澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

新年の伊勢神宮「公式参拝」、そこで首相が祈願したこと

春はあけぼの。冬はつとめて。そして、初春は伊勢神宮だよ。ねえキミ、日本人ならそうだろう。閣僚の仕事始めが伊勢神宮詣で悪かろうはずはない。つべこべ文句を言う奴は、定めし非国民というところだな。

靖国参拝には何かとうるさいメディアだが、閣僚の伊勢詣には何にも言わなくなったから清々しい気分じゃないか。中国も韓国も問題にしていないようだし、ニッキョウソも、ゼンキョウも黙りこくっている。すっかり定着だな。各党の党首も初詣に伊勢まで来りゃあいい。まずは与党の公明党から…、あっ、こりゃ口がすべったかな。

ここはなんたって天つ神の本宗だ。皇室の祖先神。そんじょそこらの神社とは格が違う。権力の頂点にいる私が、神道の総元締めに参拝するのだから、政教分離の問題が起こらないはずはない。しかも首相が、外相やら防衛相ら9閣僚を引き連れての参拝なのだから、これが公式参拝でなかろうはずもない。しかし、それがどうしたってことだ。

三木内閣の時に、私的参拝であるための4原則の基準が打ち出されたね。
 まずは、肩書記帳だ。内閣総理大臣の肩書きを用いないこと。
 次いで、公務の随行者を伴わないこと。
 さらに、交通手段として公用車を用いないこと。
 最後に、玉ぐし料は公費から出費しないこと。

あの三木さんのことだ。律儀に、この4基準を厳守したんだろうな。でも、私はそんなことに頓着しない。昨年、あれだけの反対のあった9条の解釈改憲をやってのけた私だ。20条違反など、ものの数ではない。肩書は堂々と「内閣総理大臣」と記帳した。それで何か? 公務の随行者なくして伊勢詣などできるはずもなかろう。新幹線と近鉄線以外は公用車だよ。玉串料はどこから出したかって? そりゃノーコメントに決まっている。これで何か差し支えがあるのかね。

いまだに、新年の閣僚伊勢神宮参拝は政教分離を定めた憲法20条に違反する、などと執拗に言い続けている連中がいる。最高裁判例では、参拝の目的と効果を吟味することで、政教分離に違反するかしないかを判断するようだ。愛媛玉串料訴訟大法廷判決などではかなり厳格な基準として使われているそうで、判決が合違憲判断にまでいけば違憲となるだろうというアドバイスも受けている。でも、総理大臣の違憲行為は、訴訟では争いにくいそうじゃないか。裁判にもちこむこと自体が難しく、メディアが黙り、政党も騒がないんだから、八方丸く収まっているってことじゃないの。

伊勢神宮参拝で、何を祈願したかって。そりゃ、何よりも皇室の弥栄。そして、世界の平和と、国民の福利。もう一つ特別なのが、6月の伊勢志摩サミットの成功。このあたりが公式見解だね。

でも、ここだけの話だが、ホンネは少し別だ。私は、総理総裁のイスに少しでも長く坐り続けたいのだ。そして、念願の憲法改正をやり遂げたい。なかんずく、自衛隊を堂々の国防軍とする9条改憲を実現することこそが、私がこの世に生を受けた意味なのだ。

そのために私は神宮の祭神に祈願した。「アマテラスよ。日本の守護神よ。なにとぞ今年7月の参院選に我が党を勝利に導きたまえ。思いのとおりの憲法改正発議ができるだけの議席を与えたまえ」。これがメインの願い。

しかし、祈願はそれだけではない。アマテラスは、おそらく選挙情勢に明るくない。だから、もっと具体的なサブ祈願事項が必要だと考えて、次のようにも付け加えた。
「昨年の安保関連法案反対の国民運動が今年は終息しますように」
「あの運動の高揚感を餅を食ったら忘れますように。」「遅くとも、梅が咲く頃には忘れますように」「残った人も、桜の咲くことにはすべて忘れてしまいますように」
「野党が分裂状態を続けて、選挙共闘が成立しませんように。」
「18歳選挙権がわれわれの利益につながりますように。」
「神様、アベノミクスとは結局のところは株価のことなのです。選挙が終われば『あとは野となれ山となれ』で結構ですから、選挙までは東証の株価を維持してください。」
「そして、前哨戦としての選挙が重要です。まずは1月17日告示24日投開票の宜野湾市長選挙です。そして4月の北海道5区補欠選挙。この二つの選挙に勝って弾みをつけさせてください。」
「けっして、我が党の政策が国民の支持を得ることまでは望みません。ともかく、議席が欲しいのです。」
「私は、神道政治連盟に加盟し、神道政治連盟国会議員懇談会でも真面目に活動しています。『国政の基礎に神道を置く』ことを目標に、日々政教分離を掘り崩し、20条改憲の実現を目指す活動に邁進しています。」
「ですから神様。私を嘉して、ご褒美をください。この私の願いを叶えてください。」

なに? 一国の首相としては次元の低過ぎる祈願だと? どうせ私は右翼の軍国主義者、しかも反知性主義で名を売った政治家だ。でもネ、よく言うだろう。国民はそれにふさわしい政府しか持てないってネ。だから、私はキミたちにふさわしい。今のキミたち国民は、私程度の首相しか持てないのさ。
(2016年1月6日)

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Published in 水曜日, 1月 6th, 2016, at 18:50, and filed under 安倍政権, 政教分離・靖国.

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