澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

東京と大阪のコロナ猖獗の事態は、無能な人物を首長に選んだ民主主義の劣化が招いたものだ。

(2021年4月19日)
 「苛政は虎よりも猛し」という。無能無策な政治も「苛政」と言わざるを得ない。アベ・スガ政権の無為無策ぶりもさることながら、今や東京都と大阪府、東西両都の為政者の無策の責任が誰の目にも明らかになってきた。両知事の無能ぶり、兄たり難く弟たり難いのだ。無能な政治家を首長に選んだ民主主義の劣化が、「虎よりも猛々しい」コロナ猖獗の事態を招いている。

 まずは、東京都知事小池百合子である。この人の『東京に来ないでください』発言には驚いた。驚きながらも、いかにもこの人らしいとも思った。「排除します」というあの発言を思い出したからだ。

 この人、相変わらずの上から目線。その姿勢が言葉に表れる。『東京に来ないでください』は、コロナは東京の外から持ち込まれるもので、東京から外へコロナが伝播しているという発想はない。これまでの都民に対する「都県境を越える外出自粛」要請も、『来ないで』と同様に、聖なる内側と邪悪な外側の二元論。「排除します」と思わず口に出た思想と通底する。「今はお互いに我慢して、往き来を控えましょう」という言葉にはならないのだ。

 「無信不立(信なくば立たず)」である。為政者に対する民衆の信頼がなければ、政治は成り立たない。同じ言葉も、発する人が信頼に足りなければ効果はない。「排除します」とのたもうた小池百合子の『東京に来ないでください』である。これで、コロナの終熄に向かうとはとうてい思えない。もっと真剣で切実な説明と訴えが必要なのだが、この人にはもう無理だろう。

 次いで、大阪府知事の吉村洋文。昨日(4月18日(日))発表された、大阪府の新型コロナウイルスの新たな感染者は1220人。全国に例を見ない突出した深刻な事態。感染者数だけでなく、医療体制はもはや逼迫の段階ではなく崩壊に至っているとの報道もある。公式発表でも、府内の重症患者専用の病床248床に対して、4月18日現在の重症患者数が286人と、100%を大きく上回っている。

 以下は、維新府政と厳しく切り結んでいる徳岡宏一朗弁護士の4月16日付ブログからの抜粋引用である。私も、まったくこのとおりだと思う。

 イソジンいや維新の会の吉村大阪府知事は2021年4月16日、大阪府内で新たに1209人が新型コロナウイルスに感染したことが確認されたと発表しました。
 これは1日の感染者数としては、昨日15日の1208人を上回ってこれまでで最も多く、4日連続で1000人を超えました。これで、大阪府内の感染者はあわせて6万5591人になりました。
 大阪ではすでに重症者用ベッドがあふれて完全に医療崩壊にまたなっているのですが、感染者増の2週間後に増加する死者数もとうとう増え始め、今日は二けた、16人の死亡が確認され、これで大阪府内で亡くなった人は1254人になりました。
 日本で一番遅く緊急事態宣言を要請し、一番早くに解除した維新の吉村大阪府知事。また日本で一番感染者が多くなって(600人)、日本一早く「まん防」要請という日本一の無能政治家。
 という記事を書いたのですが、それから半月経過して、感染者の数が倍になり事態は悪化する一方です。
 政治は結果がすべてで、それは吉村氏自身が何度も明言してきたところでもあるのですが、この知事はこれだけひどい結果を出し続けているのに、いったいいつ辞めてくれるんでしょうか。

 どれだけ危ない目に遭ったら、大阪市民とマスメディアは吉村維新批判を始めるのでしょうか。それにしても、全く、大阪ワクチンとかイソジンでうがいとか、この人が記者会見して何度もアピールしてきた話はどこに行ったんだか。

 さらに、小池・吉村の両者に対する批判の事実を摘示する毎日新聞記事を引用しておきたい。

11都府県で1月から再発令された新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言に合わせ、営業時間の短縮要請に応じた飲食店への協力金の支給が一部で大幅に遅れている。毎日新聞が対象自治体にアンケートしたところ、3月末までの支給率は京都府、大阪府、東京都が2割台で、飲食店からは悲鳴が上がっている。

 アンケートは11都府県を対象に実施。最初の約1カ月分について各都府県が集計した時短協力金の申請件数と支給状況を聞いたところ、3月末までの支給率は京都府が20%、大阪府が26%、東京都が29%。一方、福岡県は100%、埼玉県は8割台、神奈川県と千葉県は6割台で、首都圏でも支給状況に格差がみられた。

 大阪府26%、東京都29%が、堂々のワーストスリー入りである。やる気がないのか、能力に欠けるのか、住民の気持ちが分からないのか。いずれにしても、虎を野に放置してはおけない。さらに猛々しいという苛政はなおさらのことである。早急に何とかしないと、都民も府民もコロナ禍の猖獗に呑み込まれかねない。

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