スガ新政権、どう考えてもおかしくて危険だよ。
(2020年10月9日)
A 不思議でならない。スガ新内閣の支持率が70%にもなっている。10月5日発表のJNN調査の結果が、支持70.7%で、不支持はたった24.2%だという。いったいこの国の国民はどうなってしまったんだ。
B 別に驚くには当たらないだろう。みんな安倍さんの政治には飽きていたんだよ。新たなキャラクター登場で、その新味への期待感が支持率アップとなったと思う。それに、ケイタイ電話料金値下げ、既得権益を許さない行政改革断行なんて、悪くないんじゃじゃないか。
A でもね。スガは、アベ政権の継承を謳って総裁選に勝っている。これまではアベの皮を被ってきたスガが、アベの皮を脱ぎ捨て正体を現したのがスガ政権だろう。スガ自身にも、閣僚の人選にも、政策にも、新味なんてなにもない。ケイタイ料金値下げなんて、やる気さえあれば、今までだってできたことではないか。
B とは言っても、トップとナンバー2とでは、やっぱり大きく違うんじゃないか。スガさんは2世の坊ちゃんじゃない、雪深い秋田の出で、これまで苦労してきた人だというし、国民の利益になる身近なことをやってくれるというんだから、国民の期待は高いよ。
A JNNの世論調査では、学術会議の6名に対する任命拒否についても、質問している。「あなたは、政府の対応について妥当だと思いますか? 妥当ではないと思いますか?」という問に、「妥当だ」との回答は24%に過ぎない。妥当ではないは51%だ。にもかかわらず、内閣支持率70%とはどういうことだろう。
B 簡単なことさ。学問の自由の侵害なんて、学者や大学の問題だろう。多くの人にとっては、自分に関わることではないんだ。学問の自由よりは、ケイタイ料金引き下げの方が、遙かに重大事なんだよ。
A ケイタイ料金値下げ程度のエサに釣られて、スガの強権政治を見過ごしていると、社会全体の自由がなくなってしまう。そんなことでよいはずはないだろう。
B そんなことになるだろうか。確かに、安倍さんには「9条改憲」の危険な匂いがつきまとっていた。それに、モリ・カケ・桜と、政治の私物化というイメージも強かった。しかし、スガさんには、そんな強烈なものは感じられない。ケイタイ料金値下げをやってくれるのなら、ありがたいじゃないか。
A アベ内閣の官房長官だったスガはアベと同罪だろう。それに、スガ官房長官がこれまで記者会見で語ってきたことを思い出してみろよ。「そういう見方は当たらない」、「担当部局は適切に処理していると聞いている」、という一方的な説明拒否、説明打ち切りの連発。こんな人物を信用してはいけない。
B そう言われればそうかも知れない。でも、日本には憲法もある、選挙もある、報道の自由もある。そんなに簡単に、自由のない社会になるという実感が湧かない。
A 第2次アベ政権ができて以来、特定秘密保護法の強行採決、武器輸出三原則の廃棄、安保関連法による集団的自衛権容認、共謀罪法の強行、黒川検事長の定年延長等々、実質的に憲法が壊され、自由が蹂躙されてきた。これを実務面で支えてきたのがスガではないか。NHKをはじめとするメディアを統制して、選挙をも支配してきたのだ。
B 確かに、安倍政権の末期には支持率が下がって行き詰まったよ。しかし、菅さんだって、バカじゃないだろうから、簡単に支持率が下がるようなことはしないように思うがね。
A 日本学術会議が推薦した新会員候補者6名の任命拒否問題。これは、大きな問題だ。政権が、臆面もなく、自分の気に入らない人物や思想を選別して排除すると宣言したのだ。それでも支持率は下がるまいと、国民を侮っての仕業だ。この国の、学問の自由侵害というだけではなく、自由や人権、民主主義という基本的な枠組みを逸脱した行為といってよい。こんな政権をのさばらせてはいけない。
B 「ケイタイ料金くらいでダマされるな」「政権に侮られるな」ということくらいはわかったが、菅内閣がそんなに危険なものだということにまだ納得できない。もう少し、新政権のやり方を見たいと思う。
A くれぐれも、手遅れと後悔するようなことのないようにね。