安倍改憲路線に民意は離れつつある
民主主義とは、民意を実現する政治のこと。その「民意」というものを考えたい。民意に基づく政治の大切さだけをいうのであれば、2500年も前から明らかにされている。よく知られている論語顔淵編の次の一節。
子貢問政、子曰、足食足兵、民信之矣、子貢曰、必不得已而去、於斯三者、何先、曰去兵、曰必不得已而去、於斯二者、何先、曰去食、自古皆有死、民無信不立。
私なりに訳せば、以下のとおり。
子貢が孔子に政治の要諦を尋ねた。
「経済を充実させ、軍備を怠らず、民意の支持を得ることだね」
「その三つとも全部はできないとすれば、まずどれを犠牲にしますか」
「そりゃ、軍備だね」
「残りの二つも両立は無理だとすれば、どちらを犠牲にすべきでしょうか」
「経済だよ。民生の疲弊はやむを得ないが、民衆の信頼がなければそもそも国家が成り立たないのだから」
孔子の時代の「民の信」とは、民衆の意思では取り替えることのできない為政者への包括的な信頼ということでしかない。民主主義社会では、具体的な民意を政治に反映することが必要だ。それができない為政者は、遠慮なく取り替えられなければならない。
はたして安倍政権の政策は、そのような意味で民意を反映し、民意の支持を得ているだろうか。むしろ、遠慮なく取り替えられるべき事態を迎えているのではないか。少なくもその兆しが見える。いくつかの世論調査の結果が、その証しである。
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本日の「朝日」朝刊に集団的自衛権に関する世論調査の結果が掲載されている。その大要は以下のとおり。
☆集団的自衛権について
「行使できるようにする」 29%
「行使できない立場を維持する」 63%
★「集団的自衛権を行使できるようにする」賛成者(29%)の中で、
そのためには
「憲法を変える」 56%
「解釈を変更する」 40%
その場合近隣諸国の理解が
「必要」 49%
「必要ない」 46%
☆今の憲法を
「変える必要がある」 44%
「変える必要はない」 50%
☆憲法9条を
「変える方がよい」 29%
「変えない方がよい」 64%
☆自衛隊を国防軍にすることに
「賛成」 25%
「反対」 68%
☆非核3原則を
「見直すべきだ」 13%
「維持すべきだ」 82%
☆武器輸出の拡大に
「賛成」 17%
「反対」 77%
朝日自身の解説を抜粋して紹介する。
集団的自衛権について「行使できない立場を維持する」が昨年の調査の56%から63%に増え、「行使できるようにする」の29%を大きく上回った。憲法9条を「変えない方がよい」も増えるなど、平和志向がのきなみ高まっている。安倍内閣支持層や自民支持層でも「行使できない立場を維持する」が5割強で多数を占めている。
安倍晋三首相は政府による憲法解釈の変更で行使容認に踏み切ろうとしているが、行使容認層でも「憲法を変えなければならない」の56%が「政府の解釈を変更するだけでよい」の40%より多かった。首相に同意する人は回答者全体で12%しかいないことになる。
一方、国内では憲法9条を「変えない方がよい」も昨年の52%から64%に増え、「変える方がよい」29%との差を広げた。武器輸出の拡大に反対が71%→77%、非核三原則を「維持すべきだ」も77%→82%。自衛隊の国防軍化に反対も62%→68%と増えた。有権者が1年足らずの間に軍事力強化に対する不安を強めている様子がうかがえる。
改憲の是非についても、今の憲法を「変える必要はない」の50%が「変える必要がある」の44%を上回った。朝日新聞社の調査で改憲反対が多数を占めるのは1986年の調査までで、次に改憲是非を聞いた97年以降は賛成が多かった。
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テレビ朝日「報道ステーション」が、3月29・30日実施した調査結果は以下のとおり。
☆集団的自衛権
日本は、憲法第9条で、他国から直接攻撃を受けた場合のみ、武力行使することができるとされています。あなたは、これを変えて、日本と密接な関係にある国が攻撃を受けて、協力を求められた場合も、集団的自衛権を使って、自衛隊を海外に派兵して武力行使できるようにする必要があると思いますか、思いませんか?
「思う」 35%
「思わない」 45%
「わからない、答えない」 20%
☆解釈改憲
安倍総理は、憲法を改正しないで、第9条の解釈を変えることで、海外での武力行使ができるようしようとしています。あなたは、憲法を改正せずに、解釈でできるようにすることを、支持しますか、支持しませんか?
「支持する」 22%
「支持しない」 56%
「わからない、答えない」 22%
☆閣議決定
安倍総理は、憲法第9条の解釈を、内閣として決めることで、変えることができると主張しています。野党は、まずは国会での議論が必要だと主張しています。あなたは、内閣が決める前に、国会で議論することが必要だと思いますか、思いませんか?
「思う」 84%
「思わない」 7%
「わからない、答えない」 9%
☆武器輸出
安倍内閣は、国際環境の変化に対応するためなどとして、日本製の武器関連製品の外国への輸出を厳しく制限してきた、これまでの武器輸出三原則に代わって、新たな取り決めを検討しています。検討されている新たな取り決めでは、これまでの原則、輸出禁止に代えて、内閣が、日本の安全保障に役立つかどうかなどの政治判断を重視して、武器関連製品を、輸出するかどうかを決めることとしています。あなたは、この新たな取り決めを、支持しますか、支持しませんか?
「支持する」 24%
「支持しない」 47%
「わからない、答えない」 29%
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また、4月1日付産経は、自社が行った世論調査の報道に、「憲法改正の賛否が逆転 反対47%が賛成38%を上回る」と見出しを付けている。記事の大要は以下のとおり。
産経新聞社とFNNの合同世論調査で、憲法改正の反対派(47・0%)が昨年4月以降初めて賛成派(38・8%)を上回った。
安倍晋三首相が改正に積極的な発言をしていた昨年4月は「賛成」(61・3%)が「反対」(26・4%)を引き離していたが、改正に慎重な公明党への配慮から発言を控えるようになると、賛成派は徐々に減少。今年1月には「賛成」(44・3%)と「反対」(42・2%)が拮抗していた。
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朝日が解説するとおり、民意は確実に平和指向・憲法擁護の方向にある。
産経の結果を再確認すれば、以下のとおり昨年4月から今年1月、そして今回の3月調査へと劇的な変化である。
憲法改正反対 26.4%⇒42.2%⇒47・0%
憲法改正賛成 61.3%⇒44.3%⇒38・8%
民意は、安倍の「積極的平和主義」の暴走に大きな不安を感じて、「安倍ノー」を突きつけつつある。靖国参拝、消費増税、原発再稼動、原発輸出、非正規恒久化、さらにNHK人事、TPPである。それでもまだ安倍内閣の支持率が比較的高いのは、アベノミクス幻影という皮一枚の効果に過ぎない。
「民無信不立」は、「民に信ぜられることなくば立たず」と読みたい。政権も、政党も、政治家も、民意を獲得し民意の支持なくてはやっていけないのだ。猪瀬直樹や渡辺喜美が好例である。そして、各世論調査の結果は、安倍晋三もこれに続きそうな予兆なのだ。
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NHK籾井会長、百田・長谷川両経営委員の辞任・罷免を求める署名運動へのご協力のお願い。
下記URLからどうぞ
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-3030-1.html
http://chn.ge/1eySG24
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NHKに対する「安倍首相お友だち人事」への抗議を
☆抗議先は以下のとおり
※郵便の場合
〒150-8001(住所記入不要)NHK放送センター ハートプラザ行
※電話の場合 0570?066?066(NHKふれあいセンター)
※ファクスの場合 03?5453?4000
※メールの場合 下記URLに送信書式のフォーマット
http://www.nhk.or.jp/css/goiken/mail.html
☆抗議内容の大綱は
*籾井勝人会長は即刻辞任せよ。
*経営委員会は、籾井勝人会長を罷免せよ。
*百田尚樹・長谷川三千子両経営委員は即時辞任せよ。
*経営委員会は、百田尚樹・長谷川三千子両経営委員に辞任勧告せよ。
以上よろしくお願いします。
(2014年4月7日)