澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「サッカー日本代表の皆さん。つかの間の安らぎに心からの感謝」 ― アベシンゾー

トランプもすなるツィッターといふものを、アベもしてみむとてするなり。
アベは、1918年7月3日早暁サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会でベルギーに敗れた日本代表チームへの「感謝の言葉」をツイッターに投稿した。

「最後まで全力を尽くし、たくさんの感動を与えてくれたサッカー日本代表の皆さんに、心から感謝します。毎日がわくわくで、夢のような2週間をありがとう!」

これは表向きに取り繕っての、余裕ありげな感謝のメッセージ。しかし、ホントのところは敗戦が残念至極。側近がいくつもの素案を作っていた。ボツになったそのいくつかをご紹介しよう。

「新聞もテレビも、森友や加計問題を忘れて、サッカーばかりを報じてくれた夢のような2週間をありがとう! 予選を勝ち抜いた皆さんに心から感謝します。」

「高プロもカジノも、どさくさに紛れてさしたる批判のないままうまくやれました。たくさんの恩恵を与えてくれた日本代表の皆さん、夢のような2週間ありがとう!」

「最後まで全力を尽くし、たくさんの悪法を作ってきました。国民の多くがサッカーに気をとられている隙をねらって大成功です。日本代表の皆さんありがとう!」

「低迷していた支持率も、サッカーW杯をきっかけに上向きそう。毎日がわくわくで、夢のような2週間をありがとう! 心から感謝します。」

「昔から政治の要諦はパンとサーカス。今の時代は、株高とスポーツ。政治のボロを取り繕ってくれたW杯サッカー日本代表の皆さんに、心から感謝します。」

「ホントのところ、もっと勝ち進んで、日本中の話題がサッカー一色という事態を期待してました。そうすりゃ、改憲発議もできたかも知れないのに。残念。」

「国民栄誉賞の濫発が手っ取り早い人気取り。将棋の羽生に、碁の井山、そしてフィギュアの羽生弓弦。これにサッカーW杯、負けて惜しいことをした。」

「毎日がわくわくで夢のような2週間。我が大和民族の、いざというときの一体感はすごい。これなら十分、ほかの国と闘える。」

「W杯もオリンピックも、ナショナリズム高揚の絶好機。「日の丸」振って、「君が代」唱って、感動を与えてくれた日本代表の皆さんに、心から感謝。」

「最後まで全力を尽くし、私とアキエを守り抜いた官僚の皆さんに、心から感謝します。毎日がドキドキで、悪夢のような一年をご苦労様!」

「肩をならべて兄さんと今日も学校へ行けるのは兵隊さんのおかげです。お国のために戦った日本代表の皆さん、ありがとう。」

「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ、以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ。是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス又、以テナンジ祖先ノ遺風ヲ顯彰スルニ足ラン」
(2018年7月3日)

嘘にまみれたアベとカケに、国政私物化の成功体験を許してはならない

昨日(6月19日)朝の初めての記者会見以来、嵐のごとく吹き荒れている加計孝太郎バッシング。「姑息という言葉では足りません。もはや卑劣というべきです。」という野党議員の言葉が、多くの人の気持ちを代弁している。

震度6弱の大阪北部地震が起きた翌朝突然に、しかもサッカーW杯日本代表の初戦日に、会見前2時間前のマスコミ報告。岡山の地元メディアだけに限って、他地域から駆けつけた報道陣は閉め出すという異常ぶり。時間を25分に制限した形だけの記者会見。多くの人が、この卑劣を的確に評すべき適切な言葉を見つけかねている。

誰もが、この人物を薄汚いとの印象を深くした。「部下が勝手にやったこと」とシッポのせいにし、尻尾を切って済まそうというそのやり口にである。さすがは、嘘つき首相の腹心の友。保身と嘘つきぶりにおいて、兄たりがたく弟たりがたし。類は友を呼ぶというべきか、いやいや同じ穴のムジナと言うべきだろう。

その非難の洪水の中で、前川喜平がキメタ。「嘘を嘘で塗り固めた上に、さらに嘘の上塗りをしたものにほかならない」。これ以上に適切な寸評はない。

ところで、もう一度5月21日午後、愛媛県が参議院事務局に提出した「アベ・カケ面会報告文書」の内容を確認しておこう。

「報告・獣医師養成系大学の設置に係る加計学園関係者との打合会等について」と標題するもの。「(平成)27.3.」の日付と、「地域政策課」という作成課の記載がある。

その第1項が次のとおり。

1 加計学園から、理事長と安倍首相との面談結果等について報告したいとの申出があり、3月3日、同学園関係者と県との間で打合せ会を行った。

当該の「打合せ会」は、報告したいことがあるとして加計学園から県に対して申し入れられたものであり、その報告内容がズバリ「理事長と安倍首相との面談結果」なのだ。2月25日「アベ・カケ面談」は雑談のなかでたまたま出たという類のものではない。わざわざ、加計側から県に「理事長と安倍首相との面談結果を報告したい」からとして設定された「アベ・カケ面談の報告会」なのだ。その面談が嘘であり捏造というのであれば、計画的であることにおいて悪質きわまりない。

2 加計学園からの報告等は、次のとおり。
?2/25に理事長が首相と面談(15分程度)。理事長から、獣医師養成系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは「そういう新しい獣医大学の考えはいいね。」とのコメントあり。(以下略)

これが、設定された会合における主目的とされた「アベ・カケ面談報告」の内容。はたして、本当に作り話なのだろうか。「2月25日に、カケがアベと15分程度の面談をした」というのだ。面談の日と時間を特定し、さらに、カケはアベに「獣医師養成系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明」し、アベはカケに「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」とのコメントで応じたという。臨場感あふれるいかにもホントウらしい話し。これが作り話だとすれば、この上なく悪質な詐欺行為と言うほかはない。愛媛県と今治市を被害者とする93億円の大がかりな公金詐欺である。

なお同文書には、3月4日に同学園と今治市長が面会し、ほぼ同内容の説明があったと明記されている。「アベ・カケ面談」が捏造とすれば、加計学園は同じ手口で愛媛県と今治市の両方を欺していたことになる。

また、同時に公開された文書の中には、こんなメモもある。

(参考) 加計学園の直近の動向・今後の予定
2/25 理事長と安倍総理が面談
3/3 県との打合せ会
3/4 今治市長と面談
3/8 山本順三参議院議員を励ます会に出席した下村文科大臣と面談
3/15 今治市と協議
 (市:企画財政部長、企画課長)
 (学園:事務局長、次長、参事)
3/24又は3/26(調整中) 柳瀬首相秘書官に資料提出

2015年2月25日、カケ孝太郎は何をしていたのか。「記憶も記録もない」では済まされない。

ちなみに、私の2015年2月25日は何をした日だろう。さすがに、記憶だけでは、語ることができない。しかし、資料を探せば簡単だ。
その日私は、午前10時30分東京地裁631号法廷で、DHCスラップ訴訟の口頭弁論に出廷している。11時からは、東京弁護士会507号会議室で報告集会。午後は顧問を務めている会社との訴訟対策の打ち合わせ。夜は締め切り間近の原稿を書いている。この日のブログは、「『DHCスラップ訴訟』を許さない・第38弾」をアップしている。資料を付き合わせれば、この日の行動の再現は可能だ。記録を元に記憶をたどることができるのだ。そういえば、昼食は日比谷公園松本楼でしている。大学園の理事長においておや。当日の行動記録がないはずは絶対にない。

彼は、アリバイを立証できる資料を探して、見つけられなかったのだ。むしろ、探して見つけることができたのは、不都合な資料ばかり。だから、「記録も記憶もない」としか言えなかった。加計孝太郎よ。2015年2月25日の行動記録をあきらかにせよ。自らする意志は無いというのであれば、捜査機関に要望するしかない。

声をあげよう。加計問題の幕引きは許さない。加計孝太郎を国会で証言させろ。行政の私物化を許さない。権力者と結託して行政を歪める薄汚いやり口を見過ごしてはならない。アベにも、カケにも、してやったりという嘘にまみれた成功体験をさせてはならない。
(2018年6月20日)

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