澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

あと三年、アベ・シンゾーでご辛抱ください。

おなじみアベ・シンゾーが、毎度おさわがせいたします。このたび、自民党総裁選への出馬を正式に表明いたしました。私自身のため、妻アキエのため、腹心の友のため、そして大臣をやりたい仲間たちのためでございます。どうぞ皆様、あと3年のご辛抱をお願いいたします。

思えば、昨年の衆院選を「国難選挙」と名付けて、北朝鮮のお陰をもって国民の皆様の支持を大きく掠めとったのが私の手柄。あれが、わずか11カ月前のこと。すっかり国際情勢は変わってしまいましたが、せっかく底上げの議席を頂戴しているうちに、国民の反対の強い政策をやってのけるのが、私の責任であり使命である。そう自覚しております。

来年には皇位継承や20カ国・地域(G20)首脳会議、再来年には東京五輪・パラリンピックなどが控えておりまして、だからどうしたとも言われそうですが、ここは大仰に「日本は大きな歴史の転換点を迎える」ナンチャッテ。我ながら少々恥ずかしいのですが、意味のないことを意味ありげに申し上げるのが私の得意とするところ。平成の先の、まだ元号の定まっていない時代に向けて、新たな国造りを進めていく。その先頭に立つ決意でございます。「新たな国造り」って、なにいつもの枕詞ですから、中身の穿鑿はご無用に願います。

考えていることは、皇位継承の儀式において、私の強固な支持基盤である右翼の皆様の喜ぶパフォーマンスとして、「テンノーヘイカ・バンザイ」を何度でも繰り返してお見せしなければなりませんし、オリパラは国威発揚の千載一遇のチャンスではありませんか。強化費をはずんで、好成績者にはボーナスつけて、私の出番を多くしなければと策を練っているところでございます。

6年前の総裁選に出馬したときのあの高揚した志、大日本帝国と大日本帝国憲法を取り戻すとのお約束にはいささかの揺らぎもありません。政治的には天皇を中心とした国家の和の精神を確立し、軍事的にはアメリカに身を寄せつつも近隣諸国に対する威嚇として十分な装備と編成を整備し、経済的には大企業が何の制約もなく自由な経済活動ができるような基盤を整えること。これまでもやってきたところではありますが、今後とも国民の抵抗を排して断固やり抜く決意でございます。

なかでも大切なのは、一刻も早く遅れている辺野古新基地建設を完成し、イージスアショア建設に着手し、全国にオスプレイを配備することです。これまでは、北朝鮮情勢緊迫と国民を煽ることでことを運んでまいりましたが、どうも半島情勢が私の思惑に反して、下手をすると南北融和、朝鮮半島非核化、北東アジアに平和が訪れるなどとなりかねません。ですから、それまでにことは緊急を要します。早いうちに、基地建設も、オスプレイ配備も済ませて、臨戦態勢を整えなければなりません。それができるのは私だけのこと。

政治にしても、経済政策にしても、沖縄問題にしても、「強きを助け、弱きを挫く」という私の志を貫くには、なまなかな気力体力ではなしがたいところではございますが、幸か不幸か、気力体力十二分であるとの主観的確信に至った以上、万難を排して不人気な政策遂行の責任を果たしていかねばなりません。

総裁選の争点や論戦のありかたについてのご質問ですが、私も政治家ですから、不利なことはけっしてやりません。とりわけ、政治姿勢の問題については、なんにつけても、「これから国民の皆様には丁寧に説明を尽くしてまいる所存でございます」と言ってその場を凌いでいけば、アッという間に3年くらいはやり過ごせる。というのが私の体験に基づく自信であります。

また、石破さんは「正直、公正」をスローガンに出馬表明をしましたが、それはアンフェア。まるで私アベ・シンゾーが、「不正直、不公正」で、政治や行政を私物化していると言わんばかりではありませんか。だれが見てもその批判が当たっているだけに、そんなことを言っていけない。真実を衝くのは、総裁選ではタブーなのです。その辺の掟は、石破さんも最近は多少分かってこられたようでけっこうなことでございます。お互い自民党員同士ではありませんか。総裁選で、本気になってお互いの傷を暴き合うような愚は避けるべきが当然と考えております。

政策論争ですか。そんなことをしたら、日本の総理大臣がまともな討論能力をもっていないという国家秘密が天下に明かにされてしまうではありませんか。それは、国益に反します。石破さんは、政策別の討論会開催を要求していますが、これに応じることが私にとって得策なはずはなく、応じることはできません。不利が分かりきっているのに受けて立つほど私はバカではないつもりです。

えっ? どうして第一声では憲法改正について触れなかったのかというご質問。これもですね、改憲を叫んで有利になるなら叫びます。いま改憲を訴えることは、必ずしも総裁選に有利にならない。むしろ、ダンマリを決めこむ方が得策で、私の立場が安泰となったところでバサッとやってしまおうというのが、バカではない私の基本作戦。しかし、私はけっして改憲をあきらめることができない立場です。だから、その後身内の集会では、率直に改憲を訴えていますよ。時と所によって、何枚でも舌を取り替えるのが私のやり方。みなさま、ご協力をよろしく。

さて、総裁選への協力・非協力を見極めての選挙後の露骨な論功行賞が私の手口。勝負はもう見えていますから、事実上は消化試合。それでも、「これから、国民にはさておき、自民党の皆様には丁寧に説明を尽くしてまいる所存でございます」。
(2018年8月28日)

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