名護市長選挙における民意の反映を妨害する政権、そして今夏の参院選での連合、いずれも民主主義に反する存在。
(2022年1月22日)
早いもので、名護市長選挙の投開票が明日(1月23日)となった。選挙は、民意反映の手続だが、この民意の何たるかは必ずしも選挙結果のとおりのものではない。名護市民の新基地建設反対世論は、賛成派を圧倒している。これが最大争点である以上、本来はオール沖縄派の岸本ようへい候補の圧勝である。
ところが、政権は基地負担を地元に押し付ける見返りとして、地元に交付金・助成金をばらまいている。渡具知候補が勝てば、このばらまきで引き続き地元が潤う、岸本が勝てばこのバラマキはストップだという脅しと誘導がかけられている。
カネで選挙がゆがめられてはならないというのが、民主主義の大原則である。にもかかわらず、名護の選挙は完全に札束で選挙民をひっぱたいての選挙になっている。これでもなお、公正な選挙なのか。カネでゆがめられた投票行動は本当に「民意」反映の機会なのか。
そのハンディを背負っての選挙戦であり、明日の投開票である。清々しい、「本当の民意」の勝利の報を待ちたい。
もう一つ、選挙についての話題に触れておきたい。今夏の参院選に対する連合の方針に関しての問題である。昨夕の朝日新聞デジタル記事の見出しが、「『なんて乱暴な』立憲幹部は絶句 連合の野党離れ、なくした政治の軸」という見出し。
例の芳野友子率いる連合本部が今夏の参院選に向けた方針(案)を出した。支援政党を明記せず、支援しない政党だけを明記した。唯一の非支援政党とは、自民党でも維新でもなく、労働者の党を名乗る日本共産党のことである。日本共産党を支援しないというだけではなく、日本共産党と連携する候補者を一切支援しないとする基本方針案をまとめたという。
恐るべき反共主義である。共産党を支援しないというだけではなく、露骨に共産党の共闘を妨害しようというのだ。なるほど、連合の新年交歓会に、岸田文雄が招かれるわけだ。連合とは、労働者の組織ではない。資本の手先、財界の犬、政権の回し者でしかない。
朝日の記事は、「なんて乱暴な……」。「連合の基本方針案を知った立憲幹部は絶句し、『今までのような共産との連携はできなくなり、新しい方法を考えないといけない。これで得をするのは自民党だけだ』とこぼした」というもの。
とはいうものの、連合には、傘下の労働者の投票行動を左右するだけの力量があるのだろうか。連合の推薦の有無が選挙結果を左右するほどの影響力を持つものだろうか。大政翼賛の時代でもあるまいし、労組組合の連合体が、こんな露骨に反共主義を剥き出しにして、組織がもつのだろうか。むしろ、分裂の気運が盛り上がることになるのではなかろうか。
読売の報道では、「連合、参院選の支援政党明示せず…基本方針案『目的が異なる政党等と連携する候補者は推薦しない』」となっている。
もしかしたら連合は、日本共産党を買いかぶって、「連合は資本主義体制を大前提に組合員の労働条件向上だけを目的とするが、日本共産党は政治闘争至上主義の革命を目的とする集団として相容れない」と説明するのかも知れない。
しかし、ホンネのところはこうであろう。
「連合は恵まれた大企業正規労働者と公務員労働者の組織だ。だから、現自民党政権にベッタリくっついて楽に甘い汁を吸うことを目的としている。だから、政権にも資本にも最も厳しく敵対している日本共産党は、けっして連合の目的と相容れない存在なのだ」
自民党の元政調会長の亀井静香がこう批判しているという(『月刊日本』12月号)。これを、常識というべきであろう。
「立憲の支持母体の連合というのは、革新の仮面をかぶってるけど中身は自民党なんだよ。労使協調と言ってるだろう。経営者は自民党支持なんだから、結局自民党が勝つほうが今の労使協調体制を維持するのには都合がいいんだ。本当の労働者政党が政権を取ったら困ると思ってるんだよ」
連合は、労働者のために闘わないというだけではない。反共を唱えて、労働者のために闘おうという政党の足を引っ張って、積極的な妨害を企てているのだ。
連合も、今夏の参院選での「民意」反映を意識的にゆがめようという存在。民主主義に敵対する組織と言ってよい。このままの方針であれば、先は長くない。