澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

あの「国家戦略特区」、やっぱり「ずさんで、でたらめ」なのだ。

加計学園事件で、ダーティーなイメージをすっかりと定着させた国家戦略特区。久しぶりに、全国紙の一面に顔を出した。毎日新聞が、6月11日・12日と連続して問題の各事件をトップで報道した。

国家戦略特区問題とくれば、主役は常に諮問会議議長の安倍晋三である。が、このたびの毎日報道2事件の準主役は同一人物で、国家戦略特区諮問会議・ワーキンググループ座長代理の原英史である。

この人、元は通産官僚。2009年に退官して、2010年民間人の立場で雑誌『SAPIO』に連載した記事の表題が、『おバカ規制の責任者出てこい!。いささか不真面目な物言いだが、この人の考え方も、この人を有識者委員に迎えた国家戦略特区の基本スタンスも察しがつこうというもの。

規制がおバカか、無理無体の規制緩和がおバカなのかが、今深刻な課題として、問われているのだ。

11日の記事は、見出しが国家戦略特区 政府ワーキンググループ委員関連会社 提案者から指導料200万円 会食も」「外国人美容師解禁を巡る原氏と特区ビズ社の関係」という記事。

リードだけ引用すれば、下記のとおり。

「政府の国家戦略特区を巡り、規制改革案を最初に審査するワーキンググループ(WG)の原英史座長代理と協力関係にあるコンサルタント会社が、2015年、提案を検討していた福岡市の学校法人から約200万円のコンサルタント料を受け取っていた。原氏は規制緩和の提案を審査・選定する民間委員だが、コンサル会社の依頼で、提案する側の法人を直接指導したり会食したりしていた。」

12日の記事は、見出しが府、特区審査開催伏せる」「WG委員関与 HPと答弁書」というもの。
これもリードだけ引用すれば、下記のとおり。

「国家戦略特区ワーキンググループ(WG)の原英史座長代理が申請団体を指南し、協力会社がコンサルタント料を得ていた問題で、原氏と同社が関与した漁業法にかかわる規制改革案のヒアリング開催が、首相官邸ホームページ(HP)で伏せられている。政府は審査の透明性を確保するとして、提案者や規制官庁にヒアリングした日付・案件を公表しているが、今回の案件が掲載されていないのは提案者の要望を受け入れたとみられる。事実と異なるヒアリング件数の政府答弁書も閣議決定していた。」

ジャーナリズムの真骨頂は、権力に不都合な事実を洗い出し暴き出すところにある。毎日は、よく取材してこの任を果たした。これは、氷山の一角ではないのか。願わくは、各紙、各記者が、さらに徹底して追求して、ディテイルを明らかにしていただきたい。

問題の会社は「特区ビジネスコンサルティング」(略称「特区ビズ」、現在は商号変更して「イマイザ」)というのだそうだ。いかにもふざけた名称だし、「特区ビジネスコンサルティング」という業務の成立自体が胡散臭い。「この『特区ビズ』は、少なくとも15年3~12月は、原が代表を務める政治団体『土日夜間議会改革』と同じマンションの一室(東京都千代田区)に事務所を設置。一部のスタッフは団体と特区ビズの業務を掛け持ちし、電話番号も同じだった。特区ビズの社長は、政治団体の事務も担当していた」と報じられている。原は、毎日に反論をこころみているが、この点については否定していない。

また、「同社は15~16年、数十件の特区提案にコンサルタント業務などで関与。このうち少なくとも福岡市中央区の美容系学校法人が、日本の美容師資格を持ちながら国内で就労できない外国人を特区内で働けるようにする規制改革を希望し、同社にコンサル料を支払った。法人などによると14年11月以降、原氏らは法人側と福岡市内でたびたび面会。法人副理事長(当時)は原氏と市内のかっぽう料理屋で会食し、費用は法人が負担した。副理事長はコンサル料の支払いを認め、『特区ビズの方として原氏と会った。提案書の書き方を教わった』と語った。提案は15年1月、特区ビズ社名で内閣府に提出され、WGで審査中」という。この点についても、事実に争いはなさそう。

もう1件。12日報道の件はこんな内容だ。
「複数の関係者によると、この改革案は漁業法で制限されていた真珠養殖の規制緩和を求めるもので、2015年6月ごろ、関東地方の真珠販売会社が提案した。その際、原氏は同社に自身と協力関係にある『特区ビジネスコンサルティング』(特区ビズ、現在は商号変更)を紹介。特区ビズが提案資料を作成し、原氏もたびたび助言した。この規制改革案はその後、WGでの議論を踏まえ、昨年12月の漁業法改正で実現した。」

特区の設定とは、他にない特例を認めようというもの。行政に求められる公平性の原則をくずして、例外としての不公平取り扱いを認めることなのだ。そのような、原則を崩すだけの際だった合理性・必要性が求められる。他の件にもまして、手続の徹底した透明性の確保と、厳正厳格な公平性・中立性について国民の高度な信頼が求められる。

しかし、毎日の取材があぶり出した事実は、国民の疑惑を招くに十分である。あのアベの下で、またぞろ問題が出てきたと思わせる。これに対する原の反論は、「自分はカネをもらっていない」という弁明である。毎日は「原がカネを受けとった」とは言っていないのだが。

毎日は、取材対象の弁明についても、こう記事にしている。
「元経産官僚の原氏は、…毎日新聞の取材に『(同社に)協力はしているが(コンサル料は)知らない。会社と私は関係ない』と説明した。内閣府は『委員が提案者の相談に応じ、制度を紹介するのは通常の活動』としつつも、同社と原氏の関係は『事務局として承知していない』と回答した。

ワーキンググループ幹部とコンサルの業者が、こんなにも一体となって、こんなにも親密にビジネスとしてほいほいと動いていることに、愕然とせざるを得ない。コンサルを求める方も、ビジネスチャンスを窺う利にさとい企業である。こんな環境でコンサルの業者が動けば、当然にカネも動く。一体となっている特区諮問会議委員にもカネにまつわる疑惑が生じるのは当然のことだ。

こういう話しは、なかなか外へは出にくい。特区ビジネスのクライアントとしても後ろめたい話で、積極的に語りたいことではない。カネが絡み、諮問会議の関係者が絡んでいればなおさらのことだ。ようやく氷山の一角が見えた貴重な事例。一事が万事、これがありふれた事態なのかと思わせる。まずは、行政や国会の場での、徹底した疑惑の解明が望まれる。

なお、規制改革を担当する内閣府特命担当大臣は、あの片山さつきである。片山さつき自身の問題については、2018年11月9日付けの当ブログをご覧いただきたい。

片山さん、ずさんで、でたらめ。めちゃくちゃじゃないですか。
http://article9.jp/wordpress/?p=11428

嗚呼、アベ内閣。あっちもこっちも、「ずさんで、でたらめ。めちゃくちゃ」だ。
(2019年6月13日)

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