8月?熱く平和を語るべき季節
蝉時雨と、近所の公園のラジオ体操の大音響で目を覚ました。2014年の夏、今日から8月。1945年から数えて69回目の8月である。
8月で連想する言葉は、広島、長崎、ポツダム宣言、そして敗戦、戦争の惨禍。さらに戦争責任と歴史認識等々である。
8月こそは、戦争と平和、そして憲法を熱く語るべき季節。1か月前の7月1日、安倍内閣は集団的自衛権行使容認の閣議決定に踏み切った。平和に危うさが見える今年の8月であればこそ、なおさらである。
加えて、個人的には『DHCスラップ訴訟』の事実上の第1回口頭弁論が8月20日午前10時半に開かれることが大事件。ここから本格的な論戦が始まる。
この8月、当ブログは「平和」と「表現の自由」。この両テーマを焦点として書き続けることになる。
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ところで、ブルース・アッカーマン(エール大学教授、法学・政治科学)の安倍政権解釈改憲批判が話題を呼んでいる。このことを最初に耳にしたのは、「戦争をさせない1000人委員会」集会での樋口陽一さんの発言だった。不勉強で、その名は初耳だった。いま、ハフィントンポストのサイトで、同教授意見の邦訳を読むことができる。抜粋すれば以下のとおり。
「日本では、集団的自衛権の解釈がさらに深刻な悪影響を及ぼしつつある。安倍晋三首相は復古主義的なナショナリストで、自ら総裁を務める与党・自民党に対し、戦後の日本国憲法が連合軍の占領政策によって不当に押しつけられたものと貶めるキャンペーンを主導している。
安倍首相の最初の標的は憲法9条で、彼は当初、憲法で定められた国民投票を実施して9条を破棄しようと模索した。この戦略が世論と国会から大きな反発を受けると、安倍首相は方針を転換し、憲法改正を伴わない手段によって同じ成果を得ようとしている。
7月1日、安倍首相は閣議決定で憲法を「解釈変更」し、憲法が「永久に」放棄するとしてきた「武力による威嚇又は武力の行使」を認めると発表した。これは半世紀にわたる憲法解釈を覆したものだ。
こうした動きは、1960年以来の大規模な抗議運動を引き起こし、世論調査でも反対が急激に増えた。これを受けて、日本政府は9月に予定していた関連法案の審議を先送りし、より時間をかけて議論することを約束した。
もし安倍首相の目論見が成功すれば、彼の急進的な解釈改憲は、自民党が憲法改正案で掲げる、日本国憲法が保障する民主政治の基本原理、そして社会的権利を打破する先例となる。安倍首相が政治生命を賭けているとも言えるこの大博打に対し、今後数カ月は現代日本史上で最も重要な議論が展開されるだろう。」
アッカーマン氏のいうこと、いちいちもっともでそのとおりだ。このたびの安倍解釈改憲が成功するとなれば、平和の問題だけではなく、「日本国憲法が保障する民主政治の基本原理、そして社会的権利を打破する先例となる」との指摘は重い。
「今後数カ月は現代日本史上で最も重要な議論が展開されるだろう」とアメリカの識者は見ている。7月1日閣議決定に沿ったかたちで、専守防衛を超えて自衛隊を海外での戦争に使える具体的立法を許すのか、それを阻止して7月1日閣議決定を死文化させることに成功するか。そのことを、「今後数カ月における、現代日本史上で最も重要な議論の展開」と言っているのだ。
私たちは、渦中にあって、安倍政権と厳しく対峙し、安倍壊憲の動きにストップをかけなければならない。今年の8月は、とりわけ熱くなりそうだ。
(2014年8月1日)