安倍政治のおぞましさを象徴する河井克行の実刑判決
(2021年6月19日・毎日更新連続第3000回)
本日の万能川柳に下記の一句。
佐川さん黒川さんは元気かな (相模原 林ヒロシ)
佐川さんとは元財務省理財局長の佐川宣壽のこと、黒川さんとは「官邸の番犬」こと黒川弘務・元東京高検検事長。なるほど、既に懐かしい響きとなっている。しかし、けっして忘れてはならない名前。
かつての万能川柳にこんな一句があった。
リズムよし「モリカケ桜クロカワイ」
佐川宣壽が切られた尻尾となった森友学園事件も、加計学園疑惑も、桜を見る会問題も、黒川弘務を取り込んだ官邸による検察私物化も、そして河井克行・案里夫妻の公選法事件も、実は解決しているものはひとつとしてない。経過の真相も、裏に隠れた真のワルの振る舞いもぼんやりとした霞の彼方である。そのぼんやりの中から安倍晋三という稀代のワルの責任を白日の下にさらけ出さねばならない。
ときに、「モリカケ桜クロカワイ」やカジノ関連事件が話題になる。昨日(6月18日)は、河井克行の選挙買収事件での判決があった。懲役3年の実刑である。彼も、実は哀れ尻尾に過ぎない。尻尾を切った本体は、知らぬ顔を決めこんでいる。
この尻尾、なんと元法務大臣である。法の支配を標榜する国において、法務行政の占める地位は重い。人権擁護行政も刑事司法行政も法務大臣の管轄下にある。
その法を司る法務大臣経験者が、大規模な選挙買収事件を起こし、逮捕され起訴されて、懲役3年の実刑判決を受けたのだ。おそらくは前代未聞のこと、みっともないにもほどがある。あらためて、あの安倍晋三政権の汚さおぞましさを再確認しなければならない。
参院広島選挙区に敢えて自民党から二人の候補者を立てたのは、現職溝手顕正候補との確執をもつ安倍晋三の主導だとされてきた。だから、自民党からの選挙資金が溝手陣営1500万円に対して、河井陣営は1億5000万円となったのだという。安倍事務所の秘書が河井選挙で実働していたことも報道されていた。
奇妙なことに、刑事訴訟の公判審理では、検察側からも弁護側からもその背景事情はまったく触れられなかった。巨額の買収資金の出所はどこなのか。隔靴掻痒の感の残るところ。
河井克行は、一昨年(2019年)7月の参院選前後に、広島選挙区の計100人に約2900万円を配ったとして公職選挙法違反(買収)の罪に問われた。検察側は論告で「これほどの大規模買収は過去に前例がなく前代未聞だ」として懲役4年、追徴金150万円を求刑した。克之の妻・案里については、懲役1年4カ月執行猶予5年の有罪判決が確定している。
各紙の報道によると、判決は要旨次のとおりの<量刑の理由>を述べたという。
「河井は、地元議員らとの関係性や議員らの立場、地域における影響力の大きさなどを踏まえて、誰が誰にいくら渡すのか検討するなど、犯行全体を差配し、大半は自らが実行した。供与の相手方は広島県全域にわたり実人数は100人と極めて多く、金額も計2871万7450円と多額で、極めて大規模な選挙買収といえる。現金の受領を拒む者に何度も受領を迫ったり、無理やり受け取らせたりするなど、悪質な態様に及んでいるものも少なくない。」
「本件は、民主主義の根幹である選挙の公正を著しく害する極めて悪質な犯行で、刑事責任は重く、同種の選挙買収の中でも際立って重い部類に属する事案だ。犯行後、証拠を隠滅する行為に及んでおり、犯行後の情状も良くない。被告人質問の段階で犯行の大半を認めるなど、反省の態度を示していることを考慮しても、相当期間の実刑に処するのが相当だ。」
顧みれば、安倍晋三政権の9年間に、政治の私物化が進行し、民主主義の根幹がいかに害されたか。その象徴が、元法務大臣による選挙買収であり、元法務大臣への実刑判決である。しかし、この買収資金の出所さえも明らかになっていない。これで幕引きとしてはならない。
河井さん晋三さんは元気かな
これでは、洒落にもならない。河井にも安倍にも、元気で再活躍などされては困るのだ。「民主主義の根幹」が、こう言っている。
もう二度と出番はないね安倍河井