可すべきではない特区認定をしたのではないかと、国民の皆様から重大な疑惑を招きました。
この「えこひいき疑惑」「政治の私物化疑惑」は、信なくば立たない政治の信頼に癒すべくもない深刻な損傷をもたらしたもので、民主主義社会における政治家として万死に値する深い罪を自覚し、自ら相応の責任を取らねばならないと覚悟を固めました。
私は、この責任を取って国会議員としての職を辞すことにいたします。当然に内閣総理大臣としての欠格事由にあたりますので、内閣は総辞職をし、総選挙をしなければなりません。国民の皆様には、再び政治の私物化などという疑惑を招く国会議員や内閣が誕生することのないよう投票にはくれぐれもご注意いただきたく、ふつつかながらせめてもの希望を申しあげます。
また、加計孝太郎さんには、私の不徳によってご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申しあげ、新学部設立は諦めていただくようお願いいたします。そして、今後は慎重に友を選ばれるよう、《己に如かざる者を友とするなかれ》という論語の一節を贈らせていただきます。
以上のとおり、『李下に冠を正してしまった』政治家としての責任をとることを表明する次第です。」
(2017年7月25日)