沖縄と福島、そして全国の「意識のギャップ」
本日(6月9日)沖縄タイムス(デジタル版)が、興味深いアンケート結果を発表している。同社と福島民報社の「両県首長アンケート」という共同企画。「調査は、沖縄県内の全41市町村、福島県内の全59市町村の計100人の首長が対象。沖縄県の宮古島市長、福島県の相馬市長を除く、98人から6月初めまでに回答を得た」とのこと。
米軍基地を押し付けられている沖縄と、原発災害に喘いでいる福島、それぞれがお互いの問題をどう見ているか。福島が沖縄を見る目と沖縄が福島を見る目、そして両者が自分の問題を見つめる視点との大きな落差。全国民が、わがこととしてこの結果を考えなければならない。このアンケートを企画した両紙に敬意を表したい。
沖縄タイムスの見出しはこうだ。『「辺野古反対」沖縄53%、福島9% 両県首長アンケート』。沖縄にとって愕然たるこの落差。沖縄のもどかしさが伝わってくる。
記事を抜粋して紹介する。
「沖縄タイムス社と福島民報社は合同で、沖縄・福島両県の全市町村長を対象に、国の安全保障政策やエネルギー政策などに関するアンケートを実施した。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設について、沖縄県内で過半数の21人(53%)が「進めるべきではない」と回答したのに対し、福島県内では5人(9%)にとどまった。一方、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けた国のエネルギー基本計画については、両県ともに「評価しない」が最も多く、沖縄で19人(48%)、福島で38人(66%)に上った。
東京電力福島第1原発事故を受け、脱原発を求める傾向が沖縄、福島両県で広がる一方、普天間問題については両県で意識のギャップが浮き彫りになった。」
対比が明瞭になるよう、整理してみよう。
(1) 普天間飛行場の辺野古移設について、
「進めるべきではない」 沖縄 53% 福島 9%
「どちらとも言えない」 沖縄 30% 福島 72%
「無回答」 沖縄 13% 福島 5%
「進めるべき」 沖縄 5% 福島 14%
(2) エネルギー基本計画について
「評価しない」 沖縄 48% 福島 66%
「どちらとも言えない」 沖縄 38% 福島 31%
「評価する」 沖縄 0% 福島 3%
「無回答」 沖縄 15% 福島
このブログを書いている時点では、福島民報側の記事は出ていない。おそらくは、沖縄タイムスとは違った見出しになり、原発・エネルギー問題についての「意識のギャップ」が語られることになるだろう。
キーワードは「意識のギャップ」。同じアンケートを、東京や大阪でやったらどのような結果になるだろうか。おそらくは、「自分の地域の問題ではない」という、当事者地域との「意識のギャップ」があからさまに出ることになるのではないか。
基地も原発も日本全体の問題である。しかし、当事者地域とその他の地域。問題を押し付けられた「地方」と、その犠牲の上に繁栄している「中央」。その落差を埋めなければならない。その作業は、まずは「意識のギャップ」存在の確認が第一歩となる。
(2014年6月9日)