澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

宇都宮健児君、立候補はおやめなさいーその22

私が宇都宮君を批判するきっかけになったのが、わたしの息子・大河に対する選対本部の随行員任務外し。12月11日午後9時過ぎのことだ。選挙運動期間は15日まで、あと4日だけを残した「最終盤」の時期のこと。

任務外しを言い渡したのは、選対本部長の上原公子さん(元国立市長)、お膳立てし実行したのは選対事務局長の熊谷伸一郎さん(岩波書店勤務)。そして、宇都宮君は、この任務外しをされた二人の随行員に問題の解決を約束しながら、結局放り投げた。

この日、12月11日は、三鷹のUR団地で「人にやさしい東京をつくる会」の法定ビラを配布中に逮捕されていたAさん(70歳)の釈放を勝ち得た日だった。Aさんは、8日に「住居侵入」罪で逮捕され、地元弁護団の奮闘で勾留請求却下となったが、寒中の留置所に3泊しての釈放だった。

私は、三鷹の集会所で開かれた「ねぎらいの会」でAさんの帰りを待ち受けていた。選対からは、私だけでなく、中山武敏君(「つくる会」代表・宇都宮陣営の弁明である「法的見解」作成3弁護士の一人)も、田中隆さん(法対事務局長・「法的見解」作成3弁護士の一人)も駆けつけていた。宇都宮君は街宣中で大河が随行していた。

その大河から私に携帯で提案があった。「釈放をねぎらう会の盛り上がりの席に、携帯電話で宇都宮さんの声を届けたい。Aさんと宇都宮さんとをうまく結ぶタイミングでお話しをしてもらおう」というもの。

Aさんの釈放は予定の時刻から大幅に遅れ、移動中の街宣車との通話のタイミングのとりかたが難しかったが、結果として成功した。宇都宮君は大河の携帯を、Aさんは私の携帯を使って、7?8分もお話した。宇都宮君からはねぎらいの言葉があって、Aさんには候補者本人からの直接の語りかけに感動している様子が窺われた。宇都宮君にとってもAさんにとっても、気持ちをかよわせ合う快い機会だったと思う。

私は、このアイデアをとっさに提案し、綿密に実行した大河が、随行員として大いに役に立っていることを知って満足した。ところが、その3時間ほどあとに、大河の随行員外しが強行されたのだ。

上原さんからの随行員外しの強行に対して、大河は、即座に「命令」はあり得ないこと、市民運動の中で「命令」の権限があると考えることの誤りを指摘している。私は、全面的に大河の意見に同意し、反射的に即座になされた大河の問題提起を貴重なものと思っている。そのことは、昨日の「その21」で紹介した「『命令』の撤回と謝罪を求める」通知に記載されているとおりである。その通知の内容で、大河の問題提起をお分かりいただけるだろう。宇都宮陣営は、これをしも「私憤」と切り捨てるのか。

これに対する上原さんからの一切の反応がなかったため、大河はさらに釈明を求める通知書を発信している。それが、本日紹介する12月15日付の「求釈明書」である。

私は、大河が作成したこの書面を読んで、心の叫びを聞いた思いがした。そうだ、「一寸の虫にも五分の魂」があるのだ。このとき、いかなることがあろうとも、徹底して大河の側に就くことを決意した。相手をおもんばかって大河をなだめようとか、「革新の共闘を大切にしてガマンしろ」とか、「大人の対応を覚えろ」などという、恥ずかしい言葉を絶対に口にするまいとの決意でもある。

私がこれまで、ブログを書き続けてきたのは、できるだけ多くの人に、下記の大河の通知書を読んでいただきたいためといってよい。是非、そのような思いのこめられたものとして、お読みいただきたい。

なお、この書面には18項目の質問事項が記載されているが、これに対する上原さんからの返答はまだない。無視されたままである。

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            再々々度、「命令」の撤回と謝罪を求める
                                2012年12月15日
上原公子様
                              澤藤大河
 12月12日から14日の各日、私はあなたに宛てて、私への「命令」の撤回と謝罪を求める旨の3通の通知をした。事情を知悉し、あなたの「命令」の執行として私を任務から排除することに加担した熊谷伸一郎さんにもその写しを通知している。
 しかし、現在なお、あなたからの返答に接していない。前回通知での質問も、無視されたままである。
 私は、かつて労働組合のない民間企業に勤務していて、職場の労働者代表として労働条件改善について会社と交渉した。その際、私は労働者の要求の実現に徹した立場を貫いて会社側から徹底的に敵視された経験をもつ。その際には3回の理不尽極まる懲戒処分を受けつつ、まったく一人でたたかった。
 そのときの自分の怒りの原点は、労働者をプライドある人間として尊重することのない資本の論理に対するものであった。そのころ、福島第1原発の事故が起こって、姑息に情報を隠して人間の尊厳を蹂躙する東電の資本の論理に激怒した。
 それと同質の怒りが市民選挙の運動に献身した末のものとして、今、私の内にある。同時に、市民選挙に大きく期待した自分の不明に対する失望感も大きい。
 労働者として会社の理不尽と対決した際には、私にはそれなりの予想と覚悟があった。しかし、あなたの私に対する仕打ちは、まったく予想もできない突発の事態で、訳のわからなさに情けないとしか言いようがない。今冷静に考えると、あなたのやり方は、公権力や資本以上に陰湿で酷薄というしかない。
 かつて会社とたたかった際には、さまざまな人間模様を見せつけられた。味方であったはずの人の引き方、保身のために会社側に加担した人、保身のために事態を見て見ぬ振りをした人も多かった。そして私に味方してとばっちりを受けた少数の人もいた。このたびの件では、その既視感を禁じ得ない。
 何度でも繰り返すが、あなたはボランティア参加者を人格ある人間としてみることができない。あなたは市長ではなく、私は市の職員ではない。にもかかわらず、あなたは、私たちをあたかも将棋の駒か兵隊のようにしか見ることができない。問答無用で、人に命令ができると考えている「人にやさしくない」その体質こそが、問題なのだ。
 あなたには心に銘記していただきたい。一寸の虫にも五分の魂がある、ということを。あなたから、任務を外された二人の候補者随行員とも、虫けらではない。五分よりは遙かに大きな魂をもっている。ボランティアとして運動に参加した人の一人一人がそのような魂をもっていることを理解していただきたい。
 私に対する「命令」の撤回と謝罪なくして、あなたには人権も民主主義も語る資格はない。あらためて、速やかに「命令」を撤回し、「市民が市民に「命令」する権限などない」ことを確認する意味で自らの非を認めての誠実な謝罪を求める。
 早急にあなたの誠実な対応が得られない場合には、今後の市民運動の健全な発展のために、選対組織が解散する前に事実経過の詳細と私の問題意識を全関係者にお知らせして、市民運動の原則に関わる深刻で重大な問題としてお考えいただくよう手立てを講じることとしたい。
 前回も通知したとおり、私はあなたとは異なり、手続における正義にこだわる立場にたつ。あなたに再度の弁明の機会を与えたい。
 あなたは、11日夜に、私が要求しあなたも合意した2分間の弁明聴取さえ、途中で打ち切り最後まで行わなかった。しかし、私はあなたに再度24時間を与え、あなたの誠実な回答があれば、相応の対応をするつもりである。もちろん、誠実な回答を得られない場合にも、それ相応の対応とならざるを得ない。
(1) あなたは、11日21時ころ、熊谷伸一郎さんに指示して携帯電話で私を選対事務所に呼び出し、「候補者の随行員としての任務を継続してきたボランティアの女性について、その活動からはずすよう」に「命令」した事実を認めますか。
(2) また、その際、私の翌日(12日)の行動について、「休暇を取ること」を「命令」した事実を認めますか。
(3) あなたは、11日のうちに、あるいは12日の早朝に、熊谷さんまたは街宣チームの責任者(車長)に対して、候補者の随行員である私と女性について、「今後は任務からはずすことになった。ついては今後街宣車に乗せないよう」指示をした事実を認めますか。
(4) 私が「あなた(上原さん)には命令の権限はなく、私(澤藤)は命令に従う立場にない」ことを明言した際、あなたは傍らにいた熊谷さんと顔を見合わせて冷笑し、「この人、私の命令を聞けないんだって」と侮辱的な言葉を口にしたことを、認めますか。
(5) 随行員二人に対するあなたの各「命令」は、それぞれどのような合理性・必要性に基づいて、なされたものでしょうか。
(6) その判断の根拠となった事実は、誰からどのようにして把握されましたか。
また、事前に当事者の意見を聞こうとしなかったのは、なぜでしょうか。
(7) あなたは、上記二名が随行員として何か不適格な点があったとお考えでしょうか。また、その女性と私が候補者の随行員としての任務に就くようになった経緯をどのように把握しておられますか。
(8) あなたは、私やボランティアの参加者に、命令をする権限をお持ちだとお考えでしょうか。根拠を示してお答えください。
(9) あなたは、候補者の当選のために献身してきた二人を突然任務からはずすことについて、はずされる側の心情をどのように理解していますか。また、その心情への何らかの配慮が必要だとは思わなかったのですか。
(10) あなたは、現在なお、私たち二人を任務からはずしたことを合理性のある適切な判断であったとお考えでしょうか。
(11) 私が、候補者の随行員として能力と献身性を備え、解任されるまで最善の成果をあげてきたことを認めますか。
(12) あなたから解任された女性随行員は、街宣チームのみんなの合意で任務に就くことになった事実をご存じでしょうか。
(13) 街宣チームが上記の合意をしたのは、選対に人員の不足を訴えても誠実に対応してもらえなかったからであることを理解していましたか。
(14) 街宣チームと候補者とが、選対からの人員についての補充を得られないことだけでなく、情報についての不足と遅滞とに大きな不満をもっていたことをご存じでしたか。
(15) 私とともに解任の対象なった女性が、適切に候補者の健康や体調に気遣い、身だしなみにも配慮をおこなっていただけでなく、気概をもって候補者の安全に気配りしていた事実をご存じですか。
(16) もしかして、あなたは、あなたの特定の友人からの私情に基づく偏った情報で、随行員の女性を不適格と判断したのではありませんか。
(17) もしかして、あなたは、私の随行員としての任務の遂行態度ではなく、私の思想や信条を忖度して、不適格と判断したのではありませんか。
(18) あなたが、頑なに、これまでの通知を無視し、命令の撤回を拒絶している理由をお答えください。
                                以 上
   **************************************************************
宇都宮君、君もこの書面は読んだはずだ。18項目の求釈明事項にどう回答すべきか真剣に検討したのか。ここに疑問とされている事実をどう把握したのか。君の口から、聞かされたことはない。結局、君には、権利を侵害された人からの訴えに真剣に向かいあおうという気概がない。さらに、君には、紛争を適正な手続で解決しようという法律家としての良識がない。紛争の当事者に、できるだけの努力をしてもらったと思わせる誠実さがない。政治的な紛争解決の知恵も力量もない。現実にやったことは、「文句を言う面倒な人物の切り捨て」だ。

そんな君に、都知事候補者の資格はない。ましてや、革新共闘の候補者としては落第だ。だから、宇都宮君、立候補はおやめなさい。
(2014年1月11日)

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Published in 土曜日, 1月 11th, 2014, at 21:44, and filed under 宇都宮君おやめなさい.

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