「政治的言論の自由を守れ」明日(12月24日)DHCスラップ訴訟控訴審口頭弁論ー「DHCスラップ訴訟」を許さない・第63弾
《DHCスラップ訴訟12月24日控訴審口頭弁論期日スケジュール》
DHC・吉田嘉明が私を訴え、6000万円の慰謝料支払いを求めている「DHCスラップ訴訟」。本年9月2日1審判決の言い渡しがあって、被告の私が勝訴し原告のDHC・吉田は全面敗訴となった。
しかし、DHC・吉田は一審判決を不服として控訴し、控訴事件が東京高裁第2民事部(柴田寛之裁判長)に係属している。
その第1回口頭弁論期日が、
クリスマスイブの明日12月24日(木)午後2時から。
東京高裁庁舎8階の822号法廷で開かれる。
ぜひ傍聴にお越しください。どなたでも、なんの手続も不要で、傍聴できます。
被控訴人本人の私が意見陳述(控訴答弁書の要旨の陳述)を行います。
また、恒例になっている閉廷後の報告集会は、
午後3時から
東京弁護士会502号会議室(弁護士会館5階)A・Bで。
せっかくのクリスマスイブ。ゆったりと、楽しく報告集会をもちましょう。
弁護団報告は、表現の自由と名誉毀損の問題に関して、最新の訴訟実務の内容を報告するものとなることでしょう。また、消費者問題・医事問題としての健康食品・サプリメントに対する行政規制問題やカフェイン・サプリメント過剰摂取問題などの報告もあります。
表現の自由を大切に思う方ならどなたでもご参加ください。歓迎いたします。
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《DHCスラップ訴訟経過の概略》
参照 https://article9.jp/wordpress/?cat=12
2014年3月31日 違法とされたブログ(1)
「DHC・渡辺喜美」事件の本質的批判
2014年4月2日 違法とされたブログ(2)
「DHC8億円事件」大旦那と幇間 蜜月と破綻
2014年4月8日 違法とされたブログ(3)
政治資金の動きはガラス張りでなければならない
同年4月16日 原告ら提訴(当時 石栗正子裁判長)
5月16日 訴状送達(2000万円の損害賠償請求+謝罪要求)
6月11日 第1回期日(被告欠席・答弁書擬制陳述)
7月11日 進行協議(第1回期日の持ち方について協議)
7月13日 ブログに、「『DHCスラップ訴訟』を許さない」シリーズ開始
第1弾「いけません 口封じ目的の濫訴」
14日 第2弾「万国のブロガー団結せよ」
15日 第3弾「言っちゃった カネで政治を買ってると」
16日 第4弾「弁護士が被告になって」
以下本日(12月23日)の第63弾まで
8月20日 705号法廷 第2回(実質第1回)弁論期日。
8月29日 原告 請求の拡張(6000万円の請求に増額) 書面提出
新たに下記の2ブログ記事が名誉毀損だとされる。
7月13日の「第1弾」ー違法とされたブログ(4)
「いけません 口封じ目的の濫訴」
8月8日「第15弾」ー違法とされたブログ(5)
「政治とカネ」その監視と批判は主権者の任務
2015年7月 1日 第8回(実質第7回)弁論 結審
2015年9月2日 請求棄却判決言い渡し 被告(澤藤)全面勝訴
9月15日 DHC・吉田控訴状提出
11月2日 控訴理由書提出
12月17日 控訴答弁書提出
12月24日 控訴審第1回口頭弁論(822号法廷)
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《関連他事件について》
DHCと吉田嘉明が連名で原告となって提起した同種スラップ(いずれも、吉田嘉明の渡辺喜美に対する8億円提供を批判したもの)は合計10件あります。2000万円の請求から、2億円の請求まで。
最も早く進行したDHC対折本和司弁護士事件は、本年1月15日に地裁判決(請求棄却)、6月25日の控訴棄却判決(控訴棄却)、その後上告受理申立がなされ最高裁に係属中。
2番目の判決となったS氏(経済評論家)を被告とする事件は本年3月24日に地裁判決(請求棄却)、8月5日に控訴審判決(控訴棄却)、その後上告受理申立がなされ最高裁に係属中。
私の事件が、3番目の地裁判決になりました。
DHCスラップ訴訟澤藤事件控訴審で明らかになったことでは、他の1件で判決が出ています。1億円請求に対して100万円を認容した判決ですが、名誉毀損に当たるとされた業界紙の記事は、「DHC・渡辺」事件と無関係のものです。詳細報告は下記をご覧ください。
https://article9.jp/wordpress/?p=6084
判決が認定した「DHCに対する行政指導の数々」
ー「DHCスラップ訴訟」を許さない・第59弾
また、一人で2件のスラップの被告とされていた評論家については、1億円の請求に対して30万円での和解が成立したとのと。これも詳細は下記をご覧ください。
https://article9.jp/wordpress/?p=6086
別件DHCスラップ訴訟の和解調書から見えてくるもの
ー「DHCスラップ訴訟」を許さない・第60弾
なお、DHC・吉田は、関連して仮処分事件も2件申し立てていますが、いずれも却下。両者とも抗告して、東京高等裁判所での抗告審もいずれも棄却の決定。
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《仮にもし、一審判決が私の敗訴だったら…》
私の言論について、いささかでも違法の要素ありと判断されるようなことがあれば、およそ政治批判の言論は成り立たなくなります。原告吉田を模倣した、本件のごときスラップ訴訟が乱発され、社会的な強者が自分に対する批判を嫌っての濫訴が横行する事態を招くことになるでしょう。そのとき、市民の言論は萎縮し、権力者や経済的強者への断固たる批判の言論は、後退を余儀なくされるでしょう。そのことは、権力と経済力が社会を恣に支配することを意味します。言論の自由と、言論の自由に支えられた民主主義政治の危機というほかはありません。スラップに成功体験をさせてはならないのです。
何度でも繰り返さなければならない。
「スラップに成功体験をさせてはならない」と。
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《一審判決の構造》
※原審原告ら(DHCと吉田嘉明)は、5本の澤藤ブログのうちから16個所の記述を特定して、「事実を摘示して人の名誉を毀損した」と主張した。
※原判決は、名誉毀損の言論と特定された16個の記述のうち、1個は原告らの社会的評価を低下させるものではないからそもそも問題とならずとし、残る15個の記述はいずれも原告らの社会的評価を低下させるものとして名誉毀損に当たるとした。
※その上で、いずれの言論にも違法性はないことを明確に認めて全部の請求を棄却した。
原判決は最高裁判決の枠組みに従って、名誉毀損15個の表現をいずれも「一般の読者の普通の注意と読み方を基準とすれば」というキーワードを介して、「意見ないし論評を述べたものであり,事実を摘示したものとはいえない」と判断した。実はこれで結論が決まった。
※その上で、「本件各記述は,いずれも意見ないし論評の表明であり,公共の利害に開する事実に係り,その目的が専ら公益を図ることにあって,その前提事実の重要な部分について真実であることの証明がされており,前提事実と意見ないし論評との間に論理的関連性も認められ,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものということはできない」。だから違法性を欠くものとした不法行為の成立を否定した。
※1989(平成元)年12月21日「長崎教師批判ビラ配布事件」最高裁判決が引用されているので、「公正な論評の法理」を採用したものと理解される。
《控訴審での論点》
※控訴人ら(DHC・吉田)は、特に新たな主張はなく、「8億円交付についての動機は『事実の摘示』である」「これを『意見ないし論評の表明』とした原判決は最高裁判例に違反するもので間違っている」と蒸し返している。
※被控訴人(澤藤側)は、原判決の誤りはないとして、一回結審を申し出ている。
(2015年12月23日・連続第997回)