澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「被告業・廃業宣言」と、「スラップ糾弾業・就業宣言」?「DHCスラップ訴訟」を許さない・第86弾

「DHCスラップ訴訟」勝訴確定の第一報を受けて以来10日が経過した。なんとたくさんの人から祝意を受けたことだろう。そして嬉しいことに、多くの人から、「今後DHCの製品は絶対に買わない」「DHCのコマーシャルにはスイッチを切る」「機会あるたびに、周りの人にDHCや吉田嘉明の酷さを知ってもらうようお話ししている」と言ってもらった。

ブログを見た高校時代の友人から、メールが届いた。
「やっと無罪放免?となったようで、良かった。おめでとう。…普通なら、『齢も齢だから、マアあまり無理をしたりトラブルを起こさないようにしたら、』などと言うところだけど、澤藤君に対しては無意味、あるいは失礼になるのかな? 昨秋以来、TVコマーシャルにDHCが出てくるとチャンネルを換えたり、実生活においては、サプリメントなどは全く使わなくなったり・・・」
不愉快な思いはさせられたが、負けずにがんばった甲斐があったというものだ。スラップ常習者には相応の報いがなければならない。

ところで、ここ1年ほど、私の自己紹介は次のようなものだった。
「私は、現役の『弁護士』です。弁護士とは社会正義と人権の守り手。法を武器に、弱者の側に立って権力や富と闘うのが本来の任務。私こそがそのような弁護士だと自負しています。そして、私は『ブロガー』です。毎日「澤藤統一郎の憲法日記」を書き続けています。そのネタは、弁護士としての業務と関係し、どれもこれも権力や権威や経済的な強者には、当たり障りのあるものばかり。さらに、私は『被告業』を営んでいます。2014年5月以来、当ブログの記事が名誉毀損に当たるとして、DHCと吉田嘉明から仕掛けられた不当極まるスラップ訴訟の被告です。提訴時には2000万円、後に請求は拡張されて6000万円の損害賠償請求訴訟。その応訴には煩わしさがつきまといます。もちろん、心理的な負担も大きい。

以上の『弁護士』『ブロガー』『被告業』は、私の中では三位一体なのです。弁護士は社会から与えられた自由を、臆することなく怯むことなく適切に行使する責務があると思っています。ブログはその責務を果たす場。その遠慮のない強者糾弾の記事で6000万円請求の提訴を受けたのですから、一歩も引けない。弁護士が不当な圧力に屈して、批判の言論を萎縮するようなことがあってはならない。被告としての応訴の実態も、ブログに発表することで、弁護士としての職業倫理の責めを果たしていると考えているのです。」

その私が、勝訴確定によって被告であり続ける資格を失った。2年と半年の間、暖め続け慣れ親しんだ被告の座。憤ったり、不愉快な思いもしたが、今は懐かしさを込めて振り返り、ここに厳粛に『被告業廃業宣言』をせざるを得ない。

続いて、話題は再就職に及ぶことになる。私は被告業を廃業しても、「元被告」の地位は持ち続けることになる。なにより、私は弁護士であり続け、ブロガーとしての記事の掲載も続けていく。DHCスラップ訴訟の後始末もしなければならない。

「被告業」を辞して、「元被告業」を営むというのでは積極性に欠ける。考えた末、「スラップ糾弾業」への転職宣言をすることとしたい。

私は、平和や政教分離、国旗国歌問題、政治とカネ、思想・良心の自由、教育を受ける権利、消費者問題、医療・薬害などに関心をもってきた。以前からスラップ問題に格別の思い入れがあったわけではない。しかし、不本意ながらもスラップの当事者となった。この問題に取り組むボルテージは自ずから高い。このテーマについては、社会から私に期待するところも小さくなかろう。

被告業をやめるとは、スポーツ選手が現役を引退するようなものだ。引退後、さっぱりとその世界から足を洗う生き方もあるが、監督としてあるいはコーチとして、あるいは解説者としての再スタートもある。

私の「スラップ糾弾業」就業宣言は、現役引退後のスポーツ選手が、その経験を活かして監督か解説者に転進するようなもの。元スラップ被告の私が、スラップの害悪を世に語り続ける語り部となろうという決意の表明である。

とりあえずは報告集会を開かねばならない。パンフレットも作ろう。そして、私のブログでは、DHC・吉田のやり口を繰りかえし語ろう。政治とカネの問題だけでなく、サプリメントの安全に保証のないことを広くみんなに知らせよう。スラップの薄汚さを社会に周知せしめよう。

もっともっと多くの人に、「今後DHCの製品は絶対に買わない」「DHCのコマーシャルにはスイッチを切る」「機会あるたびに、周りの人にDHCや吉田嘉明の酷さを知ってもらうようお話ししている」と言ってもらえるようにする努力。それが私のなすべきこと。そのような「スラップ糾弾業」と、「弁護士」および「ブロガー」の三者は、私の中で三位一体なのだ。
(2016年10月17日)

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