高市早苗さん。憲法を無視の人物に内閣総理大臣となる資格はありませんよ。
(2021年9月20日)
9月17日のテレビ番組で、司会者から「靖国の参拝ですけれども、内閣総理大臣になられましても続けられますか?」と聞かれて、高市早苗は、下記のように答えている。事実上内閣総理大臣になっても靖国参拝を継続する宣言と聞こえる。右翼・右派には喝采だろうが危険な発言。こんな政治家が、与党の総裁選に出てくる時代状況なのだ。
まだ、自由民主党の総裁選挙、これから戦おうということですけれども、靖国神社への参拝はわたくしは一人の日本人として、信教の自由に基づいて続けております。
それで、ま、なんでか、これを外交問題にしようという報道、まあ海外からの反応もあったり、日本の中でも「これ外交問題になりませんか?」とよくマイクを向けられるたりするんですけれども
わたくしはそれぞれの国の為に、ま、国の為に命をかけられた方、国策に殉じられた方の御霊をいかに、こう、お祀りするのかっていうのはそれぞれの国の中の問題であると思っています。外交問題であっちゃいけないと思っています。
わたしも閣僚として、また別の議員外交の一員として海外に出た時にですね、相手国の首相や大臣と会談をする前にその国の為に命を捧げられた方の、ま、慰霊施設に、あの、先に参拝するようにさせて頂いてます。
過去の戦争の歴史というのは本当に不幸な物であって誰が悪い、どっちが悪いと言い出したらきりがないんですけれども、それぞれの国の為に命をかけられた方にお互いに敬意を表しあう、そういう関係を作っていければいいなと思ってます。
この発言に、逐語で批判しておきたい。
「まだ、自由民主党の総裁選挙、これから戦おうということですけれども、靖国神社への参拝はわたくしは一人の日本人として、信教の自由に基づいて続けております。」
高市さん、お分かりだと思いますが、《一人の日本人としての信教の自由にもとづく参拝》と、《内閣総理大臣としての公的資格における参拝》とは、違うのです。もし、あなたが内閣総理大臣になったとしたら、あなたの靖国参拝は《一人の日本人としての参拝》ではなく、《内閣総理大臣としての参拝》とならざるを得ません。この両者は厳格に区分しなければならない。分からないフリをしてはならないし、ごまかしてもならないのです。
「それで、ま、なんでか、これを外交問題にしようという報道、まあ海外からの反応もあったり、日本の中でも「これ外交問題になりませんか?」とよくマイクを向けられるたりするんですけれども」
高市さん、問題は《外交問題》だから、ではないんですよ。中国や韓国やアメリカが問題にしなければよいということでもない。中国や韓国やアメリカが外交上問題にしなくても、日本国憲法における政教分離原則が許さないのです。そこは、内閣総理大臣となろうという人には、お分かりいただかなくてはなりません。
「わたくしはそれぞれの国の為に、ま、国の為に命をかけられた方、国策に殉じられた方の御霊をいかに、こう、お祀りするのかっていうのはそれぞれの国の中の問題であると思っています。外交問題であっちゃいけないと思っています。」
《国の為に命をかけられた方、国策に殉じられた方の御霊》が靖国に祭神として合祀されているという信仰を、国家は肯定も否定もしてはなりません。国家が、靖国神社やその信仰を特別の存在としてはいけません。その宗教施設にも信仰にも一切関わってはならないのです。それが、外交上の要請ではなく、我が国の憲法の決まりなのです。信仰をもつ人がお祀りし、お詣りすることは自由です。でも、国家を代表する人は決して参拝してはならないというのが、国内のルールなのです。
「わたしも閣僚として、また別の議員外交の一員として海外に出た時にですね、相手国の首相や大臣と会談をする前にその国の為に命を捧げられた方の、ま、慰霊施設に、あの、先に参拝するようにさせて頂いてます。」
高市さん、それは素晴らしいことだと思います。中国に行けば南京の「侵華日軍南京大屠殺遭難同胞紀念館」、旧満州の「平頂山・惨案遺跡紀念館」、韓国なら「西大門刑務所歴史館」、そしてシンガポールなら「日本占領時期死難人民記念碑」など、こういう場所で尊い命を失った人の追悼をされることが、その国の人々との友好の第一歩だと思われます。
「過去の戦争の歴史というのは本当に不幸な物であって誰が悪い、どっちが悪いと言い出したらきりがないんですけれども、それぞれの国の為に命をかけられた方にお互いに敬意を表しあう、そういう関係を作っていければいいなと思ってます。」
「過去の戦争、誰が悪いどっちが悪いと言い出したらきりがない」には同意できません。国際法や人道に照らして、誰が悪いどっちが悪いはきちんと言うべきだし、謝罪も必要ではありませんか。 歴史を曖昧にしたり美化したりしてはいけません。
結局あなたが首相になっても続けると言わんばかりの靖国参拝は、侵略戦争であったあの戦争を美化し曖昧にするもの、あの戦争を聖戦とし天皇のために命を落とした兵士を英霊と礼賛する危険なものとして、憲法20条の政教分離原則違反と言わざるを得ません。
憲法を厳格に遵守しようとしない人物に、内閣総理大臣となる資格はありませんよ、高市さん。