澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

《NHK文書開示請求訴訟》次回口頭弁論期日・9月6日(火)11時、103号法廷で。

(2022年8月31日)
 NHKと森下俊三経営委員長の両名を被告として、NHKの報道姿勢と内閣任命の経営委員会のあり方を根底から問う《NHK文書開示請求訴訟》。その第4回口頭弁論が、以下の日程で開かれます。
 9月6日(火)午前11時
 東京地裁103号法廷

 今回の法廷では、原告主張の要約をパワーポイントを使って、原告代理人が説明いたします。原告のお一人浪本勝年さんの意見陳述もあります。ぜひ傍聴をお願いいたします。
 
 なお、今回傍聴券の配布はありません。先着順に入廷してください。余裕をもって時間までにお願いいたします。
 また、引き続いて報告集会を開催いたします。
  同日午後1時から、
  参議院議員会館102会議室で

こちらにも、ご参加下さい。資料を配付し法廷よりも時間をたっぷりとって、パワポの解説をいたします。

 この訴訟は、興味津々の進行となっています。提訴以前には意図的に隠蔽されていた問題の経営委員会議事録(「NHK会長を厳重注意した会議の議事録」)ですが、提訴後にそれらしきものが出てきました。いま、問題は「粗起こしの議事録草案」と言われる、「議事録みたいなもの」の取り扱いが問題となっています。

 放送法第41条は、経営委員会委員長(被告森下俊三)に経営委員会議事録の作成と公表を義務付けています。この「公表」の実行は、NHKがそのインターネットホームページ(NHKの公式サイト)に掲載して、視聴者の誰もが閲覧できるようにすることになっています。NHKは準備書面において、経営委員長(被告森下)の指示さえあれば、ホームページへの掲載に何の差し支えもないことを明言しています。

 放送法で義務付けられている経営委員会議事録の公表がなぜ実現しないのか。その責任は、NHK執行部にではなく、もっぱら被告森下俊三の側にあることが明白になりつつあります。放送法32条2項によって禁じられている番組編成に対する露骨な介入の違法を隠蔽しようという動機以外には考えられません。

 しかも、一定の場合、議事録公表義務には免除の規定がありますが、議事録作成の免除はありません。だから、「公表されてはいなくても、存在するはずの議事録を開示せよ」というのが原告の主張です。もし被告森下が議事録を作成もせず、公表もしないとなれば、明白で重大な法律違反です。任命した安倍内閣の責任も生じますし、現内閣には罷免事由になるものと考えます。

 そして、もう一つの問題は、「議事録みたいなもの」の原資料である録音データです。この資料は作成者の記載はなく、正確性を確認する術はありません。そこで、録音記録を出せと要求したら、何と、「消去しました」というのです。

 えっ? こんな大事なものを簡単に消去? いつ、誰が、どうして、誰の指示で消去したの? バックアップはあるはずでしょう? と問い質したのですが、大事なことはけっして回答しません。森下俊三、そりゃひどい。
 法廷では、この点をパワーポイントを使って、原告代理人が説明いたします。

 もとはと言えば、「クローズアップ現代+」の「かんぽ生命保険違法勧誘問題」報道に端を発した「会長厳重注意の議事録」隠蔽問題です。放送法違反の違法行為を重ねた被告森下俊三の責任だけでなく、これを選任した政権の責任問題が浮かび上がっています。そして、森下を罷免しない現政権の責任も。

 NHKが暴走することのないよう、放送法は、NHKの最高意思決定機関として経営委員会を置き、その重責を担う経営委員12名を「国民の代表である衆・参両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する」という制度設計をしました。当然に良識を備えた経営委員の選任を想定してのことなのです。

 ところが、この経営委員の選任が、安倍政権以来ムチャクチャというしかないのです。政権の思惑で送り込まれた、明らかな違法をして恥じない経営委員たちが、今回の事件を起こしているのです。この訴訟は、その問題に切り込んでいます。
 ぜひとも、ご注目ください。傍聴にも、報告集会にもお越しください。

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