宇都宮健児君、立候補はおやめなさいーその27
本日、東京都選挙管理委員会(都庁第1庁舎N39階)で、前回都知事選宇都宮健児候補の選挙運動費用収支報告書を閲覧した。宇都宮選対は届出を「間違い」としているのだから、当然のこととして報告書の訂正がなされているはずと思ったのだが、本日(1月16日)午後の時点でなんの訂正の届出もなかった。
私が、当ブログで上原公子選対本部長(元国立市長)、服部泉出納責任者らが、違法に選挙運動に対する報酬を受領していることを指摘したのが昨年の12月21日。宇都宮君らは12月31日に、インターネット動画中継で、次のように言っている。
「問:上原さんの件について。無給(ボランティア)でやるのが選挙であるが、上原さんにお金が支払われていた事が確認できる。これが公選法違反にあたるのではないか。
答:この点は(上原さんは)実際に選対本部長をやられていて、その間の交通費などの実費の補填はしていたと聞いている。金額にして10万円。労務費になっていたが、収支報告書の訂正をする。
問:労務費は適正では無かったと。それは修正すると。
答:公選法違反については、公選法専門の弁護士団の公式見解をまとめて、来週の(1月)6日には発表出来る。そういう対応をしている。」
こうして、1月6日に、3弁護士連名の「澤藤統一郎氏の公選法違反等の主張に対する法的見解」(但し、1月5日付)が公表された。その内容は以下のとおりだ。
「澤藤氏は上原選対本部長らが交通費等のごく一部の実費弁償として金10万円を受領していたことをもって『公選法に違反』しているとの主張を繰り返している」
「だが、(上原さんへの)交通費や宿泊費など法的に認められる支出の一部にすぎない10万円の実費弁償に何の違法性もないことは明らかである」
「澤藤氏は私憤の感情からこれを故意に混同させ、あたかも公選法違反があるかのごとき主張をなしている」
「もっとも、上原さんらの上記10万円の実費弁償が選挙運動費用収支報告書に誤って『労務費』と記載されていることは事実であるが、この記載ミスを訂正すれば済む問題である」
これが「公選法専門の弁護士団の公式見解」である。
つまりは、「選挙運動報酬として受領した」旨の上原公子選対本部長の署名捺印のある領収書は虚偽の内容で、「労務者報酬」としての選挙運動収支報告書の届出は「記載ミス」というのだ。受領した10万円の真実の使途は、「交通費や宿泊費など法的に認められる支出の一部にすぎない」という。このリアリティを欠く主張自体が立証不可能を表白している。誰もが、宇都宮陣営の自信のなさを読み取らざるを得ない。
「3弁護士の法的見解」がいう「上原さんら」とは、誰と誰のことなのか、何人について言っているのか。一日1万円ちょうどという、交通費や宿泊費とはどのような内容なのか。公職選挙法上徴収と保管を義務づけられている領収書はどうなっているのか。選挙運動収支報告書の訂正届出に必要な領収証をどう調達するのか。私には、どのように「記載ミスの訂正」をするつもりなのか、想像も及ばない。仮に、形式的には訂正して届出が受理されたとしても、訂正内容が虚偽記載に当たる蓋然性を否定し得ない。
「法的見解」が、「記載ミスを訂正すれば済む問題である」と言ってから、今日が10日目である。「上原さんらの選挙運動費用収支報告書上の『労務費』とされた記載ミス」は速やかに訂正されるべきだが、いまだに訂正のないのはどうしたことだ。宇都宮陣営のコンプライアンス軽視の姿勢がここにも表れている。「訂正すれば済む問題」が、済んではいないのだ。もちろん、訂正があった場合には、訂正された新たな内容の真実性が改めて問題にされることになる。
選挙運動費用収支報告書の主要な問題の部分を抜き書きしておく。
支出の部 人件費
12月14日 金額10万円 区分・選挙運動 支出の目的・労務者報酬
支出を受けた者・上原公子 職業・無職
備考 10000円×10日間
12月14日 金額10万円 区分・選挙運動 支出の目的・労務者報酬
支出を受けた者・服部泉 職業・無職
備考 10000円×10日間
選対本部長や出納責任者が、機械的労務を提供するだけの労務者ではあり得ないのだから、少なくとも上記2名について訂正の必要があることは明白だが、それだけにはとどまらないはずである。まずは、訂正を見届けたい。
同じ知事選挙における猪瀬直樹候補の選挙運動資金収支報告書によれば、同候補の選挙運動資金「収入」は3050万円。支出合計は、2458万7890円である。これだけを見る限りでは、猪瀬陣営よりも宇都宮陣営の方が選挙運動資金は潤沢であった。もちろん、徳洲会からの5000万円は除いてのことである。
保守陣営に金権選挙をやらせてはならない。そのための選挙運動資金規制であり、報告義務の制度である。運用の厳格さを疎かにしてはならない。革新陣営のコンプライアンスは絶対に必要なのだ。上原公子選対本部長や服部泉出納責任者の違法は、けっして見逃すことができない。
前回選挙の収支報告書の記載ミスを認めながら、新たな選挙直前のいま、その訂正もできないようでは立候補の資格あるとは思えない。宇都宮君、立候補はおやめなさい。
(2014年1月16日)