嘘つきは、泥棒の始まり ― 政治家のオシマイ。
当たり前のことですが、嘘つきはいけません。ね、稲田朋美さん。
「嘘つきは泥棒の始まり」と言いますよね。多分、「嘘をつくような人物は遵法精神に乏しく、そのため泥棒だってしかねない」という意味なのでしょう。「嘘つきは信用することができない。泥棒同然だ」ということでもあるでしょう。
ともかく、嘘つきは信用できないのですから、泥棒同様の取り扱いを受けなければなりません。社会的な信用を必要とする仕事をまかせるわけにはいかないのです。「民信なくば立たず」なんて2500年も前から言われていること。政治とは、国民からの信頼あって初めて成り立つものですから、政治家が「嘘つき」と言われるようになったら、もうオシマイです。
ところで、稲田朋美さん。あなたはたいへんに評判の悪い政治家でした。無知、無能、不誠実。やる気なく、信頼なく、実績なしの三拍子。トラブルメーカーとして政権の厄介者。右翼思想が右翼総理に気に入られただけの空っぽ政治家。政治家なんてこんなレベルでやっていけるという見本でしたが、さすがに「嘘つき」と呼ばれるようになったら、もういけません。あなたも、ようやく「自分はもうオシマイ」と気付いたようですね。
防衛大臣辞意表明と言われていますが、「国会議員ならできる」と勘違いしてはなりません。「福井1区の有権者なら、こんな無能で嘘つきの私でも、きっと許してくれるでしょう。」などと、なめてはなりません。潔く、謝罪のうえ政治の世界から身をお引きなさい。それが、あなたのためであり、国民のためであり、あなたの所属する政党のためでも、福井県民のプライドのためでもあることは間違いありません。
もっとも、人には思い違いというものがあります。だから、一概に人を「嘘つき」と決めつけることは難しいし、すべきでもありません。現に、あなたも「私の思い違いでした。その点は訂正して謝罪します」なんて、何度も言ってきましたね。つまり、「私は嘘つきではない。記憶違いをしていただけ」「悪いのは私ではなく、私の記憶力に過ぎない」という言い訳ですね。
でも、一連のその人の言動から、これは「嘘つき」と呼ばれても仕方がないということがありえます。むしろ、「嘘つき」と批判しなければならないことさえも。あなたの南スーダンPKO陸自日報隠し問題については、積極的な批判が必要なケースなんですよ。ことは、憲法や平和に関わる重大事なのですから。
しかも、興味深いのは、あなたの嘘を暴いた報道は産経グループにおいて、厳しいことです。思想的には、あなたやあなたを抜擢した安倍晋三と同じ、右翼のメディアがですよ。
フジ産経グループのFNNが、2017年2月13日「17時15分大臣室」に防衛省の幹部が協議した内容を記した直筆のメモを報道しました。これが生々しい。
南スーダンでのPKO活動の日報をめぐる問題について、このメモには、陸自の日報データが削除されずに残っていたこと、その報告を受けた上で、稲田さん、あなたが陸自の日報データが残っていたことを認識しながら自らが隠蔽に関与したことが記載されています。あなたの発言メモ。これは、ごまかしようがない。
辰己統幕総括官「破棄漏れがある」
稲田防衛相「7月7日から12日のもあったということ」
湯浅陸幕副長「紙はないかとしか確認しなかった。データはあったかというと、あった。今あったのは1件のみ」
稲田防衛相「明日(14日の予算委員会審議で)なんて答えよう」
稲田防衛相「今までは、両方破棄したと答えているのか」
米山大臣秘書官「データも破棄したと答えた」
このメモがあなたが、陸自の日報データが実際には存在していたことを知っていたことの動かぬ証拠。にもかかわらず、このあとあなたは、ヌケヌケと「私は一貫して情報公開を推進し事実解明に取り組んできた。非公表や隠蔽を了承する行動はこれまでの私の姿勢と真逆で相いれない」などと繰りかえし言っています。だから、「嘘つき」としか言いようがないのです。
確かに、世に言われているとおり、このメモの情報源は陸自の幹部以外にはなく、意を決しての彼らの大臣への叛乱なのでしょう。事態は容易ならざるものですが、こんな事態に至らしめたあなたの責任は重大であることをご認識いただきたい。
なぜ、総理はもっとすみやかに、あなたのクビを切れなかったのか。数々の無能ぶり、不祥事を見逃してきたのか。明らかに、自らが任命責任の追及を受けることをおそれ、自らに人を見る目のないことを暴露する結果になることを恐れたからにほかなりません。
政治家には、国民の安全と安心を守る責任がある。あなたを抜擢した安倍首相の口癖です。あなたには、自分と首相の保身しか頭になく、上の空で政治をもてあそんでいたにすぎません。そんなあなたに、国民はとうに見限っていたのです。辞任は遅きに失したとはいえ、恋々とその地位にしがみついている安倍首相よりは、ちょっとマシと言っておきましょう。
さあ、あなたを抜擢し任命し持ち上げ、数々の不祥事のあとにも重用し続けて事態を深刻な混乱に陥らせたもうひとりの責任者、そしてもうひとりの「嘘つき」でもあるこの人にも、きちんと責任をとってもらいましょうよ。ね、稲田朋美さん。
(2017年7月27日)