佐喜真淳候補は、辺野古新基地建設を容認するのかしないのか。
沖縄知事選から目が離せない。
昨日(9月3日)の当ブログで、佐喜真候補の討論会出席拒否を、候補者としての資格がないと厳しく批判した。一夜明けたら、「佐喜真氏、一転討論会参加へ 批判受け方針転換 『事務方の不手際で誤解』」という。やはり、批判はすべきものだ。
ここで堂々と、佐喜真は「できれば論争を避けようとした自らの姿勢を反省し、県民にお詫びするとともに、以後は歴史的な2018年沖縄県知事戦の候補者として恥ずかしくない論戦に挑みます」というべきだった。そうすれば、汚名挽回できたのだ。いま「正直」が政治家倫理の最重要徳目ではないか。ところが、「事務方の不手際で誤解」は、「正直」とはほど遠い不誠実な取り繕い。「秘書が」「妻が」「事務方が」との責任転嫁はみっともない。
そもそも、「事務方の不手際で誤解」は意味不明だ。佐喜真の言う「さまざまな行き違いで、討論会について事務方の不手際でマスコミに誤解を与えた」とはいったい何のことだ。マスコミが何をどう「誤解」したというのか。
確認しておこう。マスコミの理解は、以下のとおりである。これが誤解か。
「自民党沖縄県連は2日、沖縄県政記者クラブが出席を求めた県知事選立候補予定者討論会に対し、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)が参加しないことを文書で回答した。「日本青年会議所(JC)が予定する討論会に一本化する」とし、マスコミ各社の討論会や座談会には一律で応じない。これに対し県政与党が擁立する衆院議員の玉城デニー氏(58)の陣営は「マスコミからの出席の要請には積極的に臨む」として候補者が露出する機会に前向きで、姿勢が分かれている。(琉球新報)」
重要なことは、拒否回答が文書で行われたことだ。文書の内容は、「投票まで残り1カ月もない超短期決戦の中で、1人でも多くの県民と直接、対話を重ねたいところから、日本青年会議所の討論会に一本化して対応したい」(琉球新報)という、愚にもつかない文面。この文書の読み方に、誤解の生じようがないではないか。
しかも、この文書の作成は、佐喜真擁立の最大母体である自民党沖縄県連。「事務方」とは、自民党のことなのだ。常識的に、「知事選立候補予定者討論会不出席。但し、極右団体の討論会を例外とする」。こんな非常識で、重要な方針決定が候補者抜きで決められていることは考えられない。それとも、佐喜真は自民党の操り人形に過ぎないということなのだろうか。
自民党県連も佐喜真も、信用ならぬというほかはない。佐喜真という人物、今後都合が悪くなると、「事務方の不手際で誤解」を繰り返すことに、きっとなる。そのような私の判断を誤解とは言わせない。
「自民県連が不参加と回答した報道を受けて県連に批判が相次いだため、方針を変更した」という、各紙の報道内容が正確なところだろう。ここからは私の推測だが、この批判は身内からのものが多かったに違いない。「こんな候補者の姿勢では、まったく意気が上がらない」「これでは選挙にならない。初めから負けいくさだ」という批判ないし抗議。真面目な運動員としては、せざるを得ないではないか。玉城陣営としては、幸先のよい願ってもない事態。涼しい顔で見守っていたというところだろう。
さて、知事候補佐喜真淳(自・公・維の推薦)が政策を発表した。メディアの報ずる内容は以下のとおりである。
「普天間飛行場の一日も早い返還を政府に求め、日米地位協定の改定を具体的に提言する」と強調した。一方で、最大の争点である名護市辺野古新基地建設の是非には触れなかった。「県民の暮らし最優先」を掲げ、全国平均並みの県民所得300万円の実現や子どもの保育費、給食費、医療費の無償化、跡地利用の推進などを打ち出した。
普天間飛行場の辺野古移設について「最も重要なのは固定化を避けることだ。返還までの基地負担の軽減と危険性の除去を県民に訴えたい」と語った。辺野古移設の是非に触れないことについて、県が埋め立て承認を撤回したことで今後、政府が法的措置を検討していることを挙げ「法律的にどうなるか注視しなければいけない」と説明した。(琉球新報)
米軍普天間飛行場について「返還作業への即時着手と速やかな運用停止を求める」と明記したが、辺野古新基地建設の是非について触れなかった。国と連携し新たな沖縄振興計画の策定や経済特区、税制を実現する考えを示した。
辺野古新基地建設の是非に言及しない理由について、県が辺野古の埋め立て承認撤回をし、国が法的措置を取る構えを示していることを挙げ「法律的にどうなるのか注視しなければならない。一日も早い返還、それまでの負担軽減と危険性の除去を県民に訴えたい」と説明した。(沖縄タイムス)
妙な錯覚に襲われる。この佐喜真という候補者、沖縄県知事選を闘っているという自覚があるのだろうか。相変わらず宜野湾市長選を闘っている感覚のままなのではないだろうか。「世界で一番危険な・普天間飛行場」の返還・撤去について、沖縄県民に異論があろうはずはない。問題は、そのための条件とされた辺野古新基地の建設強行を認めるか否か。それこそが最大の争点ではないか。玉城は、断固阻止といっている。佐喜真はどうなのか。阻止にせよ、容認にせよ、あるいはその他の選択肢にせよ、意見をはっきりと言わねばならない。それが今、沖縄県知事選の候補者に求められている最低限の誠実さと言わねばならない。それなくして、沖縄県民の選択ができないではないか。
佐喜真や自民党は、このまま県民をごまかし、自民・公明の支持者もごまかしたまま票を掠めとろうというのか。佐喜真支持者諸君、自民党県連と佐喜真候補に、再びの抗議を集中されたい。辺野古新基地建設の是非について明確な政策を打ち出すように、と。
(2018年9月4日)