澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

NHK受信料支払い凍結運動始まる

風薫る5月。季節は晩春から初夏に移りつつある。
手許の歳時記に
  メーデー歌雪形の出る岳の街(北沢昇)
という句がある。岩手山に鷲の雪形を見るころの、盛岡でのメーデーを思い起こす。

季節は美しい。しかし今年の5月は、集団的自衛権行使容認の是非をめぐる論争に明け暮れることになる。また、教員委員会制度をめぐる論議も熱している。既に国会提出となっている地教行法改正問題も山場を迎えようとしている。穏やかならざる5月の予感。

昨年の憲法記念日は、96条先行改正論をめぐる論議が白熱し、立憲主義を大切にしなければならないとする世論が広く浸透し社会に定着した。今年の、集団的自衛権論争はまさしくその延長線上にある。国会内の論議を尽くすこともなく、国民に意見を求めることもなく、時の政権が憲法の解釈の枉げて、実質的に憲法を改正してしまおうというのだ。憲法をないがしろにすること、これにすぐるものはない。

安保法制懇とは私的な機関に過ぎない。何の権限ももたず、何の権威もない。時の政権の意を体する人物たちが国会のなすべきことを掠めとろうとしているのだ。

また、教育基本法は実質において憲法の一部である。旧憲法が教育勅語と一対をなしていたごとくに、現行日本国憲法とセットをなすものである。1947年制定の改正前教育基本法冒頭の一文、「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。」は、その理念を高く掲げるものとして戦後教育の理念を象徴するものであった。

これを削り取ったのが、第1次安倍晋三内閣である。そして、第2次の現政権は、戦後レジームの重要な柱のひとつである教育委員会制度そのものに襲いかかっている。政治権力からの教育の独立のための教育委員会の大骨を抜いてしまおうというのだ。それが、地教行法の改正問題である。

明後日に迫った、憲法記念日の各紙の社説に、立憲主義や教育の独立の理念に立脚した、骨太の堂々たる見解を期待する。

そして本日、NHK受信料支払い凍結運動が開始となる。
その運動への全面支援の立ち場から、「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」によるNHK経営委員会と会長ら宛の運動開始通告書を転載しておきたい。
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                                    2014年5月1日
NHK経営委員会 御中
NHK会長 籾井勝人様
NHK副会長 堂本 光様
NHK理事
                  ご  通  知
         籾井勝人氏のNHK会長辞任を停止条件として
         本日より受信料支払い凍結運動を開始しました

                     NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
                     共同代表 湯山哲守・醍醐 聰
 去る4月21日、当会は貴委員会ならびに貴職宛に、4月末日までに、経営委員会が籾井勝人氏をNHK会長から罷免するか、籾井氏が自ら会長職辞任を決断されるよう申し入れをし、期日までにこの申し入れが受け入れられない場合は、受信料の支払いを向う半年間、凍結する運動を起こすことをご通知しました。
 しかし、本日、NHK視聴者部に問い合わせたところ、4月末日に至っても、籾井氏がなおNHK会長職にとどまっておられることを確認しました。
 4月21日以降も、籾井会長は2人の専務理事に辞任を求めたものの拒否されたと報道されたり、本年度の新人入局式で、会長を罷免させる手続きを定めた放送法の条項は読まなくてもよいという趣旨の発言をされ、その真意を経営委員会で質されたりするといった異常な事態が続いています。
 会長就任会見での数々の暴言以来、収まる気配がない籾井氏のNHK会長としてあるまじき言動を見るにつけ、いまや籾井氏が会長職にとどまられること自体が、NHKにとって害あって益なしになっていると言って過言でありません。そのため、当会と同様に、受信料の支払いを一時凍結してでも、籾井氏がNHK会長職を一刻も早く辞されるよう望む声がNHK内外で急速に広がっています。
 こうした声に連携し、それをさらに広めるために、当会は、先に予告させていただいたとおり、本日(2014年5月1日)から、受信料の支払いを凍結する運動を開始するとともに、この運動への参加を視聴者各位に呼びかけることにしたことをご通知いたします。
 この運動は、先に予告しましたとおり、期間を半年と定めた運動ですが(かりに半年後に至っても籾井氏が会長職にとどまっておられる場合、凍結をさらに続けるかどうかは参加者の判断に委ねることとしています)、今後、半年を待たず、籾井氏が会長職を辞される場合は、その時点で凍結分も含め、受信料の支払いを再開することにしています。

 もとより、私たちは、視聴者の受信料で運営財源を支えられていることがNHKにとって政治権力や商業的圧力から自立した公正公平な放送を行うための強固な基盤になっていることを十分承知しています。そのため、現在の受信料制度を大枠として堅持することを支持しており、当会が提起する受信料支払い凍結運動は、「受信料不払い」運動とは明確に一線を画するものです。
 しかし、視聴者がNHKと結ぶ受信契約は税金のような片務性の公契約ではなく、視聴者とNHKの相互の信頼関係の上に成り立つ双務契約です。この点で、「政府が右といったら左とは言えない」などと公共放送の自立性を端から理解しない籾井氏が会長職に居座り続けたのでは、視聴者は、NHKが公共放送にふさわしい自主自律の放送を提供するという信頼を保てません。このような場合、籾井氏が会長を辞任されることが、視聴者からの信頼を回復するのに必要な最低限の措置であり、そのような措置が講じられるまで視聴者が受信料支払い義務の履行を停止する抗弁の権利を行使するのは条理にかなったことです。
 また、オバマ大統領も先日、従軍慰安婦は女性の人権をはなはだしく侵害するものだと発言しました。そうした従軍慰安婦を「どこの国にもあったこと」などと平然と発言した籾井氏は公共放送の会長として失格です。そのような人物に私たち視聴者が支払う受信料から年額3,092万円もの報酬が支払われることをとうてい、納得できません。
 経営委員会ならびに籾井会長におかれましては、こうした多くの視聴者の意思を代弁する当会の受信料凍結運動の趣旨を重く受けとめていただき、籾井氏の会長罷免または自主的な辞職を一日も早く、決断されるよう、強く要望いたします。
                                          以上
具体的な受信料支払い凍結の手続については、下記のURLに詳細である。是非とも参照の上、民主主義擁護のための運動にご参加いただきたい。
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/nhk-933f.html

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支払い凍結と並んで、NHK籾井会長、百田・長谷川両経営委員の辞任・罷免を求める署名運動も継続中です。こちらにもご協力をお願いします。

運動の趣旨と具体的な手続に付いては、下記URLからどうぞ
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-3030-1.html
http://chn.ge/1eySG24
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    NHKに対する「安倍首相お友だち人事」への抗議を
☆抗議先は以下のとおり
 ※郵便の場合
  〒150-8001(住所記入不要)NHK放送センター ハートプラザ行
 ※電話の場合 0570?066?066(NHKふれあいセンター)
 ※ファクスの場合 03?5453?4000
 ※メールの場合 下記URLに送信書式のフォーマット
    http://www.nhk.or.jp/css/goiken/mail.html
☆抗議内容の大綱は
  *籾井勝人会長は即刻辞任せよ。
  *経営委員会は、籾井勝人会長を罷免せよ。
  *百田尚樹・長谷川三千子両経営委員は即時辞任せよ。
  *経営委員会は、百田尚樹・長谷川三千子両経営委員に辞任勧告せよ。
こちらもよろしくお願いします。
(2014年5月1日)

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