澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「東京・教育の自由裁判をすすめる会」第18回(2022年度)総会の報告

(2022年11月20日)
 昨日開催された、「すすめる会」第18回(2022年度)総会の報告である。略称「すすめる会」とはなんぞや。当日配布のパンフの一部をご紹介する。

『東京・教育の自由裁判をすすめる会に入会して、原告団を支援しましょう』

 “すすめる会”は、「10・23通達」に起因する多くの裁判を支援し、学校に自由と人権を取りもどすことを目指して、2005年7月に発足し、活動を続けています。
◆これまでに支援してきた裁判
○東京「君が代」裁判(不当処分撤回を求める裁判)
  第1次訴訟(?2012.1)、    第2次訴訟(?2013、9)、
  第3次訴訟(?2016.7)、    第4次訴訟(?2019.3)
○「君が代」強制解雇撤回裁判 ?20117
○嘱託・再雇用採用拒否撤回裁判
  第1次訴訟(?2011.6)、第2次訴訟(?2018.7)、第3次訴訟(?2018.7)
○「授業してたのに処分」裁判(?2013.12)
○国歌斉唱義務不存在確認等請求裁判(予防訴訟)(?2012.2)
◆次のような活動をしています
 ○裁判原告団への財政援助  ○通信『リペルテ』発行(年4回)
 ○裁判傍聴・要請行動  ○国際人権活動  ○関係団体との連携
 ○他にもいろいろ
◆会員になってください
 (年会費) 個人 2000円   団体 5000円
 (払込先)郵便振替 口座番号 00190-2-668820
   口座名 東京「日の丸・君が代」強制反対裁判をすすめる会

東京・教育の自由裁判をすすめる会
〒102-0071東京都千代田区富士見1-7-8 第五日東ビル501
e-mail kyouseihantai@gmail.com

 総会プログラムに「会員からの声」が掲載されている。その数、およそ40通。会の性格と会員の真面目さが良く表れている。いくつかご紹介したい。

Sさん(松戸市)「日の丸・君が代」強制反対運動は、戦争反対運動と連帯しています。ロシアのウクライナ侵攻の今、特に大事な運動になっています。

Oさん(赤磐市)自由な教育こそ生きる力を育みます。応援しています。

Aさん(豊橋市)「日の丸・君が代」強制反対裁判をすすめる会の皆様に敬意を表します。

Kさん(調布市)お手数をおかけしました。私は一般事務地方公務員でした。退職後数年たち、購読、どうしようか…と思った事もありますが、広い意味の支援になるかな?何もしないよりは…と考え直しました。ひろい読みする程度です。

Nさん(狭山市)また子供達を戦争に行かせないように頑張って頂きたいです。

Aさん(八王子市)いつも貴重な情報ありがとうございます。起立する、しないで良心をためすようなことをしては民主国家ではしてはいけないこと。憲法を守りぬきましょう!

Nさん(尼崎市)思想良心の自由、教育の自由・独立を守る不屈のだたかいに心から敬意を表します。

Iさん(武蔵野市)いつもお世話になりありがとうございます。67号の小森さんの論調参考になりましたが、2ページ上段の「なぜなら?」のつながりが理解できませんでした。

Wさん(横浜市)6/6に映画「教育と愛国」107Mを見ました。おすすめです。過去30年のことがわかり易く…。

Yさん(三芳町 町議会議員)小森陽一氏の文章はその通りと感銘。君が代斉唱時、私も座った。議長や教育長が問題と言ってくる。戦争は反対だから君が代は歌えない。原告??は涙が出る。勝訴を望む。高校生署名も勇気をもらいました。

Iさん(大田区)大阪高裁判決良かったですね。

Iさん(長崎市)市民活動からの報告を読みながら、ほんとうに大変な日本社会になったと思います。

Hさん(板橋区)大能先生のお話には胸がつまります。

Nさん(鳥取市)運動を続けるしか展望は切り開けません。

Tさん(北社市)マスメディアでは報道されない責重な情報を知ることができます。ありがとうございます。

Tさん(相模原市)連載「今夜も……」楽しく拝読させていただいています。

Kさん(川崎市)編集、発行大へんな仕事ですが、引き続きがんばってください。

Oさん(四街道市)音楽・文学などの情報も載せて下さい。楽しい誌面作りも大切です!

Hさん(立川市)集会・傍聴への参加、すっかり遠のき申しわけなく思ってます。「石原通達」破棄まで見届けるまでは…と思う日々です。

Iさん(横浜市)毎号のニュースで運動の状況がよくわかります。ありがとうございます。

Oさん(八王子市)山藤たまきさんの陳述にぐっと心が締めつけられる思いでした。私は息子の卒業式では立ちませんでした、保護者として(私達夫婦だけ座っていました)。でも職場では立ちました。ただロを真一文字にして歌わないことで自分を納得させていました。皆さんの強さに頭が下がります。

Kさん(八王子市)お互いに決してあきらめずに。

Aさん(豊橋市)かつては小生もへっぴり腰で君が代・日の丸に反対してきました。皆様のがんばりに敬意を表します。

Hさん(川越市)大阪府の敗訴、うれしく思います。

Mさん(杉並区)憲法を変えさせない波を大きくしていく力です。

Nさん(常緑市)粘り強い“闘い”を陰ながら応援しています。

Iさん(町田市)あきらめずにがんばっていただきありがとうございます。せめて会費を払うことで連帯していきます。

Sさん(足立区)原告の方々の不屈の精神に勇気づけられます。どうかコロナ禍の中、お身体に気をつけて下さい。これから年金生活者となりますので、会費のみになります。ごめんなさい。

Kさん(流山市)労働組合とくに教員組合へ共闘するよう申し入れ活動を展開してほしい。ニュース紙面に出ることを期待します。その様子を知って、ぼくの方から訴えができます。

Kさん(習志野市)いつも励まされています。

Nさん(草加市) 夫Tは本年3月20日他界しました。12月をもって貴会を退会させていただきます。長い間ありがとうございました。(妻Y)

Nさん(神戸市)母、Nは21年5月2日に満102歳で永眠いたしました。長い間お世話になりありがとうございました。連絡が遅くなり申し訳ありません。(K)

Hさん(足立区)10月17日にH本人が他界しました。本年度をもちまして退会とさせていただきます。皆様の活動に心から敬意を表します。頑張って下さい。(妻)

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 なお、本会の現在の<共同代表>は下記のとおりである。
 市川須美子(獨協大学、日本教育法学会会長)
 尾山 宏(東京・教育の自由裁判弁護団長)    
 小森陽一(東京大学大学院教授)         
 斎藤貴男(ジャーナリスト)           
 醍醐 聰(東京大学名誉教授)          
 鈴木敏夫(子どもと教科書全国ネット21事務局長)
 暉峻淑子(埼玉大学名誉教授)          
 野田正彰(関西学院大学教授)          
 堀尾輝久(東京大学名誉教授) 

そのうちのお二人メッセージを引用する。

醍醐聡さん
 『東京新聞』11月5日朝刊に「叙勲奈良県警など受賞せず 安倍氏銃撃で推薦見送りか」という記事が掲載されました。行政私物化の限りを尽くした安倍音三氏の国葬となればなおさらですが、万人の死に軽重はないと考える平等原理主義者の私にとって、特定の個人の死を別格扱いする国葬に納得しません。加えて、主義のいかんにかかわらず、権威主義を拒否する私からすれば、行政当局が人間の価値に序列をつける叙勲などもってのほかです。そうした代物に「あの人が」と思うような人まで嬉々として与る光景は見るに堪えません。
 その一方で、さわやかな出来事もありました。広島県府中町議会議員の二見信吾さんは、自分が所属する政党の「上意」にも逆らって、2019年9月の町議会に提出された「天皇陛下御即位を祝す賀詞の決議案」に毅然と反対しました。二見議員は反対討論のなかで、反対の理由の第一として、「天皇陛下におかれましては」、「令和の御代が幾久しく続きますよう」などという賀詞は国民主権の原理と相容れないからだと語りました。
 現行憲法に天皇の地位を定めた条項がある以上、新天皇が即位した時に祝意を表すのは社会的儀礼だという意見があります。しかし、これは学校行事の場で日の丸に向かって起立して国歌を斉唱するのは儀礼的所作だという議論と重なります。
 また、憲法に天皇条項があるからといって、その効力が人間の内心の自由を侵すところまで及んでよいはずがありません。と同時に、「憲法の番外地」と解されている天皇によって、君主としてであろうと象徴としてであろうと、「統合」されてはたまらないというのが私の思いです。
 平等は人間が自分自身の「主」となるための不可欠の条件であり、自律した個人は本物の民主主義の支柱です。日の丸・君が代強制は根津公子さんがいみじくも指摘されたとおり「調教」であり、自律した個人をはぐくむ民主主義社会の教育と相容れません。(2022年11月7日稿)

野田正彰さん
 皆さんの抵抗運動がどれだけ教育の保守化・右傾化を警告する役割を果たしてきたか、感謝にたえません。
 今、学校では発達障害・自閉症スペクトラムのでたらめなラベリング、支援学級の増設で子どもたちが苦しめられ、不当な向精神薬の服用で自殺しています。いじめ問題は、「発達障害の子どもへの支援ができていないから」と偽りの説明が拡がり、自殺する子どもは500人ほどまで増えているのに、問題がすりかえられています。
  「教育に自由を」、自由に子どもだちと接する教師は、苦しむ子どもの本当の支えになるはずです。闘いを深めましょう。

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Published in 日曜日, 11月 20th, 2022, at 17:46, and filed under 日の丸君が代.

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